いやあ、参った。
いいおっさんが、ぽろぽろ泣いちまった。
恋愛小説を読んで泣くなんて、ちょっと思ってもみなかったよ。
最初はあまり馴染めなかったんだ。ちょっと甘酸っぱ過ぎて、こっぱずかしくて。でもそれは、自分の青春時代の日々と重なるリアルな描写が痛いからなのだ。
《このまま永遠に片思い》とか《そこそこかっこいいのにもてないね〜》とか《どうして好きじゃない人しか好きになってくれないの》的な表現がもう、ちりばめ、まぶされ、オンパレード。
そこにどっぷりと気持ちが入り始めると、もう、抜けられない。逃げられない。
感情移入しまくって、主人公に乗り移って、小説の中で右往左往していたのだ。
逆に、惜しいな、と思ったのは、やっぱりちょっと偶然に頼り過ぎていないか? と感じてしまった点。
女の子が女の子しか好きになれないことだってある、ということを相手役に理解させるために採用したエピソード、つまり、仲の良い友達の両親が同性夫婦だったというもの、これはちょっと強引な偶然設定だったのではないかな? たまたまその友達がそれを知ってしまったことも含めて。
もっと自然に、同性の恋を子供が理解するためのエピソードは作れるんじゃないかなぁ、と思ってしまったわけで。
当初は計画していなかった《連作短編》ということなのだけど、短編相互の繋がりがスムーズかつ主人公の移り変わり方も上手い。
短編同士が伏線として作用していたりして、とてもニクイ構成の物語だった。
まあ、何しろ二回もポロ泣きしちゃいましたよ。
小説を読んで泣くなんてことめったにないのに。
(前に泣いたのは、自作の『壁色のパステル』を校正した時だったりする。書いてからかなり時間を置いたので、内容を結構忘れていて、読者気分で読んでた。ただのアホですが)
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表紙も素敵ですね、自作イラストなんですよ。
いやあ、読み終わった後で改めて表紙イラストを見ると、じ〜んとしますねえ!
じゃ、また!