さて、最新バージョン1.3の新機能は、まだまだあります。今回は【血管・皺・腱】について見てみましょう。
とは言っても、《血管》などという設定項目は特にありません。リアルが信条のManuel Labですから、筋肉量の多い設定にすると自動的に血管や腱が浮き出し、年齢を上げていくと皺が刻まれます。
これを行なうのがDisplacement Mapです。
簡単に、解説します。
- Displacement Mapping -
自分でポリゴンをモデリングして細かい形状を作るのではなく、貼り付けたテクスチャ画像の濃淡を形状の凸凹として自動的に形状を膨らませたり凹ませたりする機能。
疑似的に明暗を付けて立体を複雑に見せるBump Mapとは異なり、実際に形状を細かく操作してくれます。
Blenderの場合、あらかじめ形状を細かく分割してあれば複雑な立体になりますが、分割の少ないローポリゴン形状では、効果は出せません。そのため、形状データは重くなり、ビューポートでの操作も遅くなることがあります。
Manuel Labで筋肉量などに関連するパラメーターをいじると、内部で自動的にDisplacement Mapの画像を生成し、その画像を用いて凹凸を生成してくれます。
さっそく、その効果を見てみましょう。
いやあ、リアルですねえ、オリンピック選手みたいですねえ……。
次に、年齢を変えて顔を見てみます。
こちらもすごいリアルさです。ちなみに、今回のモデルは北欧系です。確かに、それっぽいです。
で、関係のあるパラメーターはこちら。
Character_ageを増やせば皺が増え、 Character_massを増やせば太ったことに関連するディティールが増し、減らせば痩せたことに関連する皺などのディティールが増します。Character_toneを増やせば筋肉量の増加と共に血管などが浮き出します。
シンプルですね。
そして、このパラメーターをリアルタイムで確認できるのが、Skin editor tools内にあるこの設定。
設定を変更した後は、Update displacementボタンを押して画面表示に反映させます。
注意事項:プレビューに関しては表示させなくても構いませんが、「Update displacement」ボタンは必ず押してください。そうでないと、設定の効果がレンダリングに現われません。
Enable displacement previewがオンになっていないと、画面上では変化はありません。ちょっと言葉的にわかりづらいですが、「Enable」と書いてあれば、「有効化する」という意味なので、「今は無効」という意味になります。
subdivisionという言葉、今まで何度か出てきていますね。前回も書きましたが、これは、ポリゴンを自動的に(かつ滑らかに)細かく分割してくれる機能です。ローポリゴンだとdisplacementの効果が出ませんが、このsubdivision(=再分割曲面)によって、細かなディティールが表現されます。
つまり、両方をオンにしていると、動作が重くなります。でも、とてもリアルにプレビューされます。どちらもオフの場合でも、プレビューはされなくともレンダリングの際は効果が適用されます。なんとなく雰囲気がつかめた後は、プレビューはオフで構わないでしょう。
いかがでしょうか、作成したモデルが、更にリアルな感じになりましたよね!
さて、最後に、Manuel Labのドキュメントページの下の方に文字だけで書かれた、「その他の新機能」を(わかるところだけ)ちょっと訳しておきますね(これまでに触れたものは除きます)。
この中から、自分で試してみて面白そうなorためになりそうな機能を、次回は解説しようかなと思います。
その他の新機能
- カスタムで付けたポーズを保存、読み込み可能に
- 作成済みモデルを再度初期化できるオプションを搭載
- 瞳のサイズを変更可能に
- 首のカーブを設定可能に
- 頬の膨らみと硬さを設定可能に
- 左右均等の立ちポーズ(=Tポーズ)を追加
改善された機能
- ファイナライズのボタンから、カスタムプロパティを削除
- エラーと警告をコンソールにも表示しログファイルにも含ませるように
- プロクシ(外部から読み込んだ服などをモデルに適用する機能)のパネルに、操作性を向上させるツール類を追加
- 胸のモーフィング機能を改善
- 表情のリセットボタンを追加
また、機能ではありませんが、GUIの改善や、様々なバグフィックスも行われています。
Manuel Labをお使いの方は、ぜひ、1.3へのバージョンアップをご検討のほどを──。
では、また次回!