詩/夜の水たまり


もしも
夜の水たまりに
美しい淋しさを見たとしたら

もしも
ほの暗い外灯に照らされた
しおれた花びらに
美しい哀しさを見たとしたら

それは、
そこにあるから見えたのではない

それは、
わたしの胸の中にある
どうしようもなく重たくて
どうしようもなく厄介な塊が

わたしのこころの表面に
裏側から映し出さずにはいられなかったのだ

世界は
描かれるためにある
でも世界は
描かれるためだけにあるのではない

胸の奥の不確かなものたちと
語り合うためにあるのだ

もしも
悲しい顔をした少年が
胸の奥で泣いていたら

そんなことを
ささやいてみようか
今度こそ




淡波ログに掲載した作品を中心に書き下ろし作品を加えた初の詩集『猫になりたい』。
乾いた心にするりと忍び込む、読みやすい詩編を多数収録しています。


『猫になりたい』は、楽天KOBOさんから《例の》201円作戦で出てます。今週は売上げがさっぱりで、ランキングからは消えましたが……(ランキングから消えたって、作品の良さは変わらないぜっ!)。こちらですからね!

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