読んだよ/折羽ル子著『円盤対猫』
独特な語り口に才気を感じる。
あの、漫画のはちゃめちゃな世界がそのまま小説になっている。
無駄にしつこい描写や細かな設定(しかも本筋と無関係と思わせておいて、やっぱり生きている。念のため)、これでもかというふざけた固有名詞──。
これ、好きなひとにはめちゃくちゃアピールすると思う。
好き嫌いは別れるかな。
惜しむらくは、故意なのかミスなのか分からない言葉や文字が多いこと。明らかな変換ミスのようなものなのに、作者が故意に忍び込ませたのではないかと、それによる難解さを狙っているのではないかと思うと、指摘もできないし……。
(ご本人もどこかで「実験的」と仰ってましたし)
やはり面白かったのは表題作の『円盤対猫』。大枠ではちゃんとストーリーがあって(笑)、オチも付いているので。
僕の好みで言っちゃうと、もう少し整理して読みやすくしたら、もっと幅広い読者にアピールできるんじゃないのかな、と。
と思ったけど、そんなに幅広い読者を想定してはいないのだろうな、とも。
《好きなひとだけ好きになってよ!》オーラをびしばし感じる。
でもなあ、ん〜、惜しい。と、つい思ってしまう。
(いや、私見なので)
とても情報量が多く、文章に勢いのある方なので、短めの作品(『円盤対猫』のようなストーリー性があって)が向いているような気もするけど、それは僕がそういうものを読みたいというだけであって、ご本人の書きたいものとは違うだろうし──。
ごく短い言葉遊びのような作品もいい味出してるわけだし……
何か一捻りで大化けするような気がするんだがなあ。
もちろん、僕には正解は分からないけれど……。
では!
《あとがき》
と、上のリンクを埋込むために折羽ル子さんのAmazon著者ページを見たら、びっくり、21作(表紙イラストご担当も合わせて)も出してらっしゃるんですね〜!
こりゃ、別の小説も読んでみなきゃ、と反省する淡波でした。
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