叙事詩『ティプトン』連載第21回

“だが、ケプラー186fには可能な限り多くの人類を送り届ける必要があるのだ。人種・文化の多様性が失われてはならなかったし、人類が未来永劫生き続けるためには、やがて必ず辿り着く未開の惑星に十万人規模のコロニーを築きあげることが必須の条件である。というのが、多くの科学者が導き出した結論であった。”

『ケプラーズ5213』より


── 21 ──


人種という概念もまた
理解することは困難だ
とてつもなく
困難だ

常に暑い大陸と言われても
思い浮かべられるのは
オーシャン・シリンダーの海が
せい一杯だろう

人類の生まれた場所は
アフリカという名の大陸だった

そこまではいい

アフリカには

(電子書籍化にあたり、公開を終了しました。本連載記事における公開分は、全体のごく一部になっています。ご興味のある方は、電子書籍版をお買い求めくださいますと幸いです)

keplers_eyecatch


本連載は、今回で終了です。
4ヶ月半にわたり、ご愛読ありがとうございました。

後日、内容を改訂し電子書籍としてまとめたものを出版予定です。
出版の際にはまた、こちらでお知らせします。

晩年の詩人ティプトンは、SF作品『ケプラーズ5213』にちょっとした脇役として登場しています。本当にちょっとした脇役ですが、案外存在感があって、作者のお気に入りキャラクターなのです……

地球を旅立って三千年後、人類は尊い犠牲を払いながらも、計画通りに492光年彼方の惑星ケプラー186fに到着した。
人類は惑星の各地に入植キャビンを送り込み、水と緑に溢れた美しい新天地に入植地を築きつつあった。
だが、人類の生息環境として申し分ないその惑星に、先住生物が存在しないはずはなかった。

 

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