『ティプトン』連載第6回

“「じゃあ、このまま俺たちは宇宙で死んでいくのか?」
「そうだ、せっかく、ケプラーに辿り着けそうな世代に生まれたのにな」
「ケプラー186f……どんなところだろうな。ネイチャー・シリンダーよりずっと広いんだろう?」”

『ケプラーズ5213』より


── 6 ──


諦めるために生まれたのか
生まれたから諦めるのか
生き続けるためだけに生きるのか
死なないためだけに生きるのか

誰が
私の存在を

誰が
あなたの存在を

誰が
この船の存在を

誰が
あの星の存在を

誰が


本連載は、原則として毎週木曜日に掲載します。


地球を旅立って三千年後、人類は尊い犠牲を払いながらも、計画通りに492光年彼方の惑星ケプラー186fに到着した。
人類は惑星の各地に入植キャビンを送り込み、水と緑に溢れた美しい新天地に入植地を築きつつあった。
だが、人類の生息環境として申し分ないその惑星に、先住生物が存在しないはずはなかった。


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