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BLENDER-99-14/キューブに任せろ! その5

みなさんこんばんは!
今週も無事、Blender-99の時間に辿り着けましたね!

さて、前回まででいったん、目指すゴールの椅子が出来ました。
今回は、またモディファイヤの機能を用いてここからワンランクアップを目指します。

ここまでは出来ていますよね!

 

では、本日の講座、開始!

【Blender-99 絶対に挫折しない3DCG入門 -14 キューブに任せろ! その5】

【本日の学びはこちらです】

・面取りは何のため?
・「べベル(=面取り)」モディファイヤを使う

はい、いきなり耳慣れない言葉が出てきましたね。
「べベル」と言うと分からなくても、「面取り」なら何となく分かりますよね。

ではまず、何の変哲もない我が家のこたつを見てみましょう。
01

これがどうかしたか、ですって?

注目すべきは天板の上面です。
あらゆる家具の角は、それを使用する人が怪我をしないように〈面取り〉されています。

分かりやすいように、Blenderで簡単に作ってみました。

02
(GIFアニメが再生されない場合はクリックしてください)

イメージが分かりましたでしょうか?
面取り(べベル)がないと、角で手を切ってしまいそうです。痛そうですね!

CGの世界では、こんな風に言われています。

世の中に面取りのない角はない!
(もちろん、人が直接触れる工業製品、という縛りつきです。誰ですか、刃物には面取りがないでしょ、って言ってる人は!)

例えばかなりシャープなエッジを持つMacBookの筐体だって、厳密な意味では面取りされています。そうでなければ、触っただけで手が切れてしまいますからね。
(加工の都合上、完全にシャープなエッジには出来ない、という事情もありますが)

家具製造などの世界では、「ひとこすり」などと言うこともあります。形の出来上がった塗装前の家具を、紙やすりですっとこするだけで、触りごこちの良い角になるのです。
(何十年も前に家具工場でバイトしてました。あはは)

そんなことで、リアルなCGを作るための大事な要素の一つとして、〈面取り〉があるわけです。

え?

CGには触れないんだから、危なくないって?

では、面取りをする必要はないでしょうか?

いいえ、面取りには、とても大事なヴィジュアル上の効果があります。

それが、「キャッチライト」。
また、新しい用語が出てきました。こちらは撮影用語ですね。
意味は読んで字のごとく、「光を捕まえる」ということ。

では、画像で見てみます。

03

面取りされている板とされていない板では、角における光の反射が全く違います。
面取りされていると、あらゆる角が光を受け止めて、存在感や表情が大幅にアップしていることが分かりますね。
もちろん、光を受ける側だけでなく、シャドウの部分もグッと暗さが増して表現力を豊かにしています。

これが、面取りの威力です。

これをモディファイヤで簡単に実現出来るのですから、便利な世の中になったものです……!

前回、形を完成させた椅子のファイルを開きましょう。

こんな感じになっていますよね?

04

画面右側のパネルがモディファイヤ・パネルでした。
ここに、面取りをするためのモディファイヤ、〈Bevel〉を付け加えます。


動画キャプチャを撮るために画面を小さくしているので、「Bevel」のモディファイヤがどこに出たのか分からずにまごついているのはご愛嬌です(笑

では、手順です。

1.面取りを掛けたいオブジェクトを選択します。オレンジ色の枠で囲まれましたか?
2.モディファイヤ・パネルで「Add Modifier」をクリックし、一覧から「Bevel」を選択してクリックします
3.前回用いたモディファイヤ「Array」の下に「Bevel」が積み重なりました。パネルをマウスホイールでスクロールして、設定が見えるようにしましょう
4.「Width」の設定数値を小さくします。例では、2mmにしています
5.「Width」の下の「Segments」では、何回面取りを掛けるかを設定出来ます。ここを増やすほど角が丸まります。増やし過ぎても効果はないですし、無理な数値を入れるとBlenderがクラッシュするかもしれませんから気を付けましょう。(最大で100までしか入力出来ないようなので、恐らくクラッシュの心配はないでしょうけど)

ほら、簡単。
ポイントは、最初に出てくるWidth(=面取りの幅)が大き過ぎることです。単位系がメートルに設定してあるので、どうしてもそうなってしまいます。画面を見ながら、ちょうど良い幅に調整しましょう。

◇Bevelの設定値◇

前述のように、最大の目的はキャッチライトを入れることによる表現力アップです。「Bevel」を掛けることで表現力はアップしますが、「Segments」の回数を増やすと急激にポリゴン数が増えます。
もちろん、現段階でそこまで気にする必要なありませんが、今後複雑なシーンを作るようになれば、ポリゴン数を気にする必要が生じます。
例えば、キューブのポリゴン数は6です。立方体は六面体ですから、6つの面で囲まれていますね。
これに1回面取りを掛けると、26面になります。セグメントを2にすると、54面、3にすると98面です。実に、最初の16倍ものポリゴン数になるわけです。

まだまだずっと先の話ですが、リアルな世界をCGで作るために必要な「面取り」は、データ量と見栄えのバランスに気を付けて設定する必要があるのです。

あまりにもカメラから遠くにあるオブジェクトには、ひょっとすると面取りをしてもキャッチライトが入らないかもしれません。
ぎりぎりキャッチライトが入る大きさ、距離にあるオブジェクトの場合は、「現実世界の実物の角の丸み」にこだわり過ぎることなく、適度な「Segments」にする判断力も求められます。

そんな場合にも、この「モディファイヤを使って面取りする方法」は、自由自在の調整力を与えてくれるのですね!


■こんな風になっちゃったひと、いませんか?

何か、変ですね
何か、変ですね

ずっと順番に読んでくださっている忠実な生徒さんなら、お分かりですね。
面取りのサイズが、長さ方向だけびよーんと伸びてしまっています。
これは、最初のキューブからの拡大率がそのまま残って入る証拠。
Ctrlキーを押しながらAキーを押して、「トランスフォームの適用」を行ないましょう。もちろん、適用するのは「Scale」ですよ。


はい、直りましたね!

今回の講座はこれで終了です。
上手に出来ましたでしょうか?

次回は、残りのパーツについてもさっくり面取りします。
その際、もうひとつ新しいテクニックを覚えますよ!

【本日の学び】

・面取りは何のため?
・「べベル(=面取り)」モディファイヤを使う
【次回の学び】

・機能をリンクさせて楽をする
・ワークスペースを調整して使いやすくする

それでは、ぜひ次回もお越しくださいね!

Happy Blending!!

BLENDER-99-13/キューブに任せろ! その4

今週もBlender-99の時間がやってまいりました!

前回、上手に椅子の基本形が作れましたか?
こんがらがってしまったときは、常に基本の基本に戻って操作を確認しましょう。
(覚えることがたくさんありますし、いきなり全部は覚えられません。前に戻るのはとても大事なことなのです!)

今回はいよいよ、目指すゴールのこの状態までいきましょう!

こんな風に上から見たり
これです。覚えていますよね?

 

では、本日の講座、開始!

【Blender-99 絶対に挫折しない3DCG入門 -13 キューブに任せろ! その4】

【本日の学びはこちらです】

・超絶便利な〈モディファイヤ〉って何?

スタートポイントはこちら。

01

脚4本の上に座面が乗り、スツールとして座れる状態にまでなっていますね。

今回はこれに背面を追加しますが、「本日の学び」でいきなり耳慣れない言葉が出てきました。〈モディファイヤ〉って、何でしょう?

それを学ぶ前に、〈モディファイヤ〉なる機能を用いる前の状態まで進んでおきます。
これまでの繰り返しですから、簡単に出来るはず。

最初に、背面の左右に背柱を立てます。

これは脚をコピーするだけでOK。

手順の動画を先に見ると分かりやすいですね。

 

1.背面から見るためにCtrlキーを押しながら1キーを押す
(忘れちゃった人、分からない人はこちらへ!)

2.「5」のキーを押してオルソビュー(パースのつかない見え方)に

3.脚をクリックして選択し、Shiftキーを押しながらもう一本の脚を選択

4.Shiftキーを押しながら「D」を押してコピー
(「D」はDuplicate(=複製)の「D」です)

5.Ctrlキーを押しながらマウスを上に移動しますが、座面ぴったりには移動出来ないので適当な位置でいったんクリックして確定させます

6.位置を微調整するためにマウスホイール回転で画面を拡大
(適宜、Shift+マウスホイールのドラッグで見える位置を調整)

7.もう少し移動したいのですが、移動のマニピュレーター(矢印)が画面の外に出てしまっていて見えません。そんな時は、ショートカットを使いましょう。移動のショートカットは「G」、「Grab(=つかむ)」の頭文字のGです。マウスでつかんで動かす感覚ですね。ショートカットキーを押して操作出来る状態になると、オブジェクトは白枠で囲まれます。
Gを押したら、マウスはそのまま動かします。ボタンは触りません。これが、最低限の操作で機能を働かせるBlender流です。

8.Ctrlキーを押しながらマウスを動かして、背柱の位置を調整します。

はい。
出来ました。

次は、背柱の横に渡す横木(「背貫」という名称だそうです)を一本作りましょう。

これも、脚の流用でいけます。

それではまず、動画を見てみましょう。

 

ちょっと失敗していますが、敢えてそのままにしました。皆さんも引っ掛かりそうなポイントなので。

・手順を追います。

1.背面から見るためにCtrlキーを押しながら「1」キーを押す
(先ほどの作業からそのままなら、不要です)

2.向かって右側の背柱をクリックして選択します

3.Shiftキーを押しながら「D」を押してコピーし、すぐにクリックして確定します。このとき、マウスを動かさないこと。動かすと、コピーした背柱が移動してしまいます。

◇ちょっとしたミスをしたら◇

「Undo(=アンドゥ)」という言葉はご存知ですね?
パソコンでは、失敗した操作をやり直すために多くのソフトが採用している「取り消し」機能。それがアンドゥです。WindowsではCtrl+Z、MacではCommand+Zです。もちろん、Blenderもアンドゥに対応しています。

◇失敗する前の操作取り消し◇

ミス操作を確定する前、例えば、Shift+Dでコピーした後でマウスがブルブルッと動いてしまってオブジェクトがあらぬ方向へ動いてしまったら、その時は「右クリック」でキャンセル出来ます。
確定する前の操作をやり直したい時には「右クリック」。
覚えておきましょう!

3.回転のマニピュレーターを選択し、表示された円の一番外側にある白い円をマウスでつかみ、反時計回転に回します。その際、Ctrlキーを押すことで、回転角を5度刻みに制限出来ます。

4.反時計方向に90度回転して向きが水平になったら、クリックして確定します。
(3, 4の操作はショートカットで行なうと素早く出来ます。「R」キーを押して、回転したい方向へマウスを動かしたらすぐに90と打ってEnterキーで確定するだけ!)

◇白い円って何?◇

手順3で出てきた白い円ですが、初出でしたね。
これは、回転のマニピュレーターの外側にいつもあって、今、操作している人の視点に対して垂直な面に表示されます。他の色とは異なり常に正円に描かれ、オブジェクトの向きには関係なく、円に沿った方向にのみオブジェクトが回転出来ます。
各軸に対して正対している場合以外は思うような向きに回転させられませんので、注意が必要です。

参考:回転マニピュレーターとその外側の白い円との関係
いろいろな角度で、各方向の回転マニピュレーターと白い円を回してみます。

 

5.プロパティ・パネルの「Transform/Location」内で、Xの値に0を打ちます。これで、背貫が中央に移動します。

6.大きさを調整するためにまず画面を大きく拡大します。背柱が画面一杯になるようにしましょう。

7.別のオブジェクトとの位置関係が分かりやすいよう、ワイヤーフレームにします。「Z」のキーを押しましょう。

8.拡大縮小のマニピュレーターではこのように微妙な縮小はちょっとやりづらいので、ショートカットを使います。背貫の中心(小さなオレンジ色の)からマウスカーソルが適度に離れた状態でSキーを押します。マウスカーソルとオブジェクトの中心を繋ぐ点線が表示されます。
マウスカーソルの位置をオレンジ色のに近づけることでオブジェクトを縮小します。

この点線の伸び縮みが、拡大縮小と連動しています。分かりやすいですね。
この点線の伸び縮みが、拡大縮小と連動しています。分かりやすいですね。

 

9.動画ではCtrlキーを押しながら縮小操作をしましたが、背柱の幅とぴったりには合いませんでした。そのためCtrlキーは押さずにやり直し、だいたいの大きさに合わせています。

10.だいたいの大きさに合わせたら、プロパティ・パネル内の「Transform/Dimensions:」の値を見ます。

11.3つの値が、「3.652cm, 3.652cm,32.869cm」となっています。始めに90度回転させたので、Zの値、つまり32.869cmが背貫の幅です。2本の背柱の間隔は割り切れる整数値になっているはずなので、Zの値に33cmと打ちます。
動画ではいきなり「33」と打ってしまったので、長さが33mになってしまいました。これは、入力欄をクリックした際に単位の「m」まで自動的に選択されてしまうことで起こります。これを避けるには、ドラッグして数字のみを選択するか、「33cm」と単位まで入力します。
もっと手数を減らしたければ、入力欄をクリック直後に「0.33」と入力すると早く出来ます。

12.移動のマニピュレーターを選択し、青い矢印をつかんでZ方向へ移動します。動画では、移動の途中でCtrlキーを押し、グリッドにぴったり揃うようにしました。


良い感じで作れましたでしょうか?

どうにも上手くいかないなあという人のために、もう一つ、コツを伝授。

◇どうしてもオブジェクトが動いちゃうよ!◇

何か操作をしようとすると、どうしてもオブジェクトがあらぬ方へ動いてしまうあなた。
そんな時は、マニピュレーターにうまく触れていないのかもしれません。
Blenderは、オブジェクトが選択された状態で特に何も指定せずにマウスドラッグを行なうと、それを「Grab」、つまり「つかんで動かす」操作だと解釈します。
オブジェクトを回転させようとしてマニピュレーターをつかもうとしたけれど、少し位置がずれていて丸をつかめなかった時など、回転でなく移動の操作になってしまうわけなのです。

それを逆手に取れば、何もショートカットを押さずとも移動出来るという迅速操作になるのですが!

では、本日のメインメニュー、〈モディファイヤ〉に進みます。

〈モディファイヤ〉とは、一言で訳すと、〈改変するもの〉

3DCGソフトで言うモディファイヤの定義と特徴を、分かりやすい日本語で書いてみます。

◇モディファイヤ◇

・設定数値を調整可能な編集機能で、いつでも元に戻すことが出来る

・元となる形状に改変を加えず、結果を改変させる

・3Dビューポート上では機能を適用した状態を非表示にすることが可能で、パソコンの処理を重くせずに編集出来る

・レイヤー状に積み重ねることが出来て、順番の入替えも可能。入れ替えると、順番に応じて効果が変化する

言葉ばかりでは分からないですね(笑
今回使用するモディファイヤで説明しましょう。

本日のモディファイヤ:「Array(=配列)」

では、動画からどうぞ。


 

面白そうでしょ?

では、説明です。

1.対象にしたいオブジェクトが選択済みであることを確認します。背貫にオレンジ色の枠線が付いていますね。

2.画面右端のプロパティーズ(3Dビューポートのプロパティ・パネルと混同しやすいですね)で、スパナのアイコンのタブを選択します。
(動画では最初に「カメラ」のタブが選択されていましたが、皆さんは単位設定を行なった状態の「シーン」になっていたかと思います)

3.「Add Modifier(=モディファイヤを加える)」と表示されているので、そこをクリックします。

4.たくさんのモディファイヤが表示された中から、「Array(=配列)」をクリックします。

5.いきなり、背貫が下方向へ大きくなりました。これは拡大されているのではなく、下にぴったりの位置にもう一つ増えています。設定項目を見てみましょう。

6.「Count」が2、「Relative Offset」にチェックが入っていて、その下の欄に「1.000」と入っています。欄は3つありますが、左側の入力出来ない欄にはそれぞれXYZと書かれています。右の欄も意味は同じです。この設定の意味を日本語にすると、以下のようになります。
「X軸の方向へ、オブジェクトのサイズと同じ距離分、全部で2つのオブジェクトを配置する」
「Relative Offset」とは、「比率としての距離」と訳せば良いでしょうか?
もっと分かりやすく言うと、「端からの距離は大きさの何倍分か」ということです。
1倍だとぴったりくっつき、2倍だとまるまる1つ分の間隔が空きます。

7.数値を変更してみましょう。
「Relative Offset」を増やすと、下側の背貫が離れ、減らすと近づきます。
「Count」を増やすと数が増え、減らすと少なくなります。
特に決まりはないので、自分好みになるように調整しましょう。

いろいろと設定数値をいじってみることで、この 「Array(=配列)」モディファイヤの機能が理解出来ますね。
え、
「実際はX軸ではなくZ軸方向へ増えているじゃない!」ですって?
そうですね、いいところに気がつきました。

種明かしはこれ。

Arrayの軸は、オブジェクト優先です。Y軸に沿って90度回転させたので、見掛けのZ軸方向は、オブジェクト(背貫)にとってはX方向なのです
Arrayの軸は、オブジェクト優先です。Y軸に沿って90度回転させたので、見掛けのZ軸方向は、オブジェクト(背貫)にとってはX方向なのです

分かりにくいですか?
それでは、トランスフォームの適用をしてみましょう。

あれ、増やしたはずの背貫がなくなってしまいましたか?

何が起こったのか、動画で確かめましょう。


 

トランスフォームを適用したので、世界のX軸と同じ方向に背貫が配置されたのです。
Z方向に配置したいので、Xに入っている値を0にしてZの欄に打ち直します。
すると、背貫が上方向に配置されました。
そうです、Z方向といっても、配置したいのは本体の下側。マイナスZ方向にしなければいけないわけですね。

ちょっと分かりにくいので、「Y軸方向に回転した」ということが分かりやすい動画を用意しました。
画面左下にある緑色の線がY軸の方向です。回転のマニピュレーターの緑色の線は、Y軸に沿って回転することを示しています。回転を始めると、中心に緑色の線も出ますね。


 


さあ、本日の制作はうまく出来ましたか?

これで椅子の基本形は完成です。

今回使用した「Array(=配列)」は、とても便利で使い勝手が良くて、かなり頻繁に使用するモディファイヤです。単に配置するだけでなくいろいろなことが出来るのですが、今回はここまでとします。せっかくの便利な機能も、あまり深入りすると却って覚えづらくなってしまいますので。

次回は、もう1種類モディファイヤを使ってみますが、それと同時に3DCGのとっても大事な基礎知識をもう一つ学びます。

【本日の学び】

・〈モディファイヤ〉って何?
・「Array(=配列)」モディファイヤの基本
【次回の学び】

・「べベル(=面取り)」モディファイヤを使う
・面取りは何のため?

それでは、ぜひ次回もお越しくださいね!

Happy Blending!!

BLENDER-99-11/ファイル操作の基本

みなさんこんばんは。
ビューポートのいろんな見方はマスターしましたか?
前回は何も作りませんでしたが、制作の上ではとても重要な基本でしたね。

◇ここでちょっとお詫びです。◇
前回の更新日にBlender-99を見てくださった方は、今回は『キューブに任せろ! その3』だと思っていたかと思います。
でも、何回か続けて勉強する場合は、ファイルを保存したり開いたりという操作が必要になります。
Blenderは、そのあたりのインターフェースが少々独特なため、今回はその部分を学ぶように変更させていただきました。

では、はじめましょう!

【Blender-99 絶対に挫折しない3DCG入門 -11 ファイル操作の基本】

Blenderのファイル関連表示と操作は独特ですが慣れればとても使いやすいですし、WindowsやMac環境の間で違いがほとんどないのも優れた点です。
まずはファイルメニューを見てみます。

 

こちらのメニューは、初期設定の回で学びました。
こちらのメニューは、初期設定の回で学びました。

 

ファイルメニューの機能は、何となく想像出来るものとよく分からないものがあると思います。一度に解説しても覚え切れませんので、今回必要なところだけ、最低限の解説にしましょう。

◇Fileメニュー◇

New:文字通り、新しいファイルを作って作成を始めます。

Open:既に自分のパソコンに保存してあるファイルを開いて、続きの作業を行ないます。

Open Recent...:既に保存してあるファイルの中で、最近作ったもののリストが右向き▲の右に出ます。

Recover Last SessionとRecover Auto Save:いずれも、不意にBlenderが終了してしまった場合に以前のファイルに戻るためのものです。まだ、不要かと思いますが。

Save:既に指定済みのフォルダへファイルを保存するためのものです。初めて保存するときは、Save Asと同様、どこに保存するかを尋ねるWindowが開きます。

Save As:別の名前でファイルを保存したいときに使用します。元のファイルはフォルダ内にそのまま残ります。現在開いているファイルの名前が、ここで指定したものに変わります。

Save Copy:現在開いているファイルの名前は変更せずに、保存するファイルだけ名前を変えられます。途中段階のデータを取っておきたい場合などに使います。

それでは、初めてファイルを保存するときの手順を見てみます。

左端の列だけでこんなに覚えることが!
左端の列だけでこんなに覚えることが!

 

まずは左端の列から見ていきましょう。これらは全て、ファイルを保存するための場所(=フォルダ)に関する機能です。

いつもBlenderのファイルを保存するところを決めておきたい場合や、たくさんのファイルを整理して保存したいとき、とても役に立ちます。

でも、まだみなさんはそこまで必要ないですね。System Bookmarksにはきっと「My Documents」や「Documents」フォルダがあると思いますので、それを探してクリックしましょう。クリックは1回でOKです。ダブルクリックの必要はありません。

◇ファイル関連はシングルクリック◇
フォルダ名やファイル名を選択するときの操作は、いずれもクリック1回です。WindowsやMacの標準的な操作ではダブルクリックですから、少々混乱してしまうかもしれません。でも、慣れると便利なんですよね。どうしてこれまでダブルクリックが必要だったのかな? なんて疑問に思うほどです。

あれれ、コレ何だ??
03

標準設定では、Blenderは日本語を表示出来ません。□で表示されているのが、日本語です。こうなっているとさっぱり分かりませんね。本当は初期設定で変更出来るのですが、それをやってしまうとCG用語がいろいろと変な日本語に訳されてしまい、案外分かりづらくなってしまいます。そのうえ文字の横幅が半角英数字の倍サイズになってしまいますので、機能の名称が表示し切れなくなって見にくくもなるのですね。
そのため、Blender-99では英語表示のままで学びます。Blender関連のフォルダ名は、出来るだけ英語で付けるようにしましょう。
(日本語で勉強したい人、ごめんなさい!)

◇どうしても日本語にしたい人は……◇
簡単です。初期設定(=User Preferences)で、「System」のタブを選択して、右下に現れた「International Fonts」にチェックを入れるだけです。
ちゃんと収まっているものもあれば、溢れているものもあります。漢字があるものはむしろ英語より短く表現出来たりもするのですが……
ちゃんと収まっているものもあれば、溢れているものもあります。漢字があるものはむしろ英語より短く表現出来たりもするのですが……
(GIFアニメが再生されないときは、クリックしてください)

では、ファイル保存の方法を見てみましょう。
05

先ほどの図を見ながら保存先のフォルダを選択したら、この図を見ながらやってみましょう。

①これが、今いるフォルダを示しています
②ここでファイル名を付けます
③ボタンを押すとファイルが保存されます

出来ましたか?

一連の流れをGIF動画にしてみました。

ファイル名を付けるときも、枠内を1回クリックして文字を打つだけ。拡張子は気にしなくても、保存時にはちゃんと自動で付きます。
(GIFアニメが再生されないときは、クリックしてください)

 

他にもいろいろと便利な機能があります。
もちろん、普通のWindowsやMacの保存ウィンドウと同じように、アイコン表示や詳細表示、時間やファイル名での並び替えも出来ます。
フィルタ機能を使えば、Blenderのファイルだけを表示したり、フォルダ表示を省いたりすることも可能です。

いくつかの機能を順番に試した動画をこちらに上げますね。


(ちょっとマウスの動きに迷いが見えますが、そこはご愛嬌で(笑)

ファイル名の横にある「+」「−」の記号は、ファイルのバージョンを番号管理したいときに便利です。
途中まで作ったものを取っておいて、そこから先は別のファイル名にしたいときは、このボタンを押して番号を変えるのです。

いかがでしょうか。

「なんだかよく分からないなあ」

「あ、なんだか便利そう」
と思えるようになったら良いのですが……。

では、ようやく次回は椅子制作の続きに戻りますよ!

【今回の学び】

・ファイル操作
【次回の学び】

・オブジェクトの移動
・オブジェクトの複製
・トランスフォームのリセット

それでは、次回をお楽しみに!

Happy Blending!!

BLENDER-99-10/ビューポート操作をもう少し

いやあ、早いもので、このシリーズも10回目を迎えました。
全99回でBlenderの基本を学んでいこうというこの企画ですが、既に進捗は10%。
このままのペースでいくと、99回では収まりませんよね。
でも、そこはもう、文字数ページ数は気にしなくていい電子コンテンツの強みです。

週に1回だと約2年の長期連載になるわけなのですが、まあ、毎週追わなくてもいいのです。
ちょっと溜まってから、〈毎日1回分、5日連続で挑戦〉のような取り組み方で良いと思います。

長くなりますが、これからもお付き合いくださいね!


さて、今回も前回からの続きですが、今回はキューブを使ったモノづくりではありません。
もう一歩進む前に、学んでおかなければ効率が悪化することがあるのです。

では、早速はじめましょう!

【Blender-99 絶対に挫折しない3DCG入門 -10 ビューポート操作をもう少し】

まずは、Blenderを起動しましょう。いつも見慣れた起動後の画面です。

斜め上からキューブを見下ろしています
斜め上からキューブを見下ろしています。

 

さて、キューブを真っ正面から見てみましょう。

マウスのホイールをグイッと押し込んで正面に持ってこようとしますが……
マウスのホイールをグイッと押し込んで正面に持ってこようとしますが……

 

どんなに頑張っても〈完全な真っ正面〉にすることは出来ません。
まあ、なんとか出来たとしても、パース(=つまり遠近)感がついていて、今回求めているような、〈正確にキューブを移動する〉ための画面の見え方にはなっていません。

ここで、新しいキーワードが出てきました。
「パース」です。
正確にいうと、「パースペクティブ」です。
人間の目は、何かを見るときに遠近を感じます。当然ですよね。
近くのものは大きく見え、遠くのものは小さく見えます。
これが、「パースペクティブ」。

Blenderの画面で見てみましょう。
キューブを手前から奥にかけて、ずらりと並べてみました。

Perspectiveビュー(=パースあり)
Perspectiveビュー(=パースあり)

 

手前が大きく、奥が小さくなっています。
このことによって、奥行き感がわかります。
画面の左上に注目すると、「User Persp」と書かれていることがわかります。

これは、「カメラから見たのではなく、ユーザー(=つまりあなた)が3Dビューポートを直接見ている、〈パースあり〉の画面です」という意味です。

パースあり、ということは、パースなしもあるのでしょうか?

もちろん、あります。パースをなくした画面を見てみます。

Orthographicビュー(=パースなし)
Orthographicビュー(=パースなし)。オルソビューといいます。

 

ありゃりゃ、なんだか変ですね。遠くへいっても小さくならないので、手前の7つしかキューブが見えません。どちらが手前でどちらが奥かも分かりませんし、ほとんどのキューブは、画面の外にあふれています。

こんなに見にくいのに、どうしてこんなものがあるのでしょう?

それは、物の形を正確に知るため、正確な距離や角度を知るためです。

さ、「5」のキーを押してみましょう!(押して、すぐ離します)
これが、パースのありなしを切り替えるキーです。
繰り返し、何回も押してみましょう。

 

5のキーを押すたびに、「パースビュー」と「オルソビュー」が切り替わります。
5のキーを押すたびに、「パースビュー」と「オルソビュー」が切り替わります。

5キーの役割、覚えましたね。
実は、この数字キー、他の数字にもビューポートの見え方に関する各種機能が割り当てられています。
いっぺんに見てみましょう!

奇数のキーには、それぞれ正対するビューが割り当てられています。
奇数のキーには、それぞれ正対するビューが割り当てられています。
次々に押してみましょう!

 

右側から見るためのキーは3が割り当てられていますが、左側からのものはありません。
さて、不要なのでしょうか?
いいえ、そんなことはありませんよね。真左からだって、見たいです。
そんなときは、「Ctrl」キーを押しながら、数字キーを押します。
そうすると、数字キーの役割の180度反対側からのビューになります。

?がありますが……
?がありますが……

 

出来ましたか?
さて、カメラビューの逆は何でしょう?
これは、「現在選択されているオブジェクトをカメラにしたときの見え方」ということになります。
こんがらがりますね。この機能はまだ当分使うことがないと思いますので、忘れてしまって問題ありません。
(実際、僕もほとんど使うことがありませんから!)

さて、今度は偶数キーの役割が気になりますね。
え?
もうやってみましたって?
何だか、意味が分からなくなかったですか?

やってみましょう。
2キーを連続して押してみます。

押すたびに、ちょっと(=15度)ずつ視点が回転します。
押すたびに、ちょっと(=15度)ずつ視点が回転します。

 

自分が下に回り込んでいくのですが、見た目からいうとバームクーヘンを焼くようにオブジェクトが向こう側にぐるぐる回っていくような感じですね。
これが、2のキー。
では、4は何でしょう?
もう想像がつきますよね。
4は、時計回転にビューが15度ずつ回転します。
6は、反時計回転です。
同様に、8は2の逆回転です。

Ctrlキーを押したときはどうなるかって?
やってみましょう。
Ctrlキーを押しながら、偶数のキーを順に押してみます。

これは、カメラで言うと「パン」という動きです。
これは、カメラで言うと「パン」という動きです。

 

自分は真直ぐ前を向いたままで、上下左右に動く感じです。
この動きは、マウスだと「Shift + ホイールのドラッグ」ですね。
(「ShiftもしくはCtrl+ホイールの回転」というやり方もありましたね。忘れてしまった方は、第7回に戻って再確認しましょう!)
この場合のShiftも「パッと押す」のではなく、「押したまま」です。

◇〈押しながら〉と〈押す〉の違い◇
マウスでのショートカットの扱いに慣れていないと、この二つの違いに戸惑います。
CtrlやShiftキーを使って〈押しながら〉というときは、キーから指を放してはいけません。「+」以降のキーは、ShiftやCtrlキーを押し込んだ状態で、〈押し〉ます。この〈押す〉は、パッと押して放すことです。ちょっと混同しやすいポイントですが、しっかり覚えておきましょう。

 

3Dビューでのオブジェクトの見方、マスター出来ましたか?
自由自在に見られるようになったら、もう一つやっておかなければならないことがあります。

zキーを押してみましょう。
(そう、いつもどおり、3Dビューポートの上にマウスカーソルがあることを確認してからですよ!)
10_09

zキーを押すたびに、キューブが線だけになったり、元に戻ったりします。
この〈線だけの状態〉が「ワイヤーフレーム表示」です。
聞いたことのある言葉かと思いますが、〈針金のように、縁だけが見える〉という意味です。

ワイヤーフレーム表示にすると、形がはっきりと分かります。
ワイヤーフレーム表示にすると、形がはっきりと分かります。

 

さて、ここまでしっかり覚えられましたか?

次回は今回学んだいろいろな見え方を駆使して、キューブを移動したり複製しながら椅子の形にしていきますよ。

 

【本日の学び】

・3Dビューポートの様々な表示と操作
【次回の学び】(1/22、予定変更しました)

・ファイル操作
【次々回の学び】

・オブジェクトの移動
・オブジェクトの複製
・トランスフォームのリセット

それでは、次回をお楽しみに!

Happy Blending!!

BLENDER-99-07/ビューポート操作で3Dの森へ分け入ろう!

【Blender-99 絶対に挫折しない3DCG入門 -07 ビューポート操作で3Dの森へ分け入ろう!】
(本記事は連載時の内容を抜粋したものであり、電子書籍の内容とは異なります)

さあ、いきなり知らない言葉が出てきましたよ、〈ビューポート〉ってなんでしょう?

Blenderの起動画面を見てみましょう。

起動直後(スプラッシュスクリーンを閉じた後)のBlenderはこんな感じです。
起動直後(スプラッシュスクリーンを閉じた後)のBlenderはこんな感じです。

 

みなさん、ご自分のパソコン画面とだいたい同じ見掛けになっていますよね?
この中に、ビューポートと呼ばれる領域があります。

ここです
ここですね

 

実際に3Dの形(Object=形状)が表示されている部分を、3D Viewport(ビューポート=表示域)と呼びます。

Blenderは、操作時にショートカットキー(アルファベットや数字など、キーボードのキーを押して機能を呼び出すもの)を多用します。マウスカーソルの表示されている場所によって、ショートカットの効き方、内容が変化しますので、今、マウスカーソルがどこにあるかが大事なポイントです。

3Dの操作をするためのショートカットキーを使用するときは、このビューポートにマウスカーソルがあることが重要なのです。

Blenderの初期画面について、名前と機能を簡単にまとめておきましょう。

1. 全体のメニューと状況表示
いちばん左を見ると、「i」というアイコンがあります。いかにも「インフォメーション」という感じですね。
実はBlenderの画面構成は自由自在にカスタマイズ出来るので、ここも替えてしまえます。でも、ここはそのまま使うのが賢明。常に表示されていて、ファイル関連の機能を使ったり、現在のポリゴン容量を確認したりします。
画面構成のプリセットもあり、用途によって使い分け出来ます。でも、まだ触らないほうが良いでしょう。標準のままで自分のやりたいことに合わせてちょっとずついじれば良いので。

2.ビューポート
正確に言うと「3Dビューポート」。
初期状態では、キューブが一つ、カメラ(黒い三角のついたもの)が一つ、ライト(照明、黒丸に二重点線囲み)が一つあります。
XY平面上には、長さや大きさを分かりやすくするためのグリッド線が描かれています。

3.ツールバー
左隅を見ると、タブがたくさん並んでいます。ここで、必要に応じて各種のツールを切り替えられます。
このツールバーは、3Dビューポートに付随するものです。3Dビューポートのツール群ということになります。
おいおい、深く見ていきます。

4.モードごとに変化するメニューと機能群
現在は、3Dビューポートで様々な機能を操作するときのメニューが並んでいます。
左隅にあるキューブのアイコンが、2〜4のパネルを3Dビューポートとして表示させている切り替えボタンです。
ここをクリックすると、画面を切り替えられるメニューが出ます。
全ての機能を全ての場所に割り振ることが出来るのですが、混乱するだけなので、まだ触れないでおきましょう。

5.全体のプロパティパネル
わざわざ「全体の」と書いたのは理由があります。
今後使用する各パネルには、独自のプロパティパネルを持つものがあります。
3Dビューポートもその一つ。混同しないように明記しました。

07_04
3Dビューポートの右端にプロパティパネルを表示しました。 全体のプロパティパネルとは内容が全く異なります。

 

(6.~8.抜粋版につき省略)


出来る限り簡潔に解説しようと思いましたが、すっかり長くなってしまいました。まだまだ、ほんの一部分しか紹介出来ていません。それだけ多機能かつ複雑なのが、3DCGソフトなのです。

では、マウスを使って、Blenderの3Dビューポートをいじってみましょう。(抜粋版につき省略:電子書籍版をご覧ください)

【左クリック標準の設定にしたつもりなのに、戻っているのは?】
Blenderの初期設定は、保存しないと消えてしまいます。それはまだ説明していませんでしたね。
07_09
初期設定を追えたら、左下にある「Save User Settings」をクリックして保存します。

 

これで自由自在に画面を動かすことが出来るようになりました!
作成したオブジェクトを、どんな方向からでも、遠くからでも近くからでも観察出来ます。

でも、うまく動かせなくて、キューブがどこか見えないところへ行ってしまいましたか?

大丈夫。そんなときは、「.」キー(ピリオドキー、「。」と同じ。句点のキー)を押しましょう。キューブの選択状態が解除されていなければ、キューブが画面の中央に戻ってきます。


え、それでもだめ?

もしかして、マウスの右や左ボタンを押しまくってしまいませんでしたか?
きっと、キューブの選択が解除されたり、ライトやカメラを選択してしまっているのかもしれません。
そんなときは、〈3Dカーソルをリセットする〉という裏技があります。

これが3Dカーソル
これが3Dカーソル

3Dカーソルというのは、Blenderでオブジェクトを作成したり、複数オブジェクトの位置を合わせるときの基準となるものです。通常は原点(X=0, Y=0, Z=0の座標)にあるものですが、必要に応じて適宜場所を動かします。
(これを駆使するのは、まだずっと先のお話)
この3Dカーソルは、右クリックすることで位置を変更するのですが、たまたま画面上で右クリックすると3Dカーソルの位置が移動してしまうのです。これをリセットする操作が、「Shift + c」です。もし3Dカーソルが画面上で見えなかったり遠い場所にあった場合は、この操作で原点に戻ります。と同時に、画面の中央に表示されます。
だから、何もかもがどこかへ行ってしまってわけの分からない状態になってしまったら、Shiftキーを押しながら「c」キーを押しましょう。
それで、解決するはずです!


え、それでもまだだめ?

さては、レイヤー切り替えのショートカットを押してしまいましたね。

前回の初期設定で「Emulate Numpad」をチェックしていない場合や、テンキーのあるパソコンの場合、文字キーの上に並ぶ数字キーはレイヤーの切り替えボタンになっています。
数字を押すごとに、そのレイヤーだけが表示される仕様です。
初期状態では全てがレイヤー1に入っています。
もし、不用意に2のキーや3のキーを押してしまうと、レイヤーが2や3に切り替わってしまうのです。
そんなときは、1のキーを押しましょう。


それでもダメな場合は、Blenderを終了させてもう一度起動しましょうね。
初期状態に戻るはずですから……。
もちろん、ファイルを保存しないこと!

今回は、基本のビューポート操作と最低限のトラブルシューティングを学びました。

次回からはいよいよ本当の3DCG制作に突入します。

BLENDER-99-06/まず最初にやっておこう

お待ちかね!
今週も、Blender-99の時間がやってまいりました。

これまでは実際のBlenderには触らず、3DCGの基本概念のいくつかに触れてみました。

そして第5回目は、「インストールから始めよう!」でした。
本当にパソコンのことがよく分からないひとでもBlenderを始められるように、インストールって何のこと?
というところから、解説してみました。

さて、もう皆さんは無事に、Blenderをインストールし終わりましたね?
きっと、待ちきれなくて使ってみたのではないでしょうか?
そしてきっと、あまりに「何をしたらどうなるか」が分からなくて、あっという間に投げ出してしまったのではないでしょうか?

──実際ぼくも、初めてBlenderを起動したときはそうでした。
何も出来ずに、いきなり投げ出してしまったことを覚えています。

でも、それには理由があります。

さあ、そろそろ本日の授業を始めましょうか!

【Blender-99 絶対に挫折しない3DCG入門 -06 まず最初にやっておこう!】
(本記事は連載時の内容を抜粋したものであり、電子書籍の内容とは異なります)

起動画面を知る

Blenderのアプリアイコンをダブルクリックして起動します。Windowsの場合は画面下の起動バーに、Macの場合はDocに、それぞれ登録しておきましょう。きっと、これから頻繁に使うことになりますので!

(右隣はMakeHuman、左はMagicaVoxelですね)
(右隣はご存知MakeHuman、左は以前紹介したMagicaVoxelですね)

 

Blenderのアイコンが二つ並んでいますが、これは仕事でCGソフトを使うときの鉄則。特定の機能がきちんと継承されておらずバグが潜んでいることもありますから、バージョンアップしたときは、これまで使っていたものを残しておくのです。

起動した際の画面です。

Blender2.78a起動画面
Blender2.78a起動画面

前々回にも似たような画像を載せましたが、ちょっとだけ違います。バージョンは2.78a、前回紹介した最新バージョンですね。

 

さて、この画面についてもう少し書いておきます。知っておくと、ちょっとだけ便利になりますよ。

このさりげない中に、いろんな機能が!
このさりげない中に、いろんな機能が!

 

■左の列「Links」
Blenderが提供してくれる情報です。
上からざっと見てみます。

Donations:
寄付、ですね。Blenderは無料なので、開発は寄付とチュートリアルなどの販売益で支えられています。世の中に数ある有料のBlenderコンテンツを購入しても、Blenderの財団に一部が寄付される仕組みになっているものもあります。
Blenderが自身の創作活動の役に立つようなレベルまで使えるようになってきたら、寄付を考えるといいのではないでしょうか。

Credits:
Blenderはオープンソース。世界中のプログラマーが開発や検証に参加しています。その貢献者リストです。

Release Log:
そのバージョンで初めて搭載された機能や改善点のリストです。

Manual:
機能リファレンスのマニュアルです。残念ながら、日本語版はここにはありません。

Blender Website:
言わずとしれたウェブサイトですね。

Pyrhon API Reference:
Blenderはパイソンというスクリプト言語で機能追加や改善の開発を行なうことが出来ます。アドオンを作成するのも、パイソンを使います。そのリファレンスです。

 

■右の列「Recent」

最近使ったBlenderのファイル一覧です。ここに出るのは5ファイル。ウィンドウを開いたりファイルメニューから探したりする必要がないので、意外に便利なものです。

また、メニューバーにある同様の機能「Open Recent…」では、10ファイル分が残ります。

■右の列の下「Recover Last Session」

前回使用していたときの状態に戻したいときに押します(過信せず自分で保存することが大事です)。

ファイルメニューにも同様の機能があります。

autosave

 

「Recover Auto Save…」は、自分でファイルを保存し忘れていても、Blenderがちゃんと裏で保存しておいてくれる機能です。


初期設定

起動画面をざっくり理解したら、画面のどこかをクリックしましょう。どこでも良いです。起動画面が消えます。

皆さんが使っているのはデスクトップPC? それともノート型?

キーボードにテンキーがない場合にやっておくべき初期設定があります。
初期設定画面を開いてみましょう。

画面上のほうの「File」をクリックすると、ずらりとメニュー項目が現われます。その中の「User Preference」を選択しましょう。
「User Preference」を選択しましょう。

 

「Input」というタブをクリックしましょう。

pref02
左側に注目です。

 

真ん中あたりに「Emulate Numpad」というチェックボックスがあります。これにチェックを入れると、キーボードの数字キーがテンキーと同じ役割を果たせるようになります。

もう一つ、さらにとても大事な設定があります。

Blenderの初期設定では、「マウスの右クリックで選択操作をする」設定になっています。

一般的には、
「何かを選択するのは左クリック。右クリックは設定を出したりするもの」
という理解ですよね?

Blenderの哲学ではその根本が異なります。
「左クリックは決定するためのもの。選択は右クリック」
なのです。

Blenderは合理的に計画し、右と左の役割をきちんと分けたのですが、Blender以外のほとんどのソフトは左クリックが標準。慣れるのは難しいので、〈左クリックで選択する〉設定に変更したほうが使いやすいでしょう。

前掲の図でも「Left」が青くなっていますよね。
「Select With」というのが、「選択するボタンの側を選ぶ」ということです。
「Left」をクリックして青くし、〈左クリックで選択する〉設定に、変更しましょう!

さあ、必要な初期設定は以上で完了です。

「これをやっておけばもっと便利」という設定もありますが、それはまた次の機会にしましょう。

Blender-99計画、始動!

ずっと頭の片隅で秘かに計画していたBlender-99シリーズが、いよいよ始動することになりました。

まだ、具体的なプランも何もありません。
次回、何を取り上げるのかも決まっていない状態ですが、走り始めますよ!

まずは走らないと、何事も何も見えませんからねっ!

では、はじまりはじまり〜!
どんどんどんどん……


【Blender-99 絶対に挫折しない3DCG入門 -01 座標軸と原点】

まずは、基本の基本の「き」です。
「3Dとは何ぞや」というところから、大上段に構えず大げさにならず、いってみましょう。

言わずと知れた、3DのDとはDimensionのDです。
え、知らなかった?
Dimensionというのは「次元」ですね。次元が三つあるということは、
「縦横に加えて“高さ”という三つめの次元が存在する」ということ。
つまり、立体になっている、ということです。

さ、ここでちょっとつまづきましたか?
「縦」と「高さ」って、微妙な言葉です。ちょっとわかり辛いです。

でもここで皆さんを置いてきぼりにするような真似は、決してしませんのでご安心を。

ここで分かりやすい図解をぺぺっと貼りたいところですが、裏でレンダリングしている計算が終わらないので、Blenderを使えません。
(豆知識:Mac版ではBlenderを一つしか起動出来ません。Windowsでは複数起動が可能です)
仕方がないので中座して、珈琲を淹れてきます。

〜ちなみに〜
 Blenderっていうソフトは知っていますよね?
 よね?
 本講座は、基本、最低限そこまでは知っているひとが対象です。
 「3Dをやってみたいけど、何が何だか分かんない。どうやらBlenderっていうすげーソフト(しかも無料!)があるらしいから使ってみたいな」
 そんなひとが対象ですからね……。

さて、美味しい珈琲を飲みながら、図解を作成しました。

こちらをご覧あれ。

横軸がX、縦軸がY
横軸がX、縦軸がY

 

数学の教科書などで見たグラフと同じ考えです。机の上や地面を「基準平面である」と捉えて、横幅をX、高さをYとしたモデルです。ただし、この場合の「高さ」という言葉は3次元的に捉えた高さではなく、「縦方向」という意味です。
ここに3次元的な高さの概念を加えると、次の図のようになります。
静止画だと分かり辛いので、ぐるりとアニメーションさせました。

軸を1本追加しただけで、いきなり複雑になってしまいますね
軸を1本追加しただけで、いきなり複雑になってしまいますね(再生しない場合はクリックしてください)

 

XY軸に加えて、Z軸が空間的な高さを示します。
Zという文字が当てられているあたり、数学者は最初から立体としての概念を考慮してZを高さとし、XYの記号を横と縦にしたのでしょうね。面白いです。

Z軸、分かりましたね。簡単です!

いいえ!
ところが、ことはそう簡単にはいきません。世の中にはいろんな人がいて、いろんな考え方があるのです。

次の図を見ると、さて、何かが今までと違います。
XYの考え方が揺らぎませんか?

xy_man

 

これは、横幅をX、人の背の高さをYと捉えた空間モデルです。
では、Zはどこにあるでしょう?

手前から奥へ。Zは高さでなく奥行きになります。
手前から奥へ。Zは高さでなく奥行きになります。(再生しない場合はクリックしてください)

 

3Dの世界では、これを「ワールド軸がYアップ」と呼びます。
コンピューターの中にあるCGのバーチャルな世界で、広さを現すのがXとZ軸で、高さがY軸というわけです。

いっぽうで、Z軸を高さ方向にする場合は、「ワールド軸がZアップ」ですね。

面倒なのは、3DCGの世界でシェアNo.1, 2を占めるMayaと3ds Maxでアップ軸が異なるという事実。同じ会社が販売しているのにも関わらず、です(出自が異なるので仕方ないのですが)。
Mayaはプロダクト〜キャラクター系に強く、ハリウッドで数多く使われています。
3ds Maxは建築〜空間系に強く、それらの業界で非常にシェアが高いです。
そして、いずれのソフトも同じくらい複雑で高機能で、互いにほとんど同じことが出来ます。○○に強いといっても、それは使っている側が持っているイメージで、全く逆の使い方をしているプロダクションもたくさんあるでしょう。

で、何が面倒かというと、代表的なものはデータの相互やり取りですね。
Blenderユーザーにとっては、WEBで配布されているデータなどの使い勝手がそうです。
ワールド軸が異なると、思いのほか面倒なことがあったりします。
後々触れますけれど、画面やカメラの回転にしても意外に大きな違いが出たりします。
画面の回転がちっともうまくいかなくて見たい場所が見られない時など、軸設定が異なっている場合があります。

これからCGを始めるみなさんにとっては関係なさそうですけれど、実は関係あります。どこかのフリーサイトからダウンロードしてきたデータがうまく回せないとき、軸の違いを疑ってみる必要があるかもしれませんから。

おっと、小難しい雑談が長くなってしまいました。

呼びかた、軸の方向はどうあれ、3DCGでは三つの軸を基準に空間を考える。ということが理解出来たかと思います。
え、Blenderの軸はどっちかって?
はい、BlenderはZアップです。Mayaをライバル視している向きもあるのに、Yアップではないところがまた、不思議なんですよね……。

最後に、もう一つだけ覚えましょう。
次の図をご覧下さい。

すべての始まり、原点。
すべての始まり、原点。

この真っ赤なが、原点です。
折れ線グラフなどでも、X=0, Y=0の場所を原点と言いますね。

XYZ全ての軸の値が0の座標を原点と言います。
コンピューターの中にあるCGのバーチャルな世界の中心です。ど真ん中です。

何もない空間に何かを形作っていくとき、座標の拠り所として原点はとても重要です。
Blenderの場合、何かオブジェクトを新規で作成すると、必ず原点に配置されます。
(これがずれてしまうこともあって初心者泣かせなのですが!)

座標軸と原点、ご理解いただけましたでしょうか?

さて、Blender-99シリーズの01はこれで終了です。
簡単でしたねっ!

次回もこんな感じでゆるりといきますので、ぜひぜひ宜しくお願いします!