Category Archives: 今週の一枚

《ふたり》の珍客

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久し振りにちょっと天気が良くなって、庭に出た。
見慣れないエキゾチックな花が、庭の片隅に咲いていた。

雑草取りをしていると、
「もしかしたらこれは、きれいな花が咲く植物なのではないか?」
そう、思うことがある。

園芸植物には、野草にはない自己主張を感じることがある。

そうやって時おり、
自己主張を感じた見知らぬ植物を抜かないで、その行く末を見守ることがある。

でも大抵それは僕の思い違いで、美しい偶然がやって来ることなどそうそうない。

今年の夏は天気の悪い日が多くて、そうでない時は堪らなく暑くて、
どちらでもない時は忙しかったりして、庭の世話はなおざりになりがちだった。

そして見つけたこの珍客。
ちゃんと雑草取りをしていたら、ひょっとして抜いてしまったかもしれない。

美しい偶然は、そうしてやって来る。

早速パシャパシャと写真を撮る。
大きな花ではないから、愛用の接写レンズを使ってアップにする。
肉眼では感じられなかった色気が、写真から溢れてくる。

山野草のたぐい、蘭の一種かな?
そう思ってネットを検索。ヒットしない。
検索することしばし、蘭ではなくユリの一種だった。

タイワンホトトギスという名前で、山野草ではなく園芸種。
ホトトギス自体は日本に自生しているが、これは園芸植物がこぼれ種で出てきたのだろう。
ん?
ユリって球根植物だよな……。

花が咲くのだから、種もできるかもしれないと思いつつ、それ以上は調べない。
何となく、それはそれでいい。
何かの偶然が重なって、我が家にやって来た珍客。

球根が残れば、きっと来年も咲くだろう。
僕の庭がまた、少しだけ賑やかになった。

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そしてこれが、もうひとりの珍客。

まあ、蜂なんてちっとも珍しくないけどね。
僕が写真を撮っている時にたまたま花に飛んできてくれて、
気前よく写真に納まってくれた。

可愛らしい、かっこいい、珍客。

じゃ、また明晩!

植物の大きさって?

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この写真、何の木だか分かりますでしょうか?

そう、椿の木です。

椿の高さって、僕は「人の背丈よりまあまあ高いくらい」ってイメージがありました。
何となく、3mくらい。
僕の家の近所には、たくさん椿の木があるんです。住宅街で見られる椿の木って、普通は庭木ですよね。
だから、まあ邪魔にならないように3m前後に選定されていたりします。
それが、庭ではなく公園や共有空間に植えられていたりすると、かなり育っていたりすることがあって。
写真左の椿は、2階の屋根を優に越えるくらいの高さがあります。高さで言うと、5〜6mは軽く超えているでしょう。
(街灯は手前にあるので、写真上で比較はできませんが)

以前から、すごいなー、大きいなーと思っていたのですが、最近もう一つ気がついたことがありました。
近所の遊歩道にある植え込みに、見慣れた実が成っているのを見つけたのです。
──そう、椿の実です。

恐らくは、この両者は同じ頃に植えられたものです。

かたや、伸び放題に伸びて5〜6mを超え、かたや、毎年毎年きちんと刈り揃えられて、膝丈ほどの植え込みとして生きている。
哀しきかな、面白きかな、あわれかな……。
人は植物をコントロールしようとし、植物は順応して生き延びているのですね。

ここで、wikiを調べてみました。
通常は、5〜6m程度で、18mにも及ぶものがあるそうです。
18mと言えば、6階建てマンション程度の高さ。巨木の部類に入る……。すごいですね。
自分の近所で言えば、ケヤキやクスノキよりも大きいくらい。
あの大きさで、赤い花をいっぱいにつけていたら、さぞ壮観でしょうねえ!

今日は、そんなとこ。
じゃ、また明晩!


今日は、この本を紹介しないと、ね……。

歩きながら、歩道の脇に眼をやる。アスファルトとコンクリートの間、ほんの僅かな隙間から、イネ科だろうか、雑草がびっしりと生えている。大半は薄茶色になって枯れていたが、その間からは緑色の新しい芽が伸びている。
「植物こそが真の主役、ね……」
本当にそうだろうか?
「あれえ?」
作業員の上げた素っ頓狂な声は走り去る潤の耳には届かなかったが、他の作業員の一人が何事かと目を剥いて半身を起こした。

今週の一枚:ん? なんか見たことあるような……

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○○さん

 

と、釣りタイトルにしてしまいましたが、まあ、見たことのある人はまずいないのかなぁとも思います。

実はコレ、ある方からデータをいただいてコラボ制作中の作品です(その方が制作途中のものを一回だけツイートしたみたいなので……)。
だいたいのモデリングと質感設定が済んだものを僕が再調整し、アニメーションを付けて、映像作品になる予定です。

最初にいただいた状態でも独特の雰囲気があってきれいな質感だったのですが、レンダリング時間があまりにかかってしまうため、僕の方でチューニングを兼ねて付け直し、結局かなり違うものになりました。これはこれで結構色気が出て面白いかなあと思いますが、どうでしょうね……。
(まあ、オリジナルを制作したご本人からは「良い」と行っていただけましたが)

それに、アニメーションを作るためにはレンダリング時間短縮のためのチューニングが必要なんですよ。これで最初の状態から10分の1くらいに短くなっていますから!

で、映像作品って、何のためのものかってのが、気になりますよね〜。何のためのものか。何かのためのものですよね、何かの……。
──さて、ヒント終わり。

この春、セルパブ界の話題をうっかり攫ったアレがね、また動いてるんですよ!
僕もこういう形ですが、参加させていただいてとても楽しいです。
(わ、分かりますよね……こ、ここまで言っちゃって……良かったのかな……)


おまけです。オリジナル状態の画像。

この、花のところに光が当たってるのがきれいなんですけど、時間短縮のために変えさせていただいちゃいました……
この、花のところに光が当たってるのがきれいなんですけど、時間短縮のために変えさせていただいちゃいました……(作者ご了解済み!)


はい、今日はここまで!

じゃね。

今週の一枚─その境界

─いつものように、iPod touchで撮影─
─いつものように、iPod touchで撮影─

 

こんな情景を見ると、ちょっと不思議な気持ちになる。
そして、ちょっと嬉しくなったりもする。

コンクリートから生える鉄柱。
コンクリートの中にはごろごろと小石が埋まっている。
鉄柱は赤く錆び、雨に流され落ちた錆がコンクリートの表面を覆っている。

鉄柱とコンクリートの境界は、どこだろう?
視覚的にはもう、ほとんど判別がつかない。
両者の境目に線引きをすることは、なかなかに困難だ。

想像による創造と、事実による描写。
心の中と外。
愛と憎しみと、苦しみと優しさと、冷たさとあたたかさと。
尊敬と蔑み。
慈愛とネグレクト。
美と醜。
拒むこと、過ぎたるがこと。
肉と野菜。
鉄と岩。
光と闇。
善と悪。
男と女。
生と死。
白と黒。
赤と緑。
毒と薬。
右と左。
夢と現実。
原始と科学。
教師と生徒。
老いと幼さ。
人工物と自然物。
アナログとデジタル。
日本語と英語。
自然食品と人工食品。
川と海。
土と砂。
理想の未来と唾棄すべき未来。
過去の想い出と本当の記録。

あなたと私。

あの国とこの国。
あの宗教とこの宗教。

境界は、どこ──?


じゃ、また明晩!


《境界》
 と言えば……

書き下ろし短編、著者初の恋愛小説にして不思議な香りのするSF短編小説です。 《メタモルフォーゼと永遠の命》とは──?

今週の一枚──これ何だ?

写真 2016-06-29 7 52 57

例によって、iPod touchで撮ったマクロ写真を1つ。
これ、何だか分かります?

はい、正解。
近所に植わっているヤマモモの実が落ちて、下半分がつぶれたものです、ね。

これは多分、消毒されていなくて食べることも出来るやつ。
子供たちが小さな頃に、僕もこれの木に登って食べてみたことがあります。もう、ずーっと前のことですが。
甘酸っぱくて、舌がざらざらするんですよね。
味はわりと好き。

毎年この季節になると、地面にたくさん落ちていて。
もったいないなあと思いながらも、もう、木に登るまではしなくなって……。
おっさんが一人で木に登ってたらおかしいですもんねえ──。

例によって「一枚」と言っておいて、もう1枚上げましょうか。
マクロ写真はピントが合いにくいからなかなか気に入ったものが撮れなくて、ついついたくさんシャッターを切ってしまうのです。

赤くてツヤのあるスズカケの実みたいですが、大きさは1cmもありません
赤くてツヤのあるスズカケの実みたいですが、大きさは1cmもありません

よく見ると透明感があって、美味しそうじゃありません?
でも、もっとよく見ると、表面以外にも細いクモの糸が絡まっていたりして、むしってそのまま食べるのもやっぱりねー、という感じもします。

以上、今週の一枚でした。

じゃ、また明日!

今週の一枚/あじさい

写真 2016-06-08 8 29 47

梅雨の合間のこんな日は、少し乾いたあじさいが別の表情を見せてくれる。
綿で作ったふわふわのボールみたいに、柔らかで優しい色のつぼみたちが明日の雨を待っている。

白から黄へ、黄から空のブルーへ、そして紫の絵の具が体内から染み出すように、いよいよ、ぱぱぱんと花が開くのだ。

一足先に開いてしまった兄貴分が、ころころとした弟分たちを見守っている。

生ぬるい風にゆらゆら体をゆらしながら。

 


淡波ログに掲載した作品を中心に書き下ろし作品を加えた初の詩集『猫になりたい』。
乾いた心にするりと忍び込む、読みやすい詩編を多数収録しています。


今週の1枚/どこにだってある

写真 2016-05-23 9 28 59

美は、どこにだってある。
それを探しだせるかどうかは、自分の感覚を研ぎ澄ますしかない。
信じるしかない。

美、だけではない。
この、小さな小さなトンネルから、ドラマを感じ取ることだって出来る。
ここから、物語を紡ぎ出すことだって出来る。

生み出すことが出来なくても、探し出せる。見つけ出せる。

探しに行こう。
それは、どこにだってあるんだから。

今週の1枚/食べられないサクランボ

写真 2016-05-12 7 57 02

家から最寄り駅にいたるまでの遊歩道は、一部が桜並木になっている。
その桜並木は、ソメイヨシノだけではなく、山桜やほかの種類が適度に植えられている。だからサクラの花を楽しめる時間も少しだけ長いし、ソメイヨシノのほんのり淡い桜色以外にも、鮮やかめのピンクや八重咲きの可愛らしい花や、いろいろとあって楽しい。
そして今の時期、勝手になったサクランボが、どんどん地面に落ちては僕らの靴に踏まれ、濃い赤色の染みを石畳に作っている。そろそろ種だけになり、乾いた薄黄色の屍が散乱する季節がやって来つつある。

サクラの種を踏みしめると、
足下でカリカリと音がする。
僕はこの音を聞くと、そろそろと春は行ってしまったのだなと、感じることになる。

その、少し前。
まだ、地面に落ちたサクランボの赤が鮮やかだった日の写真を、どうぞ──。

このサクランボ、タイトルのように食べられないわけではない。本当は。
もちろん食用の品種のように大きくはないけれど、ちゃんと熟れていればしっかり美味しい。
子供たちが小さい頃、かれらは学校帰りにサクラの木に飛びつき、熟れたやつをむしっては食べていた。ぼくも、ちょっと食べてみたことがある。甘酸っぱくて、美味しかった。

でも、近年は食べてはいけないことになっている。
毛虫がついたりするから、サクランボが熟れる前くらいに一斉消毒をやられてしまうからだ。
消毒の薬が身体に悪いから、絶対食べてはいけないと、言われてしまう。

消毒薬を撒く前に、「食べるなら今日までだよ」と言ってくれた学校の先生もいたらしい。
息子などは、夕方まで友達と旨そうなサクランボを探し回っていたそうだ。

今は、どうなんだろうか?
そう言ってくれる先生は、いるのかな?
一日か二日ずれると、子供たちに毒を食べさせることになるからって、もうそういうことは言わないようになったのだろうか?

近所の子供たちがサクランボを食べている姿を、もうずっと見ていない──

地面に落ちているサクランボの輝きを見ていると、つい、手に取りたくなる。
美味しそうだな、と思ってしまう。

でも、誰も食べることが出来ない毒の実が、そこにはあるだけなのだ。


じゃ、また明晩!

今週の一枚─015/写真の嘘?

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はい、釣りタイトルですね。
もちろん、ちゃんと落ちはつきますが。

この写真は、ぼくの家の近所というか、目の前にある芝生。
今の季節、芝生は完全にシロツメクサに覆い隠されているんですね。で、写真の撮り方によっては、「どこまでも続くシロツメクサの草原」に見えるわけです。
当然、実際にそんなことはなく、シロツメクサで覆われているのはせいぜい100か200平米ってところでしょう。

「適度にアップにして上手くトリミングすることで、実際の何倍も広く見せることが出来る」という特性を活かした写真。これ、この場所を知っている人にとってはもう「騙し絵」レベルの写真なのです。
合成も色調以外の編集もしていないので、嘘ではないです。実際にある風景。
こんなところに行ってみたいなあと思わされてしまったあなた、そう、あなた。がっかりしますよ、来たら。
トリミング外はよその家のフェンスがあったり樹が立ってたり、もちろん、他の種類の雑草もたくさんはびこってます。しかも左側なんかは、アスファルトの道路ですから──。

この写真をFacebookに投稿したところ、友人たちからいろいろとメッセージが入りました。
「ダイブしたい」「すばらしい」など……。
きっと、ここに来たらがっかりするんだろうなあと思いつつ、「トリミングのマジックだよ」と種明かしをしてみたり──。

小説でも、こういう嘘を吐けたらいいなあと思ったりするわけです。
事実の見せ方を上手く工夫して読者に勘違いをさせておいて、後でひっくり返す。叙述トリックみたいな徹底的な騙しではなくて、もう少し柔らかい感じの騙し方。事実を知ったときに読者が嬉しくなるような仕組みを、潜ませられると良いよなあ……などと考えたりします。

1枚の写真から、いろいろと広がりますよね。
ね?

じゃ、また明晩!

今週の一枚─013/ナガミヒナゲシ

2016-04-26 07.58.08

初めて見たのは十数年前だったと思う。この十年くらい、こいつのはびこり方は異常と言ってもいいくらいではないか。
心配したほど「際限なく増える」ということもなかったけど、何しろもう、この季節にこの花を見ない場所はないのではないかと思われるほどだ。植栽がきちんと手入れされた土地以外では。

それで何が言いたいのかというと、別に「ナガミヒナゲシを追放せよ!」と言いたいわけではない。もちろん、あんまり増え過ぎるといやだし、決して好きではないけど。

最初に日本で確認されたのは1960年代だというけれど、僕が子供のころはもちろん見たこともなかったし、こんなに増えてしまったのはここ15〜20年くらいなのではないかと思う。
だからなのか、【近年はびこった厄介な外来雑草】というイメージがかなり強い。在来種を脅かし、枯らしてしまう悪者のイメージだ。
でもきっと、生まれた頃からこの花に親しんでいる子供たちのイメージは、きっと違うのだろうなと思う。

例えば、「侵略的外来種ワースト100」に入っている植物の中で、きっと今の大人世代にとって子供のころからどこにでもあった普通の雑草にはこんなものがある。
・セイヨウタンポポ(既に在来種は片隅に追いやられてしまったというのは有名な話)
・ヒメジョオン、ハルジオン(いわゆる貧乏草ってやつだ)
・オオオナモミ(とげとげの実を服に投げつけ合うやつ)
・セイタカアワダチソウ(空き地に高々と伸びる黄色い花の)

これらは駆除しようとしたってもう完全に無駄な努力にしかならないくらい、どこにでもあるし、もう「日本の雑草(雑草という言い方の善し悪しはさておき)」になってしまっている。
ナガミヒナゲシは、このリストには入っていない。ロゼットで冬を越すので、ちゃんと駆除しようとすれば出来るからなのかもしれないし、根が強力なわけでもないので抜くのは簡単だ。実を付ける前に抜けば、その場所からは駆除できるかもしれない。もちろん、一つの花に1000以上のタネが出来るから、どこからでもまたタネはやって来るけど。
(wikiで見ると、在来種に対しては相当な悪さをするらしい。まだリストに入っていないだけで、ワーストの植物に匹敵するかそれ以上の悪者のようだ)

きっと、今の大人はこのナガミヒナゲシに嫌な顔を向けるけど、今の子供たちが大人になった頃、きっと普通の雑草として受け入れられているのだろうなと思うのだ。陽当たりの良い場所で咲いていると、花の色が鮮やかになって、それなりにきれいだったりする。そもそも、園芸種のヒナゲシとも大きな違いは感じられないし(素人目では)。

僕らは今、セイヨウタンポポに嫌な顔を向けない。
あの黄色い花を見ると、あ、春だな。と思う。花が終わると、綿毛をふうっと吹きたくなる。

ナガミヒナゲシの花が終わってタネが熟れると、中に入っている無数の黒いタネが案外美しい。指でつまんでみると、そのシャリシャリとした手触りも心地いいものだ。あんパンなんかについているケシの実と似た感じだ。これもケシの実だから。
あれ? ひょっとして食べられるのかな?
(もう一度検索。どこにも食べられるとは書いていないので、食べられないのだろう……)

この、無数に入っていていくらでも出てくる感じが、子供のおもちゃとしては面白いんじゃないか、と思ったりする。
(タネをばらまいちゃダメだけどね)

時代は変わり、植物は生きている。
──世界は、徐々に混じり合う。

まあ、そんなことを考える、春。

じゃ、また明晩!