今週の一枚─006

今週も、創作とは関係なさそうな一枚。
全く無関係ではない、とは思う。創作に無関係な出来事なんか、創作者の周囲には何もないのだ!

美味しそうに見える?
美味しそうに見える?

果物、大好きなんだよね。

でも、最近ちょっと淋しい。美味しい果物が世間から激減しているんじゃないかと疑っている。
もちろん、デパートの高級な果物売り場に行けば、ある。果物って、かなり値段と味が比例しているから。
でもね、以前はスーパーでもそこそこのものを手に入れられたと思う。

特に、りんご。
何軒も何軒もスーパーを探し回ったけど、美味しいものはほとんどなかった。
青いうちに収穫して、農協から出荷され、どこぞの倉庫で出荷調整されたりんごたち。味が青臭いままで、歯ごたえはカフカフの古いりんごになってしまう。
可哀想なりんごたち。ちゃんと樹で熟していれば、あんな不味いものにはなりようがないのに──。

僕はスーパーで買うのをいったん諦めて、ネット通販に挑戦してみることにした。

で、買ったのが写真のりんご。

あるネット店では、「高級タイプ」と「見栄えは悪いけど美味しい」タイプと2種類が色んな数量で揃っていた。もちろん、後者にしようと思ったけれど、割安で買える数量のものは全て売り切れていた。
果物は重いから、送料もバカにならない。安くて量が少ないタイプのものは、もう、送料負けしていて買う気になれない。で、高級タイプに決定。価格はスーパーで買う一個売りのりんごの倍だ。
さぞ美味しいのだろうと期待して待つ。

箱を開けてビックリ。
歪んだりいびつだったり、色が悪かったり、もう、明らかに農協に出荷できないりんごのオンパレードだ。
これのどこが高級だ! と心で叫ぶ。
(あ、写真は彩度を上げているんだ。美味しそうに見えちゃうよね)

でもまあ、そんなことはどうでもいい。味が良ければ見栄えなんて関係ないのだから。

で、食べてみて二度ビックリ。
不味い。なんだよコレは!

ほんと、「そりゃあねえだろう〜」と力が抜けた。
倍の値段を取られて、味は変わらない。これ、直販だけにぼろ儲けじゃないか。農家の方がそんなことを平気でやるなんて、とても信じられない。もしかしたら、ブローカーみたいなのに上手いこと言いくるめられて、生産者はろくに儲からない仕組みになっているのかもしれないなあ。
「今まで捨てていたものが金の卵になりますよ」なんて言われてさ──。

にしても、「美味しい」というレビューがずらりと並んでいるのはどういうわけだろうか、ね。

今日はここまで!




主人公佐山哲夫は、就職内定後にM&Aで世界的な工業食品コングロマリットに買収された陽山食品工業に就職した。
俺は知ってるんだ。本当に旨いものなどもう、──少なくとも外食産業や一般に流通している食材を見る限り──どこを探したって見つからないってことを。
ある小さな事件をきっかけに、佐山は自らの目に見えていた世界が、本当の世界ではなかったことに気付き始める。

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