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MANUEL BASTIONI LABを使おう!(その19):1.3新機能─2

さて、最新バージョン1.3の新機能は、まだまだあります。今回は【血管・皺・腱】について見てみましょう。

とは言っても、《血管》などという設定項目は特にありません。リアルが信条のManuel Labですから、筋肉量の多い設定にすると自動的に血管や腱が浮き出し、年齢を上げていくと皺が刻まれます。
これを行なうのがDisplacement Mapです。

簡単に、解説します。

- Displacement Mapping -
 自分でポリゴンをモデリングして細かい形状を作るのではなく、貼り付けたテクスチャ画像の濃淡を形状の凸凹として自動的に形状を膨らませたり凹ませたりする機能。
 疑似的に明暗を付けて立体を複雑に見せるBump Mapとは異なり、実際に形状を細かく操作してくれます。
 Blenderの場合、あらかじめ形状を細かく分割してあれば複雑な立体になりますが、分割の少ないローポリゴン形状では、効果は出せません。そのため、形状データは重くなり、ビューポートでの操作も遅くなることがあります。

Manuel Labで筋肉量などに関連するパラメーターをいじると、内部で自動的にDisplacement Mapの画像を生成し、その画像を用いて凹凸を生成してくれます。

さっそく、その効果を見てみましょう。

標準体型(ただし、ヒーロータイプ)
筋トレ後!(tone=1, 筋肉量最大)
同じ筋肉量でやせ形に
同じ筋肉量でやせ形に (mass=-1)

いやあ、リアルですねえ、オリンピック選手みたいですねえ……。

次に、年齢を変えて顔を見てみます。

最も若い (age= -1)
最も若い (age= -1)
デフォルト (age= 0)
デフォルト (age= 0)
最も歳上 (age= 1)
最も歳上 (age= 1)

こちらもすごいリアルさです。ちなみに、今回のモデルは北欧系です。確かに、それっぽいです。

で、関係のあるパラメーターはこちら。

設定
(前回記事からの流用だったりして)

Character_ageを増やせば皺が増え、 Character_massを増やせば太ったことに関連するディティールが増し、減らせば痩せたことに関連する皺などのディティールが増します。Character_toneを増やせば筋肉量の増加と共に血管などが浮き出します。

シンプルですね。

そして、このパラメーターをリアルタイムで確認できるのが、Skin editor tools内にあるこの設定。

スクリーンショット 2016-08-07 11.26.58

設定を変更した後は、Update displacementボタンを押して画面表示に反映させます。

注意事項:プレビューに関しては表示させなくても構いませんが、「Update displacement」ボタンは必ず押してください。そうでないと、設定の効果がレンダリングに現われません。

Enable displacement previewがオンになっていないと、画面上では変化はありません。ちょっと言葉的にわかりづらいですが、「Enable」と書いてあれば、「有効化する」という意味なので、「今は無効」という意味になります。

subdivisionという言葉、今まで何度か出てきていますね。前回も書きましたが、これは、ポリゴンを自動的に(かつ滑らかに)細かく分割してくれる機能です。ローポリゴンだとdisplacementの効果が出ませんが、このsubdivision(=再分割曲面)によって、細かなディティールが表現されます。

つまり、両方をオンにしていると、動作が重くなります。でも、とてもリアルにプレビューされます。どちらもオフの場合でも、プレビューはされなくともレンダリングの際は効果が適用されます。なんとなく雰囲気がつかめた後は、プレビューはオフで構わないでしょう。

いかがでしょうか、作成したモデルが、更にリアルな感じになりましたよね!

さて、最後に、Manuel Labのドキュメントページの下の方に文字だけで書かれた、「その他の新機能」を(わかるところだけ)ちょっと訳しておきますね(これまでに触れたものは除きます)。

この中から、自分で試してみて面白そうなorためになりそうな機能を、次回は解説しようかなと思います。

その他の新機能

  • カスタムで付けたポーズを保存、読み込み可能に
  • 作成済みモデルを再度初期化できるオプションを搭載
  • 瞳のサイズを変更可能に
  • 首のカーブを設定可能に
  • 頬の膨らみと硬さを設定可能に
  • 左右均等の立ちポーズ(=Tポーズ)を追加

改善された機能

  • ファイナライズのボタンから、カスタムプロパティを削除
  • エラーと警告をコンソールにも表示しログファイルにも含ませるように
  • プロクシ(外部から読み込んだ服などをモデルに適用する機能)のパネルに、操作性を向上させるツール類を追加
  • 胸のモーフィング機能を改善
  • 表情のリセットボタンを追加

また、機能ではありませんが、GUIの改善や、様々なバグフィックスも行われています。
Manuel Labをお使いの方は、ぜひ、1.3へのバージョンアップをご検討のほどを──。


では、また次回!

Manuel Bastioni LABを使おう!(その15)

今回からは現時点の最新版である1.2についての解説を行なってゆきます。ただし、1.3のリリースも秒読みのように思われますので、その時はその時で、バージョンを上げましょう。
1.3はかなり進化しますからね!

ではまず、バージョン1.0や1.1をご使用中の方への注意です。Blenderのアドオンインストールは、Blenderを起動中に行なうわけですが、既に入っているアドオンのバージョンアップ(再インストール)を行なった場合、自動でバージョンは置き換わりません。表示上は置き換わりますが、起動するのは旧バージョン。
インストール後は、Blenderを再起動することをお忘れなく。
Manuel Lab 1.2のダウンロードはこちらですよ。

さて、バージョン1.2の最大の目玉はオートモデリングです。

では、Manuel Labを起動し、人体を作成した直後の画面からどうぞ。

バージョン1.2で人物を作成した直後の画面
項目メニューが畳まれてすっきり

今回はオートモデリング・ツールを使いたいので、まずは「Automodelling tools」をクリック。すると、チェックボックスにチェックが入り、メニューが展開されます。ここがワンクリックだけでできるところも、気が利いていますね。

スクリーンショット 2016-07-09 18.04.30

このツールのボタンは2つだけ。使い方もシンプルです。

エディットモードで体型を変える。極端に変える。どんなに崩れても気にしない。そしてオートモデリング機能で自動的に整える。これだけ!

まず、エディットモードに入る
まず、エディットモードに入る
Propotional Editをオンにする
Propotional Editをオンにする。これ、大事です。

 

公式ビデオのようにやろうとしてみたのがこちらのGIF。最初の《太った状態》はまるで違いますが、結果としてはそれほど違和感がないという不思議な感じです。GIFアニメを見ながらやってみましょうか。

1

※なお、本来はポーズをリセットした「Tポーズ」状態でやるほうが良いようです。手のめり込みなども、Tポーズなら起きませんし。

「Reset Pose」でTポーズになります
「Reset Pose」でTポーズになります

 
公式ビデオだと、どうやっているのか今一つ分かりづらいので、ここは詳しく書きますね。

 いや……、実はどんなにビデオをよく見ても、マニュアルを見ても、どうやってあんな風にモデルを太らせているのかが分からないんですよね。逆に、誰かわかるひとがいましたら、こっそり教えてくれませんか?

(公式ビデオはこちら。このビデオがリリースしてから既に2ヶ月が経っているとは! ちょっと追いついていなさ過ぎですねえ)

■では、念のために操作手順を

・お腹辺りの頂点を1つ選択

・sキーで拡大縮小モードに入り、マウスをドラッグ
拡大するためには、選択した頂点から遠ざかるように動かします。

そうそう、Blenderの基本ではありますが、「マウスを動かす」操作の時、ボタンは何も押しません。これ、大事。

・左クリックかEnterで確定

・Manuel Labの「Automodelling tools」メニューから「Automodelling」をクリック
ぐちゃぐちゃだった形状が、現実的にあり得る人体の形に少し近づきます。

・試しにもう1回クリックしてみましょう
更に少し、形が整います。差は、僅かですが。

・「Automodelling」の下にある「Smooth」ボタンをクリック
これで一気に人体のプロポーションになります。
⇒「Smooth」ボタンで一気に整いますので、「Automodelling」は1クリックでいいようですね。

上手く出来ましたか?
 

■次は、脚長スタイルにしてみましょう

2
手順は先ほどと同じようなものです。拡大縮小が移動になっただけですね

 

・つま先とかかとの頂点2つを選択

・移動ツールを選択するか、gキーで移動モードへ。
移動ツール:ギズモの矢印(青色)を下方向へドラッグ。
gキー:gに続いてzキーを押し、高さ方向に移動を制限した上でマウスを下へ動かします。

・十分に足先を下まで移動したら、タブキーでオブジェクトモードへ

・「Automodelling」をクリック

・続いて「Smooth」ボタンをクリック

──出来ましたか!?

ここで非常に良く出来ているなあと感じるのが、足を下方向にずんずん移動してしまっているのにも関わらず、「Automodelling」をクリックすると足がちゃんと地面に接地している状態に自動補正されるところですね。エディットモードで頂点を移動してしまうと、ピボットポイントを無視することになり、人物の配置自体がおかしくなってしまいますからね。
オブジェクトモードでプロポーションを自動補正するのに、ピボットポイントに足下を合わせてくれるところ、とても気が利いています。

Manuel Labって、本当に良く出来ていますよね!

さて、そろそろ今回はここまでにしましょう。

次回は──次回のお楽しみにしましょうか。

では!

Manuel Bastioni LABを使おう!(その12)

前回は眉毛に色が付いたところまででしたね。
最近、ちょこっとアクセスが増加しているこの特集ですが、実際にやってくださってる人っているかなあ。感想とかご意見とかくださると、がぜん頑張れるのですが!

今回は、睫毛までいきましょう。

前回の眉毛に色が付いたところからの続きです。
眉毛全体が選択されているので、まずはそれを非表示にします。hキーですね。
間違えて別のところを隠してしまったら、alt+hで戻ります。

これから目の質感を付けていくのですが、気をつけなければならないことがあります。実はこのManuel Laboで生成した人体、目玉のパーツが二つあります。
一つは目玉の外側。つるりとしたガラスっぽい反射を付ける、透明な部分になります。
二つ目は内側。瞳の色などを設定するのはこちら側になります。

まずは外側からです。

1.各ポリゴンの中央にあるドットをよーく見ながら、目玉の外側にあたるポリゴンを一つ、選択してください。

2.眉毛を除外選択した時の要領で、「Ctrl」(MacではCommand)を押しながら「+」キーを押し、 選択範囲を外側に拡張します。

3.目玉全体が選択されましたか?

4.選択されたらマテリアルタブで新規マテリアルを作り(+ボタン)、「Eye_transparent」と名前を付けてアサインします。もう、覚えましたよね? 分からなくなっちゃった人は、ここに戻りましょう。

5.片目を終えたら、もう一方も同様に。実際の質感づけは、後でまとめてやりましょう。

今回から、ある程度長さのあるGIFアニメは、初めのフレームに「Start」と付けます。少し分かりやすくなりましたよね?

今回から、ある程度長さのあるGIFアニメは、初めのフレームに「Start」と付けます。少し分かりやすくなりましたよね?

次の工程です。

1.目玉の一つをグリグリとアップにして、内側の目玉のポリゴンを一つ選択します。難しいですか? 大丈夫、よーく見ながらやれば、決して難しくはありませんから。

2.先ほどと同様、「Ctrl」(MacではCommand)を押しながら「+」キーを押し、 選択範囲を外側に拡張します。

3.目玉全体が選択されましたね?

4.選択されたらマテリアルタブで新規マテリアルを作り(+ボタン)、「Eye_white」と名前を付けてアサインします。先ほどと全く同じ手順ですね。

5.片目を終えたら、もう一方も同様に。

さて、どんどん続けてやってみましょう。
内側の目玉のマテリアルをアサインしたことで、睫毛以外は全てアサイン済みになりました。これを選択していきます。

6.マテリアルリストから「Eye_transparent」を選択し、「Select」ボタンを押します。目玉の内側に合わせて外側も選択されましたね。

7.続いてマテリアルリストから「Hair」を選択し、「Select」ボタンを押します。これで、睫毛以外は全て洗濯されました。

8.Ctrl+iキーを押して、選択を反転させます。とうとう、睫毛だけが選択されました!

9.せっかくですから、いつでも戻ってこられるように「Eyelash(睫毛)」のVertex Group(頂点グループ)も作っておきましょう。(Vertex Groupの設定方法はこちら
今回の方法では髪の毛と眉毛、睫毛も全て同じ色でHairのマテリアルを使用していますが、これをそれぞれ変えたくなった時、Vertex Groupを設定しておけばすぐに変更出来ます。

10.最後に、睫毛が選択された状態で、「Hair」のマテリアルをアサインしましょう。これで、睫毛の出来上がり!

06

 

今回の成果はこちら。

eye何だか怖いですねえ……次回は、瞳に色が入って怖くない状態にしましょう!

まだまだ先は長いですが、お付き合いのほど、宜しくお願い申し上げますー!

ではまた、次回をお楽しみに!