盛大ネタバレ注意。でも、ネタバレの上で読んだ方が安心して読み進められるかもしれません……。
(今日はですます体です)
まずは、Twitter上でいただいた感想など、貼ってみましょう。最近のもの、と思ったのですが、この1ヶ月で感想をくださったのはお二人だけでした。ので、ここ半年くらいに期間を広げてみますね。
では、古い方から並べますよ。
まずは、『キミコロ』の藤崎ほつまさんから!
(今さら済みませ〜んw)
@Hozma_Fujisaki 原稿用紙換算1,300枚以上という本格ファンタジー長編。既成の世界観を使いまわしているラノベ風ファンタジーではなく、架空の古代文明を舞台にして世界観から作りこんでいる本格派です。『指輪物語』や『ゲド戦記』のような雰囲気が好きなら大丈夫。
— 藤崎ほつま@キミコロ無料配信中! (@Hozma_Fujisaki) 2015, 5月 2
(この頃までは自分も記憶違いをしていたのだけど、正確には(?)1,232枚というボリューム)
@Hozma_Fujisaki ただファンタジックな設定は登場しますが、オリジナルのクリーチャーや魔法など派手な要素は控えめなので、どうしても地味な印象になってしまうかもしれません。基本的にはゆったりと話が進むし、イマドキのガチファンタジーを求めると物足りなく感じてしまうかも。
— 藤崎ほつま@キミコロ無料配信中! (@Hozma_Fujisaki) 2015, 5月 2
@Hozma_Fujisaki うん、ファンタジーというよりはホメロスとか『アエネーイス』のような王国興亡史的に読んだ方がショックを受けずに済むかも。読者の感情移入を裏切るように作中の「計画」はほとんどが失敗するし、さくさく人が死ぬw 特に後半は先が読めないリアリティがあります。
— 藤崎ほつま@キミコロ無料配信中! (@Hozma_Fujisaki) 2015, 5月 2
@Hozma_Fujisaki 冒険譚として読んでも充分に面白いのですが、読み終わるとむしろ「怖い」話です。結構、絶望的。でも「そんなもんでしょ」とシニカルさを気取っているわけではなく、淡々と児童文学っぽく平易な文章で物語っているところに凄味があります。「偏り」がないだけに怖い。
— 藤崎ほつま@キミコロ無料配信中! (@Hozma_Fujisaki) 2015, 5月 2
@Hozma_Fujisaki 若干繰り返しの説明が多かったり、擬似翻訳文学としてもっとそれっぽい文体にして欲しかったり、大長編の読み切った読後感としては個人的に疑問がありますがw 全体的に見てかなりレベルの高い読み物になっていると思います。これだけ作り込むのは大変だったろうな。
— 藤崎ほつま@キミコロ無料配信中! (@Hozma_Fujisaki) 2015, 5月 2
(繰り返しの説明を多めにしたのは、長い時間をかけて読む人が忘れてしまわないようにという考えでした。藤崎さんは一日で読了なさったので、より、重複感があったのでしょうね!)
@Hozma_Fujisaki 色々と、セルフパブリッシングだからこその作品という感じもして、考えさせられました。この内容や1,300枚という物量では、普通に商業出版では世に出せないのではないかな。こういう形で発表されて、物語を楽しませてもらえるのは、やはり凄いことなのだなぁ。
— 藤崎ほつま@キミコロ無料配信中! (@Hozma_Fujisaki) 2015, 5月 2
藤崎さん、ありがとうございます!
お次は『青き国の物語』の平沢沙里さん。
淡波亮作さんの「孤独の王」を読んでいると、アシグロとかハシリドリとか鳥さん系の美味しいおにくがたくさん出てくるので、鳥さん系おにく大好きな私としては「私もそのおにくが食べたい食べてみたーい!」となります(笑)凄い美味なおにくらしいです。
— 平沢沙里 (@sari_hirasawa) 2015, 6月 14
そして、平沢さんが読み終わる前に『ターンワールド』の牛野小雪さんがブログに感想記事を書いてくださいましたね! (こちらは完全に結末まで触れてますので、、)
よし、今がチャンスだ。アワナミアワーを開始する!| 牛野小雪の愚者空間 : 【小雪の読書メモ NO.2】『淡波亮作/孤独の王』~闇が深くてびっくりした~ http://t.co/4MZZGwkCiR
— 夏目流 牛野小雪 (@cowfieldtinysno) 2015, 7月 19
平沢さんが読み終わってくださり、ブログに感想記事をば。
『その結末に、びっくりです……!―「孤独の王/淡波亮作」』High-Clear Voice|http://t.co/ceuwZG7wU9
— 平沢沙里 (@sari_hirasawa) 2015, 8月 10
次はインディーズ作家ではない方から、最近です。
淡波亮作さんの「孤独の王」(Kindle版)を読了。すごく面白いと読み続けていたが、終盤に強引な展開と、?なエンディング。 【おすすめ度★★★】
— 川尻早人 (@breeeeze_bear) 2015, 11月 4
星三つ、ってどうなのかな? と最初は思いましたが、この方の感想をいろいろ読ませていただくと、結構辛口が多く、三つだったら褒めてくださってるんだなぁ、と勝手に解釈したのでした。
普段関わりのある方以外からの感想がとても嬉しく、ちょこっとやり取りさせていただきました。ありがとうございます。
@breeeeze_bear お読みくださって、まことにありがとうございます! 終盤の展開とエンディングはほぼ始めから決まっていたことなので、そう感じさせてしまったということは、技術が足りないのだなあと思います。精進します。今後とも宜しくお願いしますね!
— 淡波亮作 (@RyoAwa) 2015, 11月 4
@RyoAwa し、失礼しました。読み進めている間ハッピーエンドを期待してたものですから。ありきたりのエンディングもつまらないですからね。 作者さんからのリプ感激です。(^o^)
— 川尻早人 (@breeeeze_bear) 2015, 11月 4
@breeeeze_bear 参考になるご意見、ありがとうございます。古代王国の滅ぶ悲劇として書いた物語なのですが、売るときのイメージにファンタジーや冒険を前面に押し出しすぎたのではないかと反省しています。今後は最初から悲劇であると書き添えるべきだなと。
— 淡波亮作 (@RyoAwa) 2015, 11月 4
(そうです。本日の記事は、この方からいただいた感想が一つの切っ掛けだったのです!)
では次、行きましょう。 『要約 武士道』など、古典の現代語訳を手がけてらっしゃる水上基地さんです。 ブログに書いてくださいました。
はてなブログに投稿しました #はてなブログ 孤独の王 第三部(淡波亮作)を読んで – 水上基地の日記 https://t.co/LeKdksKKbL pic.twitter.com/n5hU5MleS5
— 水上基地 (@minakamikichi) 2015, 11月 10
僕自身が書いたこんな解説記事も思い出しましたよ。
『淡波ログ:パラドックスの面白さ(?)』
さて、もうほとんどの方はお腹いっぱいかと思いますが、ここからが本題ですよ!
これは、本編を読み終わった方用に《あとがき》として書くようなことなのですが、これを知って読むと理解が深まるかもしれないなと思いつつ、冒険してみることにします。
でも、ネタバレが嫌な未読の方は、読まない方がいいかもしれないません。
騙される悦びというのも読書の楽しみの中で大きなものですから……。
『孤独の王』は、普遍的な歴史を扱った話です。
謎の美女と少年、賢いおじいさんというお膳立てに、穏やかで優しげな雰囲気で幕をあけるけれど、夢いっぱいのファンタジーでは決してない。
全然、ないのです。
(ベルセルクよりダークだと言われて苦笑い)
どんなに繁栄を極めても、崩壊しない文明は決してありません。歴史上、亡ばなかった文明は存在しないですよね。今、存続している文明だって、単にまだその時期が訪れていないからに過ぎないのでしょう。
当初から、本の内容紹介ではこううたっています。
《滅亡した古代王国》
《その最後の数十年を辿る物語》と。
《悲劇》というキーワードを書き加えたのは最近ですが、どうもハッピーエンディングを期待して読まれてしまう傾向もあるようなので、変な形で読者さんを裏切りたくはないな、と思っての処置なのです。
《滅亡》という言葉を忘れてしまった読者さんのために、ね。
もちろん、意図的にギャップを拡大させるためのミスリードをしてるわけでもあるのですが。
そしてこれは、現代の日本を扱った話でもあります。
悪政を敷く王は自民政権、《羽ばたける自由の民》は野党、ジュノレア姫は自民造反組だと、簡単に読み替えられるようにできています。
表向き主人公のセニーロくんは、希望に胸を膨らませて立候補した若き政治家。きっかけはどうあれ、現実と向き合い、やがて何かに染まってゆきます。政権を奪取したまではいいけれど、血で血を洗う政争の果てに、というよりは己の愚かさのせいで、追い落とされる運命にあるわけです。
鎖国を敷く内向きなティオル王国は、多神教というかアニミズム信仰を持ち、一神教世界の侵略によって滅びます。これを日本に当てはめると……そこは想像にお任せしますけれど。
このまま行くと日本は……ってね。
そう考えるとごくごく簡単でスタンダードな構造なのですよね。
さて、かなり反則技なこの解説をどう読んでいただくかは、あなた次第。
未読の方、お待ちしてますよ〜!