ときおり、どうしても菓子パンを食べたくなることがある。お休みの日の昼食とか、出張の新幹線の中とか。
僕は元々パンが大好きで、朝はパン食だし、昼も週の半分はパンでもいい。
で、昼食のパン。もしくは菓子パン。
若い頃は、パンを食事にする時は必ず三つ食べていた。
────いや、つい数年前まで三つ食べていた。
・チョコパン、あんパン、カレーパン
・あんドーナツ、めんたいフランス、サンドイッチ。
・レーズンパン、くるみのパン、ピザパン
・チョコデニッシュ、アップルパイ、チェリーのペストリー……
たまに、コンビニやスーパーでお年寄りがパンを買っているところを見ることがある。菓子パンをたった一つだけ、おじいさんが大事そうに持って、レジに持っていくところを眼にすることがある。
パン、一つ?
何で?
他のものを一緒に食べるんだろうな。
そう、考えていた。
が、45歳を過ぎた頃だろうか、三つ食べるのがちょっと厳しくなっていた。いや、きっと、歳のせいだけじゃなくて、運動不足や慢性疲労など、いろいろあるんだろう。
しかし、脂っこいパンや甘いパンを三つも食べると、必ずお腹を壊すようになっていた。妻は、それはストレスだよ、食べ物のせいじゃないから。と言っていた。
でも、僕にも段々自分の身体のリズムが見えてきていた。食べ終わって30分くらいすると、下腹が悲しい感じで重くなってくる。
ああ、だめだな、こりゃ。って。
そうして、僕はパンの量を二つに減らした。
歳を取るのはまだ怖い。
(それはまだ僕が充分に若い証拠だな──)
でもいつの日か、パンは一つで充分、という日が来てしまうのだろうか?
大食いの老人ってのもパワフルでいい感じ?
ステーキをがつがつ食べて、大酒飲んで、ガハハっと笑う。そんな歳の取り方も悪くない。
でもきっと、僕はそういう老人にはならないのだろうな。
慎ましやかに、たった一つの菓子パンを吟味して、大事に両手で持ってレジに持っていくのだろう。そしてゆっくりゆっくりかじり、ああ、やっぱり工場のパンは不味いな。次はちゃんとパン屋さんの焼き立てパンを食べたいな、などと思うのだ。
願わくば、そんな日がやって来るのがあと30年は先でありますように!
(あ、フィクションですよ、フィクション────)
じゃあまた明晩!