エビネルさん裏話

こんな記事を書いて、誰か興味を持ってくれるのだろうかと思いつつ──。

僕は本当に計画的にものごとを進めるのが苦手だ。無事に完結したのでバラしてしまうと、実は『フックフックのエビネルさんとトッカトッカのカニエスさん』は、何も、一切何も考えずに書き始めたお話なのだ。粗筋も、設定も、なあーんにも。

ある朝目が覚めたとき、
《フックフックの、エビネルさん》という言葉が頭に浮かんでいた。

何だろうこれ? と思いながらも、既にその時、物語の、しかもこれまでに書いたことのないタイプのお伽噺の種になりそうな気がしていたのだ。そしてその言葉を布団の中でくり返すうち、《と》が浮かんだ。

「あ、対になる何かだ」と思った。

「エビネルさんだから、エビ。じゃあ、カニだな」と、信じられないほど短絡的に、空想を繋いだ。

「カニ、が頭で、エビネルさんと対になりそうな名前は……うーん、、カニエスさんがいいや」
「じゃ、国の名前は?」と、考えて、フックフックが国の名前であることに気づいた。
「トッカトッカ」
「あ、決まりだ。『フックフックのエビネルさんとトッカトッカのカニエスさん』これはいいタイトルだな」
そんな調子だ。

エビだから、痩せている。と考えたわけではないのだけれど、何となくエビネルさんは痩せたイメージだった。《やせっちょ》という言いかたを思いついて、これはお伽噺っぽいなあと自分に感心していた。
「対だから、カニエスさんは《ふとっちょ》だな」これもすぐに決まり、でもそれだけじゃつまらないから、ということで、《やせっちょだけどお腹は出ている》というイメージが出来た。当然、カニエスさんは《ふとっちょだけどお腹は出ていない》キャラクターだ。
エビネルさんはお酒が好き、という設定も、もちろん、このお腹から。

それだけ考えて、とりあえずタイトルをメモって、いきなり書きはじめたのだ。そう、ストーリーは何一つ考えていなかった。
で、勢いと雰囲気だけで、ずんずんここらまで書いてみたんだな。

お話は、こうして始まった。
お話は、こうして始まった。

(そうそう、これは先日、iPad miniの画面表示の説明のために使ったテキスト)

こうやってお話を書きながら周囲の様子を想像しはじめるたら、イメージが一気に広がったのだ。
真っ黒ずくめのおばあさんが登場した辺りで、全体のストーリーを構想して、粗筋もこの頃に書いてみたのだと思う。まあ、それにしたって、もうはっきりとは覚えてなんかいないんだけど。

あとはもう、登場人物たちの言いなりになって話を書き進めるだけ。特に、真っ黒ずくめのおばあさん(=リンガリンガのおばばさま=魔女)の力が強くて、もうホント、このお話はおばばさまの言うとおりに書いた感じだった。
子供たち二人の魅力にも助けられて、主役二人の影がちょっと薄かったような気もするけど、まあ、全体としてはそれなりにバランスが取れていたようにも思うし、何だかこういうお話が気に入ってしまったのだ。

今一つ、続編の形がはっきりして来ないのだけど、うーん、また何も考えないで書き始めてしまおうかな、とも思う淡波なのです。盛り込むべき内容はもう決まってるんだし、ね。

では!

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