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僕を作ってきたものたち─004

『泉』ジャン・オーギュスト・ドミニク・アングル(1820〜1856)

The Spring Jean Auguste Dominique Ingres | Musée d’Orsay, Paris
The Spring Jean Auguste Dominique Ingres | Musée d’Orsay, Paris

高校生の頃、僕はこの絵に恋していたことがあった。
アングル展の車内吊り広告を盗んできて、部屋に飾っていた。

この絵はアングルがもうかなり歳を取ってから描いたものだったと記憶している。
だから、美しい少女を描いているけれど魅力に乏しいとか、温かみのない石のような肌だとか、言われることがある。

僕は、そうは思わなかったな。
この少女の不思議な表情を見ているだけで、幸せになれた。

その後クリムトやミュシャに恋する最初のきっかけが、この『泉』だったんじゃないかと思う。

こぼれ落ちる水、水仙も好きだ。
画面全体から溢れる透明感と清潔感は、作者が既に枯れていることの現われ?

まあ、でも枯れていたら高校生が恋しないよな。
(36年もかけて完成させた絵だったということも、ずっと忘れていたよ!)

何年か前、オルセーの近くに行く機会があった(つまりルーブル)。
ちょっと忙しくて、オルセーに足を伸ばすことは出来なかった。
この絵があることを知っていたら、きっと行っていたのになあ。

久し振りに目にしたけど、今見てもいいなあ。
表情が、目つきがね、ずっと見ていたくなるよね?

全然魅力を感じないって?
まあ、人それぞれだからね。
(魅力がないと書いた評論家は本当に魅力を感じなかったのだろうか??)

今、ふと気付いたんだけど、このページの(現在の)ヘッダを飾っている『太陽の子孫』のヒロイン、つばめちゃんの顔、ちょっと雰囲気が似ているかも知れないなあ。どことなく憂いを湛えた感じとか、髪形も髪の色も!
──え、似てない?

こりゃあ、失礼いたしました。

ではまた!