接写撮影が好きだ。
愛用のiPodtouchに千円くらいで買った接写レンズを装着して、撮影するのが好きだ。
ピントの合う範囲がごく狭いから、まるで一眼レフで撮ったみたいに背景がきれいにぼけるのが好きだ。
でも、あまりにピントが合わないので、接写撮影する時は一気に何枚も何枚も撮ったりする。特に、風の強いこんな日に撮った写真は、どれだけ撮ってもほとんど全部がぼけていたりする。
これは、庭のヒメエニシダの花。
こぼれ種で勝手に生えてきた子供の木のうちの一本。他は枯れてしまったけど、こいつは結構大きくなって、今年は花をいっぱいつけてくれた。
でも、変な場所に生えてきてしまったので、花が終わったら小さく剪定しなければならぬ。
でも何しろ、生命の勢いというのか、これでもかというくらいたくさんの花をつけている今のこの木が、好きだ。
iPodtouchには覗き見防止スクリーンが貼ってある。
だから、斜めから見ると画面は何も見えないし、そもそも屋外の明るさにディスプレイの光が負けてしまうので、もう何が画面に映っているのかすらほとんど分からないまま撮影しているのだ。
──接写で撮影する時は、不自然な角度でカメラを構えないと撮りたいものを撮れないからね。
そうやってたくさん撮っていると、ときにこんなきれいな写真があったりする。
狙っても撮れない、抽象画のような一枚。
なぜか、かなりしっかりトリミングを考えて構えたようなバランスで、画面が構成されていたりする。
偶然のアブストラクト芸術に、乾杯!