痛みの見せる夢
その痛みこそが、過去を見せる
その痛みこそが、未来を連れてくる
その痛みこそが、見えなかった何かを
あの
『SF雑誌オルタニア』にて2016年10月の創刊号から5回にわたって掲載された連作SF短編小説を加筆修正、新たなエピソードを(少々)加え、単著化したものです。
「痛み」と「夢」をキーワードに、めくるめくイマジネーションがたたみかけ、美しく、儚く、恐ろしく、愛おしい夢をあなたに運んでくれるでしょう。
当初それぞれの物語は独立した短編小説として書き始められ、超能力、宇宙人、人類滅亡、脳移植──と、ばらばらのテーマを持つように見えますが、愛の連鎖こそが主人公たちを突き動かし、物語を紡ぎ出すエネルギー源となっていることがわかるでしょう。
電子書籍化にあたり、改めて各エピソードが起こった時代順に並べ直すことにしました。通して読んでみると当初構想したよりもずっと各話の関連性は深く、最終的には一本の中編小説として楽しめるものとなりました。
(2018年10月12日 BCCKS、Amazon Kindle Storeをはじめ、各電子書籍ストアより発売)
構成
1 繭子 〜大いなる母となる、わたしは宇宙
繭の中に繭があり、宇宙の外に宇宙がある。
遥かなる帰巣本能が、彼らとわたしを出会わせるとき、
生命は、新たなる歴史を刻み始めるのだろうか。
2 偶然なんかじゃない 〜物語の始まりは、どこだったのか
繭子は引かれ、巡り合う
その痛みは、永遠の円環を引き寄せる
夢が、痛みが、愛が、
避けられぬ運命だと告げるのだ
3 痛みの見せる夢 〜私を超えたとき、世界は終焉を迎えるのだ
その痛みこそが、過去を見せる
その痛みこそが、未来を連れてくる
その痛みこそが、見えなかった何かを
4 夢の見せる痛み 〜世界は終わらない、私が走るかぎり
グリゴリーは走る、走る意味もわからぬまま
ミハイルは夢見る、自分の名に確信も持てず
レーナは信じている、愛が全てを取り戻すと
そしてヴァシリーは叫ぶ、生きろ、生きろと
いや、
永遠に繋がる命の連鎖が、そう叫ばせるのだ
5 醜い腕 〜醜いから美しいのか、美しいから醜いのか
王の庇護のもと、鍛錬を重ねるバグ
見守る美しきソーニャは哀しみに濡れ
王の思索は何を計りかねたのか
重さを跳ね返し宙へ跳ぶとき
黄金に輝く記憶の中で
英雄は──
エピローグ 或る神話
ダミー表紙画像
オルタニアでの連載時、原稿にはいつもダミーの表紙を付けていました。編集部のメンバーしか目にすることはないものだったので、こちらに再掲しましょう。
こちらの表紙はオルタニアへの掲載順にしていますので、単著とは順番が異なります。
試し読みについて
特別なアプリがなくてもウェブブラウザ上で読めるBiB/iという技術を採用しています。電子データは電子書籍の標準的な形式であるEPUBです。
BiB/iは、IEやChrome、Safariなどモダンなブラウザに対応しています。FireFooxでは縦書きが表示できないようです。スマートフォンなどにも対応していますが、一部の機種ではきちんと表示できないことがあるようです。また、通信環境によって読み込みが困難なこともあるようです。不具合がなくても、モバイル環境だと読み込み時間が長くなってしまう問題もありますね。
そんな方のためにはPDF版も用意していますので、BiB/i版の下からどうぞ。
BiB/i版 (電子書籍版とはレイアウト等が異なります)
PDF版 (電子書籍版とはレイアウト等が異なります)
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©Ryousaku Awanami 2019.