僕のような無名インディーズ作家ふぜいがマクベスを語るのは、ちょっと無理がありますよね(しかも、知性派ではなく感覚派だし)。
きっと、あらゆることが語り尽くされていると思いますし、この作品に影響を受けている作品のことも語り尽くされていると思うので、実際、書けることは何もなかったりするんですが──
僕なりに感じたことをちょっとだけ。
やはり、今に通じる普遍的な物語ですよね。《悲劇》であることは間違いないのでしょうけど、全体の構成としてはわりとお伽噺的な(教訓的な筋立ても含めて)構成だったのが面白かったです。
間違った手段で王位に上り詰めた邪悪な王。
王を翻弄する魔女たち。
善の蹂躙。
復讐。
戦。
王の破滅。
お伽噺的な構造の悲劇……
そうです。一度も読んだことがなかったのに、僕の書いた『孤独の王』は、マクベスの翻案にも思えるくらい、骨格が似ているのです。
《すべての物語は肉付けをはがしていくといくつかの骨組みに分類される。》
ということもありますが、
大好きな『指輪物語』の(考え方としての)舞台装置を(ファンタジーの古典として)あちこちから摘みながら、全く違うオリジナルな物語を紡いだはずだったのですが、その更に源流とも言えるシェークスピアを真似したようになっているという、興味深い発見があったのですね……。
《女の腹から産み落とされた者には滅ぼされない》
というマクベスと
《生きている男には滅ぼされない》(記憶は曖昧……)
という指輪物語。
兵士が頭に樹を括りつけ、森が攻めてくるさまを表わしたマクベスと、
実際に木々の精であるエントたちが戦いに集まる指輪物語。
こういった具体性のある共通項を持たないように気を付けながら、根本的には同じことだったという……。
すべての根本的なアイデアは出尽くしている。というのは簡単ですが、あまりステレオタイプにならないように頭を捻っていきたいものです。
もっともっと過去の優れた作品を読んで、勉強したいなあと今さらながらに思うこの頃でした。
じゃ、また明晩!
『孤独の王』第一部は無料で読めます。この機会に、是非!
本書は、未知の古代文明ティオル王国の悲劇的な末路を辿る歴史書である。
ティオル王国民は独裁王による悪政にあえいでいた。美しき姫は父のよこしまな本性を知り、ついに袂を分かつ。
ティオル王国最後の数十年を辿る美しくも哀しい大冒険が、今、始まる!