「アップに耐える」という言葉があります。
アップで見ても、
「大丈夫」
「魅力を損なわない」
「見ていられる」
「目を背ける必要がない」
そんな意味でしょうか。
高校生の頃、
「アップに耐えられるのって、アイドルで○○くんだけだよね〜」っていう言葉を女の子から聞いたことがありました。
そうか、カッコいいとか言われてるアイドルタレントでも、テレビでアップになると見ちゃいられないということか。
そんな風に思ったものです。
先週の「今週の1枚─015/写真の嘘?」にも通じる話なのですが、《アップ》というのは本当は嘘がつけるものなのですよね。
ただし、うまく嘘がつけるのは《どアップ》(トリミングの妙による嘘ってのもありますが)。全体が見通せないほどアップにすれば、アップに耐えられる限界を超えることが出来るんですよね。
今回は、そんな話。
この話はずっと書こうと思っていてネタ帳に眠っていたのですが、先日Facebookのプロフィール写真にある友人女性が顔写真を載せたことでちょっと仲間内の話題になり、思い出した次第で──。
その時に、自分の実名FBのプロフィール写真の話から、《どアップ》ネタの話をしてみたのです。
自分の写真は見せなかったけれど、今日は思い切って載せてしまおうかな。《どアップの嘘》としては一例に過ぎないですが……。
(すぐに消すかも知れないですよ!)
この写真をプロフィールに載せたとき、こんな反応があったのです。
「睫毛が長い!」
「目がきれい!」
ね、アップの方がごまかせると思いません?
これは、ただのおっさんの目の写真であって、別にきれいでも何でもない。
強いていえば、コントラストを上げてディティールを飛ばして白黒写真風に加工してあるから、肌の汚さなんかがまったく分からないですし、接写レンズで撮っているので一部にしかピントが合っていなかったりします(というか全体ボケボケとも言えますが……)。
でかく写っているので、相対的に睫毛が長く見えるわけです。それだけなのに、長い睫毛という印象になってしまう。
トリミングの妙によって目がどこまで続いているか分からなくして、さらに絵のバランスを整え、目のイメージを強調していたり。
本当は鼻の一部まで写しているけど、今回はそこもカットしてしまいました。
そう。
写真も、絵も、文章も、そんなところがあると思いませんか?
でも、それは《アップの嘘》──
例えば、自分の詳しいことを細かく描写するのは比較的簡単ですし、細かく、詳しく書いてあると説得力もそこそこ出せたりします。でも、それは《どアップ》にすることで本来の姿を見えなくするごまかしのテクニック。
そういう描写からは、本当の描写力は分からないんじゃないかと思うのです。
そんな罠にはまらないよう、得意分野や詳しいことを書くときは気を付けなきゃいけないな、と思う、今日この頃。
どうでしょうか、ね?
じゃ、今日はここまで!
(イメージや思い込みの嘘を疑え、と言えばこの本!)
主人公佐山哲夫は、就職内定後にM&Aで世界的な工業食品コングロマリットに買収された陽山食品工業に就職した。
俺は知ってるんだ。本当に旨いものなどもう、──少なくとも外食産業や一般に流通している食材を見る限り──どこを探したって見つからないってことを。
ある小さな事件をきっかけに、佐山は自らの目に見えていた世界が、本当の世界ではなかったことに気付き始める。