読み終わったよ! 犬吠埼一介著『耳と尻尾の狭間にて』

何かを受け取るには、特に個性的な作品を受け取るには、自分の中の受容体とその作品の波長が、ある意味で一致している必要があるのかもしれないと、ふと思ったんだ。

どうして最初に読んだときは今のような感じ方ができなかったんだろう? と思う。
もし、今のような感じ方ができたら、途中まで読んで積ん読の山に埋もれさせることはなかっただろうな、と。
今回ちゃんと読み返してみて、本当に良かったな、としみじみと思っているんだ。

この作品は、ツイノベだけど、ショートショートではない。
これは、詩集だ。
抒情的で美しい断片集だ。
ツイノベだから文字数を無駄に増やさないために(?)、改行せずベタ打ちしているけど、これ、改行して行間を空けたらそれだけで詩の顔になるなあ、なんて思いながら読んだ。

そしてそして……最後には見覚えのある、まとまったショートショート連作が待っていた!
『108の機関誌』
これ、つい最近、ツイッターで連投されてたお話だ──。
本作からの再録だったのだ!
そう、
これは犬吠埼一介さんの活動家としての記録ではなく、フィクション!
あったりまえだった。へっへ──。

フィクションと現実の合間をこうやって埋めたり混ぜたりひっくり返したり、いやあ、鮮やかなお手前です!

とても、良かったです。
ラノベより文学的な作品をもっと読みたいなぁ……なんて読者としては欲を出してしまうけど、それは犬吠埼さんが熟慮して選んだ方針だということが、よく分かった。
この本をちゃんと読了して良かったな。

──改めて、本作の中で言及されている未読作品にも興味が湧きました。

また、読ませていただきますよ!
(これを書いた直後、ポチりましたぜw)

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