シンチョク─1206/『希望の夜、絶望の朝』

今年はあと2冊出版する予定で進んでいた(はずな)のだけれど、ようやくその内の1冊をAmazonさんに提出しました。
新ジャンル(!?)SF叙事詩の『希望の夜、絶望の朝』です。

もう1冊のCG画集はどうかな……前回の進捗報告から、正直ほとんど進んでいないのですよね。うーむ。

で、SF叙事詩『希望の夜、絶望の朝』ですが、この淡波ログご愛読者のあなたならもうご存知の、『ティプトン』を改題した作品ですよね、はい。
僕にしては珍しく、出版前にかなり手を入れました。もちろん、これを書いたティプトン・スティーブンスの気持ちで、少しでも彼の心情に、彼が抱いたイメージに近づけるように、という推敲ですが。

予約販売用に登録し、発売日は12/12(月)予定としました。
すぐに出版しても良いのですが、予約販売にすれば通常販売より少しは露出時間が長くなるかな、というのと、もしも予約されれば、発売時にランキング反映されるから、同じ冊数が売れても少しだけ目立ちやすくなるかもしれない。という欲があります。
いや、きっとこの本ばっかりはそういう効果なんかまったく期待出来ないのでしょうが。
何しろ、誰も読む人のいなさそうな「SF叙事詩」というジャンル。しかも『ケプラーズ5213』のサイドストーリー(しかもしかもストーリーはない)ですからねえ。ケプラーズの世界を大好きになってくれたひとにとっては、きっと読んで面白い(暗い詩ばかりですが)でしょうけれど、未読のひとには「??」ですよね。

いえいえ、でもね、実はそんなこともないのですよ。
ケプラーズ未読のひとが読んでも、きっと何か感じることがあると思うのです。

生まれる前からずっと漆黒の宇宙を航行し続ける巨大宇宙船、ティオセノス号。
 閉ざされた世界の中で、目的地である植民星「ケプラー186f」が本当に存在するのか、果たしてティオセノス号は本当にその惑星に辿り着くことが出来るのか。船内で生活する人々はずっと、不安と疑問の中で生きています。
 本作の著者ティプトン・スティーブンスもまた、ティオセノス号で生まれ、巨大な宇宙船の中の世界以外はまったく知りません。書物から得たわずかな知識と想像力だけが、彼の未来を告げてくれるのです。
ティプトンは日々悩み、苦しみ、想像し、恨み、諦め、そして生きています。

この状況、何かと似ているとは思いませんか?

そう、今の世界ですよね。似ています。

僕はティプトンの目でティオセノス号の中の狭い狭い世界を見ながら、一般庶民には隠されている様々なことを想像しながら、過去や未来を想像しながら、僕らの生きているこの世界との類似性を強く感じていました。何もかもが全然違うのに、ひどく似ているのです。

だから、強い閉塞感を持たずにはいられないこの時代を暮らす誰もがきっと、ティプトンと相似形の悩みを、苦しみを、孤独を、感じているのではないかと思うのです。

僕と、同じように。

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