詩/種たちは

道端で
敷石の隙間に引っかかって

あれ?
という顔で
ぼくを見上げていた

どこか遠くの空から
漂って
落ちてきた

うねる風に
バランスの悪い踊りを
させられながら
ぼくの目の前を
通り過ぎようとしていた

ぼくは
そんな種たちを
エイヤッと捕まえて

引き出しの奥に
そおっとしまう

ときおり
引き出しを開けて
そろりとのぞき込むぼくを

種たちは
じっと見ている

種たちは
寄りかたまって
ざわざわと
震えている

手に取ってくれるかしらと
期待の顔で

まだだよ

ぼくは苦笑いして
そっと
引き出しを閉じる

もう少しだよと
無言で告げながら

種たちの頭のてっぺんが
はち切れんばかりに
膨らんでくるときを

じっとじっと
待っている

期待の顔で

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