詩/がんばれ、アリよ


その小さなからだの
何十倍もある山を
君たちはせっせと築き上げる

山を作るためではないのに
君たちはせっせと築き上げる

その山は君たちのために働かないし
むしろ
城の存在を知られたくない者に
知らしめてしまうだろう

いや、君たちにとって、
知らしめたくない者ではないのだな
君たちがその存在を
「みじんも考慮していない者」だ

土を閉じ込めた人間の
つまらない意思に逆らって
石の隙を君たちは
巧みに掘り進める

その強固な要塞は
大きな敵から君たちの家を守る
どんなに子供が
君たちの山を蹴っ飛ばそうとも
プラスチックのシャベルで
石の間を突っつこうとも

君たちの
その暖かな場所は安泰だ

石の隙間のその奥に
深く深く穿たれた城は

ちょっとした人間なんか
まるで敵わない
君たちだけの空間なのだ

頑張れアリよ
もっともっと掘り進め
もっともっと山を築け

私たちの愚かさをあざ笑え
自然の営みに
生の喜びに

敵うものなんか
いないのだと


第二詩集をそろそろ、と思ってはいますが、なかなか手が付きません……。それまでは、こちらをどうぞ。


淡波ログに掲載した作品を中心に書き下ろし作品を加えた初の詩集『猫になりたい』。
乾いた心にするりと忍び込む、読みやすい詩編を多数収録しています。


『猫になりたい』は、楽天KOBOさんから《例の》201円作戦で出てます。こちらですからね!

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *