詩/青い命よ


そうさ
きみたちには
誰だって敵わない

もうこんな歳なんだよって
うそぶく冬のきみを見ていれば
人はきっと
同情を込めて頷くのだろ

春になれば
それがあからさまな嘘だったと
わたしたちは
目を見開かずにはいられない

きみたちは
数え切れないほどの命を
そのしわがれた腕から芽吹かせる

花を咲かせたそのあとは
種を作ることすら軽々とやりのける

数万の花のあとに生まれた
数万の新しい命が
風に吹かれるのを
待っているのだろう?

わたしたちがどんなに頑張ったところで
自分の脚ではとうていたどり着けない場所まで

きみの何万もの子どもたちは飛んでゆく

いま、
きみのしわがれた枝の先に光る
数万の艶やかな緑が
生み出された新たなからだが
わたしにはたまらなく羨ましい

そうさ
きみたちには
誰だって敵わないのだから


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