その次の『Never Let Me Down』は、初めて買ったCDだった(それまでは、ずっとエアチェックで聴いていた。なぜか、アナログ盤を買ったこともなかったんだ)。
このアルバムは本当に評判が悪くて、ヒット曲も『Day-In Day-Out』とせいぜい『Time will crawl』くらい。でもなぜか、今僕の頭の中では、このアルバムの『Beat of Your Drum』が延々と流れている。そんなに好きな曲でもないのにな。
そして、『Black Tie White Noise』というとんでもない駄作(あ、もちろん持ってますけど)を出した何作か後、もう誰もがボウイは終わったと思っていた頃、衝撃的なスーパー・アルバムが出た(『Outside』もいいアルバムだけど、内容が確か、シリアルキラーを扱ったストーリーになっていた。とてもグロい写真が載っているライナーのせいで、どうしてもCDを買う気になれなかった。その次のアルバムは聴いてなかったけど……)。
そのアルバムとは、『Earthling』。つまり、地球人、というタイトルだ。彼は英国の旗がでかでかとプリントされたコートを身に着け、自信満々にジャケットに収まっていた。売上げはよく知らないけれど、Rolling Stone誌で三つ星半のレビューが付いたのだからきっと評価も高かったのだろう。シングルカットの『Little Wonder』をはじめ、『Dead Man Walking』や『Telling Lies』などカッコいい曲がたくさん入っている。当時まだ三つか四つだった息子が、『Dead Man Walking』をかけるとノリノリで踊り出したことを思い出す。
ところが、である。
そのほんの二、三ヶ月後に、突然ニュー・アルバムが発表されたんだ。『The Next Day』だね。引退したなんて噂を広めておいて、実はその間もレコーディングをしていたんだよね。しかも、ミュージシャンや音楽関係者ですら、彼がレコーディングをしていることは全く知らなかったという。
すごいな。やっぱり彼はやることが一枚上手だ。そう、しみじみと思った。
そういえば、クラウドファンディングが流行り出した頃、ミュージシャンとして真っ先に取り入れてあっという間に資金を調達したという話もあったっけ(記憶違い?)。
『The Next Day』。これは、なんと名作『Heroes』のジャケット写真をそのまま使って、しかも顔が完全に隠れるように白い四角が描かれ、そこにシンプルなタイトル文字だけが入っているという、過去の自分に挑戦するようなジャケットだった。
この前の数枚は今一つだったけど、このアルバムはDavid Bowieらしい、いいアルバムだった。
Mars Bar、Snickers、Bounty、Picnicなどなど、当時オーストラリアではチョコバーがとてもとてもポピュラーなお菓子だったのだ(かなり盛んにTVコマーシャルも流れていたし)。
今ではすっかりどこにでも売っているSnickersだけど、当時は日本になかった。こういった外国製のチョコバーで手に入るものといえば、Milkywayだけだったんだよね。あれも悪くはないけど、あのふわっとした軽さがちょいと物足りない。