Category Archives: 自作について

サポートさんに叱られてしまった件

Amazon KDPにて出版している自著4作を同時無料化し、無料化直後に《無料版》用の表紙への差し替えを行い、そのために書籍データを更新することになり……という経緯は一昨日書いたとおりです。

さて、その時にKDPサポートさんに問い合わせメッセージを送ったわけなのですが、不勉強に気付かされる予想外の返信が届きました。

いわく、

KDPサポートより抜粋
KDPサポートメールより抜粋

 

とのこと。そうか、ルールになっていたのだなあ。これはいけないことをしてしまった。でも、ちょっと待てよ、と思い至りました。無料版、しかも度々表紙を差し替えているKDP小説といえば『キミコロ』ですよね。たしか、表紙に無料版と入っていたはず!
そう思い、さっそくストアで確認してみました。

藤崎ほつま作『キミコロ』

 

おお、入っていますね、僕の名前が。あ、でなくて、《無料版》って。
まあ、文字は表紙画像の一部として(しかも斜めに)入っているので、これを機械的な手段で発見するのはほぼ不可能でしょう。だからといって、お世話になっているKDPサポートのかたにああ言われてしまったのは、やっぱり気になります。
表紙でことさら《無料》を強調しなくても、これだけで充分、読者には無料だと分かるよな、とも思いました。

価格表示を見りゃ、表紙より先に無料だと気付くよなあ
価格表示を見りゃ、表紙内の表示より先に無料だと気付くだろうさ

 

ね?
ここ、真っ先に見ますよね?

と、いうことで、藤崎さんには《無料版》と入れたままで頑張っていただきながら、僕は修正しちゃおうかなあと思いましたよ。
でもね、そうは言っても表紙の左上には、何かしらデザイン的な要素を入れるのにちょうどいいスペースがあります。ので、それを何にするか思い付くまで、差し替え作業が終わるまではこのままで許していただこうかな、と、勝手に思っているわけです。

だって、そんなに度々表紙を差し替えてたら、それこそプライスマッチ解除になってしまいそうじゃないですか!

 

《7/4(梨の日)追記:
 新規無料全4作の表紙を差し替え終わりました。あとはストアの更新を待つだけ。ただ、無料のままでいてくれるかが気になりますね……》

こんな感じです
一枚に合わせるとこんな感じです

《7/5(ナーゴと鳴く猫の日/淡波発案)追記:
 KDPサポートさんの素晴らしき神対応。昨夜寝る前にチェックしたところ、既に表紙が差し替わっていました。その間なんと3時間弱、しかも土曜日の夜なのに! 中の人に大感謝です》

あ、この本だけ、著者名がローマ字なんだよな。大分前に修正したんだけど、何度更新してもここは直らない。サポートさんにお願いしてみよう
あ、この本だけ、著者名がローマ字なんだよな。大分前に修正したんだけど、何度更新してもここは直らない。サポートさんにお願いしてみよう。

 
さて、この記事が、いつか誰かの役に立ちますように!

プライスマッチによる無料化のご報告。が……!?

同時に無料化した4冊
同時に無料化した4冊

いよいよプライスマッチによって4作が同時に無料化されました。
しかしこうやって表紙画像を並べると、節操ないですねえ。《ほっこり暖かい家族小説》の隣が《ちょいホラー寄りSF》だなんて、人間性を疑われそうです。

それはともあれ、無料化と同時に無料アピールの表紙に差し替えるためのデータを提出しました。それが上の画像なわけです。

と・こ・ろ・が、です。
データを提出するには管理ページに入って更新する必要がありますよね。
つまり、再度出版の手続きをすることになります。新しい表紙をアップロードして、「保存して継続」ボタンを押すと……、そうです。価格一覧が出るのです。当然ここに0円と入力することは許されないので、元々の金額を残したままで「保存して出版」ボタンを押すことになります。

そうすると、壁色のパステルは250円で再出版、各短編は99円で再出版。となってしまうわけです。不安ですねー、たった一晩で有料に戻ってしまったらどうしよう!
そこで、AmazonKDPサポートさんにメールを送りました。

プライスマッチによって無料化してくださった著作を無料本用表紙に差し替えましたが、更新時には有料の価格が入ってしまうので、どうか無料を継続してください。というような内容です。

さて、明日中には冒頭の表紙画像に差し替わっているでしょうから、その時に無料のままでいられるのか、すぐに結果は出ますね。
もしダメなら、またすぐにKDPサポートさんにお願いしなきゃ、です。

あ、もちろん、今から焦ってポチってくださってもいいのですよ!

さて、この記事がいつか誰かの役に立ちますように!

KDPプロモ、この方法は有効なんじゃないかと思った。

手前みそですが、まずはこちらを見て頂きたいのです。

pastel1 pastel2

 

そう、セルフ作家の広橋悠さんがご自身のブログに書いてくださった『壁色のパステル』レビューを、Amazon上の商品紹介に転載したのです。プロの本でよくありますよね、映画でも頻繁に見かけます。別の作家が一行か二行の感想を述べて、それが作品のキャッチコピーのようになっているアレ。
最近はこういったことを帯で語るのが流行りつつありますが、帯は帯。あまり大きく書けないですし、文字数も限られていますよね。

これまで何人かの方が自作の感想を書いてくださったのですが、とても素敵な紹介文になっていることが多く、これをもっと多くの読者さんに読んで頂けたらなあ、と思っていました。でもなかなか、それぞれのブログ記事やツイートに誘引することも難しいですし。
そこで思い付いたのが、Amazonのレビュー欄に載せたかったら《自分で紹介欄に載せてしまえ!》という荒技です。

発端は、広橋悠さんのこのtweet。

そして、このセルフ返信。

他の方々を含め、反応が次々と。アイデアが発展します。

このあたりで僕も参加です。

このやり取りでは、あくまでも自著のあとがきでレビューや解説を紹介するという話になっています。僕も本日発売の『そののちの世界』のあとがきに、ストーリー上の続編でもある『ケプラーズ5213』(書いたのはこちらが先)のヤマダマコト氏による紹介文を使わせて頂きました。これはこれで素敵なことなのですが、やはり本を入手してくださった方にしかこれは届かない。
そこで考えたのが冒頭の少々乱暴とも思える手法なのです。

でもこれ、ストア上で本を探している読者候補さんに、とてもアピールすると思いませんか?
僕だったら、こんな紹介文を読んだらもう、すぐポチッとしてしまいそうです!

さて、この記事がいつか誰かの役に立ちますように!

よし、何とかなった。しかし……

さんざん苦しまされた『そののちの世界』のePub編集ですが、ようやく終了してAmazonさんにデータを提出する直前まで来ました。
何がそんなに大変だったかというと、この短編集は途中から執筆環境を変更したことによって、生成するePUbの構造が全く異なったものになっていたからなのです。

以前の環境は:
執筆/iText Pro
変換/easy epub
これが、短編集の前半を執筆・変換した環境です。

現在の環境は:
執筆&変換/Hagoromo
これが、短編集の後半を執筆・変換した環境です。

あ、もちろん、移動中のテキスト打ちはiPod touchでPlainText2ですが。

Hagoromoは完成時と同じ縦書きで執筆しながらルビをふり、圏点をふり、相対的な文字サイズや行揃えなど、最終的なePubデータとほぼ同じ状態で書き進めることができます。これはとても素晴らしいことなのですが、一つ盲点がありました。
それぞれの物語は短編で、基本的にePub内の文書本体データは1ファイルのみでした。今回の合冊化では、当然のこととして各短編ごとに文書データ(xhtml)を分割する必要がありました。全ての文書を1ファイルにまとめてしまうと、Kindle端末のメモリーを圧迫してしまい、ページめくりがもたついたり表示がスムーズでなくなったりするのだそうです。
そこで、Hagoromoの機能を勉強し、章ごとにデータを分割するようにしました。Hagoromoにはアウトラインプロセッサの機能があり、章タイトルをアウトラインの親要素に指定すると、ePub書き出し時に改ページさせることが出来るのです。基本的にePub3では改ページ=別ファイルと考えられましたので、これで問題は解決、と思ったわけです。

ところが、これが違っていました。たしかにアウトライン機能を用いて書き出したePubは改ページされていました。でも、ファイルは分割されず、一つのままでした。実はこのHagoromoは、古いePubリーダーにも対応できるよう、旧形式互換のデータを吐き出すような仕組みになっているらしいのです。(まあ、技術的なことはよく分かりませんが……)
ePub2(もしくは古い仕様のePub3?)の中にはtoc.ncxというファイルがあって、これが端末上での改ページをコントロールしています。tocとはTable of Contents、つまり目次を制御するファイルということなのでしょう。これでコントロールされているため、文書ファイルを分割する必要がないのです。

前述のように執筆の前後半で環境を変えていたので、書き出されるePubも全く違うものになっていました。これを同じ構造に合わせない限り、一冊の本としてまとめることは出来ません。
書き出す環境が違えば、改ページだけでなく、cssの記述も全く違いますし、ファイル名のつき方も違います。一見同じようなePubファイルですが、中身をみると完全に異なったものです。
そこで、いったん書き出したePubファイルをバラバラに分解し、cssを全て書き直し、ファイル名を付け直し、圏点や縦中横の記述も書き直しました。

まあ、そう書いてしまえばそれだけなのですがね、何せ十作分、300ページを超える分量なので、修正を入れる度に何かしらエラーが発生します。それを直しているうちに不注意でデータを壊してしまったり、一括検索置換で間違った修正を入れてしまったり、いろいろなことがありました。

教訓:一冊の本は一種類の環境で書け。当然ですね。
それから、章で分ける必要のある本は、Hagoromoの書き出し機能を使うな。(アウトライン機能で分割すると、勝手にインデントが付いたりしますし)

こうして無事、『そののちの世界』の原稿はePubからmobiファイルに変換し、Amazonさんにアップできました。(刊行はまだですが)

さて、これが完了したら次は、後二冊の無料化作業です。そのうちの一冊『壁色のパステル』は、すでに有効なePubに編集済み。楽天KOBOへのアップもすぐに出来ました。

もう一冊残った『さよなら、ロボット』。これが問題でした。

この本は、通常のePubにはないmobi用の構造になっているのです。Amazonのヘルプを見ながら、手作業でmobi用のタグを埋込みながら作ったファイルなので、通常のePubとは互換性がないのでした。具体的な点を挙げると、この物語にはコンピューターに隠された過去のライフログ・ファイルを閲覧するシーンが多く出て来ます。その表現を、囲み罫を使って書いているのです。つまり、段落全体を罫線で囲った状態で表示させているのですね。
下記がそのキャプチャ。

囲み罫を多用している『さよなら、ロボット』
囲み罫を多用している『さよなら、ロボット』

 

これのePub版を考えなきゃ、というわけです。そもそも、『さよなら、ロボット』のePUbはiBooksで開いてもePub Checkを掛けてもものすごい数のエラーが出るので、相当な手術が必要かなあと思っています。Pタグ、Divタグのエラー以外に、Fontタグなんかも使ってるようですし。元は2013年に作ったファイルですからねえ……。

罫囲みをePubで再現する方法があるかどうかは分かりませんが、恐らくはインデントと斜体プラス引用符か何かでそれっぽく表現することになるのでしょうね。

いい方法をご存知の方がいましたら、教えてくださらないかなあ。なんて夢見ている淡波でした。

これから群雛用の原稿も書かなきゃならないし、『さよなら、ロボット』の無料化にはいろいろと越えなければならないハードルがあるようです。というお話でした。
無料になるのを待ってくださっている方、もう少し気長にお待ちくださいませ!

さて、この記事が、いつか誰かの役に立ちますように!
(久し振りの決め文句だ)

歌うように書く

Twitterを読んでくださってる方には一度読んだものかもしれないけど、連投してしまったのでそれが流れ去っていかないうちにここに貼っておこうかと。
ヘリベマルヲさんが『ケプラーズ5213』の感想やアドバイスを書いてくださったので、それに対する返歌のような何かです。

最後に二つ、tweetを追加。

ではまた!

まだ、悩んでいる

朝令暮改、前言撤回は当たり前。それは恥ずかしいことではない。と自分に言い聞かせる。

先日の記事『帰納法と演繹法を一度に味わう?』に書いたとおり、今月末に刊行予定の『奇想短編集 そののちの世界』は、ふたとおりの読み方が出来る本として構成している。完結編を冒頭と巻末の二箇所に置いて、読者さんがどちらの楽しみ方も選べるようにという趣向だ。

さて、本当にそれで良かったのか?
実は最初から僕の頭の中にはもう一つの選択肢があった。

短編集と見せておいて、実は一冊の長編だったというやり方だ。昨今、プロの作品にはそういう作りのものが多いようで、無関係だと思って読み進めていたものがあるきっかけでグイグイと収束していくのがとても面白い。それを行うためには完結編をバラバラに分解し、各話の中にまぶしていく必要がある。まあ、言ってしまえば伏線を後から埋め直すような作業だ。技術的には難しいことではないし、ものすごく時間のかかる加工にもならないだろう。上手くやれば、僕の敬愛するブライアン・オールディスの書くような作品に仕立て上げることも可能かもしれない。
でも刊行予定日は確実にずれるだろうし、下手をすると月刊群雛用に書き下ろそうとしている短編にも影響が出てしまうだろう。
作品としても、種明かしを間に挟むことでつまらないものになってしまう恐れもある。いやいや、それを上手くはぐらかして面白く書くのが作家でしょ?
そんな声も既に脳内で渦巻いている。

ここらで一旦、とっくに出来上がっていた表紙を再録しておこうかな。以前の記事で初公開してから、なんと3週間も経っている。随分昔に作ったような気がしていたわけだ……。

これが誰なのか、知りたくなりますね〜、完結編を先に読まずに我慢できますか!?
彼女は一応、お話の中では美人ということになっているのですよ

こういう時、プロの作家は編集さんと相談するのだろうなあと空想してみる。セルフ作家は孤独なのだ。自分の中にバーチャル編集さんを産み出してみる。だがその新人物は、読まれるためのノウハウを何も持っていないわけで、悩みを増幅する人物が増えるだけなのだ。そうして悩みはグルグルと無限軌道を描き続ける。

個人が出す電子書籍なのだから、コストの問題はない。まずは予定通り刊行し、後日長編版を再構成する手もなくはない。内容にガッツリ手を入れて、納得できるまで練り込むのも面白そうだ。
そうやって、悩みは膨張してグルグル、グルグル、グルグル、グルグルと、留まることなく回り続けるのだろう。

でも、いつまで?

久々に、自分に締め切りを与えてみる

月刊群雛にとうとう参加申し込みをしました。4月に日本独立作家同盟一般会員になり、先月、参加のお誘いがありましたが、どうしても『そののちの世界』のブックトレイラーで頭がいっぱいで、新作を書ける気がしなかったのです。一昨日ようやっとブックトレイラーをアップし、気持ちが少しさっぱりしたちょうど良いタイミングで8月号参加のお誘いがありました。

日本独立作家同盟の会員には必ずお誘いが来るのですね。早い者勝ちということなので、前回のようにうずうずぐだぐだしていると枠が埋まってしまうと思い、即、申し込みました。電車の中で小さい画面がよく見えないままに参加ボタンを押してしまったので、レギュレーションや申し込み方法もきちんと読めないままでかっちょ悪いコメント書き込みになってしまいました。

それは、まあ、いいとして、今回は大人っぽい小説を書こうと思っています。実はもう半分までは書けていて、その長さで一旦お終いにしようと思っていた掌編の続きを、書き終わった途端に思い付いてしまい、そのため発表せずにいた作品なのです。
牛野小雪さんのブログをお読みになっている方は、『クレイジー・シスター』という掌編をご存知でしょうか?
(そこにリンクを貼ろうと思ったのですが、該当の記事を見つけられませんでした……)
《6/24追記:僕の記憶違いで、これはKDPで活躍する個人作家さんを応援するサイトである「電書猫」に別筆名で掲載されたものでした。まあ、ご本人からリンクを教えて頂いたので、本人バレは問題なさそう。その小説はこちらですよ!》

 

牛野さんのこのtweetがきっかけとなって、ちょっと会話が弾んでいました。

この後にも二人の会話は延々と続いたのですが、その夜、牛野さんは『クレイジー・シスター』を一晩で書き、ちょうど同じ夜に僕も『光を纏う女』という掌編を書きました。で、ちょこっと見せ合って、何日か後に牛野さんはブログで公開したのです。で、僕の方もこのブログに載せる積りだったのですが、前述のように続きを思いついてしまい、書き終わったものがとんでもなく《途中》に思えてしまったんです。
それで、続きを書くために一旦、お蔵入りと相成りました。いつ書いて、いつ発表するかはその時点で僕の頭から消えてしまったのですが、群雛からのお誘いを機に、「よし、これをちゃんと書こう!」と思ったわけです。

『そののちの世界』を書いたとき、10日に1作という締切りを設けて100日間それを続けたのですが、その後、ブックトレイラーのこともあり、結局それと同じくらいの期間、ほとんどまともに小説を書いていませんでした。
ここで一念発起、群雛の締切りまではまだ日がありますが、『そののちの世界』の合冊版を仕上げてから書き始めるので、きっと正味10日くらいなのだろうなあと思いながら、来週辺りからギヤを上げていこうと考えている今夜の淡波です。

(以上。つまらない記事で、済まん!)

『そののちの世界』の予告編映像を公開

ようやく完成しました。
本日音楽の制作と編集の仕上げを一気に行なって、ブック・トレイラーが完成。小説作品のトレイラーとしては『さよらなら、ロボット』『孤独の王』『ケプラーズ5213』に引き続き、四本目になります。

早速こちらにYoutubeのリンクを貼りますね。

この中に含まれる『段ボール箱の人形』で使っているフレーズのみ、もとからあった楽曲のものです。というより、この小説はもともと『段ボール箱の人形』というインスト曲のイメージを発展させて書いたもの。その曲のデータがどこにも見つからなかったため、今回は記憶を頼りに新たに録音しました。
よく考えると、この曲はデータなんてなかったのかもしれません……。たしかまだMacintoshも持っていない頃、4チャンネルのカセットデッキを使って手弾きで録音したものだったのです。その後、シーケンサーに入力したような気がしていたのですが、それはなかったようです。本当は3分くらいの曲ですが、今回はメインテーマの一部分のみを使っています。
いかがでしょうか? 小説の雰囲気と合っていますでしょうか?

他の音楽は、全て本日作って録音したもの。まあ短いですし、音楽というほどのものでもないのですがね……。

あれ?
今日は言葉遣いが違う。
まあ、そんな男です。淡波亮作って。今日は口語体で書く雰囲気ではなかったので……。

予告編も出来たし、あとはePubですねぇ。
(さて、本当に間に合うのか?)

せっかくなので、ここに今までのブック・トレイラーも貼っておきましょうか。
『ケプラーズ5213』

『孤独の王』

『さよらなら、ロボット』

では、宜しくお願いしますねっ!

近々無料化する予定の淡波本、5作

果たしてどちらのタイミングが読者さんのためになるのだろうと迷いつつ、予定の6月末がジワジワと近づいて来ている。

短編連作『そののちの世界』をまとめた短編集を出すにあたり、この中の3冊を無料化しようと思っているんだ。(もちろん価格の決定権はAmazonさんにあるので、これはあくまでも自分としての予定だけど)
無料化する予定の3作は、もうKDPセレクトが終了し、いつでもその手続きに入ることが出来る。
まずは楽天koboさんで無料化し、その価格をもとにAmazonさんにプライスマッチ申請をすることになるだろう。

10作の短編は今までそれぞれ99円で、合計では990円もの金額になってしまうから、まとめてお求めやすくしようという計画だ。今のところの予定価格は350円。強気価格の部類に入ってしまうかもしれないけど、ボリューム感はたっぷりだし、淡波本の価格基準(?)で言えば標準的なところかと思う。
この連作の今までの売上推移を見ると、有料版を数冊以上ご購入くださった方はほとんどいないのではないかと思われる。そりゃそうだ。月1冊の刊行程度であればお小遣いへの負担も大きくないけれど、月に3冊ずつ出ていたこの連作をコンスタントに買うとKDP本としては高額商品と感じる部類に入ってしまうのだから。

さて、短編集のうち、無料化対象がどの作品かというと、下の画像にあるように第1話の『夜啼く鳥』、第5話の『プロテイン・パック』、第6話の『段ボール箱の中の人形』だ。

やはり導入として、第1話は欠かせない。どれを最初に読んでもいいようにはなっているけれど、やっぱり1話目から読みたいという需要はきっと大きいだろう。一番人気の第6話も外せない要素。もう1作をどれにしようかは、結構悩んだ。段ボール箱〜に引き続き五つ星レビューをいただいた『五感の嘘』も考えたけど、無料で五つ星2作を読むとそれより《評価が低いように見える》作品には手が伸びない可能性は否めない。そこで、自信作だけどあまり読まれていない『プロテイン・パック』にスポットを当てようかと考えた。
これで気に入れってくれれば、短編集にはもっと評判のいいものも入っているじゃん、と思って触手を伸ばしてくださる可能性があるのではないかと。
よし、そこまではいい。そこで文頭の悩みに立ち返ると、大事なのは無料化のタイミング。勿体ぶらないでとっとと無料にしなよ、という声が聞こえてくるけど、ちょっと考えさせて欲しいんだ。
無料の3作を読んだ読者さんが、有料の本に興味を持ってくださる。1冊が99円だから、まあ、そう高い買い物ではない。でも、面白いからどんどん読んじゃおう、って思ったとき、残りを全部読みたかったら693円もの買い物になってしまう。これからおトクな350円の合冊版が出るというのに!
だから、やっぱり合冊版の刊行と同時に無料化するのがフェアじゃないかと思うんだ。合冊版の宣伝のために無料化するという側面に目をやると、それはせっかくのタイミングを逸するようにも思われる。宣伝開始と刊行開始が同時なんて、普通に考えると意味がないわけで。

だから、まあ少なくとも前述の無料化3冊については、「今はポチらないでくださいな」というのが僕からのお願い。

短編集以外でも、無料化するためにKDPセレクトの期限が切れるのを待っていたのがもう2冊。『壁色のパステル』『さよなら、ロボット』だ。
壁パスについては処女作だし、生まれて初めて書いたまともな小説だから、無理にお金にしようとすることもないんじゃないか、と思った。これまでお金を出してくださった読者さんには申し訳ないけど。でも壁パスは僕の作品の中で、これだけ全く違うカラーの作品。《家族小説》とうたっているとおり、SF要素もファンタジー要素も、殺人も何にもない。ほんのちょっと恋愛の要素とミステリー仕立(?)の要素が入っているくらいで、ほんわかした平和で暖かい物語だ。自省的で内面的なもの。これはこれで気に入った作品だし、読者さんからの評価もいただいている。断じて投げ売りなんかではないのだ。
でも、この作品が初めて触れる淡波亮作だった場合、そのイメージが別の作品を有料で読むことへの抵抗になるかもしれない。ほんわかしたライト文芸が好きな人が、例えば『ケプラーズ5213』みたいなSFに手を伸ばしてくださるとは思えないもの。
そうでなくても全く違うイメージの有料作品を手に取ろうとするかは微妙だし、壁パスの想定読者とその他の作品の想定読者はかなり異なるものだから。

そこで、もう一つの入り口として『さよなら、ロボット』の出番が来るわけだ。エンタメ系で、読者さんからの評価もいい。エンタメ《系》ではあるけど、ゴリゴリのノンストップ・エンタメではなく、何も考えずに楽しめるストレートなものでもない。そこには重さや暗さが潜んでいるし、ひねくれた視点や耽美的な愉しみも盛り込んでいるつもり。ここで淡波小説の世界観を堪能していただければ、次へ進むのも楽しみになるかな、との期待を持っているのだ。

この五冊が無料化予定!
この五冊が無料化予定!

 

もう一つ、この無料化を決めた重要な要素があることを忘れてはいけない。僕がKDPで初めて著作を刊行してから、もうすぐ2年半になる。なんとかして読者さんの数を増やそうと自分なりに工夫して頑張っているつもりだ。だけど僕の知名度と言ったら、《悲しいほど》を通り越して《あわれを誘うほど》低い。マネタイズを急ぎ過ぎたと言われても言い返す言葉はない。全然ない。当時はフリーミアムなんてイカした考え方も知らなかったし。

知られる努力が足りないんじゃないのかと言われればその通りだろうし、努力の方向がずれてるんじゃないのかと問われれば、それもその通りだろう。でももし、一度僕の本を手にとってもらえたら、きっと好きになってくれる人はいるんじゃないか。少しだけ、その自信はあるのだ。僕の作品は決して万人受けするようなものではないし、メガヒットを狙えるような部類ではない。でも一定数の読者をガッチリつかむことができる面白さは備えているんじゃないかと、信じているのだ。
だったら、子供のお小遣い程度をチマチマ稼いでああだこうだ言ってるんじゃなく、手に取ってもらう機会を少しでも増やすことこそが、今、僕の取るべき道なんだ。そう思うようになった。(全てを無料化して、時々美味しいワインを飲む愉しみをなくすようなところまでは割り切れないけれど……)

この5冊を無料化すれば、これまで出してきた全シリーズのエッセンスに無料で触れることができる(『ケプラーズ5213』は『そののちの世界』と姉妹作だと言っておこう)。
そうやって僕の作品世界を少しでも気に入ってくださる読者さんの数を増やすことができれば、この先もっともっと面白い本を出版した時に、有料でも手に取ってもらいやすくなるはず。ね、あなたもそう思うでしょう?

さあ、無料化までもう少し!

どうか、この記事を読んだ方の何人かでも、無料化を楽しみにして待っていてくださるといいんだけど(≧∇≦)//

振り返るような時期じゃないけれど

つい、真に受けないで欲しいと言ってしまうのは、僕も同じだ。誰にでもそういうことはあると思う。今夜の記事は独り言で、日記。面白いとも思えないし、ここで引き返した方があなたのためかもしれない。

僕は思い付きと直感と勢いで動いている部分が脳の大半を占めているので、先のことを考えるのがとても苦手だ。それでこの歳まで生きてしまったので、今さら将来(?)のことなんて考えられない。本職は何だかんだ言ってもサラリーマンだから、流されていけば定年までそのまま行ってしまうかもしれないし、会社が潰れて途方に暮れてしまうかもしれない。
まあそれはいいとして、計画性がなくて、思い付いたことをすぐに表に出してしまうんだなあ。行動も。

今夜は、そんな時期じゃないのに振り返ってみました。これまでの無計画を反省しながら。(言葉遣いと表記の揺れはご勘弁を……)

Kindle(KDP)で小説を出したのは、割と古かったと書いたことがあるけど、ほんとうにあの頃は何にも考えていなかった。『壁色のパステル』を出した後、Kindleのストアも管理画面もほとんど見ていなかった。1年間で三回くらい無料キャンペーンをやってみたけど、全部で100冊も行かない状況。それがどういう水準なのか、まったく分からなかったし、はっきり言って興味もなかったんだな。小説を出した後、まあ、無料キャンペーンをやれば少しは読まれるんだということが分かって、それで満足していた。あ、もちろん、完全に満足していたわけではなくて、他にどうしたら自分の本を誰かに知ってもらえるのか、何も思い付かなかったんだな。
当時はあらゆるSNSが嫌いだったから、とても偏見があった。会ったこともないひとと会話するなんて、キモチワルイとしか思えなかったし、それを使って自著を宣伝することなんて、逆立ちしても思い付かなかった。
作品にはそれなりに自信はあったから、もしも誰かの目に付いたら、少しずつ読者が広がるんじゃないかと、薄ぼんやりと考えていただけ。

でも、当たり前のことだけど、僕の出した本は全く読まれなかった(1年で三冊しか売れなかった)。その事実は、少しはプロモーションを考えなきゃだめじゃないかという気にもさせた。
それで考えた作戦がまた世間の感覚とは大きくズレていたのが自分らしいと、今さらながら思うしかない。

僕は『壁色のパステル』を出す前からずっと、『孤独の王』を書いていた。でもいろんな理由があって、中々終わらせることが出来なかった。そうして時間が経っていく中で、あるときふとプロットを思い付いた『さよなら、ロボット』を急に書き始めた。だから最初の三冊は、互いに執筆が被っている。気が付いたら『孤独の王』より先に『さよなら、ロボット』を書き終わっていた。この物語には少しだけ自信があった。壁パスに比べればずっとエンタメ性があるし、スケールも大きくて映画っぽい盛り上がりもある。これは、ちゃんとプロモーションをすれば化けるのではないかと、じっと考えた。長編二冊を出すんだから、きちんと計画を立てて、人の目に付くようにしなければ、と。
そこで捻り出したプロモーションが、予告編映像だった。お得意のCGを使って作れば、話題性もあるんじゃないかと思った。音楽もオリジナルで作り起こしたし、映画の予告編風に作ってみた。僕は周囲が全く見えていなかったから、セルフパブリッシング界で初めての予告編映像だと思い込んでもいた。
予告編映像作りはとても大変だったけど、楽しかったしやり甲斐があった。出来上がった時の達成感も大きかった。
どこに載せようかと思った時にふと浮かんだのがニコニコ動画だった。【作ってみた】とタイトルに書けば、すぐに何万ビューもいくんじゃないかと夢を見ていた。それまで一度もニコニコを見たことがなかったし、何の研究もしていなかった。自分の動画を載せるために会員になったけど、いちいちログインするのが面倒で、載せてからもほとんど見に行かなかった。なんか動画の上に文字が流れるのも好きになれなかった。未だに自分の動画を見るにはどこへ行ったら良いのかもよく分からないままだ。この記事を書きながら久し振りに見てみたら、公開から1年半で90再生しかいっていない。これは、0と等しい。
生み出した後の自作には、全然興味がなくなってしまうんだな。これが一番悪いくせだな。それには少し気が付いていたんだけど、どうも改善するまでにはいかない。続いて書き終わった『孤独の王』でも予告編を作ったけど、こっちは62再生だ。(リンクは後になって載せたyoutube。ログイン不要だから)

その頃は、ようやくFacebookを始めていたけど、これがまたズレまくりだった。本名だし、友達は《昔の》友達ばかりだったから、僕が小説を書いているなんて大きな声では言えなかった。今も仲の良い数人にだけ言うようなありさまだった。元々友達はほとんどいないし、まあ、何のために始めたのかも全然分からなかった。昔の友達が元気で暮らしていることを知って、それが嬉しかったくらいだ。

何がきっかけだったのかは忘れてしまったけど、何とか現状を打開しようとTwitterも始めた。でもフォロワーはリアルの友達が三人だけ。フォローも数人だった。何を呟いても誰も見てくれない日々が過ぎていった。フォローをしたりリツイートをすることで少しずつ広げていくんだってことも、考えつかなかった。「何も変わんない」そう思って諦めていた。でも、KDPを、Amazonというプラットフォームを妄信していた。ずっと置いておけば、いつかは誰かの目に触れるに違いないと、それだけにすがっていた。それこそ、何年か後になって急に読まれ始めることだってあるかもしれないって。

あるとき、フォロワーが何百人もいる息子に怒られた。
「どんどんフォローしなきゃ、フォロワーなんて増えるわけないじゃん」と。それでも僕はまだバカみたいなことにこだわっていた。フォローってのは、心からフォローしたい人だけをするもんだ。その人の言動をずっと追いかけたいのでなければ、フォローなんて意味がない。そう思っていた。だから、僕がフォローしていたのは、友達の他には尊敬するミュージシャンとか、CG界の有名人とかアーティスト、起業家、そんなのばっかりだった。同じセルフ作家をフォローするなんてこと、まだ思い付く土壌がなかった。

『ケプラーズ5213』を書き終わった僕は、自信に満ち溢れていた。これは絶対面白い、絶対読まれる本になる、って。だって、ハリウッドとかSFの嫌いなうちのかみさんまでもが、「これは面白い」と太鼓判を押してくれたんだから。だから、これまでとは違うレベルでちゃんとしたプロモーションをしなきゃならない。本気でようやく考えるようになった。そこで読んだのが、澤俊之さんの『440days in KDP』だった。何て遅いんだ!
これが今からちょうど5ヶ月前のこと。

読んで、猛烈に後悔した。今まで自分は何をやっていたんだろうと思った。澤さんと同じ頃に最初の本を刊行したのに、かたやノウハウ本まで出していて、かたやまったく読まれない状態に慣れてしまっていて。
まずはTwitterをちゃんとやろうと思った。TLを追うのは僕の目にはとても辛いけど(どんどんスクロールして気になるtweetを探すのは、本当に10分で具合が悪くなるほど、肉体的に辛いんだ。遠視と乱視のせいでね)、今度は人並みのことをやってみようと思った。
そうそう、それでいいんだって、と息子にも笑われた。
それから頑張ってフォローして、コミュニケーションを取れるように頑張った。

今、とても楽しい。つぶやくことも、つぶやかれることも、失態を晒して叱られてしまうことも。自分の至らなさに電車の中で赤くなったり青くなったり、一度や二度ではないけど、とても、大きな幸せを貰っている。僕は少し前までは完全に存在すらしていなかったんだから。今でも、たまに僕の名前を書いてくれる人がいると自分の目を疑ってしまう。嬉しくて、飛び上がりそうになる。(それは大げさ。飛び上がるのは頬の筋肉だ)
意識が高くて腰が低くて、優しくて、面白くて、才能に溢れる作家さんが山ほどいる。セルフパブリッシングによる小説がこれほどまでに豊かな読書体験を与えてくれるだなんて、半年前の僕には全く想像が付かなかった。どっかの誰かがいつか言っていた「素人の小説なんて、8割はクソだ」って言葉を真に受けていた。正直、書店で売っている本より面白い本だってたくさんあることに、疑いはない。本当にレベルの高いものがたくさんある。
僕は、読んで、書いて、あの偏見を変えていきたい。いや、もうそんな偏見はどこにもないのかもしれないけど。

ずいぶんツラツラと長いこと書いてしまった。ここまで読んでくださった人には心からお礼をしたいです。そしてごめんなさい、こんな理屈にもなってない、恥ずかしい文章に最後までつきあわせてしまって。
この埋め合わせは、面白い小説でしますから。お許しくださいな。

もし、僕と同じようにKDPで出しただけで立ち止まってしまっている人がいたら、この文章を読んで少しだけでも勇気づけられたらいいな、と思いながら。
(残念ながら、そういう段階では素人作家のブログなんか読まないんだけど……)

それでは、皆さんおやすみなさい。