今週もBlender-99の時間がやってまいりました!
前回、上手に椅子の基本形が作れましたか?
こんがらがってしまったときは、常に基本の基本に戻って操作を確認しましょう。
(覚えることがたくさんありますし、いきなり全部は覚えられません。前に戻るのはとても大事なことなのです!)
今回はいよいよ、目指すゴールのこの状態までいきましょう!
では、本日の講座、開始!
【Blender-99 絶対に挫折しない3DCG入門 -13 キューブに任せろ! その4】
【本日の学びはこちらです】 ・超絶便利な〈モディファイヤ〉って何?
スタートポイントはこちら。
脚4本の上に座面が乗り、スツールとして座れる状態にまでなっていますね。
今回はこれに背面を追加しますが、「本日の学び」でいきなり耳慣れない言葉が出てきました。〈モディファイヤ〉って、何でしょう?
それを学ぶ前に、〈モディファイヤ〉なる機能を用いる前の状態まで進んでおきます。
これまでの繰り返しですから、簡単に出来るはず。
最初に、背面の左右に背柱を立てます。
これは脚をコピーするだけでOK。
手順の動画を先に見ると分かりやすいですね。
1.背面から見るためにCtrlキーを押しながら1キーを押す
(忘れちゃった人、分からない人はこちらへ!)
2.「5」のキーを押してオルソビュー(パースのつかない見え方)に
3.脚をクリックして選択し、Shiftキーを押しながらもう一本の脚を選択
4.Shiftキーを押しながら「D」を押してコピー
(「D」はDuplicate(=複製)の「D」です)
5.Ctrlキーを押しながらマウスを上に移動しますが、座面ぴったりには移動出来ないので適当な位置でいったんクリックして確定させます
6.位置を微調整するためにマウスホイール回転で画面を拡大
(適宜、Shift+マウスホイールのドラッグで見える位置を調整)
7.もう少し移動したいのですが、移動のマニピュレーター(矢印)が画面の外に出てしまっていて見えません。そんな時は、ショートカットを使いましょう。移動のショートカットは「G」、「Grab(=つかむ)」の頭文字のGです。マウスでつかんで動かす感覚ですね。ショートカットキーを押して操作出来る状態になると、オブジェクトは白枠で囲まれます。
Gを押したら、マウスはそのまま動かします。ボタンは触りません。これが、最低限の操作で機能を働かせるBlender流です。
8.Ctrlキーを押しながらマウスを動かして、背柱の位置を調整します。
はい。
出来ました。
次は、背柱の横に渡す横木(「背貫」という名称だそうです)を一本作りましょう。
これも、脚の流用でいけます。
それではまず、動画を見てみましょう。
ちょっと失敗していますが、敢えてそのままにしました。皆さんも引っ掛かりそうなポイントなので。
・手順を追います。
1.背面から見るためにCtrlキーを押しながら「1」キーを押す
(先ほどの作業からそのままなら、不要です)
2.向かって右側の背柱をクリックして選択します
3.Shiftキーを押しながら「D」を押してコピーし、すぐにクリックして確定します。このとき、マウスを動かさないこと。動かすと、コピーした背柱が移動してしまいます。
◇ちょっとしたミスをしたら◇ 「Undo(=アンドゥ)」という言葉はご存知ですね? パソコンでは、失敗した操作をやり直すために多くのソフトが採用している「取り消し」機能。それがアンドゥです。WindowsではCtrl+Z、MacではCommand+Zです。もちろん、Blenderもアンドゥに対応しています。 ◇失敗する前の操作取り消し◇ ミス操作を確定する前、例えば、Shift+Dでコピーした後でマウスがブルブルッと動いてしまってオブジェクトがあらぬ方向へ動いてしまったら、その時は「右クリック」でキャンセル出来ます。 確定する前の操作をやり直したい時には「右クリック」。 覚えておきましょう!
3.回転のマニピュレーターを選択し、表示された円の一番外側にある白い円をマウスでつかみ、反時計回転に回します。その際、Ctrlキーを押すことで、回転角を5度刻みに制限出来ます。
4.反時計方向に90度回転して向きが水平になったら、クリックして確定します。
(3, 4の操作はショートカットで行なうと素早く出来ます。「R」キーを押して、回転したい方向へマウスを動かしたらすぐに90と打ってEnterキーで確定するだけ!)
◇白い円って何?◇ 手順3で出てきた白い円ですが、初出でしたね。 これは、回転のマニピュレーターの外側にいつもあって、今、操作している人の視点に対して垂直な面に表示されます。他の色とは異なり常に正円に描かれ、オブジェクトの向きには関係なく、円に沿った方向にのみオブジェクトが回転出来ます。 各軸に対して正対している場合以外は思うような向きに回転させられませんので、注意が必要です。
参考:回転マニピュレーターとその外側の白い円との関係
いろいろな角度で、各方向の回転マニピュレーターと白い円を回してみます。
5.プロパティ・パネルの「Transform/Location」内で、Xの値に0を打ちます。これで、背貫が中央に移動します。
6.大きさを調整するためにまず画面を大きく拡大します。背柱が画面一杯になるようにしましょう。
7.別のオブジェクトとの位置関係が分かりやすいよう、ワイヤーフレームにします。「Z」のキーを押しましょう。
8.拡大縮小のマニピュレーターではこのように微妙な縮小はちょっとやりづらいので、ショートカットを使います。背貫の中心(小さなオレンジ色の●)からマウスカーソルが適度に離れた状態でSキーを押します。マウスカーソルとオブジェクトの中心を繋ぐ点線が表示されます。
マウスカーソルの位置をオレンジ色の●に近づけることでオブジェクトを縮小します。
9.動画ではCtrlキーを押しながら縮小操作をしましたが、背柱の幅とぴったりには合いませんでした。そのためCtrlキーは押さずにやり直し、だいたいの大きさに合わせています。
10.だいたいの大きさに合わせたら、プロパティ・パネル内の「Transform/Dimensions:」の値を見ます。
11.3つの値が、「3.652cm, 3.652cm,32.869cm」となっています。始めに90度回転させたので、Zの値、つまり32.869cmが背貫の幅です。2本の背柱の間隔は割り切れる整数値になっているはずなので、Zの値に33cmと打ちます。
動画ではいきなり「33」と打ってしまったので、長さが33mになってしまいました。これは、入力欄をクリックした際に単位の「m」まで自動的に選択されてしまうことで起こります。これを避けるには、ドラッグして数字のみを選択するか、「33cm」と単位まで入力します。
もっと手数を減らしたければ、入力欄をクリック直後に「0.33」と入力すると早く出来ます。
12.移動のマニピュレーターを選択し、青い矢印をつかんでZ方向へ移動します。動画では、移動の途中でCtrlキーを押し、グリッドにぴったり揃うようにしました。
良い感じで作れましたでしょうか?
どうにも上手くいかないなあという人のために、もう一つ、コツを伝授。
◇どうしてもオブジェクトが動いちゃうよ!◇ 何か操作をしようとすると、どうしてもオブジェクトがあらぬ方へ動いてしまうあなた。 そんな時は、マニピュレーターにうまく触れていないのかもしれません。 Blenderは、オブジェクトが選択された状態で特に何も指定せずにマウスドラッグを行なうと、それを「Grab」、つまり「つかんで動かす」操作だと解釈します。 オブジェクトを回転させようとしてマニピュレーターをつかもうとしたけれど、少し位置がずれていて丸をつかめなかった時など、回転でなく移動の操作になってしまうわけなのです。 それを逆手に取れば、何もショートカットを押さずとも移動出来るという迅速操作になるのですが!
では、本日のメインメニュー、〈モディファイヤ〉に進みます。
〈モディファイヤ〉とは、一言で訳すと、〈改変するもの〉。
3DCGソフトで言うモディファイヤの定義と特徴を、分かりやすい日本語で書いてみます。
◇モディファイヤ◇ ・設定数値を調整可能な編集機能で、いつでも元に戻すことが出来る ・元となる形状に改変を加えず、結果を改変させる ・3Dビューポート上では機能を適用した状態を非表示にすることが可能で、パソコンの処理を重くせずに編集出来る ・レイヤー状に積み重ねることが出来て、順番の入替えも可能。入れ替えると、順番に応じて効果が変化する
言葉ばかりでは分からないですね(笑
今回使用するモディファイヤで説明しましょう。
本日のモディファイヤ:「Array(=配列)」
では、動画からどうぞ。
面白そうでしょ?
では、説明です。
1.対象にしたいオブジェクトが選択済みであることを確認します。背貫にオレンジ色の枠線が付いていますね。
2.画面右端のプロパティーズ(3Dビューポートのプロパティ・パネルと混同しやすいですね)で、スパナのアイコンのタブを選択します。
(動画では最初に「カメラ」のタブが選択されていましたが、皆さんは単位設定を行なった状態の「シーン」になっていたかと思います)
3.「Add Modifier(=モディファイヤを加える)」と表示されているので、そこをクリックします。
4.たくさんのモディファイヤが表示された中から、「Array(=配列)」をクリックします。
5.いきなり、背貫が下方向へ大きくなりました。これは拡大されているのではなく、下にぴったりの位置にもう一つ増えています。設定項目を見てみましょう。
6.「Count」が2、「Relative Offset」にチェックが入っていて、その下の欄に「1.000」と入っています。欄は3つありますが、左側の入力出来ない欄にはそれぞれXYZと書かれています。右の欄も意味は同じです。この設定の意味を日本語にすると、以下のようになります。
「X軸の方向へ、オブジェクトのサイズと同じ距離分、全部で2つのオブジェクトを配置する」
「Relative Offset」とは、「比率としての距離」と訳せば良いでしょうか?
もっと分かりやすく言うと、「端からの距離は大きさの何倍分か」ということです。
1倍だとぴったりくっつき、2倍だとまるまる1つ分の間隔が空きます。
7.数値を変更してみましょう。
「Relative Offset」を増やすと、下側の背貫が離れ、減らすと近づきます。
「Count」を増やすと数が増え、減らすと少なくなります。
特に決まりはないので、自分好みになるように調整しましょう。
いろいろと設定数値をいじってみることで、この 「Array(=配列)」モディファイヤの機能が理解出来ますね。
え、
「実際はX軸ではなくZ軸方向へ増えているじゃない!」ですって?
そうですね、いいところに気がつきました。
種明かしはこれ。
分かりにくいですか?
それでは、トランスフォームの適用をしてみましょう。
あれ、増やしたはずの背貫がなくなってしまいましたか?
何が起こったのか、動画で確かめましょう。
トランスフォームを適用したので、世界のX軸と同じ方向に背貫が配置されたのです。
Z方向に配置したいので、Xに入っている値を0にしてZの欄に打ち直します。
すると、背貫が上方向に配置されました。
そうです、Z方向といっても、配置したいのは本体の下側。マイナスZ方向にしなければいけないわけですね。
ちょっと分かりにくいので、「Y軸方向に回転した」ということが分かりやすい動画を用意しました。
画面左下にある緑色の線がY軸の方向です。回転のマニピュレーターの緑色の線は、Y軸に沿って回転することを示しています。回転を始めると、中心に緑色の線も出ますね。
さあ、本日の制作はうまく出来ましたか?
これで椅子の基本形は完成です。
今回使用した「Array(=配列)」は、とても便利で使い勝手が良くて、かなり頻繁に使用するモディファイヤです。単に配置するだけでなくいろいろなことが出来るのですが、今回はここまでとします。せっかくの便利な機能も、あまり深入りすると却って覚えづらくなってしまいますので。
次回は、もう1種類モディファイヤを使ってみますが、それと同時に3DCGのとっても大事な基礎知識をもう一つ学びます。
【本日の学び】 ・〈モディファイヤ〉って何? ・「Array(=配列)」モディファイヤの基本
【次回の学び】 ・「べベル(=面取り)」モディファイヤを使う ・面取りは何のため?
それでは、ぜひ次回もお越しくださいね!
Happy Blending!!