『魔女と王様』新連載第2回

こんばんは!
『魔女と王様』の連載第一回はいかがでしたかっ?

良い子のみんなは、今日が夏休みの最後の日ですよね〜。
宿題はもうぜんぶ終わったのかな?
──え、そんなことはいいから早くお話を読ませてって?

そうでしたそうでした。
では、今日も始めましょう。

第一話では、主人公のニーダマ王子が、いきなり大ピンチになりました。
でも大丈夫、第二話で北の魔女ローズンが、凍った湖から助け出してくれましたものね。

さあ、二人はこれからいったいどうなるんでしょう?

第三話のはじまりですっ!

『魔女と王様』第三話
『魔女と王様』第三話
(表紙の絵はまだダミーですよ……w)

いかがでしたか?
これから何が始まるんでしょう、楽しみになりますよね〜。
ね〜?

BiB/iの表示に不具合のある方用のPDFは、こちらです!
[第三話]


本連載は、基本的に毎週土曜日と水曜日に一話ずつ掲載します。


『とっても小さな九つの国』の既刊シリーズはこちら!
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初の連載小説にしてほんわかしたお伽話『フックフックのエビネルさんとトッカトッカのカニエスさん』。
大変好評を戴いた物語はそのままに、新たに描き下ろしの挿し絵を加えた電子書籍版です。もちろん、Kindle Unlimited対応ですから、会員の方は無料で読めますよっ!




本作は、ほんわかとしたお伽噺『フックフックのエビネルさんとトッカトッカのカニエスさん』の五年後のお話。著者ブログに連載されたものに加筆修正し、全話の扉に描き下ろしの挿し絵を加えました。挿し絵の数は上下巻合わせてなんと93点!

Blender:NPRのちょっとしたヒントに

final

ども、淡波です。

Blenderの習熟度で言えばまだまだ素人の域を出ないのですが、むりやり(w)仕事でも使っている関係上、結構いろいろ試してみたりはしています。

先週のブログ記事『今週の一枚:ん? なんか見たことあるような……』で、あるアニメーションを作っているということを書きました。

ある方から引き継いだBlenderのデータにアニメーションをつけていて、レンダリング時間を短縮するために様々なチューニングを施しているのですが、もし、Blenderをお使いの方が読んでいたら、きっと興味を持っていただけたのだろうなあ……と思い、今回の記事を書くことにしました。

さて、NPRってなんでしょ?
から、ですね。

CGをやっていると、「写真みたいにリアルにする」ことが一つの目的だったりします。NPRというのはその正反対で、ノン・フォトリアリスティック・レンダリング、つまり、「写真みたいじゃない画像化」ということです。

この『とろろ姫の歌』のPVもそうですね。こちらは平面のアニメ調ですが。
 

さて、今回最初にいただいたデータも、どちらかというとNPR系のマテリアル設定になっていました。レンダリング時間を短くするため、反射や透過などの処理は一切省き、ディフューズカラー(=拡散反射色)のみの設定です。こういった設定だと、「写真みたいじゃない」というか、人形劇っぽい感じになります。光沢のない塗料で人形を塗った感じで、ある意味リアルになるんですよね。

さて、その状態でレンダリングした画像がこれ。
レンダリング時間は約1分50秒です(core i7 dual Macbook pro)。
ノイズをある程度減らさなければならないので、サンプル数は100です。これでも、ちょっと絵がノイジーですよね。

先週より一人増えてますね。進行してる、という主張だったりして。

そして、今回チューニング済みのレンダリング結果がこれ。
レンダリング時間は約5秒で、実に22倍に高速化しています。サンプル数はたったの4です。
Cyclesレンダラーを使用していますが、これならInternalレンダラーと全く遜色のない計算時間ですね。むしろ速いくらい?

4s96

 

普通なら、ノイズだらけで見られたものではありませんが、こちらの画像だと、むしろオリジナル状態のレンダリングよりノイズが少ないですよね。

もちろん、オリジナルの自然な光の感じはまったくありませんし、雰囲気もかなり壊れています。でも、アニメーションを作る以上、レンダリングにかかる時間は最も大事な要素のひとつです。4,000フレームを100秒レンダリングすると、実に111時間もかかります。個人で、しかも「お手伝いで」作るCGのレベルではありません……!

雰囲気については手法を変えることで逆にプラスできる部分もあります。地面や山、背中のタンクなどは、面白い感じになっていると思います。しかも、絵はこれで完成ではありません。こちらをもとにしてコンポジットを行なった画像が冒頭にあげたもの。コンポジットのレンダリングにかかる時間は約1秒です。もちろん、オリジナル版を使う場合もそのまま完成ではなく何らかのコンポジットが必要なので、この時間は同程度ということになるでしょう。

好みはありますが、これはオリジナルの作者からもオッケーを貰いましたし、NPRのレンダリングとしては面白いものになったのではないでしょうか。

さて、前置きが長くなりましたが、本題です。

【超スピーディーにレンダリングが終わるNPRなんだけどちょっとリアルっぽいシェーダー】

タイトルも長いですね……。

ではまず、手前の人物の肌シェーダーを見てみましょう。

画像は幅2Kを超えていますが、プレビューレンダリングはなんと0.81秒です(左側の表示参照)。

この設定のミソは、基本となるシェーダーにすべてエミッション(発光)シェーダーを使っていることです。発光させれば光を受けませんので、GI計算は不要です。影も不要です。

だから、レンダリングの設定も、Light Pathsの値にすべてゼロを入れています。普通では考えられませんよね。

render
これぞ究極のレンダリング設定(?)

 

では、シェーダーの内容を簡単に解説しましょう。すべてエミッターなのに、ちゃんと立体感がありますよね。ノード・ツリーの左端に注目すると、「Geometry」ノードがあり、それが「Seperate RGB」に接続されています。
そう、先日恵比寿で開かれたBlendxJPに出ていた方はご存知の、「ノーマル」を使って上下の色を塗りわけるテクニックを使っています。
形状から面の向きの情報を拾い、その下向きの面にはちょっと暗めの肌色シェーダーを、それ以外には明るめの肌色シェーダーを当てています。
この二つが、Mix Shaderで混ぜられています。そして、何となく輪郭線らしきものを出すために、その先にはこげ茶色のエミッションシェーダーが合成され、ています。FacにFresnel(フレネル値)がインプットされているので、Fresnel値で制限された部分にだけこげ茶色が現われます。IOR(屈折率)が1.0未満だと、色の境目にグラデーションがつかず、塗り分けたようになります。0.95〜0.99くらいの範囲にあると、輪郭線のような効果が出ます。曲率と太さが比例するので、小さなオブジェクト(指など)ではほとんど線が見えないのが弱点で、逆に大きな面が同じ方向を向いていると、ベタ塗りになってしまう欠点もあります。

ゲームで良く使われる裏ポリテクニックを使った方が線は均等できれいかとは思いますが、この方法ならデータ量が倍になるのを避けられます。Freestyleの線は美しいですが、レンダリング時間が増えてしまいますし(「トロロ姫」は超ローポリなのでFreestyleを使っています)。

ちょっとFresnel値を変えたものを見比べてみましょう。

フレネル値=0.90
フレネル値=0.90
フレネル値=0.95
フレネル値=0.95
フレネル値=0.99
フレネル値=0.99

使いようによって、面白い効果を出せそうですよね。

今回は肌を例に取りましたが、どのシェーダーもほぼ同じ作りです。
もう一つ、ちょっと違うものを見てみましょう。地面のシェーダーです。水っぽい球を置いてみました。

このシーンの中で最も重いシェーダーです。
このシーンの中で最も重いシェーダーです。

まず、基本色の茶色です。左上ですね。
2色のエミッション・シェーダーを使ってFresnelで混ぜています。カメラから遠ざかる(角度が付くと)と明るい色になるようにして、距離感を出しています。
散在する岩と水球を見ると、地面への反射があります。反射の他にも地面への影のようなものがあります。不思議ですね。普通に考えると、発光している地面に影が落ちるはずはありません。

そこで活躍するのが、図中オレンジ色の枠で示したアンビエント・オクルージョン・シェーダーです。環境から遮へいされている部分に疑似的な影を落とすものですね。これは少々レンダリング時間を増大させますが、あるとないのではオブジェクトの接地感がまるで違いますから、ここは我慢です。
このアンビエント・オクルージョン・シェーダーも、単色だと地面の色をのっぺりさせてしまうので、2色に塗り分けて、地面の基本色と同じFresnelノードをつなぎます。

その先に繋がっているのが、反射を出すGlossyシェーダーです。あまりにもツルツルにすると反射がわざとらしくなりますし、反射をぼけさせ過ぎると、きれいに見せるためのレンダリング時間が増大します。映り方が自然になるようにRoughnessの値を調整し、これも遠ざかると自然に消えるようFresnel値で制御します。

さて、いかがだったでしょうか?

ちょっとまとめてみます。

・BlenderのNPRレンダリングは、実はCyclesでも素早くレンダリングできる
・基本シェーダーを全てEmissionにすることでノイズレスになる
・GI不要、レンダリング設定の値は全てゼロでOK
・立体感は形状のノーマルをうまく利用して出せる
・地面への影はアンビエント・オクルージョンで出す

■注意点です。
 全てが同値で発光しているので互いに影響を与えませんが、一つでも発光しないシェーダーがあると、それが光を受けてしまい、突然そこだけおかしな見栄えになりますし、ノイズが増えるので結果としてレンダリング時間が増大します。

僕の経験上、このやり方を使えばInternalレンダラーよりも速くレンダリング計算を行なわせることが出来ると思います。
シェーディング画面のキャプチャ動画とは異なり、DOFを調整できる(遠くをぼかせる)、反射を入れられる(しかもぼかせる)、という表現上の利点があります。

もちろん、OpenGLレンダリングでその中間の表現を目指す方法もあるのでしょうが、そこはまだ僕には未知の領域で(笑

また、進行状況を報告しますね。

では、今回はこれまで!

残しておきたいツイート─035

今日はこんなツイートから。

1.

「ほう、なるほど」って、また思ったので、残しておいた方がいいんじゃないかと。
誰かの参考になるかもしれないし、ね。

2.

これは、面白いですよ。
見ているとにやりとしてにこりとして嬉しくなります。
また見よう。
(てゆーか、見ちゃったw)

3.

挑戦しなければ、決して失敗はない。
でも、挑戦しなければ、決して成功もない。

久々、SeanWesさんのレタリングから。

そうそう、彼の影響なんですよ。線画イラストにSAKURA MICRONを使うようになったのは。
学生の頃はロットリング愛用でしたが、とても気軽でメンテの要らないロットリングという感じ。非常に安いし、使いやすい。
MICRON最高。

4.

こちら、前述のSeanさんの相棒ですね。
長いことPodcastも聴いてないけど、お二人とも元気かなあ……。

5.

発想の転換?
「知らないということ」もアイデアの源になることがあるよね、という話!

6.

あ、これ大事。

7.

もう一年三ヶ月も経ってしまった……。

8.

あ、これ忘れてた。
文芸とは関係ありませんけどね、自作小説のPVを作るのにも使えます。
無料のCGソフトBlenderには、VSE(ビデオ・シーケンス・エディター)という動画編集機能があります。これを拡張するためのアドオンですね。藤堂++さんのページへ飛ぶと、この他にも二つのアドオンが紹介されています。
動画編集がかなり便利になるということです。僕もたまに(仕事でも)このVSEを使いますので、覚えておかなきゃなと思った次第──。
(僕は標準機能のままで使ってました。はっきり言って不便ですw)

9.

まあ、いろんなところで自分を晒していると、いろいろありますよね……。

10.

これ、ちょうど『光を纏う女』を書いていたころじゃないだろうか……。いいタイミングだ。
本日の最後だし、貼っておこうw



『月刊群雛2015年8月号』に掲載され、好評を博した作品『光を纏う女』を中心に、ふしぎな掌編『波』とSFミステリー風味の短編『瞳』を加えた三編からなる短編集です。


じゃ、また明晩!

カナブン

「そこの新聞受けにカナブンがいるの。取って」

妻は虫が苦手だ。特に飛ぶ甲虫は、例の黒いやつと同じように怖がる。気味悪がる。
女子は自分を可愛く見せるためにワザと怖がるんだよ、と、虫を怖がらない女子に聞いたことがあるが、そんなレベルではない。本当に冷や汗をかいている。

私がどんなに、
「虫は怖くない、刺しも噛みもしないから」
と言っても無駄だ。
どこに飛んでくるのか分からない、顔に飛んでくるんだから、と、青い顔をしている。
怖いことに理由なんてない、理屈なんか知らない、と、泣きそうになる。

私はちょうど新聞を読んでいて、今まで新聞が入っていたマガジンラックをちらりと見て言った。
「うん、取っとく」
妻は安心してキッチンに消えてゆく。

新聞を読み終わった私は、マガジンラックに新聞を戻さずに中を覗き込む。

──いない。
うちわや校正途中の原稿の束、国語ハンドブックなどをガサゴソと抜き出しながら、それぞれを入念にチェックする。

──いない。
マガジンラックの中を空にして、どかして、下を、裏を、ソファとの隙間を入念に観察する。

──いない。
どこかへ逃げしまったのだ。残念だが、今は諦めてもらうしかない。また、見つけたら捕まえればいいだけの話だろう。

「ね、いなかったよ」
私はさりげなく言う。
「そんなわけないもん!」
妻は泣き出しそうだ。
「だって、全部出して、下も裏も見たんだよ。また見つけたら捕まえるからさ」
「新聞受けだよ」
心もち、妻の口調に毒がこもる。
「うん、そこでしょ」
私はマガジンラックに視線を向ける。
「新聞受けだよ、玄関の」

私が玄関に走り、一瞬でアオカナブンをつまみ出したのは言うまでもない。

意思疎通って、難しい────。

『魔女と王様』新連載第1回

お待ちかね!

良い子のみんなが楽しみに待っていてくれた『とっても小さな九つの国』の第三部にあたる『魔女と王様』の連載が、いよいよ始まりますよ〜!

第1回めの今夜は、連載開始記念として2話分を掲載します。

『魔女と王様』は、第一部の『フックフックのエビネルさんとトッカトッカのカニエスさん』からさかのぼること五十年以上前のお話です。だからまだルルルとリリリは生まれていませんし、あの、エックエックの国のアレックス王だって生まれる前なんです。

だってこの物語は、アレックス王の父親であるニーダマと、北の魔女ローズンのお話なんですもの。
いたいどんなお話になるんでしょう?

さて、はじまりはじまり〜!

『魔女と王様』第一〜二話
『ルルルとリリリ』第一〜二話
(表紙の絵はまだダミーですよ……w)

いかがでしたか?
これから何が始まるんでしょう、楽しみになりますよね〜。
ね〜?

BiB/iの表示に不具合のある方用のPDFは、こちらです!
[第一〜二話]


本連載は、基本的に毎週土曜日と水曜日に一話ずつ掲載します。


『とっても小さな九つの国』の既刊シリーズはこちら!
(どちらも未読でも、『魔女と王様』はお楽しみいただけます)

初の連載小説にしてほんわかしたお伽話『フックフックのエビネルさんとトッカトッカのカニエスさん』。
大変好評を戴いた物語はそのままに、新たに描き下ろしの挿し絵を加えた電子書籍版です。もちろん、Kindle Unlimited対応ですから、会員の方は無料で読めますよっ!




本作は、ほんわかとしたお伽噺『フックフックのエビネルさんとトッカトッカのカニエスさん』の五年後のお話。著者ブログに連載されたものに加筆修正し、全話の扉に描き下ろしの挿し絵を加えました。挿し絵の数は上下巻合わせてなんと93点!

今週の一枚:ん? なんか見たことあるような……

C_whole_2500
○○さん

 

と、釣りタイトルにしてしまいましたが、まあ、見たことのある人はまずいないのかなぁとも思います。

実はコレ、ある方からデータをいただいてコラボ制作中の作品です(その方が制作途中のものを一回だけツイートしたみたいなので……)。
だいたいのモデリングと質感設定が済んだものを僕が再調整し、アニメーションを付けて、映像作品になる予定です。

最初にいただいた状態でも独特の雰囲気があってきれいな質感だったのですが、レンダリング時間があまりにかかってしまうため、僕の方でチューニングを兼ねて付け直し、結局かなり違うものになりました。これはこれで結構色気が出て面白いかなあと思いますが、どうでしょうね……。
(まあ、オリジナルを制作したご本人からは「良い」と行っていただけましたが)

それに、アニメーションを作るためにはレンダリング時間短縮のためのチューニングが必要なんですよ。これで最初の状態から10分の1くらいに短くなっていますから!

で、映像作品って、何のためのものかってのが、気になりますよね〜。何のためのものか。何かのためのものですよね、何かの……。
──さて、ヒント終わり。

この春、セルパブ界の話題をうっかり攫ったアレがね、また動いてるんですよ!
僕もこういう形ですが、参加させていただいてとても楽しいです。
(わ、分かりますよね……こ、ここまで言っちゃって……良かったのかな……)


おまけです。オリジナル状態の画像。

この、花のところに光が当たってるのがきれいなんですけど、時間短縮のために変えさせていただいちゃいました……
この、花のところに光が当たってるのがきれいなんですけど、時間短縮のために変えさせていただいちゃいました……(作者ご了解済み!)


はい、今日はここまで!

じゃね。

『ティプトン』連載第11回

“ティオセノス号に裁判所はない。コントロール・センターとその直下に位置する警察組織がすべての管理権限を掌握し、管轄の教師とその管理下にある学校の生徒たちを管理している。”

『ケプラーズ5213』より


── 11 ──


あの少女は知っていたのだ

わたしが
嘘の城に隠れ住んでいることを

あの少女は束の間
わたしに見せてくれようとしたのだ

わたしの築き上げた檻は
簡単に抜け出すことができる程度の
やわな造りなのだと

あの少女は束の間
わたしに見せてくれようとしたのだ

漆黒の中にこそ
光が生まれることを

わたしは恥じる

絶望とは
わたしのような者のために用意された
浅はかな言葉ではないのだ

この船は
希望を生むためだけに
あの少女を産んでくれたのだ

少年の選んだ
あの少女こそが
わたしたちの漆黒の中に産み落とされた
新しい光の粒なのだ

あの少女こそが


本連載は、原則として毎週木曜日に掲載します。

晩年の詩人ティプトンは、SF作品『ケプラーズ5213』にちょっとした脇役として登場しています。本当にちょっとした脇役ですが、案外存在感があって、作者のお気に入りキャラクターなのです……

地球を旅立って三千年後、人類は尊い犠牲を払いながらも、計画通りに492光年彼方の惑星ケプラー186fに到着した。
人類は惑星の各地に入植キャビンを送り込み、水と緑に溢れた美しい新天地に入植地を築きつつあった。
だが、人類の生息環境として申し分ないその惑星に、先住生物が存在しないはずはなかった。

 

見つけた!読んだ!新しい作家さん。

その名はキリユキマサハラさん!
いいなあと思う作家さんを見つけると、とても嬉しい。それが、誰かからの紹介ではなくて自分で見つけた人だったりすると、更に嬉しい。
セルパブ夏100にも載っていなかったし、まさにお宝発見!って感じで。

キリユキさんのことは、ほんとうにたまたま、Amazonのサイトをぐるぐる回遊している時に何番目かのオススメにぽこんと現われたのでした。
出てきたのは『ランナーズ・ナイト』という最新短編作。

あ、0円だ。と思い、まずは作品紹介をチラ見。
あ、スポーツのお話だ……。
実は、スポーツのお話はあまり好物ではなく、どちらかというと興味をそそられることはなかったんですよね。で、内容をちゃんと読みもせず。

で、次に目が留まったのが、本のボリューム。
あ、12ページ。短い。すぐ読めそう。

そしてそのままスクロール。自己紹介を読んでみました。
ここまではまあ、WEBサーフィン・モードです。うん。
で、ここで、「ん? なんかこの人、文章上手そうだぞ……」
と思ったわけです。

キリユキさんの自己紹介に出てくる作家では、どちらかというと村上春樹さんも好きではないし、読んだことがあるのはジョン・アーヴィングくらい。しかも、よせばいいのに原書で読んで途中で挫折……。

でもなぜか、興味が湧いたんですよね……出会いと言うのは不思議なもので。

はい。で、読みました。
読んで大正解!

『ランナーズ・ナイト』、いいですよ、これ。
文章は端正で、文学らしい嘘とリアルな描写がとてもいいバランスで入り混じり、読んでいて心地よく、また、ズンと重い部分もあり。
意外なほど普通な結末も、とても納得できる良い結末だなあと思いました。
なにより、たった12ページの中にとても濃いドラマが詰め込まれているし、何気ない伏線も嫌みがなくて好み。

もちろん、第一作目の『大蟻とウィスキー』もすぐにポチりましたよ!
30ページあるので、倍の時間楽しめそう。
(こちらも無料でした!)

この感想にピンと来た方は是非、読んでみてくださいね〜!

MANUEL BASTIONI LABを使おう!(その21):Proxy機能

はい、どうも!
予告通りManuel Lab標準の(まだ実験段階の実装機能ではありますが)、Proxyを今日は見てみましょう。

まず、結論を先に:
──まだ、実用には早い。

って、どういうことかと言うと、現段階では、この機能はManuel Lab内でしか成立しません。つまり、MLでポーズを付ければ衣服が追従してくれます(追従しない場合はFit Proxyを叩く)が、ファイナライズしてからポージングやアニメーションを行なおうとすると、衣服がついて来ないんですよ。これは残念。
結局、ボーンへの紐付けを再度行なうことになります。
ML内でポージジングを完結させれば良いのですが、後でいじろうとする場合は、先日第16回で解説したように最初からボーンと紐づける方が「今のところは」良さそうです。

では、気を取り直して行きましょう。
ボルト3冠ということで、今回は黒人男性で。

C3_1

1.今回はMakeHumanから服を読み込みます。服だけを書き出すことは出来ない(多分)ので、見づらくならないようにMLのモデルを別レイヤーに逃がします。今回は、レイヤー11に逃がしました。モデルを選択してmキー、移動先のレイヤー□をクリックですね。

2.MakeHumanからmhx形式で書き出したデータを、インポートします。(たまたま今回はmhx形式を使いましたが、第16回同様にobj形式で構いません。というか、その方が簡単で良かったですね……)

3.シャツと短パン以外は不要なので、無情に削除します。ポーズモードではボーンが削除できないので、ボーンを削除する時はオブジェクトモードに出ます。目玉も消します。(objの場合はボーンがないはずなので、ボーンの削除工程は不要です)

4.今回使うボルトくん、なかなか筋肉隆々で、左右の太ももがくっついています。これだと短パンの形状合わせが出来ないので、「Characters library」の「Types」から、「type_lightbody」つまりやせ形を選択します。太ももが分離しました。

服のレイヤーを表示させると(Shift+レイヤーの□)……体と服が大きくずれてますね。これを合わせ込んでいきます。

2

 

1.まずは、ポーズをリセットします。これをしないと、Proxyツールが効きません(僕はこれを忘れていて失敗しました。この後のスクリーンショットがちょっとこのポーズと違いますが、そこはご了承をば……)。

2.シャツをeditモード(tabキー)にして全頂点を選択(aキーで選択/解除のトグル)、Z(=上)方向に移動(G, Z, マウスを上方向へ)します。オブジェクトの原点や拡大率などが変化してしまうと面倒なので、必ずeditモードで(これを修正する機能も1.3から付いたんですけど、ね)。

では、細かく見ていきます。

3
いつもどおり、実際に打つキーは小文字ですが、見やすいように大文字で書いています。頂点選択はワイヤーフレーム・モード(zキーで切り替え)で行ないましょう。

 

1.左右が同じ結果になるようにしたいので、ミラーリングします。そのためにまず、縦の中心線をX=0に揃えます。option+クリックでシャツのセンターにある頂点を全て選択、後ろ側も、Shift+option+クリックで選択します。

2.プロポーショナル変形ツールがオンになっていたら、オフにします。青い○のやつですね。頂点を真直ぐ縦に整列させるため、s(スケールツール)、x(x軸に移動方向を固定)、0(座標をゼロに揃える)の順でキーを押します。オレンジの線が真直ぐになりましたか?

3.縦線が真直ぐに整列していても、頂点の位置がX=0からずれていたらきれいにミラー出来ません。プロパティ・パネルでXのローケーション値を0に打ち直します。

4.aキーでいったん選択を解除し、bキーで矩形セレクトモードにします。先ほど整列した頂点のすぐ隣の列まで、全頂点を選択します。

5.xキーで頂点を削除します。

6.objectモードに出てモディファイヤ・パネルを見ると、服にはArmatureモディファイヤが適用されています。これがあるとProxyツールが効きませんので、x印のクリックで消します。

7.モディファイヤからMirrorを選択します。

シャツから体がはみ出てしまっているところがたくさんあるので、これを頂点編集して修正します。

4

1.全頂点を選択し、体の位置とシャツの位置を大まかに合わせます。移動するのは縦方向(=Z軸)のみです。

2.プロポーショナル・エディットをオンにします。

3.体がはみ出した部分の凹んだ頂点をクリックして選択し、移動、回転を用いながら体を隠すように頂点を移動します。マウスホイールで、編集の影響範囲を拡大縮小しながら行なうと便利です。

4.この時に気を付けなければいけないのは、ミラーの中心軸を動かさないようにすることです。X方向に頂点を移動する時は、体の中心線の頂点が動かないようにしましょう。

5.様々な方向から見ながら、体がシャツからはみ出たところを全て修正します。

続いて、短パンも同じようにやりましょう。今度はミラーリングしないでそのままやってみます。

5

1. ミラーリングはしていませんが、形状のセンターがずれてしまうのは好ましくありません。全体を移動するのは、Z(=高さ)とY(=奥行き)方向だけにします。

2.シャツと同様、頂点を移動して修正します。

満足できる状態になったら、いよいよProxyツールを使ってみましょう。

6

1.シャツを選択し、Calibrate Proxyボタンを押します。
(Ver.1.2では「Store Proxy」ボタンという名称でした)

2.短パンを選択し、同様にCalibrate Proxyボタンを押します。今のところ、一度に複数のProxyを設定することは出来ないようです。

3.ポーズツールで別ポーズにしてみます。衣服が追従しない場合は、「Fit Proxy」ボタンを押します。

ポーズを動かすと、どうしても衣服とのずれが生じて体がはみ出てしまうところが発生します。ここは、辛抱強く、再度頂点編集をして修正します。

さて、今回のチュートリアル、実際にやってくださる人っているのかな?
最初にダメだよって結論を書いていますからねえ。
まあ、読んで少しでも面白ければいいんですよ、作家ですから……。

うーむ。感想が欲しいところだけど……。

まあそんなところで今晩の記事は終了!

じゃ、また次回!

(そろそろネタが尽きます。次回は先になるかもですね)

BlendxJPに行ってきたよ!

会場には、僕が作品を提供させていただいた画像を使ったポスターが!
会場には、僕が作品を提供させていただいた画像を使ったポスターが!

 

正直、びっくりした。2つの意味で。

まずは登壇者の方々のレベルの高さ。楽しいとか趣味とか言ってる場合じゃない。みんなガチで、Blenderを使い倒してる。深い。

2つ目は、ここまでCG業界の日常業務に浸透していたのかという驚き。僕自身、業務でBlenderをかなり使っているけど、それはあくまでも隙間的なというか、メインツールとは一味違う使い方だったりする。グループワークや他者とのデータ共有など考えると、メインはどうしてもやっぱりMaya、3ds maxになる。
もちろん、モデリングツールとして、UVツールとして、リギングツールとして、Blenderの機能は素晴らしい。Cyclesのレンダリングだって、ひと昔前の単体数万円レンダラーを完全に凌駕しているし、コンポジターの柔軟性だってたいしたものだ。スピード以外では。

そう思ってきたのが、時代遅れだと思わせられるくらいに、Blenderは業務の世界で認められている。
ちょっと前までは、そんなことを言うと負け惜しみだと笑われるような空気があったけどね、これはもう笑い事ではない。

Maya、3ds maxと並ぶメインツールとして使われても遜色のない時代が、本当にもうすぐそこまで来ているんだ!

はい、ここですっかり迷子になっているあなた。済みません。今回は文芸関連の話はありません……!
 Blenderというのはオープンソースで開発されている無料のCG制作統合ツールで、何十万円もするプロ用ソフトと遜色がないばかりか、優れた点も多々持ち合わせているというCGソフト業界を揺るがす存在なのです、はい。
(もちろん劣った点も多々あるけど、完璧なツールというのはないので、選択肢の一つになっていくことは間違いないだろうな……と!)

今回の記事は、そんなBlenderの日本におけるユーザー会であるBLUGの勉強会であるBlendxJPに参加してきた報告記になりますです。

 

では、最初の登壇者であるキャラクターの名手、友さんのお話から。
ある有名美少女キャラクターを、「持ち時間の30分でモデリングしてマテリアルをつけるところまでやりますよ」というつかみに会場がどよめいた。これは凄いぞ、って。
で、お話が始まって、友さんのユーモアセンスが爆発。
「やっぱり無理なんで、3分間クッキング形式で行きます」と。
どんどん次のシーンファイルを開くタイミングの絶妙さに、会場は爆笑
やはりモデリングはちくちく時間をかけてやることなので、マテリアル調整のTipsに絞って細かく説明してくださったのは大正解だったんではないかと。難しいと思われがちなノードエディターでの調整テクも分かりやすかったし、なにしろ楽しかったなあ。
で、友さんは、この日の解説に用いたモデルを使った次の著書(商業本)も執筆中なんだって!
絶妙に宣伝に繋ぐセンスも見習いたいっ!

お次の登壇者はアニメの作画監督である酒向大輔さん超メジャー級作品の製作中画面までたっぷり見せてくださった!)

※酒向さんはどこへリンクを張ったら良いか分からなかったので、画像検索結果ですw (あの作品の絵が!)

酒向さんは、アニメーションの絵作りをする時に3Dで一度全体の世界をざっくり立ち上げて、動きまで作ってからカメラアングルやレンズを決め、それをもとにして手で絵を描き、後工程に回すということをなさってる。より観客目線で、ダイナミックな演出が可能になったと。Blenderというツールを使うことで、構成力の勉強になる。画力は鍛錬するしかないスポーツのようなものだけど、上手にツールを用いれば効率的に学ぶことが出来る。絵描きは、いったん描いたものなら何も見ずに描けるから。うーん、その通り!

それにしても、酒向さんはBlenderを始めてから一年も経っていないとのこと。そんなに短期間で自動車やキャラクターの動きが自然に出来るところまでマスターなさってるところがもう、凄いの一言。やっぱり一流のひとは何をやっても凄いんだなあ……。

お次はプロの漫画家さんお二人が連続してご登壇(このお二人の話を聞きたくて参加した漫画家さんも多かったらしい!)。
プロの漫画家さんが、背景や小道具を作るためのツールとして、Blenderをばりばりに使い倒している現実をつぶさに見せていただいて、衝撃を受けた同業者の方たちも多かった模様。
何しろ、登壇者のお一人藤原佑介さんは、Blenderで効率化出来るから週刊連載が楽勝でこなせると仰ってるし、村川和宏さんも、全部自分一人でやるとした場合に、自分で描くよりBlenderでやる方が速いって言うんだもの。

Freestyleによる描画を手書きの線に近づけ、自筆の表現と馴染むように研究を続ける村川さんの求道的な姿勢、素晴らしい!

Blenderでいったん作っておけば、舞台となる街並みとか背景は必ず何度も出てくるし、小道具だって決まったものが登場人物といろいろな絡み方をする。確かに3Dで最初に作るのは大変だけれど(外注や素材購入という手段もあるし、フリーでDL出来るデータもあり)、アングルや見せ方が自由になるし、かなりの効率化になるという──。

藤原さんはご自分で効率化のためのアドオンも多数開発なさっているという猛者。プロ漫画家でありながらプログラミングまで! もう、凄いの一言。Blender作業の効率化をするために開発したアドオンを無償で公開してくださっているのも特筆モノ!
こちらは、部屋を簡単に作るRoom Toolsというアドオン。すごい!
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藤原佑介さんは、ご自分でも「(漫画家と言っていいのか)」、と仰っているとおり、いわゆる普通の漫画家さんとは違う、全く新しい職業形態を開発なさっている方、と言えばいいのかな。商業漫画のために3Dを導入するとメリットになる部分を、コンサル的な立ち位置から開発、3D作画、監修まで行なうという、かつては考えられなかった新しい職種なんです。

※なお、藤原さんの発表資料は、なんと本日から早速Boothにて発売してくださってます(版権系の画像はモザイク処理されています)。ポスターの画像データや発表の音声mp4、参考の自動車.blendデータも入って盛りだくさんです。気になる方はこちらへ! 

藤原さんのポスター
藤原さんのポスター。Blenderでこんな表現が出来る!

 

村川さんのポスター。これも全部Blender!
村川さんのポスター。これも全部Blender!

 

そして圧巻は、フリーランスのコンポジターでありマッチムーバー、クロノさん。カメラトラッキング業務の95%はBlenderで、他の有償ツールより優れている部分が多いとのこと。しかも超メジャー級映画でも使っているとのこと(作品名を聞いたけど、それはナイショみたい⇒作品名の出たツイートもあったけどね……w)。
Blenderのマッチムーブツールは良いという話は聞くけど、そこまでとは!(僕もそう言えば昨年、ホタルが飛ぶシーンを作ったことを思い出した。あれは難しかったなあ……)
やっぱり3Dソフトの中に入っているツールなので、単体のツールにはない使い勝手の良さ、3D機能の優位性があるそう。肝心の内容は、ちょっと高度過ぎて、大ざっぱな概要しか理解できなかった。情報の少ない中、自分で試行錯誤してベストなやり方(しかも商用ソフトより優れた方法)を導いているクロノさん。すごいなあ。

最後の登壇者はV-Rayのスペシャリスト、ハヤシヒカルさん。Blenderで使える外部レンダリングエンジンとしてのV-RayとRendermanのお話がメイン(タイトルが「走れCyclesレンダー」だったのに……というのはご愛嬌かw)。V-RayよりもRendermanのほうがBlenderへの統合が進んでいるので、設定としては少々取っ付きにくいけどオススメ、だそう。非商用なら無料だし。

その他にも、LT(Lightening Talk)が何本かあって、実はこちらもなかなかの濃さだった。ミュージック・ビデオの世界でも使われているとか、プログラミングでパラメトリックなモデリングをした形状を3Dプリンタで出している方とか……面白い、凄い話題が目白押しで!

スタッフの方々、たいへん素晴らしい会を主宰してくださってほんとうにありがとうございました! この場を借りて(てか、読まれない可能性大かもだけど……)、厚く熱く御礼差し上げます!

もう、「凄い凄い!」ばっかりで、圧倒されっ放しの一日だった。

こちら、スタッフであるBlender会の有名人、藤堂++さんと前田慈人さんによるポスターも、ご鑑賞あれ。

かっこいー!
かっこいー!
さすが藤堂さん、凝りまくり!
さすが藤堂さん、凝りまくり!

 

最後におまけです。実は名刺をどこかへなくしてしまい(最近ぜんぜん使ってなかった)、急遽会場に向かう電車の中で手書き名刺を作りました。コンビニでノートパッドと鋏を買って!

残った名刺たち。一枚、URLを間違えている。昨日配った中にも間違ったものがあったかもしれない……
残った名刺たち。一枚、URLを間違えている。昨日配った中にも間違ったものがあったかもしれない……

電車の中で鋏をチョキチョキ使っていたので、危険人物と思われなくて良かったなあと今さらながらに胸を撫で下ろす淡波です。

じゃ、また明晩!

淡波亮作の作り方