詩/夜の水たまり


もしも
夜の水たまりに
美しい淋しさを見たとしたら

もしも
ほの暗い外灯に照らされた
しおれた花びらに
美しい哀しさを見たとしたら

それは、
そこにあるから見えたのではない

それは、
わたしの胸の中にある
どうしようもなく重たくて
どうしようもなく厄介な塊が

わたしのこころの表面に
裏側から映し出さずにはいられなかったのだ

世界は
描かれるためにある
でも世界は
描かれるためだけにあるのではない

胸の奥の不確かなものたちと
語り合うためにあるのだ

もしも
悲しい顔をした少年が
胸の奥で泣いていたら

そんなことを
ささやいてみようか
今度こそ




淡波ログに掲載した作品を中心に書き下ろし作品を加えた初の詩集『猫になりたい』。
乾いた心にするりと忍び込む、読みやすい詩編を多数収録しています。


『猫になりたい』は、楽天KOBOさんから《例の》201円作戦で出てます。今週は売上げがさっぱりで、ランキングからは消えましたが……(ランキングから消えたって、作品の良さは変わらないぜっ!)。こちらですからね!

読んだよ:牛野小雪著『火星へ行こう、君の夢がそこにある』

牛野小雪さんは嘘つきだよ。
プロフィールを見てよ、書くのが牛のように遅いと言うのだから。
だってさ、待ってくださいよ。去年はしっかりした(?)長さの長編を3冊出しているし、そのうち1冊は大長編だ。今年だってつい先日新作を出したと思ったら、もう次の表紙を作っているという。
そろそろ、プロフィールに書いてある自己紹介を修正した方がいいんじゃないかと、真面目に嫉妬する自分がいる。

僕についてはたくさん出版してるイメージを持っている人もいるようだけど、そうでもない。大長編の執筆には3年掛かったし、去年から今年の年始にかけてサクサクと何冊も出せたのは、ブログの連載をまとめたり、短編だったりしたからだ。
ステディなペースで長い作品をきちんと出し続けている牛野さんと違い、僕の出版ペースはなんと気まぐれなことか。いかんいかん。
まあ、そんなことはどうでもいいとして、どんどん出る、どんどん書けるということは、ファンにとってはとっても嬉しいことだ。
(ご自分では昨年あたり、ずいぶん書けない書けないと「書いて」いたけど、いやあ、むしろコンスタントに書いてますって!)

僕は牛野小雪さんの小説のファンだ。
どんどん書けることに嫉妬はするけど、小説には嫉妬しない。
だって、そもそも僕にはああいったタイプの文学作品は書けないもの。読んで、楽しんで、じわる。単純に、ファンでいられるのだ。

彼の小説は、文学だ。
と、僕は思っている。ときどき、夏目漱石の小説を読んでいるような気がすることがある。褒めすぎだろうか?

そんな彼の初めてのセルパブ作品がSFだったということを、何かの拍子に思い出した。そういえば、未読だった。

『火星へ行こう、君の夢がそこにある』
という作品だ。ちょうどこの冬に話題になった映画との共通性もあって、気になっていた。牛野小雪さんが書くと、どんな話になるのだろう、と。
約3年前の作品だから、くだんの映画とはもちろん何の関わりもない。氏が原作を読んだ可能性も低いだろうと思う。「火星移住モノ」といえば、ジャンルの一つとも言えるだろうし。

SFといえばSFだった。
SFではないといえば、そうではなかった。

いつもの牛野文学が、そこにはあった。いまの作品につながる萌芽どころか、もう既に完成されていた。もちろん、編集が入らないことによる粗削りさは置いておく。脱字もあったし、てにをはのおかしなところや気になる重複表現もあった。だが、それが何だというのだろう(もちろん、直すべきだとは思っている)。

プロの作家が完璧な作品を上梓できるのは、作家と出版物の間にスタッフがいるからだ(もちろん、それを必要としない天才作家もいるけど、それは例外として)。そこに作品の完璧性(誤謬を追放すると言う意味での完璧性)を担保するシステムがあるからだ。セルパブ作家にはそれがない。
──もちろん、僕はある意味、そのシステムの一角を担いたいと密かに思ってはいるけどね。

今回は、「おかしいな」と思った箇所をほとんどメモらなかった。済まんです……。
でもね、それには理由がある。
夢中で読んだからだ。Kindleにハイライトを付けたりする手間も惜しかった。どんどん読みたかった。読むのを止めたくなかった。長い作品ではないといっても、一日で読み切るにはそれなりの量だ。2時間半超はかかったと思う。
その間、夢中でどきどきしながら、じわりながら、読み続けていた。中だるみも、肩透かしもなかった。

特別何も起こらないのがいい。
火星まで行っといて、私小説なのだ。取り立てて文学っぽく飾ろうともしていない。美文でもない。でも、読後感はと聞かれれば、文学作品を読んだ後の感慨と同じなのだった。これこそが牛野ワールドなのだな。

三人称で書かれているけれど、限りなく一人称に近い主人公視点の三人称。だから、主人公の知らないことは書かれていない。書かれていなくても違和感がない。SFにありがちなバックグラウンドの説明もほとんどない。火星開発公団のひとたちから聞いて鵜呑みにしたり勝手に解釈したことが書かれているだけだ。そこにまた、現実っぽさがある。
僕らは何もかも分かって生活しているわけではない。分からないことばっかりだ。

SFとしての考証はきちんとしていない部分があるだろうけど、それは主人公の頭の中で解決していればいい話として納得できる。主人公の知らない技術のこと、間違って覚えている技術のことは、それを作者が正す必要もないのだ。

ああ、こんなSFの書き方もあるんだなあと、氏独特の文章を読み終わって惚れ惚れした。

牛野小雪さんの小説には、裏切られたことがない。
今後もきっと、裏切られることはないだろう、な。
──と期待に目を輝かせて。
(プレッシャーをかけてはいませんよ)


Manuel Bastioni LABを使おう!(その5)

さて、今週もManuel Labの時間がやって参りましたよ。
裸ばかりでは絵作りに使えないので、今回からは洋服作りに挑戦します。
ちょっと難しい内容も含むかもしれないので、何回かに分けていきましょう。

その1の今日は、スカート作りです!

まず、いつも通り、Blenderを起動したら標準のキューブを消し、Manuel Labのタブからキャラクターを生成します。

01

今回は、極地ヨーロッパ系の白人女性にしました。
立ちポーズは、Standing Basicです。

ここまで、いいですよね?


さて、編集に入る前に、ちょこっと用語の説明を挟みますね。

頂点、エッジ、フェイス(ポリゴン)
頂点、エッジ、フェイス(ポリゴン)

・画面上の黒い線が「エッジ」、線と線の交わる点が「頂点」、四点で囲まれた平面が「フェイス(ポリゴン)」です。
ポリゴンを選択するときは、平面の中央にある点をクリックすると選択しやすくなっています。

・既に選択されている部分がオレンジ色、最後に選択した箇所が白くなります。複数の場所を選択するときは、Shiftを押しながらクリックします。

【連続選択の方法】
・頂点編集モード時
二つの頂点の間をalt+クリックすると、その延長線上にある全ての頂点が選択されます。連なった頂点は、エッジとなります。
・エッジ編集モード時
エッジ上をalt+クリックすると、その延長線上にある全ての頂点が選択されます。
・ポリゴン編集モード時
二つのポリゴンの間にあるエッジをalt+クリックすると、そのエッジの両側にあるポリゴンの延長線上にある全てのポリゴンが選択されます。


では、スカートを「生やす」場所を設定します。
赤い筋が入っているエッジがちょうど良いので、ここにしましょう。

・まずはeditモードに入ります。
・次にalt+クリックで、エッジをぐるりと選択します。
・体まるまる1周は選択されないので、ビューポートを回して後ろ側を見て、Shift+alt+クリックで、選択エッジを追加します。

しっかり1周選択できたでしょうか?

02

・Eキーを押すと、エッジが押し出されます。この段階ではエッジは全く同じ場所にあって、押し出されたことはわかりません(マウスを動かさないように注意してください。動かすと、その方向にエッジが移動します)。
・Sキーを押して拡大縮小モードに入ります。
・画面上でマウスをエッジから遠ざけると、押し出し機能でコピーされたエッジが広がります。
・これを、下方向に移動すると、スカートの基本形が出来ます。
・手がめり込んでいますが、これは気にしないでいきましょう。
・お尻がはみだしているので、これは修正していきます。
・GIFアニメを見ながら、調整してみましょう。

02

だいぶ、スカートらしくなりました。
もう少し、伸ばしてみましょう。

・ビューを正面向きにします(テンキーの1を押します。テンキーのないキーボードの場合は、「View」メニューから「Front」を選択します)。
・下端のエッジをalt+クリックで選択します。
・Eキーで押し出します
・そのままGキーを押して移動モードに入り、脚の形に合わせて位置を調整しながら下げていきます。

04

うまくできましたでしょうか?

さて、ここからはスカートに色をつけていきます。

・まず「頂点」モードから「Face(ポリゴン)」モードに変更します
・一番下のポリゴンの並びで、ポリゴン同士の間(のエッジ)をalt+クリックすると、ぐるりと1周分、ポリゴンが選択されます。
・Ctrl+「+」キーを押すと、選択範囲が上に拡大されます(MacはCommand+「+」キー)。
・右側のパネルでマテリアル(赤っぽい丸のアイコン)が表示されていれば選択。されていなければ、パネルの幅を少し広げます。
・スカートのためのマテリアルを用意します。
・まずは、マテリアルが二つ並んだボックスの右にある「+」ボタンを押します。
・ボックスの下に現われた「New」ボタンを押すと、新しいマテリアルが作成されます。後で分かりやすいように、名前を付けておきます。
・スカートのポリゴンが全部選択されていることを確認して、「assign(アサイン)」ボタンを押します。これで、今作ったマテリアルがスカートに設定されます。
・「Diffuse」と書いたところの白い四角が、色の設定です。ここを押すと、カラーホイールが現われます。
・カラーホイールで好きな色に設定します。
・タブキーを押してエディットモードを抜けてみましょう。ちゃんと、スカートに自分の設定した色がついていますか?

05

さて、本日のレッスン(?)はここまでです。
次週は、上半身の服を作ります。今回よりちょっとだけ難しいですが、ぜひ、挑戦してみてくださいね!

──わかりづらいところや上手くいかなかったところなど、ぜひ、コメントを寄せてください。出来る限り、わかりやすいように捕捉・修正しますので──

ではまた!

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残しておきたいツイート─018

今晩はここから。

1.

これは、今も課題。
『ルルルとリリリ』の挿し絵を描いているのだけど、明らかに『フックフックのエビネルさんとトッカトッカのカニエスさん』の時より一つの挿し絵にかける時間が延びてしまっているのだ。点数はずっと多いのに、このままじゃ終わらないよと思いつつ、途中から手を抜いた感じになるのもなんなので、疲れた体に鞭を打っていたりして──。
(あ、ちなみに、Amazonさんでは鳴かず飛ばずの『サタンと呼ばれた男』は、楽天さんで201円プランを決行してからちょびちょび出てます。ちょびちょびですが、ね)

2.

3.

お約束のエンデ先生連投。
まさに、取っておきたい言葉たち。

4.

あ、そうなんだ、と思い出した小ネタ。

5.

あ、続きがあった……。

6.

これは自分用のメモに近いかな。
ハイダイナミックレンジで撮影された写真は、加工のしかた次第で解像度を上げることが出来る。その方法。
これ、結構便利そうなんだけど、未だに必要になったことはないか……。

7.

自分の頭で考えよう。と思わされる。思い出さされる。

8.

『ルルルとリリリ』を見直しててじ〜んとしちゃったんですよ、恥ずかしながら(ぽ)。

9.

これね、もっとやりたい。

10.

調子に乗ってハッシュタグを作ってみたけど、自分しか使ってなかった。というオチあり。
これ、本物の動画より良く見えたりするなあ。

11.

12.

宣伝ついでにね。

今日はここまで!

コピーとカバー

ども。
今晩は、創作におけるコピーとカバーについてちょこっと考えをめぐらしてみます。

バンドなんかをやってると、コピー(=ある曲をそっくりに演奏する)っていう行為がとても日常的なものなんだろうと思う。
でもね、僕はほとんどこのコピーってやつをしたことがないのだ。
好きな音楽、自分で演奏したい音楽はいっぱいあるけど、そっくりにやろうとすること自体がもう、面倒くさくなってしまう。
それじゃあかんと思っている。何のためにコピーをするかっていうと、それは自分で演奏してみたいから、ではない。
それは、絵画における模写と同じで、勉強なのだよね。

若い頃、音楽に関しては(ん? 何に関しても?)練習も、勉強も嫌いだった。
耳コピもほとんどしなかったから、音感も発達しなかった。アレンジの勉強のために、一曲丸々を完コピすると相当ためになるらしいというのは理解できたけど、その根性もやる気もなかった。

その代わり、僕は好きな曲を結構カバーした。
好き勝手に、自分ぽく演奏した。
でもそれは、自己満足でしかなかった。せっかく尊敬する先達たちの名曲を演奏しても、自分のテクニックや感性の範疇に閉じこめてしまっていたのだ。

すっかり大人になってしまった今となっては、それがよく解る。
──後悔は、決して先には立たない。

文学で完コピってのはどうなんだろう?
尊敬する作家の名作を、そのままワープロで打つ、あるいは手で書き写す。
(──写経か?)
これはひょっとして、何度も何度も繰り返し書くといいのかもしれないな。短い作品を。長い作品なら一度でいいのかな?
その作家のエッセンスとか、文体とか、自然に自分の中に入ってくるのかもしれない。でもそれは逆に、その作家に染められてしまうことかもしれない。
まあ、それは音楽の完コピや絵画の模写も同じことかな。だから、やるのなら徹底的にたくさんやったほうがいいのかもしれない。
「守破離」の「守」ってのは、結局そういうことなのだろうし。

学生の頃にちょっとだけドラマーをやってたことがある。あの時は、バンドで演奏する課題曲をとにかく聴きまくって、ドラムのフレーズを完コピしようとした。あれは、やっぱり勉強になったと思うのだ。その後、ウチコミで作る曲にも、その頃学んだことが顔を出したりする。でも、それは基本的なドラミングだけだ……。
どうしてその経験をもっともっと後に活かさなかったのか、それが若さってやつの限界なのか……。それは、人まねしたくない病の永遠罹患者である僕(ネガティブな意味で)の、限界だったのだ、な。

そんなこんなで、時々熱病のように「完コピしなきゃ」という気持ちがぶぶっと湧いてくることがある。そうすると、その対象作品をずっと研究し続けたりする。
だけど、それで満足しちゃうのだな。形にしなくてもいいか──って。

それが、いかんのだ……!

まあ、なんかね、それでもやっぱり本当はちゃんとそういう基本をやっておきたいよなあと、しみじみ思ったりする今日この頃でした。
(オチがつかなくて失礼!)

じゃまた!

今週の進捗どうよ?

進捗と言えば、『ルルルとリリリ』。
紙に出力して行なっていた推敲&校正が終了し、修正内容の反映に入りました。同時に、章ごとの内容をもとに二話分に一点の挿し絵を描くべく、内容を考え始めたところです。
そんな感じですかね。
あ、これで終わっちゃったらツイートの文字数よりも少ないので、修正に際して気を付けているポイントをちょっとだけ書いておきたいと思います。

「表記の統一」VS「書きたいように書く」。
これは常に悩んでいるところ。同じことを言うのでも、同じような言い回しをするとビジネス文書みたいに味気なくなってしまいます。表現の幅を広げることと、表記を統一することとはまた違った次元の話ではあるのですが。

例えば、全文にルビを振っているこの『ルルルとリリリ』では、仮名の振り方にも揺らぎがあります。

行く(いく)
行く(ゆく)
行った(いった)
行きます(いきます)
行きます(ゆきます)

これらは、国語表記としてはどちらも許されているもの。同じ言葉でも、場面の雰囲気や柔らかさなどによって、変えたい場合が出てきます。音読してみると更にその違いが鮮明になったりして、本当はどちらかに(どちらかと言えば「い」に)統一するべきなんじゃないかとも思うのですが、そこは正しく書くよりイメージの湧く文章を書くことを大事にしたいのですよね。

どっちでも変わらないって?
そう思える人は、それでもいいんじゃないかと思うのです。でも僕は、読んだときの言葉にならない雰囲気を大事にしたいのですね。
え?
そんなの勘違いだって?

それならそれでもいいのです。
読んだときに自然に入ってきて、僕が出そうとした・込めた空気を感じ取ってくれる読者さんが少しでもいれば、それはそれで成功なんじゃないかと。

『ルルルとリリリ』。
今、とても気に入っている作品です。
自分で読み終えて、いい作品を書けたな。と久々に思えました。

でも、説教臭いとか、皮肉を込め過ぎとか、感じる人もいるかもしれません。ただの面白い童話だと感じる人もいるかもしれません。僕は、ルルルとリリリの行動や、ガートルードの変化が、自分で書いていてとても嬉しかったのです。作者としても、結末を待ち望む読者としても、ね。

じゃ、また明晩!



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今週の一枚─012/緑の手、茶色の手

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先週と同じヒメエニシダの写真だけど、これは偶然。別の日に撮ったものだよ。

と、いうことで、ガーデニングを始めたばかりの人にとっては恐怖を伴うこの言葉「緑の手、茶色の手」。
簡単に説明しておくと(出所は知りませんが)、こんなこと。

・世の中の人の手は、二つに分類される
 それは、緑の手と茶色の手
・緑の手を持つ人は、植物に愛されている。世話を焼く植物はその愛情に応え、美しく育つ。
・茶色の手を持つ人は、植物に愛されることがない。どんなに一生懸命育てたつもりでも、枯らしてしまう。
 いや、そうではない。茶色の手を持つ人は、植物を愛することが出来ないのだ。愛したつもりでも愛していない。だから枯らしてしまう。

僕はずっと昔に一人暮らしをしていた頃、この言葉を知った。誰か、友達に聞いたのだと思う。
殺風景だったアパートの一室に、ゴールドクレストという杉の仲間の観葉植物を買ってきた。それから僕の部屋は、なんだか素敵な空気を身に纏ってくれたような、気がした。当時はまだネットもなく、どうやって育てればいいのかよくわからなかったけど、園芸好きな自分の母親がやっていたことを何となく思い出しながら、水やりをしていた。水やりしすぎると根腐れを起こすから、足りないくらいの方がいいだろう。とか、自己流で。花も実も付けないものだから、肥料もいらないだろうと思っていた。

でもたった二三ヶ月で、ゴールドクレストは枯れてしまった。
「樹」なのに!
強いと思っていたのに!
枯れ難いと思っていたのに!

それから僕は、自分の手の茶色さ加減に嫌気が差して、もう植物を育てるのはやめようと思った。
(たった一度の失敗なのにね。若かったのだ)

その後結婚し、やがて庭のある家に住むことになった。
庭いじりをして、「茶色の手」を克服するのが一つの夢だった。
何年かして、あの言葉が嘘だと言うことを知った。たしか、やはりガーデニングの好きな妻のお母様から聞いたのだと思う。

誰だって、植物を育てれば枯らしてしまうことがある。好きな人ほどたくさん育てるから、枯らす量も多い。
いつでも緑に囲まれているのは、枯れたら新しいのを植えるから。だから、枯れたものが目に付かないだけだ。
──と。

冒頭の写真は、別の意味で「緑の手、茶色の手」という言葉が事実でないことを裏付けるものだ。
僕は、このヒメエニシダを育ててはいない。肥料は勿論、水もやってはいない。
庭を手に入れた最初の何年かは、夏になると必ず庭の水まきをしていた。やっぱり、乾燥して植物が枯れてしまうと悲しいからだ。

ところが、庭の植物は僕の考えよりずっと強かった。
水が足りなければ根を伸ばすだけだ。勿論、それで枯れてしまうものもあるけど、どっこいどいつもこいつも結構強いのだ。

写真のヒメエニシダは庭の別の場所にある親木からタネが落ち、勝手に生えてきた子供だ。
あんなに大きくなっていることに気がつかないほど、僕は庭仕事から遠ざかっていた。水やりも全然していないし、雑草取りもジャングルになってしまう寸前までやっていない。毎週毎週、週末にせっせと雑草をむしるだけのエネルギーが、体に残っていないのだもの、仕方がない。

それでも木は伸び、花はどんどん咲き、柚子はたわわに実を付ける。今年のライラックは素晴らしく美しい。

「今週の二枚」になっちゃったけど……
「今週の二枚」になっちゃったけど……

植物は、強い。
僕らの手の色なんか、全然関係ないのだ。




人類はいったいどこまで行ってしまうのか……?
どんなに奇想天外な未来でも、明日にも起こり得るのではないかと変に納得してしまうことの恐ろしさ。
科学と文明の過剰な発達がもたらすかもしれない様々な「そののちの世界」の出来事を、SFタッチで、ダークなタッチで、またはユーモラスに描いた短編集です。

第三話の本作は、『フローラ』
歩きながら、歩道の脇に眼をやる。アスファルトとコンクリートの間、ほんの僅かな隙間から、イネ科だろうか、雑草がびっしりと生えている。大半は薄茶色になって枯れていたが、その間からは緑色の新しい芽が伸びている。
「植物こそが真の主役、ね……」
本当にそうだろうか?
「あれえ?」
作業員の上げた素っ頓狂な声は走り去る潤の耳には届かなかったが、他の作業員の一人が何事かと目を剥いて半身を起こした。

詩/間違ってる


ぼくらはみんな間違ってるだけだから
正しさになんか
寄りかかる必要はない

当てにならない価値に
価値を感じる必要なんかない

ぼくらはみんな間違ってるだけだから
間違ってる誰かを
責めることなんかできない

うん、
うん、
うん。

だからと言って正しさは
否定すべきことでもない

正しくあろうとし続けることは
間違ってるからこそ
できるものなのだろう?

あなたは正しいんだよって
誰も言ってくれなくたって

あなたはきっと
考え続けるのでしょ

あなたはきっと
探し続けるのでしょ

その先には何もないよって
わけ知り顔で言われたって

手探りで道を外れてゆく姿を
憐れだねってさげすまれたって

考えなくたって
答えはここにあるよって
いやらしい顔で笑われたって

あなたはきっと
あなたでしか

あなたはきっと
考えることでしか

だって、
正しいとか正しくないとか
それが答えなんだって言うみたいに
割り切った顔なんか
できないんだから

きっと、
あなたにだってできないんだから
たぶんぼくと、
おんなじように

ぼくもあなたも
間違ってるだけだから
自分のこころで
探し続けるだけだから




淡波ログに掲載した作品を中心に書き下ろし作品を加えた初の詩集『猫になりたい』。
乾いた心にするりと忍び込む、読みやすい詩編を多数収録しています。


『猫になりたい』は、楽天KOBOさんから《例の》201円作戦で出てます。今週は売上げがさっぱりで、ランキングからはにまで上がってます!こちらですからね!

エビとカニ、あなたはどっち?

その昔、プロのミュージシャンを目指して、バイトで糊口をしのいでいた頃のことだ。ある学生バイトくんが、僕に言った。

「エビとカニと、どっちが好きですか?」
僕はちょっと考えて、エビと答えた。
エビフライ、グラタン、シーフードパスタ、甘エビなどなど、食卓によく上がる食材だし、馴染みがあった。カニは、子供のころから食卓に頻繁に上がるものではなかったし、明確に好きだ嫌いだと言えるほどに馴染みがなかったからだ。
バイトくんはニヤリと笑って、こう言ったんだ。
「それ、サラリーマンで我慢できるタイプってことですよ」
「え?」
僕の目は点になった。サラリーマン的なバイト生活を続けていたが、それはほんのいっときの繋ぎで、正社員として就職する気なんか微塵もなかった。こうやって昼間働いているのは仮の姿なのだ。日々そうやって自分に言い聞かせていた自分の何か深い部分を、触れてほしくない部分を、ぐいっとえぐられたような気がしたのだ。

彼は言った。
「とことん旨いものをちょっとでも食いたいか、そこそこ旨いものをたくさん食えるか、って言う……。要するに安定と冒険のどっちに重きをおくか、みたいな。あれ? 嫌なんすか、サラリーマン」
痛いところを突かれたのか、見たくもなかった《唾棄すべき自らの未来の姿》を垣間見せられてしまったというのか、僕はとても嫌な気持ちになった。
自問した。本当のところ、どうなんだ? 音楽だけでやっていく度胸があるのか? 月給の保証されない生活で暮らしていけるのか? と……。
給料は安かったけれど、お堅い仕事でやり甲斐も無くはなく、バイトなのに責任ある仕事も任され、しかもミュージシャン志望だということでわがまますら聞いてもらえるバイト先だった。でも、こんな社会に出てもいない学生バイトに、そんなことを言われたくはなかった。
(自分がちゃんと社会に出ていると言えるのかというと、それも怪しかったけど)

僕はあれから、ことあるごとに、人生の様々な岐路を迎えるたびに彼の言葉を思い出し、自問し、結局安定を優先してしまったことに身悶えている。安定に背を向けていれば成功したかなんてわからない。むしろ、何者にもなれず食ってもいけなくて、家庭を築くこともままならない最下流中年になっていた可能性の方がはるかに高い。たとえ、1度はメジャーデビューという夢をこの手に握ったのだとしても。

サラリーマンになって、もうすぐ20年になる。収入は安定し、二人の子供を大学まで行かせることもできた。家も、車もある(価値観が古いぜw)。
でも、未だに僕はここから逃げ出したくてたまらない。いつもうずうずし、不満を溜め、心の中で辞めたい辞めたいと呪文のように唱えているのだ。

皆さんは、どうですか?

「エビが好き? カニが好き?」


エビとカニ、といえばこの童話、ですね。
あ、こちらはこの話とは全然関係ないですけど。




初の連載小説にしてほんわかしたお伽話『フックフックのエビネルさんとトッカトッカのカニエスさん』。
大変好評を戴いた物語はそのままに、新たに描き下ろしの挿し絵を加えた電子書籍版です。

Manuel Bastioni LABを使おう!(その4)

全国1千万Manuel Labファンの皆様、お待たせしました。
「Manuel Bastioni LABを使おう!」のシリーズも、4回目を迎えました。

今回はコスチュームの話をちょっと、と思っていましたが、前回のモデル作成をちょっと捕捉しておかなきゃと思います。
「Mix」の使い方、マニュアルをちゃんと読んで勉強しましたので。

よくわからないけどいろいろできるみたい、と書いた「Mix」ですが、ちゃんとありました。説明が。

まず、アニメ少年(クラシック)を作ります。

「Anime Classic Male Shojo」を選択するだけです。

少年がShojoなのはご愛嬌
少年がShojoなのはご愛嬌(深い!)

デフォルトでアフリカンです
デフォルトでアフリカンです

「Mix」にチェックを入れます
「Mix」にチェックを入れます
Specialtypeのボディビルだーを選択すると……
Specialtypeのボディビルダーを選択すると……
いきなり筋肉が!
いきなり筋肉が!

この状態、デフォルトのアニメ少年「Style1」と「Specialtype Bodybuilder」のちょうど中間だそうです。新しいタイプを選択すると、今の状態と新しいタイプの中間の形状になるというのが、この「Mix」の機能。
では、もう一度、「Specialtype Bodybuilder」を選択します。

筋肉量、増加!
筋肉量、増加!

更に。

どんどん逞しく!
どんどん逞しく!

更に。

ここまでで、ほぼ「Specialtype Bodybuilder」の体型になった模様。これ以上は変化がありません。
ここまでで、ほぼ「Specialtype Bodybuilder」の体型になった模様。これ以上は目に見える変化がありません。

では、ここから今度は「Specialtype Obese(肥満)」を選択すると──

ずしん。身長も縮みます。
ずしん。身長も縮みます。

もう一回。

お腹がかなり怪しくなってきて──
お腹がかなり怪しくなってきて──

ここらで限度……

ああー、食った。
ああー、食った。

と、いう感じです。
この「Mix」チェックボックスがある項目は、いずれもこのように変化するとのことです。
これだけで、狙った基本体型が作れそうですね。

ちなみに、アニメ以外の基本形の中には、「Younger」、「Older」というタイプもあります。

ここですね
ここですね

Older。ほうれい線がくっきり出ていますね。
Older。ほうれい線がくっきり出ていますね。

youngerを何度か選択すると、背も低くなります
youngerを何度か選択すると、背も低くなります

Olderを何度か選択しても、それほど老けてはくれないようです。Youngerではこのくらいで、子供にはなりませんでした。
このYoungerとOlderの間の年齢なら、コントロール出来るということですね。

思ったより長くなってしまいましたね。
コスチュームのお話は、次回をお楽しみに!!

next

淡波亮作の作り方