詩/冬の芽がほら

あなたは知っているだろうか
あの枝の
あのあたりに

ぎゅっと縮こまって
寒さに耐えている
冬の芽がもう

すっかり並んでいることを

小鳥たちの餌にならぬよう
硬く硬く
身を縮こまらせて
まるで棘のように

あたりをうかがっていることを

今日みたいに
急に暖かくなった日だって

だめだよ
膨らんじゃだめだよ
柔らかくなっちゃだめだよ

そうやって
まわりに言いながら

冬の芽たちは

お日様から
顔を背けようとして

暖かいのに
ぎゅっと縮こまって
冬が行ってしまうまで

じっとじっと
お行儀良くして

待っているんだよ




淡波ログに掲載した作品を中心に書き下ろし作品を加えた初の詩集『猫になりたい』。
乾いた心にするりと忍び込む、読みやすい詩編を多数収録しています。

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