梅雨の合間のこんな日は、少し乾いたあじさいが別の表情を見せてくれる。
綿で作ったふわふわのボールみたいに、柔らかで優しい色のつぼみたちが明日の雨を待っている。
白から黄へ、黄から空のブルーへ、そして紫の絵の具が体内から染み出すように、いよいよ、ぱぱぱんと花が開くのだ。
一足先に開いてしまった兄貴分が、ころころとした弟分たちを見守っている。
生ぬるい風にゆらゆら体をゆらしながら。
淡波ログに掲載した作品を中心に書き下ろし作品を加えた初の詩集『猫になりたい』。
乾いた心にするりと忍び込む、読みやすい詩編を多数収録しています。