詩/「わたしのこと、わかってほしい」

「わたしのこと、わかってほしい」
「きみのこと、わかってあげたい」

「あなたになんか、わかるわけない」
「ぼくになんか、わかるわけない」

噛み合うことのない
絡み合うことのない
ぼくらの平行世界は

まるで
プラスチックで作られたSFみたいに
未来へずんずん続いている

「きみのきもちは、わかる気がするよ」
「あなたにわかってもらえて、とってもうれしい」

それは、平行のまま
わかりあうという
永遠の矛盾を抱えて

きみとぼくの未来を
形づくってゆくのだ

幸せとか
不幸せとか
悲しみとか
喜びとか

少しずつ、ほんの少しずつだけ
重なり合う何かが
二人の間を流れてくれる

そういう瞬間が
同じ瞬間に感じられれば

それは永遠の平行世界を
耐えられる現実に
引き寄せてくれるんだ

だから、
今日もそっと、
声に出さずに言ってみる

「きみのこと、わかってあげたい」って




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