ジャンル?

ジャンルってなんだろう?
カテゴリーってなんだろう?

学生の頃、バンドに付けようと思っていた名前がある。
Noccu。
なぜだか結局この言葉は、一度も誰にも言うことはなかったけど。

No One Can Categorize Us
誰もおれたちをカテゴリーに当てはめることは出来ないぜ!
そんな意味を込めようとしていた。

これは、ポジティブであって、しかしネガティブなメッセージでもあった。自分がカテゴライズされないタイプの音楽を作るアーティストだという自負と、基本を知らない、歴史を知らない、ジャンルもカテゴリーも知らない感覚野郎に過ぎないという暴露を含んでいるからだ。
それを証拠に、僕がミュージシャンだった頃の音楽には、いとも簡単に《渋谷系》というレッテルが貼られ、それを構成する無名無数のミュージシャンの一人という分類がなされた。
自分では、「(少なくとも日本じゃ)これまでのどんなジャンルの音楽にも属さないぜ!」なんて心ひそかに思っていたのにも関わらず、ね。
──それは、ただ自分が無知だっただけなのに、ね。

小説を書いている今も、そこから脱皮することは出来ていない気がする。

家族小説、近未来SF、古代悲劇ファンタジー、遠未来SF、近未来SF、エロティックサスペンス、お伽噺、詩集、ロマンティックSF……。これまでに自分が書いてきた物語に勝手なジャンル名を付けて時系列で並べるとこんな感じだ。
でも、別にそれぞれの世界が著しくかけ離れているわけでもない。
(エロティックとお伽噺だけはどうにも遠すぎるけど──)

まあ、ジャンルなんて、カテゴリーなんて、ショップで分類するのに必要だから存在するだけ。もちろん、読者さんが好きな作品を探し当てるための検索やリコメンドは重要だけど。
有名作家の作品が、リアル書店でジャンルごとにばらばらの棚に置かれているなんてことはないし、分類は、出版社か作家かどちらかだろう。
今、ジャンルで分類されるのは、電子書籍の利便性とネット書店の検索性のためだろう。
それから、自分が全くの無名であることも含めて。

淡波亮作の作風が確立されて、やがて売れて、知名度が上がり、名前になにがしかの意味が生まれてくれば、きっと僕の作品を分類するジャンルにはもう意味がなくなっているのだろうから。

そんな日が、いつか来ることを願って──。

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