詩 谷と山 2015年10月22日 Leave a comment 欲望の谷に底はなく 一日は限りなく短い 欲望の山に頂きはなく 人生は限りなく短い 若者よ 私がお前の明日の姿だ 慄くがよい 夢は果たされず 髪は抜け いたずらに皺を刻むのだ 私の脳に刻まれた道に お前を涙ぐませる深みはない 輝きを失いゆく皮膚も 衰え続ける視力も それと引き換えに得たものなど あるものかと ただ不満げに 低い唸りをあげ続けるのだ お前の傍らで笑みを見せる 甘い夢は 決して手を差し伸べたりなど しないのだ