タイトルと表紙を同時変更、の件

新旧表紙を並べてみました
新旧表紙を並べてみました

ご覧の通り、現在無料キャンペーン開催中の短編作品の表紙とタイトルを変更しました。右が旧版、左が新版ですね。どうしてこうなったかというと、キャンペーン開始時のダウンロード数がちっとも増えなかったためなのです。
これまでに行なったキャンペーンの中でも最低レベルだったため、冷静に、原因を分析してみたというわけです。
で、結論として辿り着いたのが、この二つ。

・小さく表示した時によく分からない地味めな表紙
・あまりなじみのない片仮名のタイトル

もちろん、旧版にした時もそれなりに合理的な理由がありました。

【表紙絵】
・高度に工業化され、高密度に集積された野菜生産工場のイメージ

これを表現するためには《何フロアにもわたって続く野菜工場を引きの絵》で、《象徴的なシンメトリ構図》で、という判断もまた間違ってはいなかったと思うのですが、ぱっと見て何だか分からない、という危険性の方が大きかったのですね。で、新しい表紙、《なんか、ロボットアームが植物を育ててるみたいだぞ》と一目で感じられるものに変更しました。ロボットの色も農業機械にありがちな赤にして少々目立たせています。物語中にはロボットは出て来ないのですが……。

【タイトル】
・物語冒頭に出てくる自称グルメなダメ男と本当に繊細な舌を持つ主人公の対比で、《(美)食の感覚》のような意味合いのタイトルを付けていました。

こちらは本当に作者の勝手な思い入れに過ぎず、多くの人が何のイメージも喚起できないタイトルだったと思います。しかも、物語は《食》に留まらず全ての五感へと広がっていきます。その五感がいままで信じていたものと違っていたら? という裏テーマを感じさせるもの、何かありそうだと感じさせるタイトルにしよう、ということで、『五感の嘘』に辿り着きました。

旧版についてもそれなりに検討した結果、最も良いと思われるものにしていたわけなのですが、それはそれ、これはこれ。《作者の思い》と読者にとって《喚起されるイメージの強さ》は別物、ということです。クライアントがいるCGの仕事だったらそこまで考えてビジュアルを判断するところですが、ここは個人の思い入れが先行してしまったため、そこに思い至らなかったのでした。作品を世に出す時は読者というクライアントを思い浮かべていなきゃな、と反省です。

ここで両方とも変更することで、その効果も分かるというもの。

キャンペーン開始から一日半と少し経過した現時点で、100DLを少々超えたところです。タイトルと表紙を変更した効果なのかどうか、はっきりとは分かりませんが、概ねいつもの水準に戻りつつあります。

表紙、タイトル、とても大事ですよね、というお話でした。

さて、この記事が、いつか誰かの役に立ちますように!

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