Category Archives: インディーズ出版

実を言うと、最近ほとんど書いていない_2

さて、昨日の続き。
ほとんど書いていないながらも書いているお話は──?

これまで書いてきたお話は、書くごとに結構振り幅が大きかったりする。
中年女性が主人公で身の回りのことしか出てこない《暖かい家族小説》の次は、近未来のジャーナリストが主役で《世界を舞台にしたSF》。その次が《実話仕立ての古代史ファンタジー》かと思ったら、次は《遠い未来のサバイバルSF》だったり。で、前作の『光を纏う女』が初の《ちょっとエロチックな大人向けサスペンス・ホラー小説》だもんだから、その対岸にある次作はというと……?

はい。
お分かりですね。
で、今書いてるのはこんなお伽話なわけ。

タイトルは、
『フックフックのエビネルさんとトッカトッカのカニエスさん』
ね、タイトルからして子供の絵本ぽい。

せっかくだから、書き出しをちょっとだけ紹介しちゃおうかな。
こんな感じ。

 フックフックの国に住んでいるエビネルさんはやせっちょで、お酒が大好き。トッカトッカの国に住んでいるカニエスさんは太っちょだけど、お酒はぜんぜん飲みません。いいえ、飲めないんです。だからなのか、やせっちょエビネルのお腹は出ていて、太っちょカニエスのお腹はぜーんぜん出ていないのです。

エビネルさんは洋服作り(テイラー)の見習いで、まいにちまいにち美しい生地にアイロンをかけて暮らしていました。お金持ちのご婦人がたと、店のご主人はいつも楽しそうにおしゃれの話をしていたけれど、お給金の少ないエビネルさんは、余った生地を上手に組み合わせて使い、自分でぬった服ばかりを着ていたのです。エビネルさんはいつもいつも、楽しそうに話すご婦人がたとご主人を見て、思っていたのです。僕もいつか自分のお店を持って、ご主人と呼ばれるようになるんだ、って。

そう、これは完全に子供向け(の顔をした)お伽話。一度書いてみたかったんだ、こういう懐かしい香りの漂うお伽話を。
例えば、『香水』のジュースキントが書いた『ゾマーさんのこと』や、フィリップ・K・ディックの『ニックとグリマング』のような、ね。

とは言え、気まぐれな僕のことだから、このまま進むかどうかも分からないのだけど。もちろん、淡波らしい毒はそこここに潜んでしまうと思うし──。

まあ、楽しみに待ってくれる人が、一人でもいてくれたらいいなって思いながら。

では!

暴挙? 愚行? 適正価格をめぐる冒険-2

さてさて、暴挙予告の第二回。僕の想定価格を発表しちゃおう。

自作の価格=同程度のボリュームを持つハードカバー商業本価格÷2÷2

最初の÷2は、電子書籍とハードカバー書籍の価格差。(商業出版の電子版もこのくらいの値付けが妥当ではないか)
次の÷2は、個人出版であるが故の経費差額と考えている。働いているのは自分一人だからね。

ここで重要なのは、その内容に対しては妥協する気がない、ということ。強気と思うだろうか? 尊大な態度だと思うだろうか?

でもこれは、そういう次元とは異なる判断なのだ。前々回も書いたように、Amazonのストアではセルフ出版だろうが大手出版社だろうが、分け隔てなく並列で書籍が並ぶ。その中で、チープに見られたらそれで終わりなのだ。人の感覚は不思議なもので、安いものを欲しがるくせに、安いものには《しょせん安物》という目を向ける。
そこをなんとかしなければ、同じフィールドで対等の勝負はできない。僕はそう考えた。間違ってるよと大勢に言われそうだけど、僕はそう考えたんだ。

大長編作品の『孤独の王』を例に取ってみよう。同じ程度の長さの作品を、仮に『ハリーポッター・シリーズの長めの本』あたりに置いてみる(ページ数をきちんと比較してはいないけどね)。
後者の価格は4,000円くらいだろう。僕の記憶イメージを元に独断で決めると、3,800円。これの4分の1で、950円。これが、今考えている孤独の王の適正価格だ。高いだろうか? 強気すぎるだろうか?
(HPの価格を調べてみると、実際はもう少し高かったけど)

値上げ時期については、まだ決定していない。ちょっと準備をしようと思っているから、恐らくは9月頃になりそうだ。

今、僕のことを知っている、これを読んでいるあなたは、《幸運な初期カスタマー》ということになるかな……。450円で買える今のうちにポチッとしておくと、お得かもしれないですよ。(もちろん、無料キャンペーンもしませんしね!)
まあ急がなくても、そんなすぐに価格が変わっちゃうことはないけど。
え? そんな高いセルフ出版本、読む気はないですって?

これは失礼いたしました。

では!

取っておきたいツイート(8/2)

ちょっと実験的な記事。自分へのメモも含めて、流れていってしまうツイートをブログ記事に固定してみる。Togetterのまとめのようなものかもしれないけど、自分にとってはやはりこの淡波ログというプラットフォームにまとめておくことが重要だと思うのだ。

先日の日本独立作家同盟の第四回セミナーでも同じようなことを思っていた。この場所で、何かを連載したいなと思っている。例えば、『きょうの猫村さん』のような1コマ連載。に似た小説作品、かなあ。
誰かが楽しみに待っていてくれるような記事を、ね。

今日は2更新(!)

同盟セミナー第四回に参加

と、題名に書くと、前回のような詳細なレポートを期待してくださると思うのですが、済みません。今回はさらりと行きます。
実際、会場でメモったのは1,300字あまり。これをきちんとまとめると、どう考えても数時間は必要なのです、僕の能力だと……。
で、そこは諦めさせてください。ちょっと、今それだけの時間を確保することが困難で、でも時間を空けると熱が冷めてしまうし、で……。今回は感想的な記事ということに。

昨日のセミナー『佐渡島庸平氏×鈴木みそ氏「凡庸な作家のサバイバル戦略──結局どうすりゃ売れるのさ」』もとても良かったです。基本的には自分のやっていることが間違っていないことと、もっともっと《コンスタントにコツコツと》やらなきゃいけない、ということを確認し、力を貰った半日でした。

ちょっと関連ツイートを貼ってみます。まずは登壇者の鈴木みそさんから。

 

筋トレ、というのはもちろん肉体の筋トレのことなのだと思いますが、これは対談中でお話されていたことと大いに関係があると想像しています。
《一度だけ会ったすごい美人より、しょっちゅう会うそこそこの人と恋に落ちる。》つまり、コンスタントに顔を見せることでこそ、魅力が伝わる。
それから、
《ファンとの関係を継続的に密接に構築することで、新作品の下地を作れる。》
《作家へのファンのあり方にはLOVEとlikeがある。作品へのLikeを作家へのLOVEに変えることでブランドが創られる》
《コンスタントな情報発信が場を温める。それは、そののちグッズが売れることにも繋がる》

とにかくコツコツと続けること。それだけがブレイクを連れて来る。だから、日々の活動は筋トレ。日々鍛え続けていないと、チャンスが来たときにつかむことも、気付くことも出来ない。だから、自分を鍛えまくるのだ。そんな覚悟が、かいま見えるツイートなのでした。

いやあ、鈴木みそさんほどのプロがここまで仰ってるんです。僕らヒヨッコは、覚悟して臨まねばなりません!

これは僕のメモをベースにしているので端折っていますし、対談者の佐渡島庸平氏(とにかくスゴイ方! でした。こんな方に売って頂けたら最高ですが、例によってお話できませんでした。ダメ波です)のお言葉とも混ざってますが、具体的で濃い内容の発言には大いに刺激されました。

そして理事長鷹野さんのツイート。(冒頭の鈴木みそさんのツイートは、これへの返信ですね)

そしてこちら。

小嶋智さんが実況なさっていたので、それもちょっと貼らせてくださいね。リアルな感覚。

 

これ、僕も「おおーっ」と思いました。

それから、Cironさん。

 

最後に、僕のメモからもう少しだけ書いておきますね。

《急に食いつかなくても、コンスタントにやっていれば少しずつ溜まっていく》
《自分のやっていることの棚卸しをしよう。“何のために”、“どういう事をやっていれば”、“今それはどうなっているのか?” Googleトレンドで分析して、次のプッシュを決めるのだ》

《何でもそうだけど、ブレイクするまでの曲線はすごく緩やか。ドン! とブレイクするのは貯めていた人だけだ》

【7/26 追記:もう一つ、心に残った言葉を。
 「いい作品なら黙っていても見つけてもらえると思うのは、白馬の王子様を待つのと同じ。自分自身で読者を見つけに行くのだ!」
 ね、これ、心に刻んでおこう! コツコツ活動が辛くなったとき、思い出すんだ。自分が動くことが全てなんだから!】

どうでしょう?
勇気が出ましたでしょうか……。

一緒にがんばりましょうね!

では、この記事がいつか誰かの役に立ちますように!

同盟のセミナーに参加しました

《同盟のセミナー》と書くと、なんだか怪しげな自己啓発セミナーのようですが、そうじゃありません。僕が一般会員として参加しているインディーズ作家のためのNPO法人、日本独立作家同盟が主催するセミナーの第三回目、『大原ケイ「日本の作家よ、世界に羽ばたけ!」』に参加してきましたという報告です。
(本日はですます調で)

最初に言うと、世界に羽ばたくためにはまず《英語に翻訳された本があること》が条件。それがなければ《世界に羽ばたきたいからこのセミナーの内容を知りたい》という作家の希望に応えてくれるものではないということを、お断りしておきましょう。

僕は同盟のセミナーに参加したのが初めてだったので、それを置いてもためになったことがたくさんありました。(第一回を家庭の事情でドタキャンしたのが本当に残念!)

心に残った言葉、参考になりそうな言葉を残しておきましょう。自分の記録も兼ねて。
まずは大原ケイさんのセミナーから。

■(アメリカでは)どういう本がダメなのか

・「絶世の美人」「美少女」キャラや、「紅一点」のグループ
→美人という個性はないよ。どんな美人なのか、どんな人間なのか、それを描かなければ何もアピールしない。
(それを描くのが楽しみなんですよね!)
→男女平等観点、ポリティカルコレクトネスの観点からも、男の中に女が一人というのは、日本で受けても世界的にはNG。
(『孤独の王』のパーティーは女性が二人だ、よし)

・微妙なこころのひだを描いた「ふわっ」とした感性
→これは、日本人の感性にのみ受けそうなものではダメ、ということかな。海外の文学でも微妙なこころのひだを描いたものはありますよね。だけど、それを受け入れて貰うためには、文学として相当高いレベルにあることが求められるのだと理解しました。当然、それはメガヒットするようなものでもなく、《読者の個人的な体験》として少数の読者の心にじんわりと残るものになります。だから、アメリカの出版社は食指を伸ばさないし……ということなのでしょう。逆にインディーズ電子書籍なら、それができるのではないかと思いますが。(高レベルの作品を書いて、それを英語化できれば、ですが)

・「高齢化」「少子化」が社会の標準であるという思い込み
・「日本人はスペシャル」説
→これ、どちらもポリティカルコレクトネス観点からNG。日本の常識は世界の非常識というやつ。これをきちんと書けなければ、世界に出られない。「?」「なんじゃこりゃ?」となってしまう。

では、
■どんな本なら売れるのか

・編集者の答えは“Great Story”
→正解はない。とにかくすごく面白いストーリーを、皆待っている。

そして、ヒント。

・フィクションなら王道の「成長譚」
→まあ、これは小説を書いているひとなら誰でもご存知の基本ですよね。
(僕はそれに反撥して《成長したはずなのにねじれていく主人公:『孤独の王』のセニーロくん》を書いたりしますが、それが王道になれない部分なのでしょうか……w)

・日本ぽくても日本ぽくなくてもいい
→とにかく面白ければ、ということ。例に上げられていたのが「おしん」。
とても日本ぽいと思いがちですけど、アジア・中東圏で相当受けたというのは記憶にありますね。ああいった構図は万国共通。いじめ抜かれて苦労して苦労して成長していく姿に、誰もが涙するのですものね。
逆に、日本ぽいモノ、(僕の理解では、いわゆるジャポニスム)が受けるというのは単なるコチラ側の思い込み。『SAYURI』がヒットして芸者モノがたくさん書かれたけど、柳の下にドジョウはいなかった。芸者が受けたのではなく、成長譚、Great Storyだから受けたんだよ、というお話でした。

では次。第二部の
“映画監督 ヤン・ヨンヒ氏、株式会社ボイジャー代表取締役社長 鎌田純子氏と、編集者の西野由季子氏を交えたトークセッション”から。もちろん、大原さんも一緒です。

「世界一の嘘話を読ませて!」
鎌田氏。
→すんごいホラ話を書きたいな! そう思います。

「孤立の孤にならず、個を大事にしながら繋がっていく」
ヤン氏、大原氏。
→同盟の趣旨・活動が素晴らしいと仰ってました。小説を書いていると、個人作業だけにとかく孤立しがち。自分の個性を大事にしながら、情報交換・意見交換・相互批評などなど、繋がりは大事だよ、ということ。

「デジタルによる自立を大事にしながらコミュニケーションを大事にする」
ヤン氏。
→「編集ソフトを使えるから編集ができるわけじゃない!」と映像コンクール応募者に激怒したというエピソードを話されました。まさにその通り、と思います。ワープロで文字を打てても作家にはなれないよ、と仰ってました。
大事なのは道具でなく《何を、どうやって表現するか》ですよね、当然です。
《形を作っただけで表現できた気になってはいけない》。改めて心に刻みます。

「人の話を聞いたからといって、自分が消えるわけではない」
→これはどなたの発言だったか、ちょっと覚えていませんが、ヤン氏だったかな。
こういう言葉には勇気づけられますね!

全体を通じての感想として残ったのは、
「世界の入り口は英語である。そして、それはアメリカである。世界中に読まれたかったら、まずは英語でアメリカに読まれるものを」
「本当に面白い物語は世界共通である」
「文学は(少なくともアメリカでは)エンターテイメントの一分野である。エンターテイメントとして磨き上げなければ世界に出ることは困難」
「書くことは『心のパンツを脱ぐ』こと」→その通り!

身が引き締まります。


そして、一つだけ残念だった点、これは僕自身のことです。

理事長の鷹野凌さんとは挨拶させて頂きましたが、他の方とは一言も交わすことができませんでした。これは僕の性格なのでしかたがないのですが、懇親会ではぽつんと一人になってしまい、数分で退場してしまいました……。
例えばもし、よくあるビジネスセミナーや展示会のように名刺入れを首から下げるとか、名札を配ることができれば、名前だけ見覚えのある作家同士が声かけあって繋がりを生めるのになあとも思いました。(独り言です)
もちろん、その準備にも経費が掛かると思いますから、必要であれば寄付する心の準備はあるのですが……。


実は、ある独特な方法で既刊の海外進出を目論んでいます。それが、今回のセミナーに出た目的の一つ。方法はまだ内緒ですが、そのヒントになるような話は、残念ながら聞けませんでした。
でも、これから書く新しい物語の参考として、大いに役立つのではないかと思っています!

さて、この記事がいつか誰かの役に立ちますように!