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BlendxJPに行ってきたよ!

会場には、僕が作品を提供させていただいた画像を使ったポスターが!
会場には、僕が作品を提供させていただいた画像を使ったポスターが!

 

正直、びっくりした。2つの意味で。

まずは登壇者の方々のレベルの高さ。楽しいとか趣味とか言ってる場合じゃない。みんなガチで、Blenderを使い倒してる。深い。

2つ目は、ここまでCG業界の日常業務に浸透していたのかという驚き。僕自身、業務でBlenderをかなり使っているけど、それはあくまでも隙間的なというか、メインツールとは一味違う使い方だったりする。グループワークや他者とのデータ共有など考えると、メインはどうしてもやっぱりMaya、3ds maxになる。
もちろん、モデリングツールとして、UVツールとして、リギングツールとして、Blenderの機能は素晴らしい。Cyclesのレンダリングだって、ひと昔前の単体数万円レンダラーを完全に凌駕しているし、コンポジターの柔軟性だってたいしたものだ。スピード以外では。

そう思ってきたのが、時代遅れだと思わせられるくらいに、Blenderは業務の世界で認められている。
ちょっと前までは、そんなことを言うと負け惜しみだと笑われるような空気があったけどね、これはもう笑い事ではない。

Maya、3ds maxと並ぶメインツールとして使われても遜色のない時代が、本当にもうすぐそこまで来ているんだ!

はい、ここですっかり迷子になっているあなた。済みません。今回は文芸関連の話はありません……!
 Blenderというのはオープンソースで開発されている無料のCG制作統合ツールで、何十万円もするプロ用ソフトと遜色がないばかりか、優れた点も多々持ち合わせているというCGソフト業界を揺るがす存在なのです、はい。
(もちろん劣った点も多々あるけど、完璧なツールというのはないので、選択肢の一つになっていくことは間違いないだろうな……と!)

今回の記事は、そんなBlenderの日本におけるユーザー会であるBLUGの勉強会であるBlendxJPに参加してきた報告記になりますです。

 

では、最初の登壇者であるキャラクターの名手、友さんのお話から。
ある有名美少女キャラクターを、「持ち時間の30分でモデリングしてマテリアルをつけるところまでやりますよ」というつかみに会場がどよめいた。これは凄いぞ、って。
で、お話が始まって、友さんのユーモアセンスが爆発。
「やっぱり無理なんで、3分間クッキング形式で行きます」と。
どんどん次のシーンファイルを開くタイミングの絶妙さに、会場は爆笑
やはりモデリングはちくちく時間をかけてやることなので、マテリアル調整のTipsに絞って細かく説明してくださったのは大正解だったんではないかと。難しいと思われがちなノードエディターでの調整テクも分かりやすかったし、なにしろ楽しかったなあ。
で、友さんは、この日の解説に用いたモデルを使った次の著書(商業本)も執筆中なんだって!
絶妙に宣伝に繋ぐセンスも見習いたいっ!

お次の登壇者はアニメの作画監督である酒向大輔さん超メジャー級作品の製作中画面までたっぷり見せてくださった!)

※酒向さんはどこへリンクを張ったら良いか分からなかったので、画像検索結果ですw (あの作品の絵が!)

酒向さんは、アニメーションの絵作りをする時に3Dで一度全体の世界をざっくり立ち上げて、動きまで作ってからカメラアングルやレンズを決め、それをもとにして手で絵を描き、後工程に回すということをなさってる。より観客目線で、ダイナミックな演出が可能になったと。Blenderというツールを使うことで、構成力の勉強になる。画力は鍛錬するしかないスポーツのようなものだけど、上手にツールを用いれば効率的に学ぶことが出来る。絵描きは、いったん描いたものなら何も見ずに描けるから。うーん、その通り!

それにしても、酒向さんはBlenderを始めてから一年も経っていないとのこと。そんなに短期間で自動車やキャラクターの動きが自然に出来るところまでマスターなさってるところがもう、凄いの一言。やっぱり一流のひとは何をやっても凄いんだなあ……。

お次はプロの漫画家さんお二人が連続してご登壇(このお二人の話を聞きたくて参加した漫画家さんも多かったらしい!)。
プロの漫画家さんが、背景や小道具を作るためのツールとして、Blenderをばりばりに使い倒している現実をつぶさに見せていただいて、衝撃を受けた同業者の方たちも多かった模様。
何しろ、登壇者のお一人藤原佑介さんは、Blenderで効率化出来るから週刊連載が楽勝でこなせると仰ってるし、村川和宏さんも、全部自分一人でやるとした場合に、自分で描くよりBlenderでやる方が速いって言うんだもの。

Freestyleによる描画を手書きの線に近づけ、自筆の表現と馴染むように研究を続ける村川さんの求道的な姿勢、素晴らしい!

Blenderでいったん作っておけば、舞台となる街並みとか背景は必ず何度も出てくるし、小道具だって決まったものが登場人物といろいろな絡み方をする。確かに3Dで最初に作るのは大変だけれど(外注や素材購入という手段もあるし、フリーでDL出来るデータもあり)、アングルや見せ方が自由になるし、かなりの効率化になるという──。

藤原さんはご自分で効率化のためのアドオンも多数開発なさっているという猛者。プロ漫画家でありながらプログラミングまで! もう、凄いの一言。Blender作業の効率化をするために開発したアドオンを無償で公開してくださっているのも特筆モノ!
こちらは、部屋を簡単に作るRoom Toolsというアドオン。すごい!
スクリーンショット 2016-08-21 10.57.09

藤原佑介さんは、ご自分でも「(漫画家と言っていいのか)」、と仰っているとおり、いわゆる普通の漫画家さんとは違う、全く新しい職業形態を開発なさっている方、と言えばいいのかな。商業漫画のために3Dを導入するとメリットになる部分を、コンサル的な立ち位置から開発、3D作画、監修まで行なうという、かつては考えられなかった新しい職種なんです。

※なお、藤原さんの発表資料は、なんと本日から早速Boothにて発売してくださってます(版権系の画像はモザイク処理されています)。ポスターの画像データや発表の音声mp4、参考の自動車.blendデータも入って盛りだくさんです。気になる方はこちらへ! 

藤原さんのポスター
藤原さんのポスター。Blenderでこんな表現が出来る!

 

村川さんのポスター。これも全部Blender!
村川さんのポスター。これも全部Blender!

 

そして圧巻は、フリーランスのコンポジターでありマッチムーバー、クロノさん。カメラトラッキング業務の95%はBlenderで、他の有償ツールより優れている部分が多いとのこと。しかも超メジャー級映画でも使っているとのこと(作品名を聞いたけど、それはナイショみたい⇒作品名の出たツイートもあったけどね……w)。
Blenderのマッチムーブツールは良いという話は聞くけど、そこまでとは!(僕もそう言えば昨年、ホタルが飛ぶシーンを作ったことを思い出した。あれは難しかったなあ……)
やっぱり3Dソフトの中に入っているツールなので、単体のツールにはない使い勝手の良さ、3D機能の優位性があるそう。肝心の内容は、ちょっと高度過ぎて、大ざっぱな概要しか理解できなかった。情報の少ない中、自分で試行錯誤してベストなやり方(しかも商用ソフトより優れた方法)を導いているクロノさん。すごいなあ。

最後の登壇者はV-Rayのスペシャリスト、ハヤシヒカルさん。Blenderで使える外部レンダリングエンジンとしてのV-RayとRendermanのお話がメイン(タイトルが「走れCyclesレンダー」だったのに……というのはご愛嬌かw)。V-RayよりもRendermanのほうがBlenderへの統合が進んでいるので、設定としては少々取っ付きにくいけどオススメ、だそう。非商用なら無料だし。

その他にも、LT(Lightening Talk)が何本かあって、実はこちらもなかなかの濃さだった。ミュージック・ビデオの世界でも使われているとか、プログラミングでパラメトリックなモデリングをした形状を3Dプリンタで出している方とか……面白い、凄い話題が目白押しで!

スタッフの方々、たいへん素晴らしい会を主宰してくださってほんとうにありがとうございました! この場を借りて(てか、読まれない可能性大かもだけど……)、厚く熱く御礼差し上げます!

もう、「凄い凄い!」ばっかりで、圧倒されっ放しの一日だった。

こちら、スタッフであるBlender会の有名人、藤堂++さんと前田慈人さんによるポスターも、ご鑑賞あれ。

かっこいー!
かっこいー!
さすが藤堂さん、凝りまくり!
さすが藤堂さん、凝りまくり!

 

最後におまけです。実は名刺をどこかへなくしてしまい(最近ぜんぜん使ってなかった)、急遽会場に向かう電車の中で手書き名刺を作りました。コンビニでノートパッドと鋏を買って!

残った名刺たち。一枚、URLを間違えている。昨日配った中にも間違ったものがあったかもしれない……
残った名刺たち。一枚、URLを間違えている。昨日配った中にも間違ったものがあったかもしれない……

電車の中で鋏をチョキチョキ使っていたので、危険人物と思われなくて良かったなあと今さらながらに胸を撫で下ろす淡波です。

じゃ、また明晩!

MANUEL BASTIONI LABを使おう!(その20):1.3新機能─3

なんとまあ、このシリーズもとうとう20回を迎えました。
あまり分かりやすい解説とも言えませんが、いつも見てくださいましてありがとうございます。
今回も頑張って書きますよ!

では、

今回取り上げる新機能はこれです

  • カスタムで付けたポーズを保存、読み込み可能に
  • 作成済みモデルを再度初期化できるオプションを搭載
  • 瞳のサイズを変更可能に
  • 左右均等の立ちポーズ(=Tポーズ)を追加

ちなみに、《左右均等の立ちポーズ(=Tポーズ)を追加》については前回触れましたね。
順番にやってみましょう。

【カスタムで付けたポーズを保存、読み込み可能に】

まずは、いつものように基本のモデルを出しましょう。今回は、ヨーロッパ系の男性です。オリンピック中ということで、なんとなくそれっぽい色付けにしてみました。
athlete1

1.ポージングをさせるために、両足の間にある棒状のボーンを選択します。

触るとオレンジ色になります。実線がボーンです。
触るとオレンジ色になります。実線がボーンです。

2.右側の設定パネルから「skelton(人型アイコン)」のタブを開きます。

3.「Display」で、「Stick」になっている表示を「Octahedron」に変更。

4.X-Rayにチェックを入れます。

これで、動かしやすくなりました。
これで、見やすく、選択しやすくなりました。

5.現在は「Object」モードなので、「pose」モードに変更します。

6.ポーズを変更するには、各ボーンを回転させます。ボーンの向きと回転ギズモの向きが合っていないとうまく回転させられないので、向きをローカルに変更します。

13_pose1

7.もも上げです。もものボーンを選択し、回転ギズモの赤い輪をドラッグすると、動きます。

自動的に回転角が表示されていますね。
自動的に回転角が表示されていますね。

8.同じ要領で、作りたいポーズになるよう、それぞれのボーンを回転させます。

反対向きから見たり、「.」キーでアップにしながら回転させます。
反対向きから見たり、「.」キーでアップにしながら回転させます。

9.「Object」モードに戻すと、Manuel Labの設定パネルがまた現われます。Poseツールをチェックして設定を開き、「Save pose」ボタンをクリックします。

スクリーンショット 2016-08-16 10.27.50

ファイル名に「run」と付けました。
ファイル名に「run」と付けました。

10.試しにいったんEvil beastにポーズを変更(笑

強そう……
強そう……

11.Load poseから、先ほど保存したrunを選択すると……

スクリーンショット 2016-08-16 10.39.14

12.ちゃんと戻りました!

スクリーンショット 2016-08-16 10.39.25

13.モデルを消して、別の人にしてみます。アジア系の女の子です。

athlete_asiangirl1

14.この子に先ほどのrunポーズを読み込んでみましょう。

athlete_asiangirl2

おお、一瞬で出来ました。走ってます!
これで、一度作ったポーズはいつでも簡単に、新キャラクターに取らせることができるようになりましたねっ!
Manuel Labすごい!

次、いきますよ!

【作成済みモデルを再度初期化できるオプションを搭載】

読んで字のごとく、各種のパラメーターをいじったモデルを初期状態に戻すもの、のようですが、戻らないものもありました。

Characters Libraryの「Reset all」ボタンを押した時、どうなるか見てみました。

あちこちいじってみてからリセット

・表情はリセットされて初期状態に
・体型はCharacters Libraryの設定に
・ポリゴン編集をした場合、初期状態に戻る
(胸の形が裸っぽかったので、少しスムーズを掛けていましたが……)
・マテリアル設定は戻らない
(肌の色も、服に設定した範囲も変更なし)
・ポーズは戻らない

参考になりますでしょうか……。

では、三つめです。

【瞳のサイズを変更可能に】

これは簡単。
「Body Parameters」の「Morphing Categories」から、「Eyes」を選びます。その中にある「Eyes_IrisSize」がそれです。

eye1

標準の0.5、最小の0、最大の1です。
瞳が小さいと、神経質そうでちょっと怖い感じ。
瞳が大きいと、かわいらしい感じが出ます。
瞳のサイズだけでこんなに雰囲気が変わって、面白いですね。

瞳を大きくすると、「黒目がちの美少女」に!
瞳を大きくすると、「黒目がちの美少女」に!

さてさて、今回も楽しんでいただけましたでしょうか?

次回は、インポートしてきた衣服のデータを、Manuel LabのProxy機能を用いて着せる方法をやってみましょう。

では、また次回をお楽しみにっ!

今週の一枚─やっぱこれでしょ……

tororo

KENPのキャプチャだと思ったあなた、ハズレです。
今週一番のアワナミ的トピックは、やっぱりこちら。
『トロロ姫の歌』で決まりでしょう!

白井市の非公式ゆるキャラ《ジネンジャー》と、作家淡波亮作のコラボ企画第2弾。白井地底王国から姿を消してしまったトロロ姫の切ないテーマ曲です。

まあ、世間の人気動画と比べると(比べるな)、再生数は1億分の1くらいですが。僕のモノの中では最速での100再生突破のような気がします。
高評価が5つついてるし!

今回の動画のテーマは、ずばり《絵になる》PV。
え、なってないって?
それは言いっこなしですよ、ダンナ──。

・児童文学っぽい雰囲気で
・絵本になりそうなビジュアル
・3Dを使うけど、あくまでもベタ塗りのアニメっぽく
・線画の味と温かみを感じさせる
・どのフレームを切り出してもそれなりに絵になるもの
(もちろん、トランジション中は除いて、ね)

そしてもう一つ大事なのが、短時間で計算できる設定。これです。
この動画は1分40秒ほどの長さなんですが、通常、このくらいのものを作ろうと思ったら、数日間レンダリングしっ放しになってしまいます。
この暑さでそれは辛いし、レンダリング中は他の作業もあまりできなくなってしまうので……。それから、締切り。
まあ、こういったものを自作する場合、いつもは締切りなんてあまり設けないのですが、今回はジネンジャーさんに言ってしまったんですよね、
「遅くともお盆までには仕上げますー!」って。

歌のレコーディングは日曜日に無事終わり、映像の編集も半ばまで終わった状態でしたが、まだシーンが足りず、レンダリングの必要がありました。
いつもならこれで諦めるんですが、今回は最短2秒弱@1フレームのレンダリング設定(しかも初のフルHDサイズ)なので、手作業さえ追いつけば何とか終わりそうだ、と思って頑張っちゃいました。

Blenderで、Cyclesでレンダリングしてると、何しろきれいな絵を出すためには計算時間が膨大です。
ここで、今回のようなアニメ風限定のレンダリング時間削減Tipsを書いておきますね。

・マテリアルはすべてEmitterにします。
自分で光を出すことで、陰影のない絵になります。GIが不要なので、バウンスは0回設定でオッケー。ベタ塗りなので、リフレクションも透過もすべて0設定で。

・Freestyleは手書き風の味があるライン・スタイルにします。
サンプル数を極限まで減らしても、アンチエイリアス処理のかからないがびがびな線が逆に味になるのです。
⇒これ、超裏技でしょ?

今回はカリグラフィーのラインを使い、3D形状に沿うエッジの表情が、さらにいい雰囲気を出しています。

さすがにジネンジャーが登場する後半はポリゴン数も多いので、15秒〜最大2分くらい@フレームというものもありますが、お城やトロロ姫のシーンは1秒台でした。

このシーンでもフルHDで15秒くらい!
このシーンでもフルHDで15秒くらい!
このシーンは1分間に80フレーム計算出来ているので、1秒未満@フレームでした!
このシーンは1分間に80フレーム計算出来ているので、なんと1秒未満@フレームでした! アップで見ると、まるでインクが滲んだように線がざらついています。

 

そうそう、いちばん重かったのが、花畑のフライスルーです。どんどん花が開いていくシーン。レンダリングの時間自体は大したものではないんですが、事前計算とFreestyleの準備計算がかなり重かったですね。

このシーンで2分@フレーム。35フレームのシーンに2時間超です。
このシーンで2分@フレーム。35フレームのシーンに1時間超です。茎はパーティクル(Hair)でばらまき、花の部分は開くタイミングの調整があるため、一輪ずつ手で載せています。

それから、今回特筆すべきは、コンポジットを行なわなかった点。
通常、レンダリングを連番静止画で書き出して、それをコンポジターに読み込み、各種合成やカラコレを行ないます。
今回は、全フレーム、レンダリングしっ放し(仕事ならぜったい許されない、あり得ないって──笑)。
あとは編集ソフトで組み上げるだけという省エネながら、最初のカラー設計通りに出来上がりました。これも、Emitterマテリアルのみを使った2D調表現にしたから、最初から最後までイメージにずれが生じなかったんですよね。
今後、このやり方はかなり可能性があるなあと、結果にホクホクしている今日この頃です。

あ、歌はね……ちょっと濃すぎましたかね?
前回のテーマ曲とはがらりと変えて優しい感じに歌ったつもりだったのですが……。

最後に、Youtubeの動画を埋込んでおきますね。まだご覧になっていない方は、是非!

じゃ、また明晩!

MANUEL BASTIONI LABを使おう!(その19):1.3新機能─2

さて、最新バージョン1.3の新機能は、まだまだあります。今回は【血管・皺・腱】について見てみましょう。

とは言っても、《血管》などという設定項目は特にありません。リアルが信条のManuel Labですから、筋肉量の多い設定にすると自動的に血管や腱が浮き出し、年齢を上げていくと皺が刻まれます。
これを行なうのがDisplacement Mapです。

簡単に、解説します。

- Displacement Mapping -
 自分でポリゴンをモデリングして細かい形状を作るのではなく、貼り付けたテクスチャ画像の濃淡を形状の凸凹として自動的に形状を膨らませたり凹ませたりする機能。
 疑似的に明暗を付けて立体を複雑に見せるBump Mapとは異なり、実際に形状を細かく操作してくれます。
 Blenderの場合、あらかじめ形状を細かく分割してあれば複雑な立体になりますが、分割の少ないローポリゴン形状では、効果は出せません。そのため、形状データは重くなり、ビューポートでの操作も遅くなることがあります。

Manuel Labで筋肉量などに関連するパラメーターをいじると、内部で自動的にDisplacement Mapの画像を生成し、その画像を用いて凹凸を生成してくれます。

さっそく、その効果を見てみましょう。

標準体型(ただし、ヒーロータイプ)
筋トレ後!(tone=1, 筋肉量最大)
同じ筋肉量でやせ形に
同じ筋肉量でやせ形に (mass=-1)

いやあ、リアルですねえ、オリンピック選手みたいですねえ……。

次に、年齢を変えて顔を見てみます。

最も若い (age= -1)
最も若い (age= -1)
デフォルト (age= 0)
デフォルト (age= 0)
最も歳上 (age= 1)
最も歳上 (age= 1)

こちらもすごいリアルさです。ちなみに、今回のモデルは北欧系です。確かに、それっぽいです。

で、関係のあるパラメーターはこちら。

設定
(前回記事からの流用だったりして)

Character_ageを増やせば皺が増え、 Character_massを増やせば太ったことに関連するディティールが増し、減らせば痩せたことに関連する皺などのディティールが増します。Character_toneを増やせば筋肉量の増加と共に血管などが浮き出します。

シンプルですね。

そして、このパラメーターをリアルタイムで確認できるのが、Skin editor tools内にあるこの設定。

スクリーンショット 2016-08-07 11.26.58

設定を変更した後は、Update displacementボタンを押して画面表示に反映させます。

注意事項:プレビューに関しては表示させなくても構いませんが、「Update displacement」ボタンは必ず押してください。そうでないと、設定の効果がレンダリングに現われません。

Enable displacement previewがオンになっていないと、画面上では変化はありません。ちょっと言葉的にわかりづらいですが、「Enable」と書いてあれば、「有効化する」という意味なので、「今は無効」という意味になります。

subdivisionという言葉、今まで何度か出てきていますね。前回も書きましたが、これは、ポリゴンを自動的に(かつ滑らかに)細かく分割してくれる機能です。ローポリゴンだとdisplacementの効果が出ませんが、このsubdivision(=再分割曲面)によって、細かなディティールが表現されます。

つまり、両方をオンにしていると、動作が重くなります。でも、とてもリアルにプレビューされます。どちらもオフの場合でも、プレビューはされなくともレンダリングの際は効果が適用されます。なんとなく雰囲気がつかめた後は、プレビューはオフで構わないでしょう。

いかがでしょうか、作成したモデルが、更にリアルな感じになりましたよね!

さて、最後に、Manuel Labのドキュメントページの下の方に文字だけで書かれた、「その他の新機能」を(わかるところだけ)ちょっと訳しておきますね(これまでに触れたものは除きます)。

この中から、自分で試してみて面白そうなorためになりそうな機能を、次回は解説しようかなと思います。

その他の新機能

  • カスタムで付けたポーズを保存、読み込み可能に
  • 作成済みモデルを再度初期化できるオプションを搭載
  • 瞳のサイズを変更可能に
  • 首のカーブを設定可能に
  • 頬の膨らみと硬さを設定可能に
  • 左右均等の立ちポーズ(=Tポーズ)を追加

改善された機能

  • ファイナライズのボタンから、カスタムプロパティを削除
  • エラーと警告をコンソールにも表示しログファイルにも含ませるように
  • プロクシ(外部から読み込んだ服などをモデルに適用する機能)のパネルに、操作性を向上させるツール類を追加
  • 胸のモーフィング機能を改善
  • 表情のリセットボタンを追加

また、機能ではありませんが、GUIの改善や、様々なバグフィックスも行われています。
Manuel Labをお使いの方は、ぜひ、1.3へのバージョンアップをご検討のほどを──。


では、また次回!

残しておきたいツイート─031

よ、みんな!
(と、いきなりフレンドリーになってみる)

今日は、こんなツイートからだよ。

1.

楠樹さんのツイノベ、面白いですよね〜。最近、あんまりツイッターに潜っていないんで、いっぱい見逃しているなあ。
新作も出てますよね。
↓(こちらはツイノベでなく、原稿用紙各5枚の作品集。買っちゃったよ)

2.

すっかり忘れてた。自分用メモ。
──CGネタでごめん。

3.

先々月、残念なことがあったなあ。
(僕は気にしてませんよ)

4.

むふふ。たまにはこういうのもね、思い出しておきましょ。

5.

そうそう、それからね、こういう気持ちなんだ!!

6.

先週、最後の無料キャンペーンを敢行した『ケプラーズ5213』の、今や懐かしい茶色版の表紙。

7.

「あ、この宣伝文句、また使おう」
っと思ったので……(笑

8.

こっちも──。

9.

これ、独立作家同盟での藤井大洋さんのセミナーですね。
うむ。覚えておかなきゃ。

10.

もちろんね、文字で読みたい人だってたくさんいる。
映画と原作を比べれば(ほぼ?)原作のほうが優れているんだから、やっぱり小説ってのは大事で大きなものなんだよね。

文字で書かれていれば、読んだ人数分のイマジネーションがあるんだから。
それって、すごいことだよね!

じゃ、今日はこれまで。

MANUEL BASTIONI LABを使おう!(その17)

Manuel Labは、フェイシャル・アニメーションを簡単に作れるんですよ。ご存知でしたか?

さて、今回はとっても簡単なフェイシャル・アニメーションの方法を解説しますね。

顔の動きはとても繊細なので、いつものビューポート表示よりきれいで、レンダリングをしなくてもディティールがよくわかる《Matcap》表示を使いましょう。
(PCのグラフィック・ボードによっては使えない場合があります。その際はご容赦下さい)
01

1.いつものようにManuel Labを起動してキャラクターを作ります。

2.Nキーでプロパティーのウィンドウを表示し、Shadingと書かれたロールアウトを開きます。

3.□Matcapにチェックを入れます。いきなり、きれいな表示になりましたね!

4.球体のサムネールをクリックすると、Matcap画像を選ぶためのサムネール・ウィンドウが出ます。

5.お好きなものを選んでください。

6.これだけだと表情を大幅に動かしたときにカクカク汚くなってしまう場所が生じるので、サブディビジョンサーフェスの表示をオンにします。

モディファイヤ・パネル(スパナのアイコン)の中にあります。目玉をクリックすると、キャラクターの角張りがきれいに丸まります。
モディファイヤ・パネル(スパナのアイコン)の中にあります。目玉をクリックすると、キャラクターの角張りがきれいに丸まります。

7.キャラクターの顔をアップで見たときにニア・クリップが起こらないよう、クリップのスタート値を0.01くらいに小さくしておきましょう。

スクリーンショット 2016-07-24 17.53.43

 

さあ、これで準備は完了です。いきますよ!

1.Manuel Lab設定の下の方に、《Finalize》というところがあります。チェックをして開きましょう。
スクリーンショット 2016-07-24 17.15.59

2.Finalizeボタンを押します。
スクリーンショット 2016-07-24 17.16.11

3.画面右の《Object data》パネル(逆三角形のアイコン)に、Shape Keysという項目があります。これまでは空っぽでしたが、何やらたくさんのデータで行が埋まりました。
スクリーンショット 2016-07-24 17.16.29

4.Expressions_blow…の文字の右側が隠れていて何のことだかよくわからないので、パネルの横幅を広げましょう。パネル同士の境目にマウスを動かすとポインタの形が変わりますので、そこでドラッグします。

5.顔の各パーツに対して、《動きの程度》が設定数値です。デフォルトでは0.000になっています。

6.「Expressions_brow03L_max」というパーツの値をゼロから1に変更してみましょう。

02_1
眉毛が動きます!

7.楽しいですね! どんどんやってみましょう。

頬、右目、唇、口、とどんどんパラメーターを「1」にします!
頬、右目、唇、口、とどんどんパラメーターを「1」にします。みるみる表情が変わって面白いですね!

見本のように出来ましたか?

ご自分の好きなようにいじってみてくださいね。いろいろな表情が簡単に作れますので。

もちろん、これをアニメーションにするのも簡単です。

03_2

1.表情が1秒で変化するアニメーションを作ります。既にいろいろと動きを付けているので、これが《変化後の結果》になるようにしましょう。画面左下のタイムラインにある緑色のバーをドラッグして、30のところへ持って行きます。これが、30フレーム後、つまり、1秒後の状態を表わします。

2.Shape keysで動かしたパラメーターの数字の上にマウスポインタを移動し、iキーを押します。すると、その数字の周囲が黄色くなります。これで、パラメーターに《キーが打たれた》、つまり、その数値が記憶されました。Blenderでは、アニメーションのキーを記録した場所は黄色くなります。タイムラインのバーも、緑色の中に黄色い棒が加わっています(ちょっと判別しづらいですが)。

3.表情を動かしたパーツの全設定値にキーを打ちます。数字の上で右クリックして出るメニューから《Insert keyframe》を選択してもいいのですが、上述の方法の方が簡単・シンプルですね。

4.全てのキーを打ったら、タイムラインのバーを0にドラッグし、最初の表情を作ります。

5.今回は無表情から開始したいので、全ての設定値をゼロにし、設定値の上でiキーを押してキーを記憶させます。

6.全てのキーを打ち終えたら、再生してみましょう。
おっと、ちょっと待ってくださいね。初期状態ではタイムラインがゼロから250まであります。今回は30までしか使用していないので、FrameのEnd値を30に変更します。
スクリーンショット 2016-07-24 18.41.11

7.さあ、再生です。

表情が動くと、生きている様ですね!
表情が動くと、生きている様ですね!

 

はい。上手くいきましたか?

では、今回はこれまで!
また、次回をお楽しみに〜!
(次回は何をやろうか、まだ何も考えてないんですけど……)


MANUEL BASTIONI LABを使おう!(その16)

よし、クレームがつかないうちにフォロー記事行きますよ!

さて、何回かに分けて作った服がありましたが、あれは動かせないことが分かりました。もちろん、前提としては「形状やポーズが確定してから、服を作る。アニメーションは考えない」というものなのですが、やはりポーズの調整などは後からやりたいことがありますよね……。
いろいろとやってみたのですが、現在の僕の技術ではうまくボーンと関連付けできず、スカートが足の動きに付いてくるようには設定できませんでした。とほほ。
いくらアニメーション用ではないとしても、ポーズを調整することも出来ない服ではちょっと困りますもんね……。

 ちょっと技術的なことを言うと、Manuel Labで作成したモデルは、なぜかウェイトペインティングを受け付けてくれないのですよね。恐らく、何か内部的なコントロール機能が残っていて、勝手にいじることをキャンセルさせているのではないかと思うのですが……。

と、いうことで、今回は
《ちゃんとポーズに付いてくる(だろう)服の着せ方》
をやってみたいと思います。

今回は長いです。一緒に頑張りましょう!

では開始。

最初から掟破りです。服を作るのは大変なので、今回はMake Humanの力を借りましょう。
(本末転倒感、ハンパない!)
DLはこちら。
スクリーンショット 2016-07-17 15.21.05

現在DL出来る最新版は1.1。これより新しいですね。
現在DL出来る最新版は1.1。これより新しいですね。

 

1. Make Humanを起動

2.ジオメトリー/衣服のタブを選択
服しか使わないので、パラメーターは何も触りません。

3.今回はWorkSuit(=ツナギ)を選びます。クリックするだけですぐに服を着ます!(変更したい時は、まずもう一度同じ服名をクリック。そうしないと、どんどん重ね着してしまいますので)

4.ファイル/エクスポートのタブを選択

5.書き出すファイル名と書き出し場所を指定

6.メッシュフォーマットをWavefront objに、単位をメートルに指定。まあ、フォーマットはBlenderで読めれば何でもいいんですが、Manuel Labのドキュメントに倣いました。

本当はBlender exchangeというフォーマットがあるのですが、それはあくまで人物モデル全体をボーン込みで持っていきたい時に使うもの。add onのインストールも必要なため、今回はobjとしました。

7.エクスポートボタンで書き出し

OSなどにもよりますが、エクスポートフォルダに保存された.objファイルを、Blenderのインポートから読み込みます。

 

☆次の作業に移る前に、Manuel Labで新規モデルを作っておきましょう。

1.Blenderを起動し、Manuel Labタブを選択

2.デフォルトキューブを消してモデルを作ります。
今回は、Caucasian Femaleにしました。

3.モデルを選択してアップにし(.キー)、正面ビューにして(1キー)、オルソビュー(パースなし=5キー)にします。

4.Manuel Labのポーズ・ツールにチェックして設定を開き、「Reset pose」をクリックします。これで、Tポーズになります。

5.Importメニューから、書き出し済みのobjファイルを選択して読み込みます。

6.読み込んだ状態だと、モデルの2人が重なっていますので、Make Humanのモデルをレイヤー2によけます。Mキーを出すと出るレイヤー移動メニューで、左から2番目の■を選択します。

02
画面下部の四角が並んだものが、レイヤーです。デフォルトでは1のレイヤーに全てが入ります。複数選択はShiftキーを用います。今回の編集はレイヤーを使わなくても出来ますが、便利ですし、今後のためにも覚えておきましょう!

 

※ここで、簡単なTips。各GIFアニメはループ再生になっています。最初から再生させたいときはクリックして、別画面表示にすると便利です。

では次に、モデルの形状と衣服の形状のずれを修正していきます。

1.衣服のレイヤーに移動します。画面下のレイヤー表示で、左から2番目の■をクリックします。アクティブなレイヤー(=選択中のオブジェクトを含むレイヤー)は、■の中の・がオレンジ色になります。

2.いや、ちょっと待って!
この工程は面倒なので、止めましょう。良い方法があるんですよ!
(自分ではやってみたので、GIFアニメは流しておきます。まあ、元にしたMake Humanの服が男女比50%のデータなので、女性らしくない体型ですよね。その部分が気になる人は、衣服を女性らしい体型に編集しましょうか──)

プロポーショナル・エディットをオンにして、頂点を移動させます。
プロポーショナル・エディットをオンにして、頂点を移動させます。

 

3.とはいえ、袖だけは大きくずれていてごまかしようがないので修正します。

袖は大きくずれているので、きちんと修正します。
気になるところはきちんと修正します。
※実を言うと、Manuel Labのドキュメントによれば、Proxyの機能を用いて簡単に衣服とモデルデータを関連付けることが出来ることになっています。
 ところが、何度か試したところ、どうにも上手くいきません。Mac版にバグがあるのか、使い方が悪いのかは分からないのですが、関連付けてからポーズを付けるとどうしても形状が破綻したりずれたりしてしまいます。そのため、ここではモデルに埋込まれているアーマチャー(ボーン=骨組み)に直接結び付ける方法を取ることにしました。

4.足下に細い棒が1本あることに気がついていましたか?
これがボーンの一部です。目立たないように「Wire」表示になっていますが、これを選択して、見やすいように状態を変更しましょう。右側のツール群の中に、人型のアイコンが表示されたタブがあります。ここを選択すると、アーマチャーのメニューが出ます。

5.「Display」から「Octahedron」を選択し、その右下のチェックボックス、「X-Ray(=ボーンを優先表示し、オブジェクトで隠さない)」にチェックを入れます。これで、見やすくなりました。

6.衣服を選択し、次にShiftを押しながらボーンを選択します。後で触った方がオレンジ色になるので、順番を間違えないようにしましょう。

7.この2者を関連付けます。Ctrl+Pキーを押し、そこに出たメニューから、「With Automatic Weights」を選択します。
(オレンジ色のオブジェクトが親になりますので、ご注意を)

8.ボーンだけ選択し、ポーズモードにしてみます。ボーンが水色になりました。

9.ボーンを動かすときは、回転を使うのが基本です。ボーンの一本一本には固有の向きがあるため、回転させるときはワールド座標基準でなくボーンそれぞれの向きを基準にします。そのため、ギズモのアイコンが並ぶ選択メニューから「Local」を選択しましょう。

さて、これで各関節を回転したときに《一応》衣服も付いてくるようになりました。
でも、このままでは体が服を突き抜けてしまいます──。

それを防ぐために、Maskという機能を使います。

1.editモードに入り(tab)、肌が見える部分の頂点を 全て選択します。いつものように、サークル選択が便利でしょう。少しだけ服の中まで選択しましょう。袖の隙間などから見えますので。

2.Vertex(=頂点)のツールウィンドウから、Vretex Groupを開きます。新らしい頂点グループを加え(+)、 Hideと名前を付けたら、Assignボタンで適用します。

3.オブジェクトモードに出て、 モディファイアパネル(スパナのアイコン) からMaskを選択します。

4.Maskモディファイアの設定内、Vertex Groupから Hideを選択すると、頂点グループ「Hide」にアサインされている頂点以外が隠されます。

5.好みでSubdivision surfaceモディファイアを当てます。より、滑らかになりますが、動作は少々遅くなります。最終的に絵としてレンダリングする前には、これを当てておくときれいになりますね。

6.ポーズモードにしてボーンを回転させると、うまくいきましたね!

7.あれれ、でも何か変です。宙に何かが浮いています。

06

 

宙に浮いてしまったボタンがちゃんと追従するようにしたいところですが、どうにもうまくいきませんでした。どうやら腕のボーンにつられて動いてしまうようなのですが、頂点ペイントでいくら調整しても、完全には修正できません……。こういう時は、無視が一番(笑)

1.editモードにしてボタンだけを選択。ここはもう、慣れてますよね?

2.ボタンを削除。はい、終了!

これで、今回のチュートリアルはひと通り完了です。

最後に、いろいろなポーズをさせたGIFをどうぞ。

見てわかる通り、細かい部分を見ると服の形状が破綻しています。これは、最終的にポーズを確定させた後で、頂点編集を行ってきれいに修正しましょう。
※今回の方法は、ポーズには服が追従しますが、人種やタイプを変えると付いてきません。その部分を決め込んでから、服を加える作業に入りましょう。また、体格が大きく異なる場合には、当然Make Humanから持ってきた服とManuel Labで作った人体の形状が大きく異なります。Tポーズの状態で、じっくり形を合わせ込むことから行う必要があります。

上手くできましたか?

では、また次回!

Happy Blending !!


ちょっとおまけです。

服のデータの入手法として、Blendswapというサイトを利用することも出来るでしょう。これは、Blender用のデータを交換するためのコミュニティサイトで、もちろん、DLだけすることも可能です。
お金は不要ですが、著作権を放棄していないものも多いため、使用には一定の注意が必要です。クレジットさえ入れればご自由にどうぞ、という制作者も多いので、ぜひ、見てみてくださいね!

もう一つおまけです。

Proxyの機能を使うとポーズがずれる。という話、何のことだかよくわかりませんよね。その時のキャプチャをどうぞ。お間抜けで面白いですから──。

まさにおまけ(笑)
まさにおまけ(笑)

 

じゃ!

Manuel Bastioni LABを使おう!(その15)

今回からは現時点の最新版である1.2についての解説を行なってゆきます。ただし、1.3のリリースも秒読みのように思われますので、その時はその時で、バージョンを上げましょう。
1.3はかなり進化しますからね!

ではまず、バージョン1.0や1.1をご使用中の方への注意です。Blenderのアドオンインストールは、Blenderを起動中に行なうわけですが、既に入っているアドオンのバージョンアップ(再インストール)を行なった場合、自動でバージョンは置き換わりません。表示上は置き換わりますが、起動するのは旧バージョン。
インストール後は、Blenderを再起動することをお忘れなく。
Manuel Lab 1.2のダウンロードはこちらですよ。

さて、バージョン1.2の最大の目玉はオートモデリングです。

では、Manuel Labを起動し、人体を作成した直後の画面からどうぞ。

バージョン1.2で人物を作成した直後の画面
項目メニューが畳まれてすっきり

今回はオートモデリング・ツールを使いたいので、まずは「Automodelling tools」をクリック。すると、チェックボックスにチェックが入り、メニューが展開されます。ここがワンクリックだけでできるところも、気が利いていますね。

スクリーンショット 2016-07-09 18.04.30

このツールのボタンは2つだけ。使い方もシンプルです。

エディットモードで体型を変える。極端に変える。どんなに崩れても気にしない。そしてオートモデリング機能で自動的に整える。これだけ!

まず、エディットモードに入る
まず、エディットモードに入る
Propotional Editをオンにする
Propotional Editをオンにする。これ、大事です。

 

公式ビデオのようにやろうとしてみたのがこちらのGIF。最初の《太った状態》はまるで違いますが、結果としてはそれほど違和感がないという不思議な感じです。GIFアニメを見ながらやってみましょうか。

1

※なお、本来はポーズをリセットした「Tポーズ」状態でやるほうが良いようです。手のめり込みなども、Tポーズなら起きませんし。

「Reset Pose」でTポーズになります
「Reset Pose」でTポーズになります

 
公式ビデオだと、どうやっているのか今一つ分かりづらいので、ここは詳しく書きますね。

 いや……、実はどんなにビデオをよく見ても、マニュアルを見ても、どうやってあんな風にモデルを太らせているのかが分からないんですよね。逆に、誰かわかるひとがいましたら、こっそり教えてくれませんか?

(公式ビデオはこちら。このビデオがリリースしてから既に2ヶ月が経っているとは! ちょっと追いついていなさ過ぎですねえ)

■では、念のために操作手順を

・お腹辺りの頂点を1つ選択

・sキーで拡大縮小モードに入り、マウスをドラッグ
拡大するためには、選択した頂点から遠ざかるように動かします。

そうそう、Blenderの基本ではありますが、「マウスを動かす」操作の時、ボタンは何も押しません。これ、大事。

・左クリックかEnterで確定

・Manuel Labの「Automodelling tools」メニューから「Automodelling」をクリック
ぐちゃぐちゃだった形状が、現実的にあり得る人体の形に少し近づきます。

・試しにもう1回クリックしてみましょう
更に少し、形が整います。差は、僅かですが。

・「Automodelling」の下にある「Smooth」ボタンをクリック
これで一気に人体のプロポーションになります。
⇒「Smooth」ボタンで一気に整いますので、「Automodelling」は1クリックでいいようですね。

上手く出来ましたか?
 

■次は、脚長スタイルにしてみましょう

2
手順は先ほどと同じようなものです。拡大縮小が移動になっただけですね

 

・つま先とかかとの頂点2つを選択

・移動ツールを選択するか、gキーで移動モードへ。
移動ツール:ギズモの矢印(青色)を下方向へドラッグ。
gキー:gに続いてzキーを押し、高さ方向に移動を制限した上でマウスを下へ動かします。

・十分に足先を下まで移動したら、タブキーでオブジェクトモードへ

・「Automodelling」をクリック

・続いて「Smooth」ボタンをクリック

──出来ましたか!?

ここで非常に良く出来ているなあと感じるのが、足を下方向にずんずん移動してしまっているのにも関わらず、「Automodelling」をクリックすると足がちゃんと地面に接地している状態に自動補正されるところですね。エディットモードで頂点を移動してしまうと、ピボットポイントを無視することになり、人物の配置自体がおかしくなってしまいますからね。
オブジェクトモードでプロポーションを自動補正するのに、ピボットポイントに足下を合わせてくれるところ、とても気が利いています。

Manuel Labって、本当に良く出来ていますよね!

さて、そろそろ今回はここまでにしましょう。

次回は──次回のお楽しみにしましょうか。

では!

Manuel Bastioni LABを使おう!(その14)

いつもなら掲載社火曜日なのですが、変則的にチュートリアルの第14回を掲載します。本家のバージョンアップに追いつかれそうなので。
というか、もう追いつかれているかも知れませんね。このブログも記事の公開日に書いているわけではないので…………。気になる人は本家サイトをご確認くださいね。

さて、唇に入ります。今回は基本的にこれまでの簡単な繰り返ししかありませんので、サクッといきますよ!
最初にGIFを載せましょう。これだけでも分かっちゃいますね。

09a

1.唇をアップにして、GIFのようにぐるりとポリゴンを選択します。alt+エッジのクリックですね。

2.どんどん選択します。追加選択の際はShiftを押しておくのを忘れずに。

3.最も内側はちょっと見えづらいので、更にズンとアップにします。アップにするとポリゴンの表示が消えてしまいますか? そういう場合はニアクリップの値を調整しましょう。ここへ戻ると方法が載っていますよ。

4.では、マテリアルリスト上で新しいマテリアルを作成(+ボタン)し、「Lips」と名前をつけます。ディフューズカラーをお好きな色に設定したら、唇のポリゴンにアサインします。

5.唇のあたりが全て赤くなったと思いきや、アップにしてぐるぐる見てみると、白い部分が残っています。何となくだらしのない印象になってしまうので、ここも唇の色にします。
ぐいっとアップにして、丁寧にポリゴンを選択し、Lipsマテリアルをアサインします。

6.では、レンダリングしてみましょう。イメージ通りになりましたか?
あとは好みで、唇にツヤっと反射を入れてみてもいいですね。

最後におまけとして、先週の宿題をGIFでどうぞ。
09b

ちょっと落ち着いた感じになりましたでしょうか…………。

さて、色付けは今回でおしまい。次回は、Manuel Lab1.2の機能に迫ってみましょうか。

では!

Manuel Bastioni LABを使おう!(その13)

今回はいよいよ目玉です。
早くしないと本家のバージョンアップで目玉が色つきになってしまいそうなのですが、まあ、Blenderの基礎ということで役に立ちますから……きっと。
これを書いている時点ではまだバージョンは1.2で、目玉の色付けも含むであろうスキンシェーダー実装の1.3がいつ公開になるのかは発表されていないようです。


ちなみに本連載におけるレンダリングは、すべてBlender Internalのレンダリング・エンジンを使用する前提としています。もちろん、標準Add-onのCyclesを使えば素晴らしく美しい絵を作れるのですが、あくまでも入門用と割り切らせていただいています。
設定も簡単、レンダリングも素早くてすぐに絵が出ますので、向いているかなぁと。
Cyclesを使うとレンダリング時間が長くなってしまうので、やはり初心者には向いていないと思うのです。非力なPCで使うにはCyclesはリッチ過ぎますしね。
初心者が非力なPCで制作することを前提としたチュートリアルですので、物足りない方はご勘弁を。そして、例えばBlenderGuruなどでCyclesの使い方を見てみてくださいね(英語ですが)。


さて、いきましょう!

1.目玉の外側(の球)を選択します。これは、前回も同じことをしていますので分かりますよね?
(ワイヤーフレームのモード(zで切り替え)にして、ポリゴンの中心にあるドットをよーく見て選択してみましょう)

2.マテリアルのリストで「eye_transparent」を選択します。やり方が分からなければ、前回に戻って確認しましょう。

3.マテリアル設定を下に少しスクロールし、「Transparency」にチェックを入れます。「Alpha」というのが透明度の値です。これを、0にします。

4.「Mirror」にチェックを入れます。読んで字のごとく、「鏡」の効果。反射です。「Reflectivity」がどのくらい反射するかという値です。これを0.5にします。

5.「Reflectivity」の右隣に「Fresnel」(フレネルと読みます)というものがあります。これはCGで質感を付けるにあたりかなり重要な項目です。簡単に言うと角度によって反射の度合いが変わるということですが、これを設定すると、反射の見え方が格段にリアルになります。値を1.5にしましょう。

6.これでレンダリングをすると、目が真っ黒になってしまいます。なぜでしょう? 実は、透明な目玉なのに、内側の目玉に影を落とす設定になっているため、内側の目玉に光が当たらず真っ黒になってしまうのです。

7.下にスクロールすると「Shadow」という設定がありますね。ここの「Cast=影を落とす」からチェックを外しましょう。

まずは目玉の外側にあたる球体を透明にします

レンダリングすると、内側の目玉が見えました。
この時、表示状態を戻す必要はありません。部分しか表示されていなくても、ちゃんと全体の絵がレンダリングされますよ。
どうしても面倒だとか、目玉に反射は不要だろうと思う場合は、「Mirror」の設定をしない手もあります。外側の球体を完全に削除してしまうというのも、アリです。実際、ディティールにこだわらなければあまり差がわからない部分でもありますので。

では、目玉の内側の球体に、瞳などの色を付けていきましょう。

1.まず、目玉の内側にあたる球体を選択します。ここはもう、説明不要ですよね?

2.Shift+hキーで、目玉球以外を非表示にします。zキーを押してシェーディング(色付き)モードに切り替えると、他の部分は何も見えなくなっていますね。

3.ピリオドをクリックして、編集したい目玉をアップ表示にしましょう。

4.まず、真っ黒にしたい瞳孔の中央辺りのポリゴンを一つ選択し、 Ctrl(MacはCommnd)+ 「+」キーで 選択範囲を拡張します。完全なセンターにポリゴンがあるわけではないので、選択範囲の拡張に連れて不要な部分も選択されてしまいます。

5.不要な部分の選択を解除するためにサークル選択モード(cキーで入ります)で中ドラッグします。GIFのように選択できましたか?

6.瞳の周囲も黒くしたいのですよね。円周上で一番幅の狭くなっている環状の部分を黒くするとちょうど良い感じなので、そのポリゴンの図上のエッジをShift+alt+クリックして、ぐるりと選択します。

Shiftを忘れると瞳孔の選択が解除されますので、ご注意を
Shiftを忘れると瞳孔の選択が解除されますので、ご注意を。

 

7.マテリアルのリストからEye_blackを選んで、Assignボタンをクリック。これで黒くなりました。

8.瞳に色を付けましょう。ここではブルーですが、もちろん、好みの色でどうぞ。「6」の要領で、青くしたい部分を選択します。

9.マテリアルのリストからEye_blueを選んで、Assignボタンをクリック。これで青くなりました。

10.ここでちょっと落ち着いて見直すと、瞳孔の部分がちょっと小さ過ぎたようです。一旦青くした瞳の一番内側をぐるりと選択し、Eye_blackをAssignし直します。

11.反対側の目も同じように設定しましょう。左右の目が完全に独立したオブジェクトであれば、マテリアルのリンク機能を使ってパッと設定することも可能なのですが、現在のモデルでは無理。地道に行いましょう。

12.レンダリングボタンを押すと、GIFのように出来上がりましたね!

 

これで目の回は終了ですが、実はまだちょっと不満があります。目の中の肌色が明るすぎて、違和感がありますよね?
これは、宿題にしましょう。マテリアルリスト上で暗めの肌色を用意し、暗い色にしたいポリゴンを選択してアサインします。さて、これだけの説明で出来れば、今までのチュートリアルをマスターしたことになりますよ!

次回は唇に色を付けます。
色付け編の最終回ですので、また次回もよろしくお願いしますねっ!

では!