叙事詩『ティプトン』連載第18回

“「きれい……誰も知らない場所で、ずっとずっと、光り続けるのね」
二人は、しばらくの間じっとして、火花と、その遥か向こうの宇宙を見つめていた。ふと、ケイトの頬を涙が伝った。
「私も、一人だけで、誰も知らない場所で生きているんだ。どうして私だけ生き残ったのかしら……」”

『ケプラーズ5213』より


── 18 ──


足の下に地面というものがあった頃
地震という自然現象があったそうだ

私が体験したあの揺れが
地震でないとしたのなら

(電子書籍化にあたり、公開を終了しました。本連載記事における公開分は、全体のごく一部になっています。ご興味のある方は、電子書籍版をお買い求めくださいますと幸いです)


本連載は、原則として毎週木曜日に掲載します。

晩年の詩人ティプトンは、SF作品『ケプラーズ5213』にちょっとした脇役として登場しています。本当にちょっとした脇役ですが、案外存在感があって、作者のお気に入りキャラクターなのです……

地球を旅立って三千年後、人類は尊い犠牲を払いながらも、計画通りに492光年彼方の惑星ケプラー186fに到着した。
人類は惑星の各地に入植キャビンを送り込み、水と緑に溢れた美しい新天地に入植地を築きつつあった。
だが、人類の生息環境として申し分ないその惑星に、先住生物が存在しないはずはなかった。

 

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