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近々無料化する予定の淡波本、5作

果たしてどちらのタイミングが読者さんのためになるのだろうと迷いつつ、予定の6月末がジワジワと近づいて来ている。

短編連作『そののちの世界』をまとめた短編集を出すにあたり、この中の3冊を無料化しようと思っているんだ。(もちろん価格の決定権はAmazonさんにあるので、これはあくまでも自分としての予定だけど)
無料化する予定の3作は、もうKDPセレクトが終了し、いつでもその手続きに入ることが出来る。
まずは楽天koboさんで無料化し、その価格をもとにAmazonさんにプライスマッチ申請をすることになるだろう。

10作の短編は今までそれぞれ99円で、合計では990円もの金額になってしまうから、まとめてお求めやすくしようという計画だ。今のところの予定価格は350円。強気価格の部類に入ってしまうかもしれないけど、ボリューム感はたっぷりだし、淡波本の価格基準(?)で言えば標準的なところかと思う。
この連作の今までの売上推移を見ると、有料版を数冊以上ご購入くださった方はほとんどいないのではないかと思われる。そりゃそうだ。月1冊の刊行程度であればお小遣いへの負担も大きくないけれど、月に3冊ずつ出ていたこの連作をコンスタントに買うとKDP本としては高額商品と感じる部類に入ってしまうのだから。

さて、短編集のうち、無料化対象がどの作品かというと、下の画像にあるように第1話の『夜啼く鳥』、第5話の『プロテイン・パック』、第6話の『段ボール箱の中の人形』だ。

やはり導入として、第1話は欠かせない。どれを最初に読んでもいいようにはなっているけれど、やっぱり1話目から読みたいという需要はきっと大きいだろう。一番人気の第6話も外せない要素。もう1作をどれにしようかは、結構悩んだ。段ボール箱〜に引き続き五つ星レビューをいただいた『五感の嘘』も考えたけど、無料で五つ星2作を読むとそれより《評価が低いように見える》作品には手が伸びない可能性は否めない。そこで、自信作だけどあまり読まれていない『プロテイン・パック』にスポットを当てようかと考えた。
これで気に入れってくれれば、短編集にはもっと評判のいいものも入っているじゃん、と思って触手を伸ばしてくださる可能性があるのではないかと。
よし、そこまではいい。そこで文頭の悩みに立ち返ると、大事なのは無料化のタイミング。勿体ぶらないでとっとと無料にしなよ、という声が聞こえてくるけど、ちょっと考えさせて欲しいんだ。
無料の3作を読んだ読者さんが、有料の本に興味を持ってくださる。1冊が99円だから、まあ、そう高い買い物ではない。でも、面白いからどんどん読んじゃおう、って思ったとき、残りを全部読みたかったら693円もの買い物になってしまう。これからおトクな350円の合冊版が出るというのに!
だから、やっぱり合冊版の刊行と同時に無料化するのがフェアじゃないかと思うんだ。合冊版の宣伝のために無料化するという側面に目をやると、それはせっかくのタイミングを逸するようにも思われる。宣伝開始と刊行開始が同時なんて、普通に考えると意味がないわけで。

だから、まあ少なくとも前述の無料化3冊については、「今はポチらないでくださいな」というのが僕からのお願い。

短編集以外でも、無料化するためにKDPセレクトの期限が切れるのを待っていたのがもう2冊。『壁色のパステル』『さよなら、ロボット』だ。
壁パスについては処女作だし、生まれて初めて書いたまともな小説だから、無理にお金にしようとすることもないんじゃないか、と思った。これまでお金を出してくださった読者さんには申し訳ないけど。でも壁パスは僕の作品の中で、これだけ全く違うカラーの作品。《家族小説》とうたっているとおり、SF要素もファンタジー要素も、殺人も何にもない。ほんのちょっと恋愛の要素とミステリー仕立(?)の要素が入っているくらいで、ほんわかした平和で暖かい物語だ。自省的で内面的なもの。これはこれで気に入った作品だし、読者さんからの評価もいただいている。断じて投げ売りなんかではないのだ。
でも、この作品が初めて触れる淡波亮作だった場合、そのイメージが別の作品を有料で読むことへの抵抗になるかもしれない。ほんわかしたライト文芸が好きな人が、例えば『ケプラーズ5213』みたいなSFに手を伸ばしてくださるとは思えないもの。
そうでなくても全く違うイメージの有料作品を手に取ろうとするかは微妙だし、壁パスの想定読者とその他の作品の想定読者はかなり異なるものだから。

そこで、もう一つの入り口として『さよなら、ロボット』の出番が来るわけだ。エンタメ系で、読者さんからの評価もいい。エンタメ《系》ではあるけど、ゴリゴリのノンストップ・エンタメではなく、何も考えずに楽しめるストレートなものでもない。そこには重さや暗さが潜んでいるし、ひねくれた視点や耽美的な愉しみも盛り込んでいるつもり。ここで淡波小説の世界観を堪能していただければ、次へ進むのも楽しみになるかな、との期待を持っているのだ。

この五冊が無料化予定!
この五冊が無料化予定!

 

もう一つ、この無料化を決めた重要な要素があることを忘れてはいけない。僕がKDPで初めて著作を刊行してから、もうすぐ2年半になる。なんとかして読者さんの数を増やそうと自分なりに工夫して頑張っているつもりだ。だけど僕の知名度と言ったら、《悲しいほど》を通り越して《あわれを誘うほど》低い。マネタイズを急ぎ過ぎたと言われても言い返す言葉はない。全然ない。当時はフリーミアムなんてイカした考え方も知らなかったし。

知られる努力が足りないんじゃないのかと言われればその通りだろうし、努力の方向がずれてるんじゃないのかと問われれば、それもその通りだろう。でももし、一度僕の本を手にとってもらえたら、きっと好きになってくれる人はいるんじゃないか。少しだけ、その自信はあるのだ。僕の作品は決して万人受けするようなものではないし、メガヒットを狙えるような部類ではない。でも一定数の読者をガッチリつかむことができる面白さは備えているんじゃないかと、信じているのだ。
だったら、子供のお小遣い程度をチマチマ稼いでああだこうだ言ってるんじゃなく、手に取ってもらう機会を少しでも増やすことこそが、今、僕の取るべき道なんだ。そう思うようになった。(全てを無料化して、時々美味しいワインを飲む愉しみをなくすようなところまでは割り切れないけれど……)

この5冊を無料化すれば、これまで出してきた全シリーズのエッセンスに無料で触れることができる(『ケプラーズ5213』は『そののちの世界』と姉妹作だと言っておこう)。
そうやって僕の作品世界を少しでも気に入ってくださる読者さんの数を増やすことができれば、この先もっともっと面白い本を出版した時に、有料でも手に取ってもらいやすくなるはず。ね、あなたもそう思うでしょう?

さあ、無料化までもう少し!

どうか、この記事を読んだ方の何人かでも、無料化を楽しみにして待っていてくださるといいんだけど(≧∇≦)//

本末転倒でも継続は力になりうるか?

相変わらずの本末転倒ぶりを発揮するサイファイCGこと淡波亮作です。
今は次作のトレイラー制作にほとんどの時間を費やしている。おかげで書きかけの短編の数々がとんでもなく中途半端な状態で散らかりまくっているのだ。

ちょっと思い出すだけでも書きかけの短編は3本、童話が1本、本当は次作になるはずだった長編のプロットは忘れ去られたままになっているし……。
いつかも書いたように、無料キャンペーンで得られる効果に比べると、小説の予告編映像で得られる効果は本当にわずかだ。いや、効果がほんの僅かでもあるのかどうか、それすら疑わしい。百数十回しか再生されないような動画から、いったい誰が小説を買うためにリンクを踏んだりサーチしたりしてくれるのか? 考えれば考えるほど、僕はとてつもなく無駄な時間を過ごしているのではないかと疑いでいっぱいになってしまう。いやいや、疑いなんて言うレベルじゃない。実際に効果がないんだから。

それでも僕がこれを続けるのは、バカの一つ覚えなのか? そうは思いたくない。このブログ、更新していないときや誰かがシェアしてくれない日などは、検索で訪れてくれる方が多い。その検索キーワードの何割かはCGや映像関連の用語だったりする。僕の小説はそういった世界が好きなひとと親和性が高いのではないかと思っているので、もしも僕の映像を気に入ってくれた人が、もっと世界観を味わいたいと思ったとき、小説に手を伸ばしてくれるかも知れない。そんなふうに思っているんだ。もっと賢い方法はいくらでもあるのだろうけど、自らAmazonで読みたい本を探しているひとではない誰かの目に触れるためには、小説でない入り口があるべきなんじゃないかと、思っているわけで。《CGが好きな層=小説を読まない層》という等号は成り立たないし、特にSFが好きな層はCGを好む層と近いだろうとも思えるよね?

さて、昨日でCG制作を終えて編集に移ったつもりだったんだけど、実は今もバックグラウンドでCGのレンダリングを走らせている。だからMacBookのパームレストが熱くてしかたがない。
バックで走っているBlenderの画面をちらりと覗くと、エアチューブの中をミニバスが疾走している絵が、ちょっとずつ出来てきている。ヘッドライトにかかったモーション・ブラーが心地いいスピード感を出してくれている。
こんな風に書けば、CGが好きなひとは出来上がりの絵を見たくなっちゃうんじゃないかと、密かに期待してる。レンダリングの生の絵をここで見せるわけにはいかないから、それ以外の進行状況をちょっとGIFにしてみたものを載せてみたい。

文章を読みながら同じページにGIFアニメがあるとチラチラして読みにくいので、ここでちょっと改行を入れておきたい。

 

 

 

 

 

 

『奇想短編集 そののちの世界』トレイラーWIP
『奇想短編集 そののちの世界』トレイラーWIP

さあ、どうだろう?

少しだけ、そののちの世界に興味が出て来ていませんか?
短編それぞれの表紙を知っている方には、このCGのほとんどが表紙用に作ったものの再利用だと分かってしまうだろうけど、表紙とはちょっと違う部分が気になったりするかもしれないでしょう?
ね?

さて、与太話はこの辺で終わりにしようかな。

いつか、こんな本末転倒なような宣伝が、効果を現すときが来るかもしれない。そう思って、今夜も僕は無駄とも思える作業をし続けるんだ。

もうすぐ、もうすぐさ、と思いながら!

さあ、みなさんご一緒にー、
《継続は、力なりっ!》

意識しないものは見えない(?)

最近、白杖をついたひとを頻繁に見る。気が付く。
一昨日のことだ、横断歩道を渡ろうとして待っている若い女性を見た。もう青になっているのに、気が付いていないようだった。僕は向かい側から歩いて渡り、彼女が歩きだすのを待っていた。そして、「どうしよう?」とグルグル悩んでいた。
もし彼女がずっと歩きださなかったら、声を掛けようか。渡りそびれてしまったらかわいそうだし、それを知っていて放っておくなんて申し訳ない。
その数分前に仕事で腸が煮えくり返る経験をしていたから、善い行ないをするという選択がとても正しいものに思えた。心の中が真っ黒だったし、まだ少し身体が震えていた。その時の怒りで。
でも僕は幸いにも彼女の姿に気が付いて、手を差し伸べようか悩むことができた。
悩みながら、彼女のいる側はどんどん近づいてきてしまう、まだ歩き出す素振りはない。
彼女がもし若い女性でなかったなら、きっと僕はためらうことなく声を掛けていたに違いない。
「信号、青になってますよ」
そう言えば良かっただけなのだ。
でもそこで僕はあらぬ妄想に流されながら悩んでしまった。声を掛けて白杖をそっと持つべきなのか、それとも、彼女が手を組めるようにすっと肘を出すべきなのか。考えていた時間は、ほんの三秒くらいだったろう。
そして僕は彼女とすれ違った。無言で。もう一人、そのとき僕とすれ違ったおばちゃんが、ちらりと彼女を見た。でも、おばちゃんも彼女に声を掛けなかった。次の瞬間、彼女は誰にも促されず、足を踏みだした。
きっと、僕やおばちゃんの足音が耳に入って、信号が青であることを悟ったのだ。

僕は自分の最低さに打ちのめされながら、地下鉄のエレベーターを下った。
精神状態が悪いときほど、ひとは一日一善に救われる。常々そう思っていた。一日一善をしそびれた僕の心には、先ほどまでの黒い感情が再び押し寄せてきていた。

苛々しながら電車に乗る。そして、Kindleを取りだした。そう、読みかけの『団地のナナコさん』の続きに逃避するためだ。ヤマダマコト氏のその小説は、ものの見事に僕の感情を180度展開させてくれた。僅か数十秒で僕は作品世界に没入し、現実世界の後悔やうずまくあれこれを忘れることができた。

小説っていいな。と改めて思った。

音楽を聴いていても、なかなかマイナスの感情は逃げていってくれない。集中しなくても、音楽は耳に飛び込んでくれるから、いつの間にか耳は音楽をシャットアウトしていたりする。でも小説は主体的にならないと読むことができないから、物語に突入した瞬間にそれまでの現実の感情はシャットアウトされる。
僕は日本語で歌われたポップスを聴かないから、そのせいもあるかもしれない。言葉が飛び込んでくれば、没入できるかもしれない。でも、きっと歌詞を知っている曲だったら、逆に聞き流してしまい、集中も削がれるだろう。

救われた。その後会社に戻って、フラットな気持ちで仕事に集中することができた。小説よ、ありがとう。

さて、タイトルの話に戻ろう。
こんな話を聞いたことがあるだろう。
《自分が妊娠したら、なぜか街に妊婦さんが増えていた》
《自分の子供がある病気になって以来、なぜか同じ病気のひとをたくさん見る》
《足の骨を折って初めて、そこにエレベーターがあったことに気付いた》

妊婦さんも、病気のひとも、松葉杖、白杖をつくひとも、変わらずずっと存在していた。急に妊婦さんが増えたわけじゃない。心のどこかが、それを無視していたんだ。見えているものを見えないことにしていたんだ。
見えないものを見せるのは、小説の大切な役割だ。音楽も、美術も、芸術といわれるものはみなそうだろう。僕ら表現者は、意識し続けなければならない。意識しなければ目に映らないものを目に映すことができるように、読者がそれを意識できるように行間に潜ませるんだ。

白杖の存在が気になるようになったのは、『五感の嘘』という小説を書いたからだろう。その作品のヒロインは白杖をついている。他にも白杖をついた人物が登場する。行き過ぎた文明の反動で、五感の全てが不自由になってしまった人類の悲しい未来を描いた物語だ。(希望もあるが)

しかも、今度出す短編集(『五感の嘘』を含む10話構成)のトレイラーには白杖のビジュアルも使っている。この記事のアイキャッチにあるやつだ。だから、ちょっと白杖のデザインを観察する気持ちもあって、目に付いたのだと思う。

今度白杖のひとを見掛けたら、ためらわずに声を掛けよう、そう思った矢先、白杖の男性を見かけた。昨日の朝のことだ。
その男性は身体が大きくて、やたらと暴力的な身のこなしをしていた。白杖の先をブンブン振り回し、人に当たってもまるで気にせず、駅のホームをずんずんと歩いていた。彼は、上りエスカレーターを目指して歩きながら、下ってくるエスカレーターの方向へと歩いていた。僕は少し離れた上り階段に向かっていた。
これは危ないな、と思ったが、彼の動きにびびっていた。またも、躊躇してしまった。
次の瞬間、乱暴に振り回していた杖の先が上りと下りエスカレーターを仕切る金属ポールに当たり、カンカンッと音が響いた。彼は身体をブンと翻し、エスカレーターを待って並んでいたひとたちの列に強引に割り込んだ。いや、見えないのだから、決して強引ではなかったのだろう。周囲の迷惑そうな視線が気になったけど、僕はそのまま直進して、階段を上った。その後のことは知らない。

彼にはそれがマイペースであり、きっと、街で暮らさなければならないことで身に付いた強さなのだろう。
《小さな親切、大きなお世話》
あのときの彼女も、誰かに助けてもらおうなんて気持ちは微塵もなかったのだろう。でも、それを当たり前のこととして冷たくなり切れる人間ではいたくないな。
世の中、0か1かで割り切れることなんてそうそうないんだから。

短編集『そののちの世界』は今月末の刊行を目指しているので、今は、『五感の嘘』を買わないでくださいね。(もちろん、一冊だけ読むなら、単体の方がお安いですが……)

(ストアからの直リンクだと、画像サイズを調整できないらしい。大きくて済みません!)

 

では、この記事がいつか誰かの役に立ちますように!

帰納法と演繹法を一度に味わう?

釣りタイトルです。済みません。
帰納法と演繹法を一度に味わうことは出来ませんね。
でも、作者としてそれらを一冊の本に詰め込むということを企んでいます。

今、準備しているのが『奇想短編集 そののちの世界』の合冊版です。全10話構成で第10話が完結編になっていますが、これ、第10話を読まないと、実は全体が関連し合っていることが分からないようになっています。(実際、ストーリー上の関連はほぼ全くないといっても良いのですが)

それで、完結編を読むと、「これまでの話って、そういうことだったのか」と分かる仕掛けです。
第1話から順番に読むと、通常の演繹的な小説として楽しめます。

そこで考えました。第10話を頭に持ってきたらどうなるか?

先に結論に至るエピソードを読み、「果たしてこれは、どのように起こったのか?」という興味をかき立てられるようなストーリーになるでしょう。即ちコレ、帰納的な楽しみ。

用紙やインクの価格を考慮しなくて良い電子書籍(&セルフパブリッシング)なら、これが簡単にできるんですね。

完結編を第1話として頭に持ってきて、その次に元々の第1話である『夜啼く鳥』を配置。第9話の『希望の船』の後に、また完結編の『未来からの伝言』を置きます。

演繹的に読みたい方、つまり、完結編を読んで初めて、そのどんでん返しに驚きたい方は、『夜啼く鳥』から読んでくださいね。そして、とにかく何が起こったか知りたくて、それからじっくり中身を楽しみたい方は、文頭から読めば帰納的に楽しめる、というわけです。もちろん、最初から読んで、最後にもう一回完結編をざっと読む。という楽しみ方もあるでしょう。
あなたはどちらの楽しみ方をしたいですか?

さあ、ここで、合冊版の表紙を初公開です。実は、書籍のePubデータと表紙画像は、とっくに出来上がっているのです。でもまだ刊行できないでいるのは、ブック・トレイラーが制作中だからなのです。まあ、実際にブック・トレイラーで最初に僕の本に触れる人は相当な少数派だと思うのですが、それでも順番としては《予告編》による宣伝が先で、刊行はその後という流れにしたいのですよね……。

これが誰なのか、知りたくなりますね〜、完結編を先に読まずに我慢できますか!?
これが誰なのか、知りたくなりますね〜、完結編を先に読まずに我慢できますか!?

ご存知の方は一目で分かるとおり、合冊版の表紙は第10話完結編のものをベースにして、その主役を配したものです。さあ、彼女の妖しい魅力が吉と出るか、凶と出るか、キャラクターの作者としては気になるところです。

ブック・トレイラーの完成までは、まだ2〜3週間かかりそうです。各短編の価格は合計すると990円(高い!)になりますが、合冊版の価格は普通の長編一冊程度(淡波比)のリーズナブルなものになります。この記事を読んで『そののちの世界』に興味を持ってくださったあなた、どうか、合冊版の刊行をお待ちくださいね!

Amazon Kindle Store上の商品紹介で、各話の共通部分を再録しておきますね。

人類はいったいどこまで行ってしまうのか……?
どんなに奇想天外な未来でも、明日にも起こり得るのではないかと変に納得してしまうことの恐ろしさ。
科学と文明の過剰な発達がもたらすかもしれない様々な「そののちの世界」の出来事を、SFタッチで、ダークなタッチで、またはユーモラスに描いた短編集です。
すぐに読めて、でもずっとどこかに残ってしまう。ちょっと不思議でほろ苦い読書体験が、あなたを待っている!
最終話の完結編以外は各短編にストーリー上の関連はありませんので、どの回からでもお読みいただけます。

あ、ちなみに、短編をバラで何冊かお買い上げいただいてから合冊版を入手しても、全冊の価格よりずっとおトクだったりしますよー。
この各短編作品の表紙がズラリと並ぶ著者ページはこちらです!

それでは、お楽しみに!

帯の効果は?

さて、作品に帯を付け始めて一週間。その効果は?
ということで、これまでの経緯を簡単に書きましょう。

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スクリーンショット 2015-04-18 18.33.59
これがキミコロ! 現在読書中です

まずはこれ。キミコロの藤崎ほつまさんのブログに表紙デザインのことが色々書かれているのを拝読。タイトルは『電子書籍は表紙が九割』。とてもためになりました。この時点では自分の作品に帯を付けることにはまだ慎重。『壁色のパステル』を最初に刊行するときは帯っぽいデザインも考えましたが、それってまずいんじゃない? という気がしてやっていませんでした。
で、今回のキミコロに入った素敵な帯の発見。

ちょうどその後で無料キャンペーンを開始した『希望の船』、表紙画像はこちら。悪くはないんですが、やはりちょっと地味な感じはします。特に、SFに興味のない人にはあまり響かないかな?

出だし好調だった無料キャンペーンですが……
出だし好調だった無料キャンペーンですが……

キミコロに触発され、この事態も予測して一念発起、帯デザインを行い、速効でAmazonさんに提出しました。(おぉ、なかなかの行動力!)
さらに、AmazonのKDPのヘッドである小菅さん(@yoshikosuge)インタビューでこんなことを仰っていたのを発見!

オフィシャルで推奨されていた!
オフィシャルで推奨されていた!

そして出来上がったのが、この帯付き表紙です。

牛野小雪氏に推薦文を寄せていただいたのです!

どうです?
ずっと目を引きますよね!
引き続き、こちらの本にも帯を追加。
スクリーンショット 2015-04-18 18.45.36

さらに、

だじゃれはご愛嬌
だじゃれはご愛嬌

『希望の船』は、この『ケプラーズ5213』の前日譚。巻末にはたっぷり試し読みを載せていますから、ケプラーズの販売ページに来てくださる可能性もある。よし、こっちもやっちゃおう。というわけです。これが表紙。

文字はちゃんと3DCGで作ったんですよ!
文字はちゃんと3DCGで作ったんですよ!

こちらは、新潟文楽工房ヤマダさんがブログで書いてくださったレビューを転載させて頂きました。ヤマダさん、素晴らしいレビューをありがとうございます!
あんなにお褒め頂いて、とろけました。

さて、帯追加後の効果は?

最近四冊の無料キャンペーン
最近四冊の無料キャンペーン

左から、『サタンと呼ばれた男』『五感の嘘』『希望の船』です。右端は、始まったばかりの『未来からの伝言』ですね。
サタン〜は、僕の短編としては標準的なレベルのDL数で、期間内に161冊。これを基準とすると、どうです? 効果、ありますよね。希望〜は348冊だったので、実に倍以上です!
実は、五感の嘘についてはキャンペーン途中で表紙とタイトルを入れ替えるという大実験(この件についてはこちらをご参照)を行い、そこで結構な効果が出ています。帯を追加することで、更なる効果が認められたということになりますか……。

いやあ、この間、何人もの方に応援、激励をいただきました。拡散もしていただき、その効果も大きかったのではないかと思います!
この場を借りまして、改めてお礼をさせていただきます。本当にありがとうございました!

そして、気になるのは昨晩から始まった『奇想短編集そののちの世界』、最後の連続無料キャンペーン『未来からの伝言』のDL数です。そうなんです。帯だけじゃあなあ、という感じが既にしています。(いや、もちろん内容には自信がありますし、表紙、タイトルも悪くないですよね!?)

推薦文はありませんが…
推薦文はありませんが…

ここにはもしかすると、二つのネガティブ・ファクターがあるかもしれません。

1.「完結編」、「最終巻」と書いていること。
→これによって、今までこのシリーズを読んだことのない人が躊躇するかも。
2.「賛否両論」と入れたこと。
→この『否』という言葉のネガティブ・イメージによって、クリックを止めてしまうかも。「あ、駄目だと言ってる人もいるのね。」という判断が下ってしまう可能性ですね。

タイトルはどうでしょう?
Amazonさんの販売ページで、なぜか《評論・文学研究》に分類されています。説教臭い感じ、自己啓発本的なイメージがしてしまうでしょうか??
普通のSFなんですよ、しかも結構エンターテイメント性の高い!

来週の前半まで、まだまだ無料キャンペーンは続きます。
一人でも多くの読者さんに届くといいのですが……。

さて、この記事が、いつか誰かの役に立ちますように!

タイトルと表紙を同時変更の件、続編。

このブログやTwitterでみっともない姿を晒してしまいましたが、短編集第八話の『五感の嘘(旧題:センス・オブ・デリカシー)』について、無料キャンペーンの顛末を書き残しておきたいと思います。

4/3(金)17:00、
無料キャンペーン開始。
夜半、あまりにDLが少ないことに気付く。表紙を差し替えようと決意。CGのシーン編集を開始。DL計12冊。

4/4(土)朝、
やはりDLが増えていない。買い物に行っている間に新しい表紙用CGをレンダリング。午後、コンポジットとレタッチを行い、表紙デザインを差し替え。
眠い。ePubを編集し、データを変換。Amazonに提出。

14:50、新表紙Ver.01が出版される。(Amazon上の表示がすぐ差し替わらず、正確な時間は不明)
ここまでDL数、20冊強。

17:08、表紙の差し替わりを確認。

20:52、タイトルを『五感の嘘』に変更し、再度Amazonに提出。DL増加。4/4の計、39冊

4/5(日)朝、
新表紙Ver.02が出版されているのを確認。
やはり表紙のデザインが気に入らず、再度色調を変更して差し替え、Amazonに提出。

17:02、新表紙Ver.03、最終版の出版を確認。4/4の計、88冊。

4/6(月)
35冊

4/7(火)
35冊、キャンペーン終盤、平日だが、いつものようにはDL数が落ちない。

4/8(水)
10冊、さすがに最終日はガクッと落ちる……。

五日間の合計で219冊。短編集では一番のDL数となりました。元が99円と安いだけに、あまり無料キャンペーンの効果は大きくないと思っていましたが、これだけ出れば少しは露出が上がるかなあとほのかに期待。
ブログとTwitterで変に騒いでしまった効果が出たのかもしれませんが、タイトルと表紙デザインを人目につ引やすいものに変更した効果も、決して低くはないと思います。最初の24時間は20冊ちょいしか行かなかったのですから。現実の世界に「もしも」はありませんし、実際に何も替えなかった場合と比較することはできないのですが。。

タイトル、表紙デザイン。とても大事です。それを再確認した一週間でした。

そして今週末からの五日間は、『そののちの世界』最後のKDP、KWL同時無料キャンペーンを行います。
対象作品は:
KDP『希望の船』、KWL『プロテイン・パック』です。
どちらも力を入れた作品です。とくに『希望の船』は、最大の自信作『ケプラーズ5213』の前日譚となっています。なぜ、どうやって超巨大宇宙船が建造され、遥か彼方へと旅立っていったのか、がスリリングに描かれます。
短編としては61ページ(巻末付録込み)と長めですが、ぐいぐい読める内容で、とってもお勧めです!
(SFの苦手な妻が、僕の予想の半分以下の時間で読み終わっていました。構成はちょっと複雑で、登場人物も多いのですが、読みやすい物語に仕上がったと思います)

『希望の船』を読んだ後は、短編集完結編の『未来からの伝言』に進むか、『ケプラーズ5213』に進むか、二通りの楽しみ方がありますよ。
ちなみに、巻末付録は『ケプラーズ5213』の冒頭から三章分。読み始めたら止められないこと請け合いです!

いっぽうKWLでキャンペーン展開の『プロテイン・パック』は、ほししんいちさん的な世界観から始まり、世界が軋みを立てていく様子が刻々と描かれます。
湿っぽさのない、カラッとした懐かしい未来が、あなたに読んでいただけるのを待っています。

 

どちらもお勧め。是非二冊とも読んでみてくださいね!
どちらもお勧め。是非二冊とも読んでみてくださいね!

 

では、金曜日をお楽しみに!!

最後に、ここでお気付きの方もいるかもしれません。同時キャンペーンなのに、KWLの話が出ていませんね。実はKWLではここのところ一切表示が更新されていないのです。前回の無料キャンペーン時にはDLしてくださった方が最低一人はいることを確認できたので、何がしかDLされていることは確か。ですが、今回のキャンペーンでも、ダウンロード数は一冊もカウントされていません。
恐らく、なのですが、KWLでは無料キャンペーンのDL統計は記録されないのではないでしょうか。ダッシュボードには「販売数」と「ダウンロード数(無料作品)」しか表示欄がないので、元が有料の作品については表示する欄がない。ということなのかもしれません……。

さて、この記事がいつか誰かの役に立ちますように!

タイトルと表紙を同時変更、の件

新旧表紙を並べてみました
新旧表紙を並べてみました

ご覧の通り、現在無料キャンペーン開催中の短編作品の表紙とタイトルを変更しました。右が旧版、左が新版ですね。どうしてこうなったかというと、キャンペーン開始時のダウンロード数がちっとも増えなかったためなのです。
これまでに行なったキャンペーンの中でも最低レベルだったため、冷静に、原因を分析してみたというわけです。
で、結論として辿り着いたのが、この二つ。

・小さく表示した時によく分からない地味めな表紙
・あまりなじみのない片仮名のタイトル

もちろん、旧版にした時もそれなりに合理的な理由がありました。

【表紙絵】
・高度に工業化され、高密度に集積された野菜生産工場のイメージ

これを表現するためには《何フロアにもわたって続く野菜工場を引きの絵》で、《象徴的なシンメトリ構図》で、という判断もまた間違ってはいなかったと思うのですが、ぱっと見て何だか分からない、という危険性の方が大きかったのですね。で、新しい表紙、《なんか、ロボットアームが植物を育ててるみたいだぞ》と一目で感じられるものに変更しました。ロボットの色も農業機械にありがちな赤にして少々目立たせています。物語中にはロボットは出て来ないのですが……。

【タイトル】
・物語冒頭に出てくる自称グルメなダメ男と本当に繊細な舌を持つ主人公の対比で、《(美)食の感覚》のような意味合いのタイトルを付けていました。

こちらは本当に作者の勝手な思い入れに過ぎず、多くの人が何のイメージも喚起できないタイトルだったと思います。しかも、物語は《食》に留まらず全ての五感へと広がっていきます。その五感がいままで信じていたものと違っていたら? という裏テーマを感じさせるもの、何かありそうだと感じさせるタイトルにしよう、ということで、『五感の嘘』に辿り着きました。

旧版についてもそれなりに検討した結果、最も良いと思われるものにしていたわけなのですが、それはそれ、これはこれ。《作者の思い》と読者にとって《喚起されるイメージの強さ》は別物、ということです。クライアントがいるCGの仕事だったらそこまで考えてビジュアルを判断するところですが、ここは個人の思い入れが先行してしまったため、そこに思い至らなかったのでした。作品を世に出す時は読者というクライアントを思い浮かべていなきゃな、と反省です。

ここで両方とも変更することで、その効果も分かるというもの。

キャンペーン開始から一日半と少し経過した現時点で、100DLを少々超えたところです。タイトルと表紙を変更した効果なのかどうか、はっきりとは分かりませんが、概ねいつもの水準に戻りつつあります。

表紙、タイトル、とても大事ですよね、というお話でした。

さて、この記事が、いつか誰かの役に立ちますように!

短編最終話の表紙がまず完成

完成、と言っても今回は0から作ったわけではないので、短時間で出来上がりました。見てお分かりのように、これまでの短編作品の表紙をレイアウトしたものになっています。

短編集もいよいよ最終話!
短編集もいよいよ最終話!

どうして最終話の表紙がこれまでの表紙のコラージュになっているのか? さあ、皆さん興味が湧いてきますねえ。
そうです。実はこの最終話、『奇想短編集 そののちの世界』を構成する全ての短編作品の《完結編》になっているのです!
各短編の表紙にも、最終話のレイアウトに使っている分割線が使われていることに、気が付いていましたか? この分割線、実は表紙を九つの領域に分けるためのものだったのです。表紙のデザインも、実は伏線になっていたのですねえ……。
(って、誰も感心しないか)

最終話『未来からの伝言』には、あの作品やあの作品の《もう一つの結末》が含まれ、全ての短編がこの完結編に至る伏線であったことが示されます。(ネタバレ?)
三ヶ月以上にわたって書き連ねてきた各短編作品は、実はこの完結編を目指して構築されたもの。Amazonさんや楽天コボさんでの紹介文でも、「2015年3月25日発売予定の最終話以外は各短編にストーリー上の関連はありませんので、どの回からでもお読みいただけます。」と書いています。この意味が、とうとう明らかにされる、というわけなのです!

この最終話は第一話から第九話までのいずれかの話を読んでいれば内容を理解できるように書いてはいますが、たくさん読めば読むほど、最終話の味わいは深まると思います。
中でも、第九話の『希望の船』だけは最終話の前にお読みくださることを強くお勧めします。

ちなみにこの最終話は、当分の間無料キャンペーンを行なわないと決めています。何も予備知識がない状態でこの話だけを読むことは出来るだけ避けたいな、と思いますので。
他の短編後半分(第七〜九話)は適宜無料キャンペーンを行なうことになりますので、まずはそちらをお読みくださると嬉しいな、と思います。

では、三月二十五日の刊行をお楽しみに!

短編第九話を刊行

『奇想短編集そののちの世界』の第九話、『希望の船』を刊行しました。昨年12月15日から始まった淡波亮作刊行ラッシュもちょうど三ヶ月目、いよいよ最終作の執筆も始まっています。

さて、この『希望の船』ですが、表紙の宇宙船に見覚えのある方はいらっしゃいますか?

『希望の船』表紙
『希望の船』表紙

そうですね、これは、予告編映像などに登場している巨大なスペースコロニー型宇宙船ティオセノス号です。(この船には、十万人もの人間が乗っているんですよ!)

実はこの短編、刊行ラッシュの初回を飾った長編SF冒険物語『ケプラーズ5213』の前日譚をなすストーリーなのです。『ケプラーズ5213』の時間軸は、ティオセノス号が惑星ケプラー186fに近づきつつあるところから始まりますが、人類がなぜ地球を離れることになったかについては、あまり詳しく述べられていません。(ちなみに、小説自体の始まりは惑星に到着したところから、ですが)

この『希望の船』を含む短編シリーズ『そののちの世界』は、《科学と文明の過剰な発達がもたらすかもしれない様々な「そののちの世界」の出来事》を描いたものです。ここでは、なぜ地球が人類にとって生息が不可能になってしまうほどその環境を悪化させてしまったのか、この巨大なプロジェクトが誰の手によって計画・推進され、実現されたのか、などに焦点を当て、スリリングに描いています。ケプラーズをお読みになった方はもちろん、こちらを先に読んでからケプラーズを読むと、面白さ倍増ですよ!

さて、『希望の船』では、新たに一つの試みを盛り込んでいます。本編の後ろに『ケプラーズ5213』の冒頭部分を試し読みとして入れているのです。これは、通常アマゾンからダウンロードできるサンプル版とは異なり、第三章まで読めます。こちらのランディングページにあるお試し読み版は第二章までなので、それよりさらに長く読めるというわけです。

『ケプラーズ5213』ランディングページ

お試し分を読んでいる間に、ストーリーにどっぷり浸かってもらい、もう続きを読まないではいられなくなる、という作戦なのですが、どうなりますか……。

この手法、アメリカのペーパーバックなどではよく使われているもので、僕もこれまでスティーヴン・キングやダン・ブラウンの小説でこれにやられ、次の小説をついつい購入していました。

短編はそれぞれ99円という価格設定にしています。缶コーヒー一杯より安いお値段ですが、それ以上の満足は必ず得られると信じています!
(追記:価格改定により、長めの作品は140円になりました)

『希望の船』の冒頭部分を、こちらに載せておきましょう。少しでも興味を持っていただけると良いのですが……!


希望の船

二一八三年、アメリカ合衆国ワシントンDC。
「中国は一万人を希望しているそうですが、どう対処しますか?」
アダムズが困りはてた顔で、書類の束をテーブルに置いた。
「一万人? あいつら気は確かなのか」
ストラスバーグが書類の束をパラパラとめくり、首を横に振った。
「経済的側面からも文化的側面からも当然の権利であると、書面の結びに……」
「はん! 放っておけ。自分たちの言っていることがいかに常識外れなのか、いずれ嫌でも分かるだろう」
「でも議長、中国の要望をそうやって撥ねつけるのなら、振り返って我々自身の要求は他国の理解を得られるのでしょうか?」
「当たり前だ。誰が調査し、計画を立て、設計の中心になってきたと思ってる」
「それはもちろん我が国ですが、これは国際事業ですし、」
「構成メンバーの半数はアジア、資金の六割はアジアが負担していると言いたいんだろう?」
「え、ええ」

米国が先導し、このプロジェクトを開始してより、すでに十年という歳月が経過していた。今年はいよいよ実際の建設工事が開始されることになっている。その大いなる夢を米国は語り、今日まで世界から莫大な資金を調達してきたのだ。その中でも中国は、巨大なスポンサーの一つであった。
「いいか、ティオセノス・プロジェクトは商売ではない。各国が進んで資金を負担するのは、見返りを期待してではなく、より良い結果を出すためだ」
「はい、資金は善意によってのみ提供されなければならない。という趣意書を鵜呑みにすれば、ですが」
「趣意書はタテマエじゃない。人類にとってぎりぎりの選択が、私欲のためになされても良いだなどと考える愚か者がどこにいるんだ」
「そうですが……」
アダムズはなおも不安を隠さない。
「いいんだよアダムズ君。我々は正しいと信じることを推進するのみだ。世界の総意によって判断は行なわれ、のちに結論を下すのは、私たちの遠い子孫なのだから」
「そうですが……我々自身の要求こそ……」
過度なのではないか、という言葉をアダムズは飲み込んだ。彼の心中を察してか察せずか、ストラスバーグは書類の束に一瞥をくれると、無言で歩き去った。


気になった方、続きはこちらから是非どうぞ!

ようやく(?)Hagoromoを導入!

Hagoromo
Hagoromo

Macでの執筆環境についてずっと調査・研究(大げさ!)を続けてきましたが、とうとう、これぞ決定版! に近い選択肢を見つけました。Artman21さんが発売しているエディタ、「Hagoromo(はごろも)」です。

以前、KDP作家仲間のさんからご紹介いただいたのですが、一連の短編集はずっと同じ環境で執筆するべきだろうと思ったため、まだちゃんと調べていませんでした。

ところが、短編前々作である『段ボール箱の中の人形』の無料キャンペーンにおいて、iOSで読めない、DLできないという大失態を犯し、もう少しエラーを招かない方法はないかと再度考え始めていました。しかも、そのエラーを修正して臨んだ二回目の無料キャンペーンにおいて、またも一部のiOSで読めないという問題が発生。元になるePubはこれまでに出版したものと全く同じ構造になっているため、今回は原因も分からずじまい……。

今後も同じような事態を引き起こすわけにはいかないため、いったんHagoromoを研究してみることにしました。何しろ、今まで考えてきた日本語執筆環境に必要な下記の要素が全て盛り込まれていますから。

・縦書き
・ルビ
・傍点(圏点)
・縦中横
・ePub書き出し

広橋さんからは、圏点やルビの書き出しにエラーがあるとお聞きしていましたが、2/16のアップデート版で解決しているのかもしれません。僕が少し試した限りでは、いずれも問題はありませんでした。
<3/10追記:現在のバージョンにはまだバグがあるそうです。バグフィックス済みの新バージョンは、本日現在アップルの審査中だそうで、もうすぐ改訂版が出るようですよ!>

そこで早速、書きかけの短編第九話の途中から、執筆環境を切り替えてみました。

さて、今日はここで時間切れ。残りは次回をお楽しみに!

この記事が、いつか誰かの役に立ちますように!