と、いうことで、昨日の続きを。
年が明けて2013年、僕はiPod touchの利用環境を改善させるため(というか、ネットワークを使い続けるため)、ついにモバイルWifiルーターを導入しようと決めていた。それまではNTTの月極め低価格Wifiスポットサービスがあって、それを利用していた。たしか350円@月で、主だった駅や商業スペースなどで使えるというもの。
当時はSNSもブログもやっていなかったし、帰るコールの代わりに、妻にメールを一本書ければそれで良かったのだ。
ときどき、Youtubeなどで見たい動画があったり(主にCGのチュートリアルだ)、家でDLし損ねてたりしたPodcastがあると、ちょこっと駅で繋いでDLしていた。とまあ、携帯電話を必要としない僕には、それで十分だったんだけど、あるとき、NTTが低価格Wifiスポットサービスを廃止すると発表したのだ。
この手のサービスは拡大するだろうと考えていた僕はとてもビックリしたのだけれど、まあ、世間的にはあのサービスを必要とする層はごくごく少数だったのだな、と納得もした。
そこで、娘がiPhoneを買うついでに、僕もWifiルーターを買おうとショップに赴いたのだ。
そして、驚きのサービスに出遇った。
新規でwifiルーターを契約するお客さんには、iPad miniのWifiモデルを2,000円で提供するというものだ。たった、、2,000円だ。でも、僕の心にはあの悲しい思い出がずーんと沈んでいた。何万円も払って買おうとしたiPad miniを開梱することもなく返品した朝の記憶。
コンビニのカウンターに段ボールを載せた記憶。
愚かな記念日。
「いえ、いらないです」
僕は、反射的に即答していた。店員さんは驚いていた。断る人はいないと言われた。たった2,000円がもったいないとは思わなかったけど、僕はまた反射的に答えていた。
「不要なんで」と。
「本当に良いんですか?」と繰り返す店員さん。
いいからもう訊かないでよ、と恨み目になりつつ(心の中で、ね)、
「ええ、必要ないから、いらないです」と丁寧に繰り返す僕。
後ろ髪を引かれるようにして、ショップを出た。子供たちからは勿体なかったんじゃないかと言われた。でも、なんだかどうしても駄目だった。
ここでこれを手に入れるわけにはいかないのだ!
と、意固地になっていた。
(そんな大きな問題じゃないけどね〜)
それから数ヶ月後、iPad miniは意外な形で僕の前に現われる。
次回に続く──。