ウェブの記事は1行の文字数が多い。ウインドウを横にしたら字が大きくなるかと思って回転しても、画面の大きさに合わせてリフローされてしまい、1行あたりの表示文字数が増えるだけだ。
ちょっと前まで愛用していたiPod touchでウェブ上の文章を読むのは、事実上不可能だ。僕にとって。
──でも、それは仕方がない。
だから少しでも大きく読みやすくと思ってiPadにしたところで、これがあまり改善されなかったりする。高解像度で文字は細かく、たくさんの情報を表示できるようになっているからだ。
もう、
「小さい字が読めない人は来なくていいよ」と言われているようだ。
もちろん、iOSだって文字サイズを大きく設定できるし、実際そうしている。だけどそれは、ダイナミックタイプという機能に対応したアプリだけらしく、そもそもウェブの表示には関係ないらしい。
(対応していても、あまり意味のない文字だけが突然大きくなったりするんだよなあ、これが)
それに比べて、読書専用端末や読書アプリは読者のことをキチンと考えている。情報を詰め込むために文字を小さくするようなことはせず、ちゃんと読みやすさに配慮しているのだ。そして、ユーザー自身がそれぞれの事情に合わせて調整できるようにしてあることが、最大の違いだ。
ウエブ上で公開されている小説は、その多くが横書きだ。
noteもカクヨムも、それなりに配慮されていると思う。でも、それは運営側の考えた「読みやすさ」であって、各自が自分の読みやすさに合わせて調整することができないのが残念なところ。横書きで読むことが前提になっているし、ね。
だから、横書きの小説は苦手なんだなあ。
(例外はあるけど)
では、文章の物理的な読みやすさって何だろう?
人間の目は、横に並んでいるから横書きの方が読みやすい、という調査があるらしい。
先日、電書ちゃんがそんなことを呟いていたし、その前に、僕自身もどこかで読んだ。
だが、ちょっと待って欲しい。それは違うんじゃないの?
僕は科学者の言うことなんか信じない。
日本語の文字は、縦に書き、縦に読むためにデザインされている。
はらい、はね、止め、流れ、全体的なデザインの組立。
一文字一文字が、「次の文字は下へ続くよ」と言っている。主張している。
──と、僕は思う。
ここに、横書きの読み辛さがあるんじゃないかと、思っている。
それなら、縦書きならいいのか、というと、そんなにシンプルな問題ではなかったりもする。
例えば、pixivでは縦読み設定で小説を読むことができる。
それを知った時は小躍りしたものだ。しかし、実際に読もうとしてみると、これが全くもって読みやすくなどなかった。
理由は簡単。読みやすさに配慮して縦書きを用意したのではなく、単にウェブの技術として縦書き設定が可能だからそういうオプションを用意しただけだからだ。
ページいっぱいに行が伸び、しかも僕のiPadではそれが1ページにも収まらず溢れている。ちょっとだけスクロールしないと、1行を追うこともできない。何だろう、これ……。
「文章の読みやすさ」は、文字サイズ、文字間、書体、行間、1行の文字数、1ページの行数、明るさ、文字色、コントラストなどなど、総合的なバランスの上に成り立つものだ(内容は考慮しないものとして、ね)。
・画面内に適度な余白を設け、追いやすく次の行に移行しやすい文字数で改行
(予め設定されたものでなく、ユーザーが任意に変更できる)
・全体のサイズを固定させず、ユーザーが画面を拡大縮小できる。
(PCでは無理やり出来たりするけど)
たったそれだけのことが、まだウェブにはできていない。技術を駆使すればできるのだろうけど、《クライアント属性を検出した上でCSSを調整可能なリフローのページを作成する》のは実際問題として困難(=面倒)なのだろうなと思う。
そうなると、残念ながら、読書用のアプリで読めるものに選択肢を狭めたくなるわけだ。
ウェブ上の文章を読みやすくしてくれる技術は、今のところ「えあ草子」しかないのかも知れない。
(僕の乏しい知識の中では、ね)
でもこれは、残念ながらFlashの動作しないiOSでは使うことが出来ない。
いつか、HTML5版が出来ないかなあ、と、夢見ているのだ。
皆さんは、どう考えるかな?
じゃ、また明晩!