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電子書籍ってやつを、改めて考えてみた−3

このシリーズも三回目を迎えました。項目立ても7つめとなります。さ、いよいよ少しずつ核心に迫っていきましょう。
今回のお題は【コンテンツ】。

7.入手性

《電子書籍》
・欲しいと思った本はすぐに読書端末から購入、読み始められる
→電子版がなければ、そもそも入手不可。待ってもだめ
→Amazonには電子化リクエストのボタンがあるが、これは「出版社に伝える」だけ。当然、電子化に向けた進捗も分からないし、どれだけの意味があるのかユーザーには全く見えない
→書店で欲しいと思った本の電子版があるとは限らない
→読書できる端末を持ち歩いていなければ、お金を持っていても買えない、読めない

・一旦電子化されれば、廃刊になることはほぼない。と思われる。
→データを提供しているプラットフォーム自体がなくなれば、そこに依存する全書籍は購入不可能に

《5/22 追記:
日本独立作家同盟の鷹野陵さんから、ご指摘が入りました。

鷹野さん、どうもありがとうございます!
商業出版の厳しさを垣間見た思いです。
具体的にどんなケースがあるのか教えてもらわなきゃ!》

・データのコピーは困難
→DRM保護のデータは言うまでもなく、保護されていないデータでも独自形式になっていることが多く、簡単にはコピーできない
→著作権のあるデータはコピーされないことが前提なので、デメリットにはならない
→形式、プラットフォームによるが、(法律で許容される)引用の難しいケースも

《紙本》
・書店にあれば、すぐに買える
→営業時間に、欲しい本の在庫がある書店に行ければ……
→携帯端末を何も持っていなくても、お金さえあれば買って読める

・行きつけの本屋さんを作れば、取り置き、取り寄せも融通がきく
→支払いの自由度もありますね。月末にまとめて払ったり
→新刊が出たことを知らなくても、好みの作家さんを覚えていてくれる本屋さんもあったり!
→カバーとか、キャンペーンのプレミアムなどのおまけを付けてくれることも
→雑談相手にもなったり!

・WEB上の書店で購入すれば、概ね翌日に配達される。コンビニや駅でも受け取れる
→Amazon Primeのように即日配達の仕組みもある

・電子化を待たなくても発売日に入手できる

・いずれ廃刊になる可能性が高い
→廃刊になっても書店に在庫があれば買える
→中古市場が成熟しているため、廃刊本でも手に入れられる可能性はある
(ただし、古本で価値のあるもの)

・図書館にある
→なければ購入リクエストも出せる
→高価な本も無料で読める

・コピーするという入手方法もある
→読みたいところだけ、コピーを取っておける
(図書館、友達、など:法律で許容される利用範囲にとどめましょう)

うむ。電子書籍が圧倒的に有利かと思って書き始めましたが、意外にそうでもないですね。功罪取り混ぜて、一刀両断には出来ない複雑さがありますし。

 

8-a.品質(ものとして)

《電子書籍》
・製本や製造に起因する乱丁、落丁はない
→制作者のミスは論外として!
→論外でも、制作者のミスに起因する乱丁、落丁を防ぐシステムはない。読者からの指摘を待つのみ

・他人の手垢が付いていたり、立ち読みにより傷むことがない
→ずっと読んでいても、自分要因の劣化もない。データは常に新品同様

・ディスプレイのドット抜けがあると読書体験を阻害
→それほどのドット抜けがあるという話は聞いたことがありませんが
(あ、これはHWですね、コンテンツではなかった……)

・どんなに長い本でも1台の端末に収まるし、端末の重さも変わらない
→当たり前だ
→辞書も内蔵されていたりするし!

《紙本》
・時に乱丁、落丁がある
→逆に希少本として価値が出ることも

・お菓子をこぼしたりして一旦汚れると、きれいな姿には戻らない
→図書館で借りた本にはありますね
→一方で、自分で汚した場所は、そこに思い出が宿りますね

・長い本ほど重くなる、大きくなる、字が小さくなる、冊数が増える
→700ページ超のハードカバーを持ち歩くのは大変!
→大辞典系も持ち歩きは無理!

好き嫌いもありますが、若干電子書籍が有利?
8-b.品質(中身)

《電子書籍》
・まさに玉石混交。商業作家とセルフ作家の作品が並列で
→商業作家と変わらないクオリティの小説がある一方で、小学生の作文レベルのものも置かれている
→最低限の審査システムがあった方が良いのではないか、との声も
(ex.KDPやKWLの担当者が、必ず1ページだけ読んで確認するとか……?)

・紙で出版できない長さのものもじゃんじゃん発行できる
→数十ページ程度の掌編小説でも1冊として出版できる
(前項と似てますが……)

・内容に対する審査が存在しないため、どんな内容の本でも出版可能(?)
→差別表現、著作権の侵害なども基本的にノーチェック?
→暴力や性描写の激しいものが(米国で)出版停止になったという話は聞いたことがありますが
(これは、表紙や紹介文から「危ないな」と思われたものを運営サイドがチェックしているのでしょうか?)

《5/22 追記:
こちらにもご指摘いただきました。

鷹野さん、ありがとうございます!
その通りでした。楽天で出版するとき、あとがきや著書紹介にAmazonへのリンクが貼ってあると、出版されないことがあるようですね(iBooksや他のストアは未経験なので分からないのですが)→この追記を書いた後に上に貼った鷹野さんの別のツイートに気付きました……。
僕の『孤独の王 分冊版』では、楽天とAmazonで発売中という表記にして、双方ともリンクを入れました。この場合は、問題なく出版されました。出版したい全プラットフォームへのリンクを並列で入れるのはどうなんでしょうか?
でもきっと、アップルの審査は通らないのだろうけど……》

・内容のメンテナンスが可能
→出版社が発売する電子書籍の場合は、やはりデータ修正〜出版に至るコストが無視できないほど大きいため、めったなことでは修正版が出ることはない
→個人が発売するものの場合は、間違いに気が付けばすぐに修正し再出版可能。内容のアップデートも可能。
(ここに大きな可能性がある!)

《紙本》
・書店売りの本は出版社の厳しい目を通して売り出される商品
(もちろん、自費出版本は除く)
→だからといって、どんな作品でも面白いとは限らない
→著名作家でもとんでもなく酷い本がある
(それでも売れてしまうのか!)

・有名作家のものは多大なコストを掛けて出版・宣伝を行なうため、優良誤認がはびこる
(そのコストを回収しなければならないので)
→売ってしまえばつまらなくても勝ち、という価値観が売る側にあるのか?
→これはどんな商品にでも当てはまることですが、ね

・差別表現、著作権侵害など、倫理的に許されないものは基本的に出版されない
→出版社側が意図して行なう場合もある

・内容のメンテナンスは困難
→「改訂○版」が出るのは、よほど売れている本で修正が必要になったか、内容が社会的に(会社的に)まずかったものに限られそう

さあ、どうでしょう?
これは皆さんが考えてみてください、ね。
すっかり長くなってしまいました。まだまだ話題は尽きませんが、今回のメリデメ合戦はこの程度にして、ちょっと考えをまとめてみます。
「これまでの記事とあんまり関係ないじゃん」というリアクションが聞こえてきそうですが、気にしないことにします。
あくまでもセルフ作家視点でのお話ですが、電子書籍を盛り上げたいのは出版社さんとも変わらないかな、という思いで、以下のまとめを書いてみましたよ。
そうでもないかな……。

【中間結論】

電子書籍は玉石混交。特にセルフ作品は「所詮素人の書いたもんでしょ」と思う人が多いのも事実。せっかくクオリティの高い本があっても、そこに消費者を注目させるのは本人の自助努力に委ねられています。
また、内容が素晴らしくても誤字脱字が多ければ、その素晴らしさもレベルダウンが必至。商業小説が遵守している“日本語の書き表し方の一般ルール”すら知らないで書かれている小説も多いでしょうし、「そんなもの不要だ。小説はもっと自由なんだ」との主張を頑なに守っているセルフ作家もいます。確かに言葉は生きていますし、時代につれてどんどん変化しています。でも、同時代を生きる読者に、無名作家が作品を問うのですから、まずは同じ基礎(地面)の上に立っていなければならないのではないかと僕は思います。

電子書籍全体のイメージアップのためにも、セルフ作品の品質の底上げが必要ではないかと思いますし、内容の推敲までは作家に任せるとしても、校正のレベルでは他者の目が欲しいものですね。

僕が思っている解決法の一つは、セルフ作家同士が発売直後に(理想的には発売前に)相互に作品を読んで、校正をし合うものです。それが運営側からシステムとして提供されるのが本当の姿ではないかと思うのですが……。出版社が校正マンを雇う経費を考えれば、遥かに小さな費用で構築できるのではないでしょうか?
実際に作業をするのは作家同士、運営側はシステムを提供するだけです。

電子書籍は作家に入る印税率が大きいことで注目されますが、運営側に入る印税も決して小さな割合ではありません。多くの世界で、原価は売価の3割程度と言われます。製造から販売までの経路が3段階あれば、各工程の原価は売価の1割程度でしょうか。
例えばAmazonKDPでは売価によって3割〜6割5分を運営側が得ているわけです。つまり、自ら製品を製造しているメーカーと同じ以上、または通常の販売店の売り上げを上回る利益率です。(必要経費はきっと小さいのでしょう……)
商品開発・積極的営業も不要で、作家自らどんどん作品を販売棚にのせてくれますしね。

そこで、サイト上にセルフ作家だけがアクセスできる発売前の書棚領域を確保し、そこから各人の端末にDLして校正するというのはどうでしょう。アクセスの履歴を残し、作家同士が自発的にやり取りして校正し合えば、運営側の負荷は僅かなものになりますよね?
技術的にはあまり具体的なアイデアではありませんが、現在のシステムを少しだけ拡張すれば、充分構築可能なのではないかと思います。(米国Amazonでは何だかそれに似た(?)システムがあるような、ないような……)

電子書籍について、というより、“電子書籍によるセルフ出版について”になってしまいましたね。
さて、まだ続きますよ。次回は【価格】【保存性・保管性】で火花を散らしてみましょう。

この記事が、いつか誰かの役に立ちますように!

では!

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あるセルフ作家さんへのラブレター

Twitterでたくさんのセルフ作家さんをフォローしています。(僕はあまりたくさんフォローしていない方だと思いますが)
作品を気に入った作家さんも何人かいて、「もっと読まれていい小説だ」「もっと知られていい作家さんだ」と常々思っています。僭越ながら勝手に校正のようなことをしたり……(ウザいと思われちゃうけど)

自己出版の人気を底上げし、そのクオリティを知らしめたりクオリティアップに僅かでも助けになろうとすることは、結局自分に返ってくるとの思いもありますから。

さて、今回の記事は、あるセルフ作家さんへのメッセージ。でも、それは一人宛てではなく、この記事を読んでくれた方に、「自分も当てはまるな」と思って頂ければいいなと思って書く記事です。だから、具体的に作品名や作家名は出しません。
(でも分かりますよ、きっと→これで分かるということは、その作品の知名度が大したものだ、ということですよね。ある意味裏山)
なぜ、これを書こうと思ったかというと、「あ、これをこうすればもう少し読まれるんじゃないか?」という気付きがあったからです。それがその作家さん個人だけに当てはまることなら、TwitterでDMを送れば済むのですが、よくよく考えると、これは他の方にも当てはまることかなと。

内容です。前置きが長くなりました。

あなたは自分の作品に略称を付けていますね。とても良いことだと思います。真似したいですが、まだそれに相応しい作品がないので。。
『壁色のパステル』→『カベパス』間抜けすぎ
『さよなら、ロボット』→『サヨロボ』間抜けすぎ
『孤独の王』→『コドオ』意味なし
『ケプラーズ5213』→『ケプ5』なんか吐きそうでしょ
『そののちの世界』→『ソノセカ』あ、これはOK? でも作品イメージにはそぐわないなあ。
(あ、ぜひ呼びたい、と思ったら、使ってみてくださいな)

で、その作品は略称で親しまれているし、ご自分でもそう呼んでいますね。僕は昨晩たまたま、Amazonでその略称を検索しました。結果、なんとその作品が検索結果に出てこないのです。これ、だめでしょ。せっかく浸透している愛称を、検索ワードに入れないと損ですって。
これが一つ目のメッセージ。是非、略称・愛称を検索ワードに登録してください!

第二点。
あなたのブログでは、よく自作について言及していますが、一つ大事なポイントが抜けていることに気が付きました。きっと、全てがそうではないと思いますが、最新の記事では抜けていました。(さあ、どなたかお気付きでしょうか?)
このブログでは、どなたかの作品に言及する時は必ず(抜けもありますが)その作品の販売ページや紹介先へのリンクを埋込みます。記事に数十件のアクセスがあれば、必ずそのリンクを踏んでくれる人がいるからです。
そして、《できる限り手動で外部リンクを埋込むこと》はWEB記事の基本ですよね。これが今どきのSEOの基本だとどこかで読みました。検索エンジンでヒットしやすくなるコツの一つですよね。

そうです、あなたのブログでは、せっかくの紹介にリンクが張られていませんでした。僕はあなたのAmazonページに飛ぶ時、「あ、あそこにリンクがありそう」と思ってブログを訪れ、そこで振られました。そして略称で検索し、振られました。もちろん、著者名で検索すれば一発なんですが、たまたまあなたの作品の表紙に魅かれ、略称に目を留めた人が販売ページに来てくれる確率が、確実に少しだけ下がってしまうのではないかと心配しているのです。

作品名にはすべてリンクを埋めましょう。きっと、踏んでくれる人がいますよ!

いかがでしょうか?

もし、少しでもお役に立てれば幸いです。

あなたの作品が、もっと多くの読者に届きますように!

では!

電子書籍ってやつを、改めて考えてみた−2

真面目なような不真面目なようなこのシリーズ。
第二回の今日は、【操作系】について考えてみました。数字は前回からの連番です。
4.ページめくり

《電子書籍》
・指一本でめくれる、戻れる
→満員電車で立っている時などは大きなメリット
→タップ位置の微妙なずれで、進みたいのに戻ってしまうことがある
→端末を持つ手が少し触れただけで、ページがめくられたりUIが表示されてしまう

《紙本》
・(ほぼ)両手でないとめくれない
→これはデメリットでしょうね。片手でめくれても、めくったページを上手く収められませんし

・電子書籍のようなめくり間違いはない
→ただし、手が乾燥していたりすると、何ページもいっぺんにめくれてしまったり、逆に手が滑ってめくれないこともありますよね

・本を持つ手がずれてしまうと、ページがバラバラとめくれてしまうことがある

さあ、いかがでしょう?
どっちもどっち、勝ち負け無し。でしょうか。
5.読書姿勢

《電子書籍》
・片手持ちが基本
→おおむね、一方の手が自由になる

・テーブル置きも可
→勝手に開いてしまおうとするページを押さえる必要もなし

・寝転がって頭の上でも読める
→ライトがディスプレイを照らしてくれる端末では、書面が暗くなることもない

・重めの端末(iPadなどのカラー系タブレット)では片手持ちはキツイ

《紙本》
・両手持ちが基本
→片手でも読めるが、めくる時は両手。バッグなど持ったままは辛い
→片手で持っていると、ページを押さえる親指が疲れてぷるぷる震えてくる

・テーブル置きはちょっと辛い
→ハードカバーのどっしりした本ならOKだが、文庫本を置いて読むには文鎮が必須。だが、そうすれば良い、か。
→逆に、重い本はずっと手で持っているのも厳しいが

・寝転がって頭の上でも読める
→明るい場所ならOK。ちょっと暗めの場所では、書面が暗くて辛い

これは、片手で読める電子書籍にやや分がありそう。
6.メンテナンス性

《電子書籍》
・充電が必要
→小説の読書に限って言えば、eインク系の端末なら電池は数週間持つ
→カラー系のタブレットなどでは、ほぼ毎日の充電が必要

・画面や筐体が汚れる
→特に夏など、ゴム引き系のKindleは汗でじっとりする
→eインク系端末の画面はマット処理してあるものが多いためあまり汚れないが、タブレットはちょっと触っただけで手の油脂が付き、汚れっぽくなる

・OSのアップデートが行われると、機能追加の反面、動作速度がのろくなる
→思いもよらない使いづらさが急に生じる!

・カバーやケースが必要な場合が多い(淡波のKindleはカバーなしですが……)
→しかも、意外とカバーが高い
→端末が古くなると、合うカバーが手に入らないことも

・壊れる
→まだ、自分の周囲では「電子書籍端末が壊れた」という話は聞きませんが……

《紙本》
・充電は不要
→生涯にわたり、いかなるエネルギーも不要

・ツルツルのカバーのままだと汗ばむこともある
→書店で無料で付けてくれる紙カバーで充分汚れや汗を防げる

・読んでいるのは常に新しい画面(紙)
→めくる度に新たな紙!

・新しい本を読む時は必ず新しい端末(本)!
→OSのアップデートもないから、ずっと安心!

・カバーは最初から無料で付いている
→しかも書店で更に付けてくれる!
→お気に入りの革や布のカバーは10年以上も持つ!

・壊れる
→壊れた頃にはとっくに読み終わっている。しかも、書籍は百年経っても再製本して蘇らせることができる!

ん〜、圧倒的に紙本の勝利!
さあ、二回目はいかがだったでしょうか??
紙本優勢、か。

まだまだ、続きますよ!
次回も請うご期待!

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電子書籍ってやつを、改めて考えてみた−1

日本独立作家同盟の鷹野凌さんをはじめ、本日Twitterで少々話題になっていた「電子書籍のどこがいいか」的なネタ。これまでに恐らくたくさんの人が同じことを書いているのではないかと思いますが、僕なりに、改めて考えてみました。紙の本との比較をしてみましょう。
(電子書籍は主にハードウエア《Kindle》を想定したものです。「電子書籍」という呼び方自体も賛否両論あるようですが……)

では、第一回の本日は、まず【表示系】から

1.字の大きさ

《電子書籍》
・拡大できる
→遠視(あくまでも「遠視」)でも読みやすい
→字を大きくするとページをどんどんめくるのが快感だったりもする

《紙本》
・拡大できない
→不用意に紙面をこすっても邪魔なUIが出ない
→ページが固定されているので、読んだ量、残りの量が分かりやすい

そう、「できる」「できない」いずれもメリットでした。

 

2.紙面の明るさ(電子はライト有り限定で)

《電子書籍》
・明るくできる
→暗いところでも読める

《紙本》
・明るくできない
→暗いところでは読めないので、目に優しい

はい、こちらも両者それぞれメリットですね。

 

3-a.表示能力(固定表示)

《電子書籍》
・解像度は決して高くはない
→文字に多少のジャギーを感じることがある

《紙本》
・解像度は非常に高い
→とてもきれいで読みやすい

紙本に分がありそうです。
よく、印刷に近い解像度、という触れ込みのディスプレイがありますが、それは事実ではありません。一般的に写真やイラストなどの画像は350〜400dpiが印刷適性解像度です。それなら、たしかにRetinaディスプレイは印刷同等ですね。画像を見る限り、300dpi前後あれば人間の目でドットを感じることはまずありません。が、この解像度はラスターデータの基準です。
ディスプレイ上の文字は白黒二値のデータで再現されることが多く、特にeインクの端末ではアンチエイリアス処理も期待できません。そのため、画像と同じ解像度で表示した場合、ドットは感じられなくとも、どことなくぼやけた印象になったり、角度の浅い曲線のエッジがジャギーになったりします。
一方、印刷における文字データは三次曲線で表現されるベクターデータですので、紙面上に印刷される文字の解像度は、(印刷前工程におけるRIP処理機の性能などにもよりますが)2,000dpi以上になるでしょう。これが、印刷の文字が非常に滑らかできれいな理由です。

 

3-b.表示能力(固定表示:書体)

《電子書籍》
・変更できる
→美しく読みやすいことが重要なので、変更できること自体はメリットにはならない

《紙本》
・変更できない
→ブックデザイナーが考え抜いて選んだ、美しく読みやすい書体。
その本の内容にも合っている

紙本の勝ち!

 

3-c.表示能力(固定表示:書式)

《電子書籍》 Continue reading 電子書籍ってやつを、改めて考えてみた−1

孤独の王、いよいよプライスマッチ発動!

前回の記事でお知らせしましたとおり、既刊の大長編『孤独の王』を三分冊化し、そのうち『第一部:かけら』を楽天KWLさまにて0円刊行しました。AmazonKDPさまでは最低金額の99円設定ですが、KWLでの発売開始を確認後すぐにプライスマッチによる無料化を申請し、本日15:00頃、その発動を確認しました!

これで本日からどちらのショップでも0円でダウンロード出来るようになりました。

プライスマッチの方法をご存知ない方のために、一応簡単に手順を書いておきますね。

1.Amazonアカウントからヘルプページへ

2.左端コラムの一番下に、お問い合わせボタンがあります。ここをクリック。

お問い合わせボタン
お問い合わせボタン

 

3.そのあとに出てくる画面で質問内容のカテゴリを選択します。「価格設定とロイヤリティ/プライスマッチ」の順です。すると、「ご質問はこちらから:」の記入欄が現れます。

質問内容を記入します
質問内容を記入します

 

4.質問内容を記入します。タイトルは僕の場合「プライスマッチの申請について」としました。内容は、人それぞれですね。誠意を持った書き方であれば、どんな文章でも良いと思います。必須なのは、よそでは無料で配信しています、という証明です。WEBで無料配信の場合、販売ページの名称とURLをお忘れなく。

5.KDPのご担当者さんからメールが届きます。このフォーマットは決まっているようで、
「小売価格は当社独自の判断で決定させていただいておりうんぬん〜」と書いてありますが、ビビることはありません。
「調査には少々時間がかかりますので〜○月○日までに詳しい情報をお知らせします」
とも書いてあると思いますので、それまで待ちましょう。
僕の場合は5/2までに、となっていましたが、それより3日も早い今日、プライスマッチが発動し、無料化が実現しました。

無料になったことで、これまでより多くの方に届けられると良いのですが……。
元々が一冊の続き物ですので、第一部の終わり方に不満を持たれてしまう可能性もあるのですが、そこは第二部を読んで頂くということで!

★最後に両ショップのURLを張っておきますね。

Amazon Kindleストアでご覧になるにはこちらから。
楽天KOBO電子書籍ストアでご覧になるにはこちらから。

さて、この記事が、いつか誰かの役に立ちますように!

孤独の王の分冊版を出版

兼ねてからツイッターでは折りに触れアナウンスしてきましたが、原稿用紙にして千三百枚超の大長編古代史ファンタジー『孤独の王』を分冊化しました。(合冊版としてオリジナルもそのまま残します)
僕の本の中で一番買われているものなので、長いから読まれないということでは決してないとは思うのですが、いかんせん絶対数は少なすぎで……。
やはり、まずは人目に触れないことには手に取って貰えません。それで考えたのが、分冊化。本日、Amazonと楽天の両ストアに同時提出しました。
三部構成とし、楽天では第一部を無料に設定しています。
メリットは下記の三つくらいかな、と思います。

・長くないので、読むのに時間は掛からないかな、と思って頂ける
→手に取ってもらいやすくなる

・一冊あたりを比較的安価に設定でき、購入しやすくなる

・部分的に無料化できる。キャンペーンでなく永続無料化です。
もちろん、Amazonで無料設定は出来ませんので、出版と同時にプライスマッチの申請を行なう予定です。

なお、第二部、第三部は、ともに250円の設定としました。通常、250円にするのはKDPセレクトに登録することで70%の印税を確保するためだと思います。今回の場合は楽天でも同時刊行しますので、KDPセレクトには登録出来ません。過去既にこの本を買ってくださった方は450円を払ってくださっているので、分冊版の合計額を500円とし、先に作品を認めてくださった方が損した思いをせずに済むように、との考えもあります。
もちろん、作品にそれだけの価値があると信じての価格設定ではありますが。

さて、気になる表紙を公開しますね!

最近、僕の作品の定番になりつつある帯付きで登場です。
3DCGは便利ですね。いずれも今回の表紙のために起こし直した絵ですが、全て予告編からのシーン流用です。縦長の表紙のために、またそれぞれの雰囲気を高めるために色々と手を入れてはいますが、先日完結した短編集の表紙に比べれば遥かに少ない手間で出来ました。

せっかくですから、元となった予告編の画像と並べてみましょうか。

cover_分冊版_第一部s

今回の表紙よりかなり暗いですね。
映像版:今回の表紙よりかなり暗いですね。薄暗い中で腕環の石がきらりと光る様子を見せていたのです。

 

cover_分冊版_第二部s

第二部の表紙画像は、予告編では別々のアングルから分けて見せていたシーンを一つに合わせています。セニーロ少年の背後から、グロウノル王の天幕を望み見る形にしたのです。わくわくしますね!

こちらは表紙より明るくてよく見えますね。表紙ではあまりストーリーがはっきり分からないよう、ちょっと曖昧にしたのです。
映像版:こちらは表紙より明るくてよく見えますね。表紙ではあまりストーリーがはっきり分からないよう、木々で隠すことによってちょっと曖昧にしたのです。
こちらは逆にかなり暗いです。これでは何だかよく分からないので、表紙では明るく光を当てています。
映像版:こちらは逆にかなり暗いです。これでは動いていないと何だかよく分からないので、表紙では明るく光を当てています。

cover_分冊版_第三部s

映像版:第三部の表紙ではサブタイトルと合わせ、赤いイメージにしています。夕方の光が溢れる表紙は、予告編とは随分イメージが異なりますね。さあ、これから何が起こるのでしょう!?

 

Amazonでの第一部の価格設定は、当初99円になります。ボリュームに対してはかなり安い感じもしますが、すぐにプライスマッチで無料化する予定ですので、くれぐれもしばらくはポチらないでくださいね。
(いや、敢えて払いたいんだ。という奇特な方を止める気はありませんが……)

では、少しでも多くの方にこの物語が届きますように!

表紙とタイトル:僕なりの考え

今回の記事ははちょっと変わった内容です。自分のことでなく、他の作家の方について、どうしても書かずにいられなかったので、ちょっとだけお付き合いください。生意気かもしれませんが、何とかして力になりたい! と強く思ってしまったのです。

発端は電書ちゃんのTwitterとブログ。

【みんなの悩み相談室】KDPで小説が売れない! 無料キャンペーンも惨敗で悩んでます

というものです。

作家の水瀬はるきさんが自作の無料キャンペーンを行なったところ、惨敗だった。これはどうしてなの? というお悩みです。そうです、このブログを読んでくださっている方は、思い当たる節がありますね。はい、前々作の短編『五感の嘘』の無料キャンペーンにおいて、僕も同じ経験をしたのです。ただし僕の場合はキャンペーン期間を最大の五日間に設定したため、途中で方向転換して危機を脱したというなんともスリリングな経験をしました。(くわしくはこちらをご参照。水瀬さんには是非とも読んで頂きたいな…→続編もあります

水瀬さんの今回の作品『ダブル・フーダニット』については、僕も認識はしていました。きれいな表紙だったし、ぱっと見で意味の取れないタイトルが気になって、帯をじっと読んで納得した記憶があります。でも、僕自身はあまりミステリーを読まないので、ダウンロードはしていませんでした。キャンペーン惨敗の遠因が、まずここにあるのではないかというのが、僕の考えです。

1.タイトル

推理小説を好きな方には既知の表現なのですね。ただ、推理小説は、誰が誰を(どうやって)殺したか、というのが重要なテーマですよね、それが読者にとってなのか、特定の登場人物にとってなのかは別として。ですから、《ダブル・フーダニット》という言葉は、ほぼ《推理小説(の1ジャンル)》と同義に思えます。
だからこのタイトルは、僕には《これは推理小説が二編入った本です》と言っているようにしか思えなかったのです。それを狙っているのかもしれませんが、表紙と帯の中に、同じ意味の言葉が四回も使われています。狭い面積で、これはもったいない。
読者を読む気にさせるには、ダウンロードしたくさせるには、端的に、どんなことが書かれているのかを「感じさせる、イメージさせる」タイトルが必須だと思います。有名作家でない限り。
推理小説好きな人にとっては、「そりゃ、推理小説なんだから、そうでしょ。で、どんな推理小説なの?」の「どんな」が欠如していると思わざるを得ないのではないでしょうか。例えば僕がSFを書く時、『トリプル・サイエンス・フィクション』というタイトルには決してしないのと同じで…。
また、推理小説を読まない人にとっては、何だか分からないカタカナのタイトル。帯を見ても、分かるのは推理小説だというだけ。大半の人はそこでリジェクトです。残念ながら、商品説明まで読みに来てはくれません。
僕自身は、「推理小説だから」というだけで読まないことはありませんが、具体的な内容が全く想像出来ない小説は、やはり手に取れません。(ダン・ブラウンは大好きです。推理小説というのか分かりませんが)
そういった意味で、『ダブル・フーダニット』いうのは残念なタイトルではないかと思うのです。
中の小説自体はイメージを想起させるしっかりとしたタイトルを持っているので、例えばそちらをメインにして《一つの表紙に二つのタイトル入り》としたほうが良かったのではないでしょうか。

2.絵柄

きれいです。が、こういった抽象画を用いた表紙には、小説の表紙としての主張がありません。内容のイメージがありません。表紙の絵柄は、タイトルと相乗効果で読者の期待を高めるために存在している。と僕は思います。ここで、「読みたい!」と読者の心臓をわしづかみにできるようなイメージ性が、特に推理小説には必要なのではないかと思うのです。これも、有名作家の場合には当てはまらないこともありますが。
電書ちゃんご指摘の「色」も要素としてはあると思いますが、完全に抽象的な絵柄は、いったん目に留まってもそのまま流されてしまう危険性が高いと思います。《壁の花》のようなものです。
それが芸術作品のレベルであれば別ですが、表紙は表紙、本来の作品は中身の小説ですから、そこまで求めるのは逆に意味がありませんし。

3.デザイン

タイポグラフィーの選択は本当に難しいものです。デザイン性と可読性、それにAmazonのページでサムネールサイズでも目立つこと。全てを両立させるには、本当はロゴデザインを0から起こさなければならないと思います。もちろん、そんなことができるセルフ作家さんはほとんどいないので、既存のものでどうにかしなければならないのですが。
タイトルを同じくらいの文字数で改行し、スクエアな組み方をしていますが、これ、実はすごく難しいんですよね。上下の行の幅をそろえるということは、逆に言うと文字毎のカーニング(文字間相互の詰め)を無視するということになります。よほど気を使ってデザインしないと、読みづらく、バランスの悪いものになります。この例では、残念ながらスクエア組みに成功しているとは言えません。このままのタイトルでいくなら、カーニングを美しく整理した上で、行間をもう少しあけ、行の左右配置もバランスを見ながら左・右・センターのどちらにそろえるべきかを検討すると良いと思います。(これは本当に僕の私見で、書店売りされている本でもあまり気を使わずにデザインされているものもあるので。お気を悪くされたらご免なさい。)

4.総論

きれいで、良くできた表紙なんです。きっと、中身のクオリティも高いだろうと思わせるものがあります。でも、それは僕が同じセルフ作家だから感じること。
残念ながら、この表紙には喚起させるイメージがない。
読みたい!と思わせる強引さがないと、何も予備知識のない、通りすがりの一見さんにダウンロードしてもらうのは難しいものです。何しろ、本は無料でも、本を読むには数十分から一時間はかかるのです。それだけの時間を投資しても《元が取れる時間の過ごし方を与えてくれる小説》。読者はそれを期待しているのですから。

応援のつもりで書きました。もし、上から目線的なものを感じ取ってしまわれたら、本当にご免なさい。僕は兼ねてから、KDPにアップされている小説群の表紙を少しでもクオリティアップさせて上げられたらな……と思い、時々このブログにもそんな記事を書いてきました。いずれは一冊の本にまとめようかな、とも思っているのですが、まずは眼の前でお困りのあなたのために、少しでも役に立てたらと。
出しゃばりで済みません……。

もし、少しでもお役に立てたら幸いです!

帯の効果は?

さて、作品に帯を付け始めて一週間。その効果は?
ということで、これまでの経緯を簡単に書きましょう。

スクリーンショット 2015-04-18 18.25.42

スクリーンショット 2015-04-18 18.33.59
これがキミコロ! 現在読書中です

まずはこれ。キミコロの藤崎ほつまさんのブログに表紙デザインのことが色々書かれているのを拝読。タイトルは『電子書籍は表紙が九割』。とてもためになりました。この時点では自分の作品に帯を付けることにはまだ慎重。『壁色のパステル』を最初に刊行するときは帯っぽいデザインも考えましたが、それってまずいんじゃない? という気がしてやっていませんでした。
で、今回のキミコロに入った素敵な帯の発見。

ちょうどその後で無料キャンペーンを開始した『希望の船』、表紙画像はこちら。悪くはないんですが、やはりちょっと地味な感じはします。特に、SFに興味のない人にはあまり響かないかな?

出だし好調だった無料キャンペーンですが……
出だし好調だった無料キャンペーンですが……

キミコロに触発され、この事態も予測して一念発起、帯デザインを行い、速効でAmazonさんに提出しました。(おぉ、なかなかの行動力!)
さらに、AmazonのKDPのヘッドである小菅さん(@yoshikosuge)インタビューでこんなことを仰っていたのを発見!

オフィシャルで推奨されていた!
オフィシャルで推奨されていた!

そして出来上がったのが、この帯付き表紙です。

牛野小雪氏に推薦文を寄せていただいたのです!

どうです?
ずっと目を引きますよね!
引き続き、こちらの本にも帯を追加。
スクリーンショット 2015-04-18 18.45.36

さらに、

だじゃれはご愛嬌
だじゃれはご愛嬌

『希望の船』は、この『ケプラーズ5213』の前日譚。巻末にはたっぷり試し読みを載せていますから、ケプラーズの販売ページに来てくださる可能性もある。よし、こっちもやっちゃおう。というわけです。これが表紙。

文字はちゃんと3DCGで作ったんですよ!
文字はちゃんと3DCGで作ったんですよ!

こちらは、新潟文楽工房ヤマダさんがブログで書いてくださったレビューを転載させて頂きました。ヤマダさん、素晴らしいレビューをありがとうございます!
あんなにお褒め頂いて、とろけました。

さて、帯追加後の効果は?

最近四冊の無料キャンペーン
最近四冊の無料キャンペーン

左から、『サタンと呼ばれた男』『五感の嘘』『希望の船』です。右端は、始まったばかりの『未来からの伝言』ですね。
サタン〜は、僕の短編としては標準的なレベルのDL数で、期間内に161冊。これを基準とすると、どうです? 効果、ありますよね。希望〜は348冊だったので、実に倍以上です!
実は、五感の嘘についてはキャンペーン途中で表紙とタイトルを入れ替えるという大実験(この件についてはこちらをご参照)を行い、そこで結構な効果が出ています。帯を追加することで、更なる効果が認められたということになりますか……。

いやあ、この間、何人もの方に応援、激励をいただきました。拡散もしていただき、その効果も大きかったのではないかと思います!
この場を借りまして、改めてお礼をさせていただきます。本当にありがとうございました!

そして、気になるのは昨晩から始まった『奇想短編集そののちの世界』、最後の連続無料キャンペーン『未来からの伝言』のDL数です。そうなんです。帯だけじゃあなあ、という感じが既にしています。(いや、もちろん内容には自信がありますし、表紙、タイトルも悪くないですよね!?)

推薦文はありませんが…
推薦文はありませんが…

ここにはもしかすると、二つのネガティブ・ファクターがあるかもしれません。

1.「完結編」、「最終巻」と書いていること。
→これによって、今までこのシリーズを読んだことのない人が躊躇するかも。
2.「賛否両論」と入れたこと。
→この『否』という言葉のネガティブ・イメージによって、クリックを止めてしまうかも。「あ、駄目だと言ってる人もいるのね。」という判断が下ってしまう可能性ですね。

タイトルはどうでしょう?
Amazonさんの販売ページで、なぜか《評論・文学研究》に分類されています。説教臭い感じ、自己啓発本的なイメージがしてしまうでしょうか??
普通のSFなんですよ、しかも結構エンターテイメント性の高い!

来週の前半まで、まだまだ無料キャンペーンは続きます。
一人でも多くの読者さんに届くといいのですが……。

さて、この記事が、いつか誰かの役に立ちますように!

タイトルと表紙を同時変更の件、続編。

このブログやTwitterでみっともない姿を晒してしまいましたが、短編集第八話の『五感の嘘(旧題:センス・オブ・デリカシー)』について、無料キャンペーンの顛末を書き残しておきたいと思います。

4/3(金)17:00、
無料キャンペーン開始。
夜半、あまりにDLが少ないことに気付く。表紙を差し替えようと決意。CGのシーン編集を開始。DL計12冊。

4/4(土)朝、
やはりDLが増えていない。買い物に行っている間に新しい表紙用CGをレンダリング。午後、コンポジットとレタッチを行い、表紙デザインを差し替え。
眠い。ePubを編集し、データを変換。Amazonに提出。

14:50、新表紙Ver.01が出版される。(Amazon上の表示がすぐ差し替わらず、正確な時間は不明)
ここまでDL数、20冊強。

17:08、表紙の差し替わりを確認。

20:52、タイトルを『五感の嘘』に変更し、再度Amazonに提出。DL増加。4/4の計、39冊

4/5(日)朝、
新表紙Ver.02が出版されているのを確認。
やはり表紙のデザインが気に入らず、再度色調を変更して差し替え、Amazonに提出。

17:02、新表紙Ver.03、最終版の出版を確認。4/4の計、88冊。

4/6(月)
35冊

4/7(火)
35冊、キャンペーン終盤、平日だが、いつものようにはDL数が落ちない。

4/8(水)
10冊、さすがに最終日はガクッと落ちる……。

五日間の合計で219冊。短編集では一番のDL数となりました。元が99円と安いだけに、あまり無料キャンペーンの効果は大きくないと思っていましたが、これだけ出れば少しは露出が上がるかなあとほのかに期待。
ブログとTwitterで変に騒いでしまった効果が出たのかもしれませんが、タイトルと表紙デザインを人目につ引やすいものに変更した効果も、決して低くはないと思います。最初の24時間は20冊ちょいしか行かなかったのですから。現実の世界に「もしも」はありませんし、実際に何も替えなかった場合と比較することはできないのですが。。

タイトル、表紙デザイン。とても大事です。それを再確認した一週間でした。

そして今週末からの五日間は、『そののちの世界』最後のKDP、KWL同時無料キャンペーンを行います。
対象作品は:
KDP『希望の船』、KWL『プロテイン・パック』です。
どちらも力を入れた作品です。とくに『希望の船』は、最大の自信作『ケプラーズ5213』の前日譚となっています。なぜ、どうやって超巨大宇宙船が建造され、遥か彼方へと旅立っていったのか、がスリリングに描かれます。
短編としては61ページ(巻末付録込み)と長めですが、ぐいぐい読める内容で、とってもお勧めです!
(SFの苦手な妻が、僕の予想の半分以下の時間で読み終わっていました。構成はちょっと複雑で、登場人物も多いのですが、読みやすい物語に仕上がったと思います)

『希望の船』を読んだ後は、短編集完結編の『未来からの伝言』に進むか、『ケプラーズ5213』に進むか、二通りの楽しみ方がありますよ。
ちなみに、巻末付録は『ケプラーズ5213』の冒頭から三章分。読み始めたら止められないこと請け合いです!

いっぽうKWLでキャンペーン展開の『プロテイン・パック』は、ほししんいちさん的な世界観から始まり、世界が軋みを立てていく様子が刻々と描かれます。
湿っぽさのない、カラッとした懐かしい未来が、あなたに読んでいただけるのを待っています。

 

どちらもお勧め。是非二冊とも読んでみてくださいね!
どちらもお勧め。是非二冊とも読んでみてくださいね!

 

では、金曜日をお楽しみに!!

最後に、ここでお気付きの方もいるかもしれません。同時キャンペーンなのに、KWLの話が出ていませんね。実はKWLではここのところ一切表示が更新されていないのです。前回の無料キャンペーン時にはDLしてくださった方が最低一人はいることを確認できたので、何がしかDLされていることは確か。ですが、今回のキャンペーンでも、ダウンロード数は一冊もカウントされていません。
恐らく、なのですが、KWLでは無料キャンペーンのDL統計は記録されないのではないでしょうか。ダッシュボードには「販売数」と「ダウンロード数(無料作品)」しか表示欄がないので、元が有料の作品については表示する欄がない。ということなのかもしれません……。

さて、この記事がいつか誰かの役に立ちますように!

タイトルと表紙を同時変更、の件

新旧表紙を並べてみました
新旧表紙を並べてみました

ご覧の通り、現在無料キャンペーン開催中の短編作品の表紙とタイトルを変更しました。右が旧版、左が新版ですね。どうしてこうなったかというと、キャンペーン開始時のダウンロード数がちっとも増えなかったためなのです。
これまでに行なったキャンペーンの中でも最低レベルだったため、冷静に、原因を分析してみたというわけです。
で、結論として辿り着いたのが、この二つ。

・小さく表示した時によく分からない地味めな表紙
・あまりなじみのない片仮名のタイトル

もちろん、旧版にした時もそれなりに合理的な理由がありました。

【表紙絵】
・高度に工業化され、高密度に集積された野菜生産工場のイメージ

これを表現するためには《何フロアにもわたって続く野菜工場を引きの絵》で、《象徴的なシンメトリ構図》で、という判断もまた間違ってはいなかったと思うのですが、ぱっと見て何だか分からない、という危険性の方が大きかったのですね。で、新しい表紙、《なんか、ロボットアームが植物を育ててるみたいだぞ》と一目で感じられるものに変更しました。ロボットの色も農業機械にありがちな赤にして少々目立たせています。物語中にはロボットは出て来ないのですが……。

【タイトル】
・物語冒頭に出てくる自称グルメなダメ男と本当に繊細な舌を持つ主人公の対比で、《(美)食の感覚》のような意味合いのタイトルを付けていました。

こちらは本当に作者の勝手な思い入れに過ぎず、多くの人が何のイメージも喚起できないタイトルだったと思います。しかも、物語は《食》に留まらず全ての五感へと広がっていきます。その五感がいままで信じていたものと違っていたら? という裏テーマを感じさせるもの、何かありそうだと感じさせるタイトルにしよう、ということで、『五感の嘘』に辿り着きました。

旧版についてもそれなりに検討した結果、最も良いと思われるものにしていたわけなのですが、それはそれ、これはこれ。《作者の思い》と読者にとって《喚起されるイメージの強さ》は別物、ということです。クライアントがいるCGの仕事だったらそこまで考えてビジュアルを判断するところですが、ここは個人の思い入れが先行してしまったため、そこに思い至らなかったのでした。作品を世に出す時は読者というクライアントを思い浮かべていなきゃな、と反省です。

ここで両方とも変更することで、その効果も分かるというもの。

キャンペーン開始から一日半と少し経過した現時点で、100DLを少々超えたところです。タイトルと表紙を変更した効果なのかどうか、はっきりとは分かりませんが、概ねいつもの水準に戻りつつあります。

表紙、タイトル、とても大事ですよね、というお話でした。

さて、この記事が、いつか誰かの役に立ちますように!