村一番の広橋作品ファンを自認する僕にとって、《横書きだから》、《縦書きになるのを待っているから》という理由で、いつまでも読まないでいるわけにはいかないのだ。
もう、広橋作品ロスも我慢の限界なのだ。
そもそも、最初に手に取った『アルフェラッツに溶ける夢』だって、横書きだった。もちろん、広橋作品を縦書きで読みたいという想いは強いのだけれど、「読み始めるとすぐに横書きだってことも気にならなくなる」とどこかで書いたのも、僕自身だ。
と、いうことで、2作品を続けて読んだ。
まずは、『恋の、そのあとで』
短い感想。
思い出さずにいられない。
あの頃、あの人、あの恋。
ずっと昔に通り過ぎてしまった様々な出来事を、思い出しては悲しくなり、愛おしくなる。あの場所にいた自分たちの季節も、誰か後から来た人が美しいと感じる一瞬があるのかもしれない。
そんなことを、感じさせてくれた、美しい小品。
お次は、『ローカルラジオを聴きながら』
4作品で構成された連作短編集。ああ、もうなんとも言えず好き。
読み終わった後に、目を閉じて、じっと余韻を楽しみたい小説。ちょっと時間があって、次の本に手を伸ばそうと思ったんだけど、この余韻が消えてしまうのがもったいなくて、Kindleをスリープさせた。
僕には書けないタイプの、ピュアで切なくて、甘酸っぱいんだけど、恥ずかしくはなくて、詩的で柔らかくて、温かくて。
この本も、僕の宝物だな。
プロコルハルムの青い影が効果的に使われていて、しばらくは忘れられないだろうな、って思う。
どちらも絶賛オススメですよ!
ああ、もっと読みたい……