ゆうべの疲れも取れ
ようやく
落ち着いてきたところだ
今朝は気持ちのいい陽射しが
糸に付いた水玉を煌めかせている
昨夜絡みついた大きな蛾も
そろそろ食べ頃になっている
そのまわりでは小さな羽虫の数々が
パクリとしてくれと
笑っているようだ
んぬ?
木が
倒れたのか?
大事な基礎糸が
急に引っ張られ
引き千切られた
私は
しっかりと繋がれた
太い糸を伝い
逆側へと走る
また、
木が倒れたのか?
もう一方の
基礎糸が
無残にも
待て
何が起こっているのか?
私の尻周りほどもある木が
宙を舞っている
もう
全ての基礎糸が
その木に絡め取られている
旨そうだった蛾の身体も
小さな羽虫たちも
ごちゃ混ぜになって
私の身体でさえも
私の美しかった糸に
ぐちゃぐちゃに絡め取られている
前後も
左右も
上下すら分からず
その木は放り出されたようだ
私たちは墜落していく
美しい朝日が
もうどこにも見えない