Works of 淡波亮作


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〈2015年 1月 25日発売〉 
概要
潤は熱気でボーッとのぼせたまま、会場の外に出た。どんよりと初冬の雲が垂れ込めている。ひんやりとした空気はすっかり乾燥していて、熱を帯びた額に心地が良い。見るところ、雨の心配はなさそうだ。歩きながら、歩道の脇に眼をやる。アスファルトとコンクリートの間、ほんの僅かな隙間から、イネ科だろうか、雑草がびっしりと生えている。大半は薄茶色になって枯れていたが、その間からは緑色の新しい芽が伸びている。
「植物こそが真の主役、ね……」

本当にそうだろうか?

「あれえ?」
作業員の上げた素っ頓狂な声は走り去る潤の耳には届かなかったが、他の作業員の一人が何事かと目を剥いて半身を起こした。
気になるシーン
次に、菌類の専門家だというD大学の教授が現れた。
「いやはや、先の責任者さんのおっしゃることですがネ、常識で考えてご覧なさい、たった一晩で体中を覆ってしまうほどコケが繁殖するなどということが、起こり得るはずがない。死後一週間かそこらは放っておかれた、と考えるのが妥当でしょうな」
《我々は、当局の検死結果を入手した》と、字幕が流れた。それによれば、死亡推定時刻は発見の約十時間前あたりということであった。
つまり、恐らく責任者は嘘を吐いてはいなかった、ということである。いや、しかし、

 
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©Ryousaku Awanami 2015.