孤独の王の分冊版を出版

兼ねてからツイッターでは折りに触れアナウンスしてきましたが、原稿用紙にして千三百枚超の大長編古代史ファンタジー『孤独の王』を分冊化しました。(合冊版としてオリジナルもそのまま残します)
僕の本の中で一番買われているものなので、長いから読まれないということでは決してないとは思うのですが、いかんせん絶対数は少なすぎで……。
やはり、まずは人目に触れないことには手に取って貰えません。それで考えたのが、分冊化。本日、Amazonと楽天の両ストアに同時提出しました。
三部構成とし、楽天では第一部を無料に設定しています。
メリットは下記の三つくらいかな、と思います。

・長くないので、読むのに時間は掛からないかな、と思って頂ける
→手に取ってもらいやすくなる

・一冊あたりを比較的安価に設定でき、購入しやすくなる

・部分的に無料化できる。キャンペーンでなく永続無料化です。
もちろん、Amazonで無料設定は出来ませんので、出版と同時にプライスマッチの申請を行なう予定です。

なお、第二部、第三部は、ともに250円の設定としました。通常、250円にするのはKDPセレクトに登録することで70%の印税を確保するためだと思います。今回の場合は楽天でも同時刊行しますので、KDPセレクトには登録出来ません。過去既にこの本を買ってくださった方は450円を払ってくださっているので、分冊版の合計額を500円とし、先に作品を認めてくださった方が損した思いをせずに済むように、との考えもあります。
もちろん、作品にそれだけの価値があると信じての価格設定ではありますが。

さて、気になる表紙を公開しますね!

最近、僕の作品の定番になりつつある帯付きで登場です。
3DCGは便利ですね。いずれも今回の表紙のために起こし直した絵ですが、全て予告編からのシーン流用です。縦長の表紙のために、またそれぞれの雰囲気を高めるために色々と手を入れてはいますが、先日完結した短編集の表紙に比べれば遥かに少ない手間で出来ました。

せっかくですから、元となった予告編の画像と並べてみましょうか。

cover_分冊版_第一部s

今回の表紙よりかなり暗いですね。
映像版:今回の表紙よりかなり暗いですね。薄暗い中で腕環の石がきらりと光る様子を見せていたのです。

 

cover_分冊版_第二部s

第二部の表紙画像は、予告編では別々のアングルから分けて見せていたシーンを一つに合わせています。セニーロ少年の背後から、グロウノル王の天幕を望み見る形にしたのです。わくわくしますね!

こちらは表紙より明るくてよく見えますね。表紙ではあまりストーリーがはっきり分からないよう、ちょっと曖昧にしたのです。
映像版:こちらは表紙より明るくてよく見えますね。表紙ではあまりストーリーがはっきり分からないよう、木々で隠すことによってちょっと曖昧にしたのです。
こちらは逆にかなり暗いです。これでは何だかよく分からないので、表紙では明るく光を当てています。
映像版:こちらは逆にかなり暗いです。これでは動いていないと何だかよく分からないので、表紙では明るく光を当てています。

cover_分冊版_第三部s

映像版:第三部の表紙ではサブタイトルと合わせ、赤いイメージにしています。夕方の光が溢れる表紙は、予告編とは随分イメージが異なりますね。さあ、これから何が起こるのでしょう!?

 

Amazonでの第一部の価格設定は、当初99円になります。ボリュームに対してはかなり安い感じもしますが、すぐにプライスマッチで無料化する予定ですので、くれぐれもしばらくはポチらないでくださいね。
(いや、敢えて払いたいんだ。という奇特な方を止める気はありませんが……)

では、少しでも多くの方にこの物語が届きますように!

表紙とタイトル:僕なりの考え

今回の記事ははちょっと変わった内容です。自分のことでなく、他の作家の方について、どうしても書かずにいられなかったので、ちょっとだけお付き合いください。生意気かもしれませんが、何とかして力になりたい! と強く思ってしまったのです。

発端は電書ちゃんのTwitterとブログ。

【みんなの悩み相談室】KDPで小説が売れない! 無料キャンペーンも惨敗で悩んでます

というものです。

作家の水瀬はるきさんが自作の無料キャンペーンを行なったところ、惨敗だった。これはどうしてなの? というお悩みです。そうです、このブログを読んでくださっている方は、思い当たる節がありますね。はい、前々作の短編『五感の嘘』の無料キャンペーンにおいて、僕も同じ経験をしたのです。ただし僕の場合はキャンペーン期間を最大の五日間に設定したため、途中で方向転換して危機を脱したというなんともスリリングな経験をしました。(くわしくはこちらをご参照。水瀬さんには是非とも読んで頂きたいな…→続編もあります

水瀬さんの今回の作品『ダブル・フーダニット』については、僕も認識はしていました。きれいな表紙だったし、ぱっと見で意味の取れないタイトルが気になって、帯をじっと読んで納得した記憶があります。でも、僕自身はあまりミステリーを読まないので、ダウンロードはしていませんでした。キャンペーン惨敗の遠因が、まずここにあるのではないかというのが、僕の考えです。

1.タイトル

推理小説を好きな方には既知の表現なのですね。ただ、推理小説は、誰が誰を(どうやって)殺したか、というのが重要なテーマですよね、それが読者にとってなのか、特定の登場人物にとってなのかは別として。ですから、《ダブル・フーダニット》という言葉は、ほぼ《推理小説(の1ジャンル)》と同義に思えます。
だからこのタイトルは、僕には《これは推理小説が二編入った本です》と言っているようにしか思えなかったのです。それを狙っているのかもしれませんが、表紙と帯の中に、同じ意味の言葉が四回も使われています。狭い面積で、これはもったいない。
読者を読む気にさせるには、ダウンロードしたくさせるには、端的に、どんなことが書かれているのかを「感じさせる、イメージさせる」タイトルが必須だと思います。有名作家でない限り。
推理小説好きな人にとっては、「そりゃ、推理小説なんだから、そうでしょ。で、どんな推理小説なの?」の「どんな」が欠如していると思わざるを得ないのではないでしょうか。例えば僕がSFを書く時、『トリプル・サイエンス・フィクション』というタイトルには決してしないのと同じで…。
また、推理小説を読まない人にとっては、何だか分からないカタカナのタイトル。帯を見ても、分かるのは推理小説だというだけ。大半の人はそこでリジェクトです。残念ながら、商品説明まで読みに来てはくれません。
僕自身は、「推理小説だから」というだけで読まないことはありませんが、具体的な内容が全く想像出来ない小説は、やはり手に取れません。(ダン・ブラウンは大好きです。推理小説というのか分かりませんが)
そういった意味で、『ダブル・フーダニット』いうのは残念なタイトルではないかと思うのです。
中の小説自体はイメージを想起させるしっかりとしたタイトルを持っているので、例えばそちらをメインにして《一つの表紙に二つのタイトル入り》としたほうが良かったのではないでしょうか。

2.絵柄

きれいです。が、こういった抽象画を用いた表紙には、小説の表紙としての主張がありません。内容のイメージがありません。表紙の絵柄は、タイトルと相乗効果で読者の期待を高めるために存在している。と僕は思います。ここで、「読みたい!」と読者の心臓をわしづかみにできるようなイメージ性が、特に推理小説には必要なのではないかと思うのです。これも、有名作家の場合には当てはまらないこともありますが。
電書ちゃんご指摘の「色」も要素としてはあると思いますが、完全に抽象的な絵柄は、いったん目に留まってもそのまま流されてしまう危険性が高いと思います。《壁の花》のようなものです。
それが芸術作品のレベルであれば別ですが、表紙は表紙、本来の作品は中身の小説ですから、そこまで求めるのは逆に意味がありませんし。

3.デザイン

タイポグラフィーの選択は本当に難しいものです。デザイン性と可読性、それにAmazonのページでサムネールサイズでも目立つこと。全てを両立させるには、本当はロゴデザインを0から起こさなければならないと思います。もちろん、そんなことができるセルフ作家さんはほとんどいないので、既存のものでどうにかしなければならないのですが。
タイトルを同じくらいの文字数で改行し、スクエアな組み方をしていますが、これ、実はすごく難しいんですよね。上下の行の幅をそろえるということは、逆に言うと文字毎のカーニング(文字間相互の詰め)を無視するということになります。よほど気を使ってデザインしないと、読みづらく、バランスの悪いものになります。この例では、残念ながらスクエア組みに成功しているとは言えません。このままのタイトルでいくなら、カーニングを美しく整理した上で、行間をもう少しあけ、行の左右配置もバランスを見ながら左・右・センターのどちらにそろえるべきかを検討すると良いと思います。(これは本当に僕の私見で、書店売りされている本でもあまり気を使わずにデザインされているものもあるので。お気を悪くされたらご免なさい。)

4.総論

きれいで、良くできた表紙なんです。きっと、中身のクオリティも高いだろうと思わせるものがあります。でも、それは僕が同じセルフ作家だから感じること。
残念ながら、この表紙には喚起させるイメージがない。
読みたい!と思わせる強引さがないと、何も予備知識のない、通りすがりの一見さんにダウンロードしてもらうのは難しいものです。何しろ、本は無料でも、本を読むには数十分から一時間はかかるのです。それだけの時間を投資しても《元が取れる時間の過ごし方を与えてくれる小説》。読者はそれを期待しているのですから。

応援のつもりで書きました。もし、上から目線的なものを感じ取ってしまわれたら、本当にご免なさい。僕は兼ねてから、KDPにアップされている小説群の表紙を少しでもクオリティアップさせて上げられたらな……と思い、時々このブログにもそんな記事を書いてきました。いずれは一冊の本にまとめようかな、とも思っているのですが、まずは眼の前でお困りのあなたのために、少しでも役に立てたらと。
出しゃばりで済みません……。

もし、少しでもお役に立てたら幸いです!

帯の効果は?

さて、作品に帯を付け始めて一週間。その効果は?
ということで、これまでの経緯を簡単に書きましょう。

スクリーンショット 2015-04-18 18.25.42

スクリーンショット 2015-04-18 18.33.59
これがキミコロ! 現在読書中です

まずはこれ。キミコロの藤崎ほつまさんのブログに表紙デザインのことが色々書かれているのを拝読。タイトルは『電子書籍は表紙が九割』。とてもためになりました。この時点では自分の作品に帯を付けることにはまだ慎重。『壁色のパステル』を最初に刊行するときは帯っぽいデザインも考えましたが、それってまずいんじゃない? という気がしてやっていませんでした。
で、今回のキミコロに入った素敵な帯の発見。

ちょうどその後で無料キャンペーンを開始した『希望の船』、表紙画像はこちら。悪くはないんですが、やはりちょっと地味な感じはします。特に、SFに興味のない人にはあまり響かないかな?

出だし好調だった無料キャンペーンですが……
出だし好調だった無料キャンペーンですが……

キミコロに触発され、この事態も予測して一念発起、帯デザインを行い、速効でAmazonさんに提出しました。(おぉ、なかなかの行動力!)
さらに、AmazonのKDPのヘッドである小菅さん(@yoshikosuge)インタビューでこんなことを仰っていたのを発見!

オフィシャルで推奨されていた!
オフィシャルで推奨されていた!

そして出来上がったのが、この帯付き表紙です。

牛野小雪氏に推薦文を寄せていただいたのです!

どうです?
ずっと目を引きますよね!
引き続き、こちらの本にも帯を追加。
スクリーンショット 2015-04-18 18.45.36

さらに、

だじゃれはご愛嬌
だじゃれはご愛嬌

『希望の船』は、この『ケプラーズ5213』の前日譚。巻末にはたっぷり試し読みを載せていますから、ケプラーズの販売ページに来てくださる可能性もある。よし、こっちもやっちゃおう。というわけです。これが表紙。

文字はちゃんと3DCGで作ったんですよ!
文字はちゃんと3DCGで作ったんですよ!

こちらは、新潟文楽工房ヤマダさんがブログで書いてくださったレビューを転載させて頂きました。ヤマダさん、素晴らしいレビューをありがとうございます!
あんなにお褒め頂いて、とろけました。

さて、帯追加後の効果は?

最近四冊の無料キャンペーン
最近四冊の無料キャンペーン

左から、『サタンと呼ばれた男』『五感の嘘』『希望の船』です。右端は、始まったばかりの『未来からの伝言』ですね。
サタン〜は、僕の短編としては標準的なレベルのDL数で、期間内に161冊。これを基準とすると、どうです? 効果、ありますよね。希望〜は348冊だったので、実に倍以上です!
実は、五感の嘘についてはキャンペーン途中で表紙とタイトルを入れ替えるという大実験(この件についてはこちらをご参照)を行い、そこで結構な効果が出ています。帯を追加することで、更なる効果が認められたということになりますか……。

いやあ、この間、何人もの方に応援、激励をいただきました。拡散もしていただき、その効果も大きかったのではないかと思います!
この場を借りまして、改めてお礼をさせていただきます。本当にありがとうございました!

そして、気になるのは昨晩から始まった『奇想短編集そののちの世界』、最後の連続無料キャンペーン『未来からの伝言』のDL数です。そうなんです。帯だけじゃあなあ、という感じが既にしています。(いや、もちろん内容には自信がありますし、表紙、タイトルも悪くないですよね!?)

推薦文はありませんが…
推薦文はありませんが…

ここにはもしかすると、二つのネガティブ・ファクターがあるかもしれません。

1.「完結編」、「最終巻」と書いていること。
→これによって、今までこのシリーズを読んだことのない人が躊躇するかも。
2.「賛否両論」と入れたこと。
→この『否』という言葉のネガティブ・イメージによって、クリックを止めてしまうかも。「あ、駄目だと言ってる人もいるのね。」という判断が下ってしまう可能性ですね。

タイトルはどうでしょう?
Amazonさんの販売ページで、なぜか《評論・文学研究》に分類されています。説教臭い感じ、自己啓発本的なイメージがしてしまうでしょうか??
普通のSFなんですよ、しかも結構エンターテイメント性の高い!

来週の前半まで、まだまだ無料キャンペーンは続きます。
一人でも多くの読者さんに届くといいのですが……。

さて、この記事が、いつか誰かの役に立ちますように!

僕の電子書籍元年(読書サイド)

現在の表紙。当時はもっとシンプルだった気がする。月はあったと思う。

 

僕にとっての電子書籍デビューは、巨匠スティーブン・キングの短編『Riding the Bullet』です。
改めて調べてみると2000年の出版になっています。15年も前ですね。
もう覚えている人はほとんどいないかと思いますが、この本は商業作家が書いた初めての電子版専用の小説として有名なものです。当時日本の新聞でも報道されましたし、「これで紙の本がなくなる!」 とか、「ネットで配布されたら作家はどうやって食っていけばいいんだ!」 などと、騒がれました。

無料で、まだ今ほどの勢いがなかったAmazon.comに登録すれば、誰でもダウンロード出来るようになっていました。

Wikiで調べると価格が$2.50となっています。うーん、僕は無料だった記憶があるなあ。そもそもクレジットカードを登録していないはずだし。恐らく、最初の24時間とか何とかだけ無料だったような気がします。ダウンロード出来るようになるのを待って、パパッと落とした記憶もあるので……。

もう一回調査。
SoftLock and Simon & Schusterでは$2.50、Amazon と Barnes & Nobleでは無料。となってました。
で、最初の24時間に40万ダウンロードですってさ!
そのうちの一つが僕でした。
(現在無料キャンペーン中の自作短編『希望の船』は、最初の22時間で120ダウンロード強、うーん、世界の大巨匠とはいえ、天と地以上の差だ……)
注)キャンペーンは4/14(火)の17:00頃まで!

その頃は、「自作がスキャンされてネットにアップされる前に、自分で公式の電子版を出してしまえ」、的な雰囲気も感じました。でもきっと、ちゃんと電子書籍の未来を見据えた戦略だったのではないかとも思います。
たしか、当時既にボイジャーのT-Timeなどのリーダーはありましたが、このキングの短編小説はリフローにもなっていなかったと思います。中身はただのPDF(DRMつき)だったのではないでしょうか。

そう、このRiding the bulletのWikiには、当時のDRM技術についてのこんな記述もあります。
『電子書籍の暗号化のせいで、無数のコンピューターをクラッシュさせた』と。
今のDRM技術も、読書体験を損なう恐れがあるから、あまり使うべきではないという指摘もありますよね。勝手にじゃんじゃんコピーされてしまうのは嫌だし、でも買ってくれた方に不便をかけてはいけないし。そこはどう付き合っていくか、難しい部分です。

(最近の僕の本はDRMフリーにしています。もし勝手にコピーされたとしても、それは無料キャンペーンで読んでくれたのと同じこと、と思えばいいのだし。もちろん、Amazonにおけるキャンペーンのような副次効果はありませんが!)

Riding the bulletの内容はというと、まあいつものキング節でしたが、実を言うとあまり覚えていません。ぞぞっとしたのは覚えているけど、それほど怖くはなかったんじゃないかな。会社のパソコンで昼休みに一度読んだきりで、それほど思い入れが残るようなものではありませんでした。もちろん、当時の英語力で理解がついていかなかったという点を差し引かねばなりませんが。
でも、その後映画になっていたのですね。知りませんでした。
いつかチェックしようかな……。

映画『Riding the bullet』、評価はあまり高くないようです。

 

これが、そんな僕の電子書籍元年でした。
それにしても、今こうやって自分が電子書籍を出版するようになるとは夢にも思いませんでしたけど、ね!

あ、誰の役にも立たない記事を書いてしまったな。

タイトルと表紙を同時変更の件、続編。

このブログやTwitterでみっともない姿を晒してしまいましたが、短編集第八話の『五感の嘘(旧題:センス・オブ・デリカシー)』について、無料キャンペーンの顛末を書き残しておきたいと思います。

4/3(金)17:00、
無料キャンペーン開始。
夜半、あまりにDLが少ないことに気付く。表紙を差し替えようと決意。CGのシーン編集を開始。DL計12冊。

4/4(土)朝、
やはりDLが増えていない。買い物に行っている間に新しい表紙用CGをレンダリング。午後、コンポジットとレタッチを行い、表紙デザインを差し替え。
眠い。ePubを編集し、データを変換。Amazonに提出。

14:50、新表紙Ver.01が出版される。(Amazon上の表示がすぐ差し替わらず、正確な時間は不明)
ここまでDL数、20冊強。

17:08、表紙の差し替わりを確認。

20:52、タイトルを『五感の嘘』に変更し、再度Amazonに提出。DL増加。4/4の計、39冊

4/5(日)朝、
新表紙Ver.02が出版されているのを確認。
やはり表紙のデザインが気に入らず、再度色調を変更して差し替え、Amazonに提出。

17:02、新表紙Ver.03、最終版の出版を確認。4/4の計、88冊。

4/6(月)
35冊

4/7(火)
35冊、キャンペーン終盤、平日だが、いつものようにはDL数が落ちない。

4/8(水)
10冊、さすがに最終日はガクッと落ちる……。

五日間の合計で219冊。短編集では一番のDL数となりました。元が99円と安いだけに、あまり無料キャンペーンの効果は大きくないと思っていましたが、これだけ出れば少しは露出が上がるかなあとほのかに期待。
ブログとTwitterで変に騒いでしまった効果が出たのかもしれませんが、タイトルと表紙デザインを人目につ引やすいものに変更した効果も、決して低くはないと思います。最初の24時間は20冊ちょいしか行かなかったのですから。現実の世界に「もしも」はありませんし、実際に何も替えなかった場合と比較することはできないのですが。。

タイトル、表紙デザイン。とても大事です。それを再確認した一週間でした。

そして今週末からの五日間は、『そののちの世界』最後のKDP、KWL同時無料キャンペーンを行います。
対象作品は:
KDP『希望の船』、KWL『プロテイン・パック』です。
どちらも力を入れた作品です。とくに『希望の船』は、最大の自信作『ケプラーズ5213』の前日譚となっています。なぜ、どうやって超巨大宇宙船が建造され、遥か彼方へと旅立っていったのか、がスリリングに描かれます。
短編としては61ページ(巻末付録込み)と長めですが、ぐいぐい読める内容で、とってもお勧めです!
(SFの苦手な妻が、僕の予想の半分以下の時間で読み終わっていました。構成はちょっと複雑で、登場人物も多いのですが、読みやすい物語に仕上がったと思います)

『希望の船』を読んだ後は、短編集完結編の『未来からの伝言』に進むか、『ケプラーズ5213』に進むか、二通りの楽しみ方がありますよ。
ちなみに、巻末付録は『ケプラーズ5213』の冒頭から三章分。読み始めたら止められないこと請け合いです!

いっぽうKWLでキャンペーン展開の『プロテイン・パック』は、ほししんいちさん的な世界観から始まり、世界が軋みを立てていく様子が刻々と描かれます。
湿っぽさのない、カラッとした懐かしい未来が、あなたに読んでいただけるのを待っています。

 

どちらもお勧め。是非二冊とも読んでみてくださいね!
どちらもお勧め。是非二冊とも読んでみてくださいね!

 

では、金曜日をお楽しみに!!

最後に、ここでお気付きの方もいるかもしれません。同時キャンペーンなのに、KWLの話が出ていませんね。実はKWLではここのところ一切表示が更新されていないのです。前回の無料キャンペーン時にはDLしてくださった方が最低一人はいることを確認できたので、何がしかDLされていることは確か。ですが、今回のキャンペーンでも、ダウンロード数は一冊もカウントされていません。
恐らく、なのですが、KWLでは無料キャンペーンのDL統計は記録されないのではないでしょうか。ダッシュボードには「販売数」と「ダウンロード数(無料作品)」しか表示欄がないので、元が有料の作品については表示する欄がない。ということなのかもしれません……。

さて、この記事がいつか誰かの役に立ちますように!

タイトルと表紙を同時変更、の件

新旧表紙を並べてみました
新旧表紙を並べてみました

ご覧の通り、現在無料キャンペーン開催中の短編作品の表紙とタイトルを変更しました。右が旧版、左が新版ですね。どうしてこうなったかというと、キャンペーン開始時のダウンロード数がちっとも増えなかったためなのです。
これまでに行なったキャンペーンの中でも最低レベルだったため、冷静に、原因を分析してみたというわけです。
で、結論として辿り着いたのが、この二つ。

・小さく表示した時によく分からない地味めな表紙
・あまりなじみのない片仮名のタイトル

もちろん、旧版にした時もそれなりに合理的な理由がありました。

【表紙絵】
・高度に工業化され、高密度に集積された野菜生産工場のイメージ

これを表現するためには《何フロアにもわたって続く野菜工場を引きの絵》で、《象徴的なシンメトリ構図》で、という判断もまた間違ってはいなかったと思うのですが、ぱっと見て何だか分からない、という危険性の方が大きかったのですね。で、新しい表紙、《なんか、ロボットアームが植物を育ててるみたいだぞ》と一目で感じられるものに変更しました。ロボットの色も農業機械にありがちな赤にして少々目立たせています。物語中にはロボットは出て来ないのですが……。

【タイトル】
・物語冒頭に出てくる自称グルメなダメ男と本当に繊細な舌を持つ主人公の対比で、《(美)食の感覚》のような意味合いのタイトルを付けていました。

こちらは本当に作者の勝手な思い入れに過ぎず、多くの人が何のイメージも喚起できないタイトルだったと思います。しかも、物語は《食》に留まらず全ての五感へと広がっていきます。その五感がいままで信じていたものと違っていたら? という裏テーマを感じさせるもの、何かありそうだと感じさせるタイトルにしよう、ということで、『五感の嘘』に辿り着きました。

旧版についてもそれなりに検討した結果、最も良いと思われるものにしていたわけなのですが、それはそれ、これはこれ。《作者の思い》と読者にとって《喚起されるイメージの強さ》は別物、ということです。クライアントがいるCGの仕事だったらそこまで考えてビジュアルを判断するところですが、ここは個人の思い入れが先行してしまったため、そこに思い至らなかったのでした。作品を世に出す時は読者というクライアントを思い浮かべていなきゃな、と反省です。

ここで両方とも変更することで、その効果も分かるというもの。

キャンペーン開始から一日半と少し経過した現時点で、100DLを少々超えたところです。タイトルと表紙を変更した効果なのかどうか、はっきりとは分かりませんが、概ねいつもの水準に戻りつつあります。

表紙、タイトル、とても大事ですよね、というお話でした。

さて、この記事が、いつか誰かの役に立ちますように!

アメリカから謎の郵便…!?

昨朝、アメリカから郵便が三通届きました。

Important Tax Return Document Enclosed
つまり、
「税金還付の重要な書類を同封」ということになります。

あ、印税のお知らせだ。と思い、中身を見るとそのとおり。これは、昨年一年間で米国から得た収入に関するお知らせです。KDPによる出版を個人で行っていて、昨年Amazonさんからの売り上げがあり、税金に関する控除の申告手続きを行った人には送られて来るものかと思います。(黙っていると勝手に所得税が引かれてしまうので、TINコードを取得してなんちゃらって、やつですね)

中身は…
中身は……中央辺りにあるのが収入額。あ、「これぽっち」って言わないで!

恐らくは四半期ごとの書面になっていると思われますが、書類上には日付の記載が全くないようで、これがいつのものなのかははっきりしません。収入に関しては自分で管理しているはずだから、ということなのでしょう。
(→どうも期間とは関係ないようです。複数のTINナンバーを取得している人に複数来ているとかって話もありますが、僕は一回しか申請していないしなあ…と、釈然としないままではあります。2015.4.5.追記)
この書類を使って、米国外に居住している人はそれぞれの国で所得の申告を行って下さいよ、という意味合いですが、まあさすが米国。説明は一切ありません。所得税の申請・控除に関する手続きは全て自分で行うのが当然、という考えですから、この書類が何なのか分かんない、というのは論外。ということでしょう。

我々自己出版作家にとっては、〈いきなりアメリカから送りつけられた謎の書類〉という感じですよね。中にはAmazonの名前が入っているし、Amazonが送ってきた、と思う人が多いのも、無理の無いこと。
実際は、〈あなたが収入を得たのはこの会社さんからですよ〉という記載になりますね。

昨晩、KDP作家さんたちの間(Twitter)で、この件が結構話題になっていました。いきなりこんなものが送られてきて、TaxとかImportantとか書いてありますし。英語の苦手な方にとっては、やっぱりビビりますよね!

たまたま僕の場合は以前ミュージシャンだったこともあり、印税計算書を見慣れていました。で、これもその類いだろうと思って内容を見たら、上述のものだと分かったわけです。仕事上、ときに英文を読み書きする必要があり(もともと英語好きというのもあって)、こういった時は内容を理解しないと気持ち悪いですし。
それで、困っている方の助けになれたら、と思いました。

昨晩は、この件がきっかけになり、新たにKDP作家の方々とお知り合いになれました。会話できてとても嬉しかったですし、またちょっとだけ、誰かのお役に立てたかも! と思うと、何だか充実感のある夜でした。
TwitterのつぶやきはどんどんTLの流れに埋もれてしまいますので、もしこの件で不安に思っている人がいたら、と思い、ブログに記録を残すことにしました。

さて、この記事が、いつか誰かの役に立ちますように!

短編最終話の表紙がまず完成

完成、と言っても今回は0から作ったわけではないので、短時間で出来上がりました。見てお分かりのように、これまでの短編作品の表紙をレイアウトしたものになっています。

短編集もいよいよ最終話!
短編集もいよいよ最終話!

どうして最終話の表紙がこれまでの表紙のコラージュになっているのか? さあ、皆さん興味が湧いてきますねえ。
そうです。実はこの最終話、『奇想短編集 そののちの世界』を構成する全ての短編作品の《完結編》になっているのです!
各短編の表紙にも、最終話のレイアウトに使っている分割線が使われていることに、気が付いていましたか? この分割線、実は表紙を九つの領域に分けるためのものだったのです。表紙のデザインも、実は伏線になっていたのですねえ……。
(って、誰も感心しないか)

最終話『未来からの伝言』には、あの作品やあの作品の《もう一つの結末》が含まれ、全ての短編がこの完結編に至る伏線であったことが示されます。(ネタバレ?)
三ヶ月以上にわたって書き連ねてきた各短編作品は、実はこの完結編を目指して構築されたもの。Amazonさんや楽天コボさんでの紹介文でも、「2015年3月25日発売予定の最終話以外は各短編にストーリー上の関連はありませんので、どの回からでもお読みいただけます。」と書いています。この意味が、とうとう明らかにされる、というわけなのです!

この最終話は第一話から第九話までのいずれかの話を読んでいれば内容を理解できるように書いてはいますが、たくさん読めば読むほど、最終話の味わいは深まると思います。
中でも、第九話の『希望の船』だけは最終話の前にお読みくださることを強くお勧めします。

ちなみにこの最終話は、当分の間無料キャンペーンを行なわないと決めています。何も予備知識がない状態でこの話だけを読むことは出来るだけ避けたいな、と思いますので。
他の短編後半分(第七〜九話)は適宜無料キャンペーンを行なうことになりますので、まずはそちらをお読みくださると嬉しいな、と思います。

では、三月二十五日の刊行をお楽しみに!

短編第九話を刊行

『奇想短編集そののちの世界』の第九話、『希望の船』を刊行しました。昨年12月15日から始まった淡波亮作刊行ラッシュもちょうど三ヶ月目、いよいよ最終作の執筆も始まっています。

さて、この『希望の船』ですが、表紙の宇宙船に見覚えのある方はいらっしゃいますか?

『希望の船』表紙
『希望の船』表紙

そうですね、これは、予告編映像などに登場している巨大なスペースコロニー型宇宙船ティオセノス号です。(この船には、十万人もの人間が乗っているんですよ!)

実はこの短編、刊行ラッシュの初回を飾った長編SF冒険物語『ケプラーズ5213』の前日譚をなすストーリーなのです。『ケプラーズ5213』の時間軸は、ティオセノス号が惑星ケプラー186fに近づきつつあるところから始まりますが、人類がなぜ地球を離れることになったかについては、あまり詳しく述べられていません。(ちなみに、小説自体の始まりは惑星に到着したところから、ですが)

この『希望の船』を含む短編シリーズ『そののちの世界』は、《科学と文明の過剰な発達がもたらすかもしれない様々な「そののちの世界」の出来事》を描いたものです。ここでは、なぜ地球が人類にとって生息が不可能になってしまうほどその環境を悪化させてしまったのか、この巨大なプロジェクトが誰の手によって計画・推進され、実現されたのか、などに焦点を当て、スリリングに描いています。ケプラーズをお読みになった方はもちろん、こちらを先に読んでからケプラーズを読むと、面白さ倍増ですよ!

さて、『希望の船』では、新たに一つの試みを盛り込んでいます。本編の後ろに『ケプラーズ5213』の冒頭部分を試し読みとして入れているのです。これは、通常アマゾンからダウンロードできるサンプル版とは異なり、第三章まで読めます。こちらのランディングページにあるお試し読み版は第二章までなので、それよりさらに長く読めるというわけです。

『ケプラーズ5213』ランディングページ

お試し分を読んでいる間に、ストーリーにどっぷり浸かってもらい、もう続きを読まないではいられなくなる、という作戦なのですが、どうなりますか……。

この手法、アメリカのペーパーバックなどではよく使われているもので、僕もこれまでスティーヴン・キングやダン・ブラウンの小説でこれにやられ、次の小説をついつい購入していました。

短編はそれぞれ99円という価格設定にしています。缶コーヒー一杯より安いお値段ですが、それ以上の満足は必ず得られると信じています!
(追記:価格改定により、長めの作品は140円になりました)

『希望の船』の冒頭部分を、こちらに載せておきましょう。少しでも興味を持っていただけると良いのですが……!


希望の船

二一八三年、アメリカ合衆国ワシントンDC。
「中国は一万人を希望しているそうですが、どう対処しますか?」
アダムズが困りはてた顔で、書類の束をテーブルに置いた。
「一万人? あいつら気は確かなのか」
ストラスバーグが書類の束をパラパラとめくり、首を横に振った。
「経済的側面からも文化的側面からも当然の権利であると、書面の結びに……」
「はん! 放っておけ。自分たちの言っていることがいかに常識外れなのか、いずれ嫌でも分かるだろう」
「でも議長、中国の要望をそうやって撥ねつけるのなら、振り返って我々自身の要求は他国の理解を得られるのでしょうか?」
「当たり前だ。誰が調査し、計画を立て、設計の中心になってきたと思ってる」
「それはもちろん我が国ですが、これは国際事業ですし、」
「構成メンバーの半数はアジア、資金の六割はアジアが負担していると言いたいんだろう?」
「え、ええ」

米国が先導し、このプロジェクトを開始してより、すでに十年という歳月が経過していた。今年はいよいよ実際の建設工事が開始されることになっている。その大いなる夢を米国は語り、今日まで世界から莫大な資金を調達してきたのだ。その中でも中国は、巨大なスポンサーの一つであった。
「いいか、ティオセノス・プロジェクトは商売ではない。各国が進んで資金を負担するのは、見返りを期待してではなく、より良い結果を出すためだ」
「はい、資金は善意によってのみ提供されなければならない。という趣意書を鵜呑みにすれば、ですが」
「趣意書はタテマエじゃない。人類にとってぎりぎりの選択が、私欲のためになされても良いだなどと考える愚か者がどこにいるんだ」
「そうですが……」
アダムズはなおも不安を隠さない。
「いいんだよアダムズ君。我々は正しいと信じることを推進するのみだ。世界の総意によって判断は行なわれ、のちに結論を下すのは、私たちの遠い子孫なのだから」
「そうですが……我々自身の要求こそ……」
過度なのではないか、という言葉をアダムズは飲み込んだ。彼の心中を察してか察せずか、ストラスバーグは書類の束に一瞥をくれると、無言で歩き去った。


気になった方、続きはこちらから是非どうぞ!

ようやく(?)Hagoromoを導入!

Hagoromo
Hagoromo

Macでの執筆環境についてずっと調査・研究(大げさ!)を続けてきましたが、とうとう、これぞ決定版! に近い選択肢を見つけました。Artman21さんが発売しているエディタ、「Hagoromo(はごろも)」です。

以前、KDP作家仲間のさんからご紹介いただいたのですが、一連の短編集はずっと同じ環境で執筆するべきだろうと思ったため、まだちゃんと調べていませんでした。

ところが、短編前々作である『段ボール箱の中の人形』の無料キャンペーンにおいて、iOSで読めない、DLできないという大失態を犯し、もう少しエラーを招かない方法はないかと再度考え始めていました。しかも、そのエラーを修正して臨んだ二回目の無料キャンペーンにおいて、またも一部のiOSで読めないという問題が発生。元になるePubはこれまでに出版したものと全く同じ構造になっているため、今回は原因も分からずじまい……。

今後も同じような事態を引き起こすわけにはいかないため、いったんHagoromoを研究してみることにしました。何しろ、今まで考えてきた日本語執筆環境に必要な下記の要素が全て盛り込まれていますから。

・縦書き
・ルビ
・傍点(圏点)
・縦中横
・ePub書き出し

広橋さんからは、圏点やルビの書き出しにエラーがあるとお聞きしていましたが、2/16のアップデート版で解決しているのかもしれません。僕が少し試した限りでは、いずれも問題はありませんでした。
<3/10追記:現在のバージョンにはまだバグがあるそうです。バグフィックス済みの新バージョンは、本日現在アップルの審査中だそうで、もうすぐ改訂版が出るようですよ!>

そこで早速、書きかけの短編第九話の途中から、執筆環境を切り替えてみました。

さて、今日はここで時間切れ。残りは次回をお楽しみに!

この記事が、いつか誰かの役に立ちますように!

淡波亮作の作り方