僕にとっての電子書籍デビューは、巨匠スティーブン・キングの短編『Riding the Bullet』です。
改めて調べてみると2000年の出版になっています。15年も前ですね。
もう覚えている人はほとんどいないかと思いますが、この本は商業作家が書いた初めての電子版専用の小説として有名なものです。当時日本の新聞でも報道されましたし、「これで紙の本がなくなる!」 とか、「ネットで配布されたら作家はどうやって食っていけばいいんだ!」 などと、騒がれました。
無料で、まだ今ほどの勢いがなかったAmazon.comに登録すれば、誰でもダウンロード出来るようになっていました。
Wikiで調べると価格が$2.50となっています。うーん、僕は無料だった記憶があるなあ。そもそもクレジットカードを登録していないはずだし。恐らく、最初の24時間とか何とかだけ無料だったような気がします。ダウンロード出来るようになるのを待って、パパッと落とした記憶もあるので……。
もう一回調査。
SoftLock and Simon & Schusterでは$2.50、Amazon と Barnes & Nobleでは無料。となってました。
で、最初の24時間に40万ダウンロードですってさ!
そのうちの一つが僕でした。
(現在無料キャンペーン中の自作短編『希望の船』は、最初の22時間で120ダウンロード強、うーん、世界の大巨匠とはいえ、天と地以上の差だ……)
注)キャンペーンは4/14(火)の17:00頃まで!
その頃は、「自作がスキャンされてネットにアップされる前に、自分で公式の電子版を出してしまえ」、的な雰囲気も感じました。でもきっと、ちゃんと電子書籍の未来を見据えた戦略だったのではないかとも思います。
たしか、当時既にボイジャーのT-Timeなどのリーダーはありましたが、このキングの短編小説はリフローにもなっていなかったと思います。中身はただのPDF(DRMつき)だったのではないでしょうか。
そう、このRiding the bulletのWikiには、当時のDRM技術についてのこんな記述もあります。
『電子書籍の暗号化のせいで、無数のコンピューターをクラッシュさせた』と。
今のDRM技術も、読書体験を損なう恐れがあるから、あまり使うべきではないという指摘もありますよね。勝手にじゃんじゃんコピーされてしまうのは嫌だし、でも買ってくれた方に不便をかけてはいけないし。そこはどう付き合っていくか、難しい部分です。
(最近の僕の本はDRMフリーにしています。もし勝手にコピーされたとしても、それは無料キャンペーンで読んでくれたのと同じこと、と思えばいいのだし。もちろん、Amazonにおけるキャンペーンのような副次効果はありませんが!)
Riding the bulletの内容はというと、まあいつものキング節でしたが、実を言うとあまり覚えていません。ぞぞっとしたのは覚えているけど、それほど怖くはなかったんじゃないかな。会社のパソコンで昼休みに一度読んだきりで、それほど思い入れが残るようなものではありませんでした。もちろん、当時の英語力で理解がついていかなかったという点を差し引かねばなりませんが。
でも、その後映画になっていたのですね。知りませんでした。
いつかチェックしようかな……。
これが、そんな僕の電子書籍元年でした。
それにしても、今こうやって自分が電子書籍を出版するようになるとは夢にも思いませんでしたけど、ね!
あ、誰の役にも立たない記事を書いてしまったな。