みなさんこんばんは!
今週も無事、Blender-99の時間に辿り着けましたね!
さて、前回まででいったん、目指すゴールの椅子が出来ました。
今回は、またモディファイヤの機能を用いてここからワンランクアップを目指します。
では、本日の講座、開始!
【Blender-99 絶対に挫折しない3DCG入門 -14 キューブに任せろ! その5】
【本日の学びはこちらです】 ・面取りは何のため? ・「べベル(=面取り)」モディファイヤを使う
はい、いきなり耳慣れない言葉が出てきましたね。
「べベル」と言うと分からなくても、「面取り」なら何となく分かりますよね。
これがどうかしたか、ですって?
注目すべきは天板の上面です。
あらゆる家具の角は、それを使用する人が怪我をしないように〈面取り〉されています。
分かりやすいように、Blenderで簡単に作ってみました。
イメージが分かりましたでしょうか?
面取り(べベル)がないと、角で手を切ってしまいそうです。痛そうですね!
CGの世界では、こんな風に言われています。
世の中に面取りのない角はない! (もちろん、人が直接触れる工業製品、という縛りつきです。誰ですか、刃物には面取りがないでしょ、って言ってる人は!)
例えばかなりシャープなエッジを持つMacBookの筐体だって、厳密な意味では面取りされています。そうでなければ、触っただけで手が切れてしまいますからね。
(加工の都合上、完全にシャープなエッジには出来ない、という事情もありますが)
家具製造などの世界では、「ひとこすり」などと言うこともあります。形の出来上がった塗装前の家具を、紙やすりですっとこするだけで、触りごこちの良い角になるのです。
(何十年も前に家具工場でバイトしてました。あはは)
そんなことで、リアルなCGを作るための大事な要素の一つとして、〈面取り〉があるわけです。
え?
CGには触れないんだから、危なくないって?
では、面取りをする必要はないでしょうか?
いいえ、面取りには、とても大事なヴィジュアル上の効果があります。
それが、「キャッチライト」。
また、新しい用語が出てきました。こちらは撮影用語ですね。
意味は読んで字のごとく、「光を捕まえる」ということ。
では、画像で見てみます。
面取りされている板とされていない板では、角における光の反射が全く違います。
面取りされていると、あらゆる角が光を受け止めて、存在感や表情が大幅にアップしていることが分かりますね。
もちろん、光を受ける側だけでなく、シャドウの部分もグッと暗さが増して表現力を豊かにしています。
これが、面取りの威力です。
これをモディファイヤで簡単に実現出来るのですから、便利な世の中になったものです……!
前回、形を完成させた椅子のファイルを開きましょう。
こんな感じになっていますよね?
画面右側のパネルがモディファイヤ・パネルでした。
ここに、面取りをするためのモディファイヤ、〈Bevel〉を付け加えます。
動画キャプチャを撮るために画面を小さくしているので、「Bevel」のモディファイヤがどこに出たのか分からずにまごついているのはご愛嬌です(笑
では、手順です。
1.面取りを掛けたいオブジェクトを選択します。オレンジ色の枠で囲まれましたか?
2.モディファイヤ・パネルで「Add Modifier」をクリックし、一覧から「Bevel」を選択してクリックします
3.前回用いたモディファイヤ「Array」の下に「Bevel」が積み重なりました。パネルをマウスホイールでスクロールして、設定が見えるようにしましょう
4.「Width」の設定数値を小さくします。例では、2mmにしています
5.「Width」の下の「Segments」では、何回面取りを掛けるかを設定出来ます。ここを増やすほど角が丸まります。増やし過ぎても効果はないですし、無理な数値を入れるとBlenderがクラッシュするかもしれませんから気を付けましょう。(最大で100までしか入力出来ないようなので、恐らくクラッシュの心配はないでしょうけど)
ほら、簡単。
ポイントは、最初に出てくるWidth(=面取りの幅)が大き過ぎることです。単位系がメートルに設定してあるので、どうしてもそうなってしまいます。画面を見ながら、ちょうど良い幅に調整しましょう。
◇Bevelの設定値◇ 前述のように、最大の目的はキャッチライトを入れることによる表現力アップです。「Bevel」を掛けることで表現力はアップしますが、「Segments」の回数を増やすと急激にポリゴン数が増えます。 もちろん、現段階でそこまで気にする必要なありませんが、今後複雑なシーンを作るようになれば、ポリゴン数を気にする必要が生じます。 例えば、キューブのポリゴン数は6です。立方体は六面体ですから、6つの面で囲まれていますね。 これに1回面取りを掛けると、26面になります。セグメントを2にすると、54面、3にすると98面です。実に、最初の16倍ものポリゴン数になるわけです。
まだまだずっと先の話ですが、リアルな世界をCGで作るために必要な「面取り」は、データ量と見栄えのバランスに気を付けて設定する必要があるのです。
あまりにもカメラから遠くにあるオブジェクトには、ひょっとすると面取りをしてもキャッチライトが入らないかもしれません。
ぎりぎりキャッチライトが入る大きさ、距離にあるオブジェクトの場合は、「現実世界の実物の角の丸み」にこだわり過ぎることなく、適度な「Segments」にする判断力も求められます。
そんな場合にも、この「モディファイヤを使って面取りする方法」は、自由自在の調整力を与えてくれるのですね!
■こんな風になっちゃったひと、いませんか?
ずっと順番に読んでくださっている忠実な生徒さんなら、お分かりですね。
面取りのサイズが、長さ方向だけびよーんと伸びてしまっています。
これは、最初のキューブからの拡大率がそのまま残って入る証拠。
Ctrlキーを押しながらAキーを押して、「トランスフォームの適用」を行ないましょう。もちろん、適用するのは「Scale」ですよ。
はい、直りましたね!
今回の講座はこれで終了です。
上手に出来ましたでしょうか?
次回は、残りのパーツについてもさっくり面取りします。
その際、もうひとつ新しいテクニックを覚えますよ!
【本日の学び】 ・面取りは何のため? ・「べベル(=面取り)」モディファイヤを使う
【次回の学び】 ・機能をリンクさせて楽をする ・ワークスペースを調整して使いやすくする
それでは、ぜひ次回もお越しくださいね!
Happy Blending!!