『ティプトン』連載第7回

“ソーは再び視線を冷凍睡眠装置の中で眠るケイトの横顔に向け、手にしたフラッシュライトの光でそっと照らした。細くて形の良い鼻筋は少しだけ反っていて、固く閉じた目にはシルバーブロンドの長い睫毛がきれいな半月を描いていた。冷凍されているというのに、僅かに開いて見える唇には血の気があるかのような赤味が差していた。”

『ケプラーズ5213』より


── 7 ──


花のような少女という比喩を
わたしはあるとき見つけた

わたしの知っている自然の中に
あの少女のような花はない

その言葉が生まれたとき
花は、
少女たちは、
美しかったのだろう

私の人生の中で
出逢うかもしれない
どんなに美しいものよりも
きっと

長いのか
短いのか
囚われているのか
自由なのか

答えのない
宙ぶらりんの心で

ああ
それでもなお
その言葉を愛おしいと思うわたしは

少女のような花の美しさを
愛おしいと思わずには
想像せずには
いられないのだ

恋しているだろうか?

花のような少女は

あの
少年を


本連載は、原則として毎週木曜日に掲載します。

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地球を旅立って三千年後、人類は尊い犠牲を払いながらも、計画通りに492光年彼方の惑星ケプラー186fに到着した。
人類は惑星の各地に入植キャビンを送り込み、水と緑に溢れた美しい新天地に入植地を築きつつあった。
だが、人類の生息環境として申し分ないその惑星に、先住生物が存在しないはずはなかった。


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