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くみた柑『七月、きみのとなりに』を読了

いやあ、参った。
いいおっさんが、ぽろぽろ泣いちまった。
恋愛小説を読んで泣くなんて、ちょっと思ってもみなかったよ。

最初はあまり馴染めなかったんだ。ちょっと甘酸っぱ過ぎて、こっぱずかしくて。でもそれは、自分の青春時代の日々と重なるリアルな描写が痛いからなのだ。
《このまま永遠に片思い》とか《そこそこかっこいいのにもてないね〜》とか《どうして好きじゃない人しか好きになってくれないの》的な表現がもう、ちりばめ、まぶされ、オンパレード。

そこにどっぷりと気持ちが入り始めると、もう、抜けられない。逃げられない。
感情移入しまくって、主人公に乗り移って、小説の中で右往左往していたのだ。

逆に、惜しいな、と思ったのは、やっぱりちょっと偶然に頼り過ぎていないか? と感じてしまった点。
女の子が女の子しか好きになれないことだってある、ということを相手役に理解させるために採用したエピソード、つまり、仲の良い友達の両親が同性夫婦だったというもの、これはちょっと強引な偶然設定だったのではないかな? たまたまその友達がそれを知ってしまったことも含めて。

もっと自然に、同性の恋を子供が理解するためのエピソードは作れるんじゃないかなぁ、と思ってしまったわけで。

当初は計画していなかった《連作短編》ということなのだけど、短編相互の繋がりがスムーズかつ主人公の移り変わり方も上手い。
短編同士が伏線として作用していたりして、とてもニクイ構成の物語だった。

まあ、何しろ二回もポロ泣きしちゃいましたよ。
小説を読んで泣くなんてことめったにないのに。
(前に泣いたのは、自作の『壁色のパステル』を校正した時だったりする。書いてからかなり時間を置いたので、内容を結構忘れていて、読者気分で読んでた。ただのアホですが)

くみた柑さんの『七月、きみのとなりに』を読みたくなったら、こちらからどうぞ!

表紙も素敵ですね、自作イラストなんですよ。
いやあ、読み終わった後で改めて表紙イラストを見ると、じ〜んとしますねえ!

じゃ、また!

表紙に理想的なサイズはない!

本日、作家のくみた柑さんからのツイートを読んで、驚いたことがあった。Amazon KDPの出版者用サイトにある「カタログ・表紙画像の作成」コーナーに、こんな記述があるというのだ。

そう、Kindle用の推奨表紙サイズが、また変わってしまってるという。
先日の記事で書いた推奨サイズは1,563×2,500ピクセルだったけど、新しい情報を見ると、これが変わっていた。縦横比は1:1.61で、1,590×2,560ピクセルが推奨サイズとなる。これまでより若干大きくなったことに加えて、わずかに縦長になった。そして、これまでよりわずかに黄金比に近づいた。

なんでなんだろう?
こんなに微妙に変えなくても、黄金比ピッタリにすればいいのに。とも思うけど、ちょっと調べてみた。
新しいKindle Paperwhiteの画面サイズは1,072×1,448ピクセル。比率で言うと、1:1.35だ。まあ、よくあるパソコンの画面比率に非常に近いもので、Kindleの表紙比率とは何の関係もないように思えた。まあ、例えば画面上の本棚に並んだ時のレイアウトとか、そのあたりも関係しているかもしれないけど、ね。

と、いうことで、またまた釈然としないのだ。でも、これは逆に言うと、比率なんて別にどうでもいいということなのだ。A版、つまり文庫本などの比率(白銀比)が好きなひとはそれで作ればいいし、パソコン画面の比率がいいと思う人はそれでいい。黄金比がきれいだと思う人はそうすればいい。それだけなのだ。

画面(=表紙)の中で、
《書籍のタイトルやイメージが魅力的に見えること》
そして、
《手に取ってみたいと思わせること》
これが一番大事なんだから。

新しい比率の三分割法デザイン用テンプレを用意したので、もし使いたい人はこちらのリポジトリーからどうぞ。ちなみに、大きさこそ違うけど、見た感じではまず前回のものとの違いは分かりませんよ。

では、この記事がいつか誰かの役に立ちますように!

ようやく1周年を迎えました!

皆さん、いつも本当にありがとうございます。
おかげさまでこの淡波ログは、1周年を迎えました。更新しても誰一人読む人がいないという超々低空飛行から始まり、何とか1年、少しずつ読者さまを増やすことが出来ました。本当にいつも来てくださる皆さんのおかげです。
(誰も祝ってはくれないので、自分でケーキを作っちゃいました!)

ここで、当初設定した目標と結果を、もう一度軽く振り返ってみましょうか。

【投稿記事の数】
目標:52本(週に必ず1本)→途中から上方修正し、100本(週に出来れば2本)
結果:206本(イエー!)

【アクセス数】
目標:10,000ビュー@年(当初は目標なしでした。一桁アクセスの日も多かったですし)
結果:10,171ビュー@年(イエー!)

そして、最大の目標である著書の読者数アップですが、
Amazonと楽天でのDL合計数で前後を比較してみましょう。

ブログ開設以前の合計:1,219冊(2013年 1月〜2014年9月の21カ月間で)
ブログ開設以降の合計:4,523冊(2014年10月〜2015年9月の12カ月間で)
ここに、現在連載中の『フックフックのエビネルさんとトッカトッカのカニエスさん』のビュー数(累計600〜700)を加えていいでしょうし、群雛8月号のDL数を加えることも出来ますよね。

そうすると4倍以上、です。(1カ月あたりのDL数で見ると、58冊@月→377冊@月で、約6.5倍ですね。)
これは、劇的に増加した、と言えるのではないでしょうか、ね?
もちろん、2014年の末に始めたTwitterの効果が大きいと思いますし、プライスマッチによる常時無料化の効果も大きいです。
だから、ブログの効果がどの程度かは分からないのですが。(日々アクセス数とDL数の相関関係も全く判りませんし)

それに人気セルフ作家さんに比べると、まだまだ全然少ないですよね〜。もっと面白い本をどんどん書かなきゃ!

次の目標は年間1万DLと言いたいところですが、それはちょっと無理でしょう。常時無料本のDLはじりじり落ちていますし、知名度がいきなりドカンと上がるなんてことはありそうもないですし。新刊本は今後ももちろん出しますが、今までのように1冊あたり2〜3回の無料キャンペーンを行なうのは止め、発売時のみにします。そうでないと、先にお金を出して読んでくれた方に失礼だと思うのです。

そうそう、アクセス数の目標は、やっぱり20,000ビュー行っちゃいましょう。これでも世間のブロガーの方からすれば、ゼロみたいな水準ですものね。投稿数はドーンと365本目標、毎日更新です!
(すでにシルバーウィークの予定が全く消化できず、危機的状況にあるのですが──)

本日もいつも通り、20時には『フックフックのエビネルさんとトッカトッカのカニエスさん』の最新話を掲載しますので、そちらもお忘れなく。

今後ともどうぞ宜しくお願いしますですッ!

ではまた後ほど!

山田佳江著『ボタニカルアリス』を読んだ件

何を隠そう、AR関連の小説にはあまり没入することができない。仕事でARコンテンツ開発をやってるせいもあって、数年後の未来までは見えているんじゃないかと思っている。で、その先は、現在の延長の技術では越えられないハードルが存在していることを知っている。そこが、知識としてのサイファイと現実の境界だ。
一般世間の人が思っているARより先が見えていても、いや、だからこそ、だろうか……。(もちろんそれを越えていくのが技術の進歩なのだけど、)それにはあまりにも大きなブレークスルーが必要だから、サイファイの中で繰り広げられるAR的な出来事には違和感が大きくなるばかりなのだ。

だから、ARを扱った小説にはその辺りの説得力が感じられなくて、どうにも冷めてしまうことが多い。
特に、これでもかとIT知識を捲し立てているものに対しては、そこへの抵抗感がどうしても大きくなる。
ARは嘘を吐くための方便なのだから、「ファンタジーでいいっしょ」と割り切って書いてくれればいいのだが、《こんなに詳しいんだぜ》とか《説得させよう》《知識でねじ伏せよう》《科学的にこんなすげー予測してみた》みたいなものが透けて見えてしまうものは、読んでいて正直ツライ。
あんた、そこまでガチガチに理論組んどいてさ、その子供みたいなファンタジーは何よ? そもそも予測のバランス悪いし、そのズレに気付かないでえらそーな顔しないでよ。となってしまうのだ。(まあ人のことは全然言えないけど)

さて、前置きが長くなった。

山田佳江さんの『ボタニカルアリス』には、それがない。
全然ない!

かなり荒唐無稽な設定もあるけど、全体としてバランスが整っていて、楽しく納得できるファンタジック・サイファイになっているのだ。主人公が美男でないというのも好感が持てる。あ、これは関係ないか?
物語も設定も無理せず、美味しいところを上手くつまんでいる。中編という長さも丁度いい。理屈に流れず、ストーリーと人物が主役の座をきちんと守っているのだな。

人工生命、AR、デザインド・クリーチャー。そして、近未来のネット世界。植物園という舞台設定も申し分ない。
植物園舞台のサイファイというだけで、こりゃもう傑作間違いないだろ。と思って説明文も読まないでポチってしまったのは僕だ。大当たりだった。
最新ぽいキーワードで構築された世界観が、とてもセカンドライフっぽいのはご愛嬌。なんだか可愛らしささえ行間に漂っているんだもの。

とても楽しい三日間を過ごさせていただきました(読むの遅い!)。
あの大御所の例の作品より読後感は良かったなあ。何しろ、無理のあるところも無理のないようにホンワカ読める文体に五つ星、かな。

みなさん、コレはお薦めですぞ!

この表紙、さっきリンクを貼っていて気がついたんだけど、ARのイメージになってるんだ。バラの花に重畳表示された人物(上下逆?)。これ、山田さんだったりして?
あ、ちなみに、重畳ってのはAR用語なのかな? 同じ位置に重ねて表示するってことですね。

ではまた!

爽やかな感動をもらいました!:くみた柑 著『記憶の森の魔女』

前半を読み、物語に引き込まれながらも、少しだけ不安が頭をもたげていました。まさかこれ、支離滅裂な妄想とか夢オチじゃあないだろうなあと。いやあ、全く失礼きわまりない読者でした。
そうかなと思わせておいて、すべての出来事がピタッと現実に収斂するエンディングは、まさに心の中の霧が晴れるようにぱあっと世界が開けました。訳が分からないようでいて、その実キッチリ構成された澱みのない語り口。処女作ならではとも思える瑞々しい描写と相まって、とっても好感の持てる作品なのでした。

無駄を削ぎ落とした端正な文章の中には、さらりと忍ばせたちょっとしたミステリー味が。ヒロコやマチコというちょっと古めかしい名前の使い方にもセンスと巧さを感じました。
ふむふむ、面白い小説ってヤツは、こうやって謎が物語を牽引するのだよなあ〜と改めて思い出していました。
初心忘るるべからずですね。

20分で読める軽さに潜んだ重いテーマ。そして極上の読後感。それが引いていってしまうのがもったいなくて、僕は電車の中でしばらくのあいだ目を閉じて、物語の世界に浸っていました。

ラストシーンを読んでじ〜んとした後は、あとがきを。
そして、ああ、これはある意味実話だったのだ。体験が書かせた物語は厚みがあるなぁと大いに納得し、さらなるじ〜んを味わった次第。

他の作品をこれから読むのが楽しみな、素敵な作家さんにまた出会いました。もっと早く読めば良かったのに!
それにしても、絵の上手い人は文章も上手いよなあ。

さ、読みたくなったあなたにはこちら!

クリックでAmazonに飛びます

 

では!

値上げのお知らせ:予告の予告

そうそう、丸木戸サキさんの値上げのお知らせを見て急に思い出した。僕も自作の値上げを予定しているのだ。理由は単純。Amazonに並んでいる自作と商業作品の差。

商業作品と自作品が並んでいると、(たとえ表紙で負けていなくても!)安っぽく見える。それは、価格のせいというのが大きい。とても大きい。

安売りなの? 安っぽいの?

そう思われてしまう危険が大きい。

商業作品でも、消費者の誰もが作家名や出版者名を知っているとは限らない。何も知らない消費者(がいるとすれば、その人)にとっては、判断基準は《タイトル》《表紙(帯含む、デザイン全体)》《価格》《商品紹介》だろう。

《価格》以外は頑張ればなんとかそれっぽいものになる。
でもなぜ、《価格》はなんとかならないのか?

それは、今までのセルフ出版本の価格に対するイメージがある。商業出版の電子書籍でも、安いものは500円くらいから存在する。いつの間にか、それを超えるとヤバいんじゃないかという不文律が存在するような雰囲気になっていた。
気がする。
350円を超えると《強気価格》と揶揄されそうな雰囲気。実際僕は、これをものともせず、350円、450円という値付けをしてきた。でも、そんなんじゃあダメだ。商業作品の横に並んでいて、新刊が350円?

やっぱりこれは、自分で自分の作品を安っぽく見せてしまっているのではないか、そんな疑問が、日々大きくなっていったのだ。

僕はそれを超えようと思う。平気で大きく超えようと思う。

僕が考えている自作品に対する《適性価格》のレベルと具体的な数字、値上げ時期については、明日以降、この場でお知らせしようと考えている次第。

ではまた!

読後感の解説?:フクチカズアキ著『Hotel New Alabama』を読んで。

いつもどおり、はじめに断っておきたいのだけれど、これはいわゆる書評やレビューではないんだな。実は、今回はさらに一歩先に行ってしまう掟破りを強行するから、もう感想ですらない。

じゃあ何だっていうと、こういうことになる。

《フクチカズアキ著『Hotel New Alabama』を読んだ僕がずっと感じていた世界を使って、小品にまとめてみた》

だったら二次創作? っていうとそういうものでもない。
じゃあ何?

小説の世界観の中で僕は作者にもてあそばれ、自由自在に転がされていたんだけど、その心地よさの中で、ずっと僕の頭を支配していたヴィジョンがあったのだ。それはなぜか、小説の内容とはまるで関係のないもので、そこに出てくる世界も小説の提示してくれた不思議な世界とは大きく異なるものだった。異なるというより、何の関連性もないものだったのだけど、物語を味わうこととはまた別の次元で、僕の心はある風景の中に放り込まれていた。それはとても独特で不思議な体験だったので、そのイメージ自体を書き残してみようと思った。
だからこれは、『Hotel New Alabama』とは一見何の関わりもないし、感想にもなっていないのだ。でも、この物語を読まなければ、僕の中にこの世界が生まれることは決してなかった。だから、これはやっぱり、僕にとっての『Hotel New Alabama』の読後感なんだな。

さて、本題は縦書きで、BiB/iによるePubで味わってもらいたい。僕とフクチカズアキ氏の共作を読むような感じでね。
(フクチさん、勝手なことを言って済みません!)
 

『波』
 

あ、ちなみに、僕が普段書いている物語はこんなに曖昧模糊としたものではなく、どちらかというとシンプルで読みやすいものになってるんだけどね……。


 

さて最後に少しだけ、『Hotel New Alabama』の内容にちゃんと触れておかなきゃね!

そこは、《消滅》したい者が訪れる場所、ホテル・ニュー・アラバマ。そこを訪れた者は、存在が元からなかったことになってしまうという。主人公はその謎を解明するためにその場所にやってきた、はずだった。彼女を迎えるホテルは、どんな要望にも応えてくれる。そこで働くのは同じ顔の男たち。そして出遭う、それぞれに秘密を抱える宿泊客たち。
謎がどんどん深まる中、殺人が起こり、主人公は強制的に交替させられる。エピソードはプツリと切れる。

本の最後の1%まで、秘密は解き明かされない。結末や仕掛けをあれこれ想像して読むほうが面白いのか、僕のようにただただされるがままになって読むほうが面白いのか、それは、この本をこれから手に取るあなたが、自由に決めて欲しいな。

惜しむらくは、誤字脱字をもう少し減らしたい。
(いや、決して多いわけではなく、多分僕がそういう部分に目の行きやすい体質なだけなんだと思う)
内容は本当にとても良いと思う。面白くて気が抜けなくて、上手いなあ〜と。

多くの方に読んでもらいたいなあと思う本が、僕の本棚にまた一冊、増えたのだ。

KENPC:読まれているという実感

これまでKDPにあったKU/KOLという仕組みは、ダウンロードされた冊数に応じて(10%以上が既読になれば)ロイヤリティが支払われる仕組みだった。これが、Kindle書籍のページ数をカウントする新しい仕組みであるKENPCを利用した《既読ページ数》によるロイヤリティ計算に変更された。

以前の仕組みの場合、KDPセレクトに登録しておくことによってちょっとずつ印税が増えるのは嬉しかったけど、実際にその本が読まれているのかどうかは分からなかった。無料キャンペーンやプライスマッチによる無料本と同様に、DLされて積まれて、そのまま忘れ去られてしまうこともあっただろう。
だから、自分の本が読まれているという実感を得られるのは、誰かがTwitterやブログ(ブクログなど含む)に感想を書いてくださった時か、ごく稀にAmazon上でレビューがつく時に限られていたように思う。
これは結構寂しいものだった。売り上げ自体も《売り上げ》と言えるようなレベルのものではないが、それすら本当に最後まで読まれたのか、知る方法はない。(もちろんそれは、商業作家の紙の本でも同じかもしれないけど)

だけど、このたび始まったKENPCは違う。実際に読まれたページ数が、作品ごとに表示されるのだ(KDPセレクトに登録してある場合)。もしこの数字を毎日ウォッチしていれば、自分の作品が前の日に何ページ読まれたのかも分かりそうだ。これは、凄いことではないか?
印税云々より、この《読んでくださってる!》という実感のリアルさが半端ではない。

例えば『孤独の王』のKENPCを見ると、今月の数字は1,202ページだ。Amazonカウントではこの本は468ページだから、三冊弱がこの一週間くらいで読まれていることになる。『ケプラーズ5213』『そののちの世界』を合わせると、6〜7冊ほどになる。
売れているかたの基準からすれば
ゼロのような数だけど、実際に読まれているという感覚は、作者をとてつもなく幸せにしてくれるものなのだ!

《7/12追記:
ヤマダマコト氏、赤井五郎氏などの情報から、やはりKENPCの正しい数字は“既読KENPC”のグラフに現われているものだそうだ。作品ごとのページ数は、“今月の販売数”にある表で確認できる。残念ながら僕は勘違いしていて、Ver.1の後ろにあるページ数は、あくまでもその作品が何ページありますよ、という数字でしかない。現在のところ、僕の作品のKENPC数は、『孤独の王』が12ページ、以上だ。ぬか喜びもいいところだったようだ……》

その昔、僕にとって音楽こそがすべてだった頃、思っていたことがある。もし夜中に街を歩いていて偶然に、酔っ払いでもなんでもいいから誰か僕の知らない人が僕の歌を口ずさんでいるところに遭遇したら、もうそれで死んでもいいや、と。
それはとうとう実現しなかったけど(今のところね!)、今、ほんの少しでも、僕の全く知らないどこかで、僕の本を読んでいる人がいると思うと、僕はなんて幸せ者なのだろうと心から思うのだ。

この仕組みを構築してくれたAmazonさんに多大なる感謝を込めて!
(この仕組みは作家からのリクエストによって生まれたらしい。世界の作家さんに、ありがとう!)

ところで一つ、気を付けなければいけないことがある。KDPのヘルプ頁にはこのKENPCを用いたKU/KOLロイヤリティの計算方法が載っているけど、実際にこれを弾き出すのはとても難しそうだ。世界中でその月にKU/KOLで読まれた総ページ数が月末にならなければ分からないということもそうだけど、もっと分かりにくくしている大きな要因がある。それが何なのか、ちょっと見てみよう。

まず、実際にKENPCのページを見てみよう。管理ページ内の本棚から各書籍欄の右側にある《アクション》の「…」をクリックする。そうすると、下の画像にあるメニューが現われる。
次に、その中から《キャンペーンと広告》をクリックする。

KENPCのカウントを見るには?
KENPCのカウントを見るには?

 

すると、《本の販促ツール》というページに入る。そこの左下にあるのが、これだ。

これがKENPCの表示
これがKENPCの表示(KDPセレクトに登録してある場合だけ入れるページだ)

 

この欄の一番下にある右側の数字がKENPCだ。先ほど気を付けなければいけないと書いたのは、この数字の読み方。ページ数で言えば、1,202ページで間違いがないだろう。でも、この数字はロイヤリティとは直結しない。なぜなら、KU/KOLで読まれた本以外でも、KDPセレクトに登録されてさえいればこのカウント数が掲載されているのだ。

無料キャンペーンや、普通に購入された書籍データが読まれたページ数も、ここには含まれていると考えるのが妥当だろうと、僕は推論した。恐らく、間違いではないだろう。というのも、今までに一度もKU/KOLされたことのない本の同じ欄にも、KENPCは載っているのだ。

『サタンと呼ばれた男』が77ページ。この本は32ページだから、約三冊だ。
『五感の嘘』が74ページ。この本は31ページだから、これも約三冊。
『希望の船』が142ページ。この本は61ページだから、これも約三冊。
『未来からの伝言』が172ページ。この本は71ページだから、これも約三冊……。

《7/12追記:
つまりこれは、KENPC計算による作品の総ページ数を示しているだけ。後述の7/9、赤井五郎さんからのご指摘による追記内容がすべてなのだ。もっと読まれたいと、心から思う。でもね、有料版を見てると、ちゃんと第一部に続いて第二部、第三部と購入されてるのだから、これは間違いなく最後まで読まれていると考えていいのだろうな。無料でDLしたひとが途中で読書を止めてしまうのは、しかたがないと考えるしかないし、届くべきでない人に届いてしまっただけだと考えよう。同じセルフ作家のなかでも、KENPCのグラフがじゃんじゃん伸びている方もいるみたいだし、このシステムは正しいのだ》

こんな調子だ。7月に入ってから、こんなに短編が売れた記録はないのだ。どう考えてもこれは、今までにDLされていた本の、今月の読書ページ数だと考えるべきだろう。
ということで、ここで示したページ数は、ロイヤリティには恐らく全く影響しないであろう数字なのだ。

だけど、《読まれた実感》としては、とてもとても大きいものだと、もう一度申し添えたい。

さて、いつかこの記事が誰かの役に立ちますように!

《7/9、公開直後に追記:
赤井五郎さんから、こんなご指摘がありました。

ううーむ。難しいですなあ……》

喜んでいる場合ではない!

こんな状況を良しとしているわけにはいかないのだ。やれランクインしたとか、喜んでいても仕方がない。
そりゃ、上位ランクに入れば嬉しいですよ。でも、周囲を見てみればすぐ我に返ることになるのだ。
《SF・ホラー・ファンタジー の 売れ筋ランキング》のうち無料本では、1ページ目、つまり1位〜20位までにいる著者の数は僕を合わせてたった5名。(23:56現在)

こんなに上位に並んではいるが……
こんなに上位に並んではいるが……

 

僕の本が四冊、戸松有葉さんが八冊、赤井五郎さんが四冊、ヘリベマルヲさんが三冊、日野裕太郎さんが一冊だ。この寡占状態が、KDP全体の無料《SF・ホラー・ファンタジー》本のランキングを表わしているとはとても思えない。

次のページ、つまり20位以下に目をやると、なんと、28位までで終わっているのだ。このカテゴリーには無料本が28冊しかないのだ! これが何を意味しているかというと、Amazonさんのカテゴリー分類が全く用をなしていない。ただそれだけのことなのだ。

著書を発行する際にKDPの管理ページで選択するカテゴリーは、SFの中でも多くの細目に分類されている。当然、ホラーやファンタジーは別カテゴリーだし、ファンタジーの中にもいくつもの細目がある。

SFカテゴリーの《一部》
SFカテゴリーの《一部》

 

これは、僕の管理画面で、ある著作のカテゴリー選択を行なった際のキャプチャだ。《選択されたカテゴリー》には、《スリラー>超自然》と《青少年向けフィクション>SF》が並んでいる。でも、本が出版されるとき、これは全て無視される。どこかに使われているのかもしれないが、少なくともエンドユーザー(=読者)の目に触れる形ではそれは現われない。

そして、出版後に自動分類された電子書籍は、多くのものが《文学・評論》という上位カテゴリーに大ざっぱに入れられるのだ。この中は完全に雑多な世界で、純文学から評論からロマンス、戯曲、歴史……、何でも含まれている。これ、カテゴリー分類じゃないよね。

《Kindle本>文学・評論》というのが自動分類の結果だ
《Kindle本>文学・評論》というのが自動分類の結果だ

 

こんな分類で、読者さんが読みたいジャンルの本に辿り着けるとは到底考えられない。だから、自分の本がちゃんとしたカテゴリーに、少なくとも《文学・評論》よりは細かいカテゴリーに分類してもらえるよう、著者自身がサポートに申請しなければならないのだ。《お問い合わせページ》にあるメールフォームでね。

上述したランキングは、つまり《SF・ホラー・ファンタジー》の本を無料で出版している著者のうち、このカテゴリー再分類方法を知って申請した人の数でしかない。きっと、《SF・ホラー・ファンタジー》ジャンルのとてつもなく多くの名作・力作が、カテゴリー分けされずに《文学・評論》の海に溺れてしまっているのだ。前々回の記事に書いたとおり、僕自身、ヘリベマルヲさんの記事から赤井五郎さんの記事を読んで、昨日初めてこのカテゴリー再分類に挑戦したわけだ。

エンドユーザー・ベネフィットを真剣に考えたとき、Amazonというショップはカテゴリー分類を自らきちんとやり直さなければいけないと思う。出版時の申請カテゴリーと販売時のカテゴリーが全くリンクしていないだなんて、いったい誰が想像できるだろう?

今までに読んだことのないSF作品を読んでみたいと思ってジャンルで探した読者が、この無料ランキングを見たらどう思うだろうか?
Amazonさんはそのことを考えたことがあるのだろうか?

だけど、システムを修正するなんてそう簡単にはいかないだろう。どれだけ大きなDBシステムが背後で動いているのか、素人には分からないけれど、何人かの著者が騒いだところで手を付けられるような代物ではないことくらいは容易に想像がつく。だから今は、僕らコンテンツ・ホルダーである著者自身が、どんどんカテゴリー再分類に声を上げるしかないのだ。そうすれば、このランキングが本当の出版数と少しずつリンクしてきて、いずれは本当に読まれている《そのジャンルの》本がきちんと上位に並ぶ日が来るだろう。
もちろん、最終的にはそれがAmazonさんの技術者を動かして、DBシステムがきちんと整えられることを切に望んでいるのだけれど。

だから今は、まだご自分の著作が変な分類にされてしまっているセルフ作家の方々に、僕は声を大にしてこのことを言いたいのだ!

この記事がいつか、誰かの役に立ちますように……。

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(本記事は後編の後の続編にあたります。妙なリンクですが……)

また、淡波がやっちまったらしい……

考えるより先にキーボードを打ってしまう、直撃派の淡波です。
今朝の記事にカテゴリー変更の話を書いたけど、まさかのお断りメールが!

以下引用。

カテゴリー変更のご要望を頂戴いたしましたが、確認しましたところ、お客様ご申請のカテゴリーは登録ができませんでした。
以下にカテゴリーご選択の方法をご案内いたします。

いやあ、本当に間抜けったらない。
賢明な良い子の諸君はもう分かってるよね?

カテゴリー変更のお願いに、本棚の分類と同じカテゴリーを申請してしまったのだ。本棚とストアの分類が異なっているからストアに正しく出ないにも関わらず、なぁんにも考えないで本棚上で設定したカテゴリーをコピペしたんだな。
まあ、同じ過ちを犯してしまう人が誰もいないとは限らないし、ここは恥を忍んで告白するのだ。

KDPサポートさんから教えて頂いたのは下記の方法だ。

◎カテゴリー登録するためには

本棚に表示されるカテゴリーオプションは、ウェブサイトのカテゴリーと完全には一致しません。
本棚ではBISAC(Book Industry Standards and Communications)に基づくカテゴリーをご選択いただきますが、ウェブサイトのKindleストア上では参照カテゴリーが表示されるためです。

お手数をおかけいたしますが、カテゴリーの変更をご希望の場合は、ご希望のカテゴリーを以下のフォーマットで弊社までご連絡いただきますようお願いいたします。
弊社で審査の上、カテゴリー変更の対応をさせていただきます。

例: Kindleストア > Kindle本 > 文学・評論 > 小説・文芸 > 日本の小説・文芸

○ 「Kindle本」カテゴリーは、以下の「Kindle本」ページ画面左側の「カテゴリー」よりご確認いただけます。

○ 「Kindle本」カテゴリーは2つまでお選びいただけます。
○ 「本」内のカテゴリーに関しましては、リクエストいただくことができません。
○ ステータスが「販売中」となってから、弊社までご連絡ください。

ね、とっても丁寧に教えてくださいました。この情報をシェアしても良いものかどうかと考えたんだけど、サポートさんの負担が減るかもしれないし、秘匿・機密情報ではないし、事実を端的に述べたメール文面に著作権があるとも思えない。
Amazonさんとセルフ作家の双方にとって役立つ情報だから、シェアしてもいいですよね、中の人さん?

さあ、これから申請し直すぞー!

願わくば、プライスマッチの効果が残っている間にカテゴリー変更が叶いますように!

それからいつものやつ、
この記事がいつか、誰かの役に立ちますように!

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