ずっと、《正しいジュース》しかジュースとは言えないと思っていた。
「ジュースは果汁を搾った飲み物という意味。だから、果汁100%のものだけをジュースって言うんだよ」
たしか、昔英語を習っていたオーストラリア人の先生からだったと思う。そう聞いたのだ。
なるほど、と思ったし、昔はそれが当たり前のことだったのだ。
果汁を搾ったものを飲む。それがジュースの起源なんだろうから。
それをずっと信じて、自分でも人にそう言っていた。
「30%果汁の飲料は、本当はジュースじゃないんだよ!」
とかってね。
これはアメリカの情景。
最近ちょっと話題になった《ソーダ税》についての新聞記事にあった写真だ。
最初は、《ソーダ税》という訳語自体が誤訳なのかと思った。だが、そうではなかった。訳は正しい。《砂糖入りの炭酸飲料などに対する税》がソーダ税だ。
だからこれは本来、ジュースとは正反対の飲み物が対象のはずだ。
コーラとか、オレンジ香料ソーダ水とか、そういったものに課税せよという話だ。
理由も、《健康に悪いから》と書かれている。果汁を搾った100%ジュースが健康に悪いとは考えにくいぞ。
でもここには、はっきりとJuicesと書かれている。
アメリカではいまや、100%果汁でないものをジュースと言うことが普通になっている。
────ということなのだろうか?
こっちが新聞記事のほう。
まあ、こうやって言葉は変わっていくのだな……。
ううむ。
そして、
こういう飲料ばかりに親しんだアメリカの子供たちが、たまたま何かの拍子に100%ジュースを口にしたら、
「わ、なんだコレ! ジュースなのに酸っぱい!」
「なんか果物の味しかしない!」
とかって思うんだろうかな……。
時代は、変わるんだから、これはもうそういうものだと割り切るしかないんだろうか。
やんぬるかな……。
じゃ、また明晩!